AWS とマイクロソフト、あらゆる開発者に深層学習へのアクセスを提供する Gluon を発表

[2017年10月18日]

(当リリースは 2017 年 10 月 12 日に米国で発表されたリリースの抄訳をベースにしています)

新たなオープンソースの深層学習インターフェイス Gluon により、あらゆる開発者が学習性能を妥協することなく、より容易かつ迅速に機械学習のモデルを構築可能に。共同開発された参照仕様により、Gluon は任意の深層学習エンジン上で稼働でき、現時点では Apache MXNet をサポート、近い将来には Microsoft Cognitive Toolkit をサポートします。

Amazon.com (NASDAQ: AMZN) の子会社 Amazon Web Services Inc. (AWS) とマイクロソフト (NASDAQ: MSFT) は、2017 年 10 月 17 日 木曜日に、新しい深層学習ライブラリである Gluon を発表しました。Gluon によりあらゆるレベルの開発者が、クラウド、エッジデバイス、そして、モバイルアプリに向けて、高度な機械学習モデルをプロトタイピングし、構築し、トレーニングし、展開することが可能になります。現時点では Gluon は Apache MXNet をサポートし、近い将来には Microsoft Cognitive Toolkit (CNTK) をサポートします。Gluon インターフェイスにより、開発者はシンプルな Python API と最適化された多様なニューラルネットワークコンポーネントを使用して機械学習のモデルを構築できます。これにより、あらゆるレベルの開発者が性能を妥協にすることなく、簡潔なコードによりニューラルネットワークを容易に構築できるようになります。AWS とマイクロソフトは Gluon の参照仕様を公開しているため、他の深層学習エンジンもインターフェイスを統合することができます。Gluon インターフェイスの入門情報については、https://github.com/gluon-api/gluon-api/ をご参照ください。

開発者は、学習データ、モデル、そして、アルゴリズムという 3 つのコンポーネントを使用してニューラルネットを構築します。アルゴリズムはモデルをトレーニングし、データ内のパターンを理解できるようにします。データ量は膨大であり、モデルとアルゴリズムは複雑であるため、モデルのトレーニングには数日、さらには、数週間を要します。トレーニングプロセスの最適化と迅速化を支援するために Apache MXNet、Microsoft Cognitive Toolkit、TensorFlow といった深層学習エンジンが登場してきました。しかし、これらのエンジンでは、開発者が長くて複雑で、変更が困難なコードを使用して最初の段階でモデルとアルゴリズムを定義する必要がありました。モデル構築を容易にした深層学習ツールもありますが、その単純性のゆえに学習性能が低いという問題がありました。

Gluon インターフェイスは両者の優れた部分を提供します。すなわち、プログラマーがニューラルネットワークモデルのプロトタイピングと実験を迅速に行うための簡潔で理解しやすいプログラミングインターフェイス、そして、基盤となるエンジンの処理速度への影響を最小化したトレーニング手法です。開発者は Gluon インターフェイスを使用して、ニューラルネットワークを迅速に作成し、そのサイズと形状を動的に変更できます。さらに、Gluon インターフェイスは、学習アルゴリズムとニューラルネットワークモデルを組み合わせているため、開発者はモデル学習を一段階ずつ進めることができます。これは、ニューラルネットワークのデバッグ、更新、再利用がはるかに容易になることを意味します。

Amazon の AI 担当 VP のスワミ シヴァスブラマニアン (Swami Sivasubramanian) 氏は次のように述べています。「機械学習の可能性はすべての開発者がアクセス可能になって初めて実現されます。しかし、現時点では、機械学習モデルのトレーニングには多大な作業と専門知識が必要とされるのが実情です。ニューラルネットワークとトレーニングモデルの構築がアプリの構築と同じほど容易になるように Gluon インターフェイスを開発しました。機械学習を容易にしたいと考えている開発者の皆様に向けた Gluon インターフェイスの機能向上をマイクロソフトと共に取り組んでいけることを楽しみにしています。」
マイクロソフトの AI & Research 担当コーポレートバイスプレジデントのエリック ボイド (Eric Boyd) は次のように述べています。「広範なコミュニティの利益になるテクノロジ構築のために業界が協力し、リソースの蓄積を図ることが重要であるとマイクロソフトは考えています。これが、マイクロソフトが AWS と協業して Gluon インターフェイスを開発し、開発者にとって選択の自由があるオープンな AI エコシステムを実現した理由です。機械学習は、私たちの仕事、やり取り、コミュニケーションを変革する能力があります。これを現実化するためには適切なツールを適切な人に提供する必要がありますが、Gluon インターフェイスはこの方向性に向けたステップです。」

FINRA のシニアバイスプレジデント兼 CTO のサマン マイケル ファー (Saman Michael Far) 氏は次のように述べています。「FINRA はデータレイクで収集した膨大なデータの処理に深層学習ツールを使用しています。Gluon インターフェイスはオープンソースのフレームワークである Apache MXNetの活用を容易にしてくれます。ビッグデータの機械学習においてオープンソースとクラウドを活用するという FINRA の戦略との整合性が高い Gluon インターフェイスには強く期待しています。」

カーネギーメロン大学の School of Computer Science 学長アンドリュー ムーア (Andrew Moore) 氏は次のように述べています。「ソフトウェア工学の抽象化原則と機械学習の数値計算の相性が良いケースはほとんど見たことがありません。チュートリアルでは簡単に見えたものが数 100 行のコードになることもあります。Gluon インターフェイスが、コードの複雑性とその概念と同レベルに保たれることを高く評価しています。機械学習コミュニティにとって歓迎すべき追加機能です。」

ジョージア工科大学の Electrical Engineering and Computer Science 非常勤教授ニコラス バシログロウ (Nikolaos Vasiloglou) 氏は次のように述べています。「Gluon インターフェイスは、使いやすさとパフォーマンスのどちらを優先するかという以前からある問題を解決してくれます。学生たちも高く評価するでしょう。Gluon インターフェイスは、機械学習の新たな応用は学生が選択し、適用し、イノベーションを行うペースを劇的に向上してくれるでしょう。ドキュメンテーションも素晴らしく、私の大学のコンピューターサイエンスのコースや米国の複数都市で開催される先進的機械学習に関するセミナーで利用できることを楽しみにしています。」

DOCOMO Innovations のシニアリサーチエンジニアである伊吹勇郎(いぶき たけろう)氏は次のように述べています。「Gluon インターフェイスは、機械学習モデルのプロトタイピングを容易にしてくれることから、当社の機械学習ツールキットに対する重要な追加機能になると考えています。このインターフェイスの効率性と柔軟性により、当社のチームはより俊敏になり、過去には時間を要し過ぎて非現実的だった実験を行うことができるようになるでしょう。」

Gluon インターフェイスはオープンソースであり、Apache MXNet 0.11 向けに本日より公開されます。CNTK は将来のリリースでサポートされます。初心者および熟練者向けのチュートリアルが、https://mxnet.incubator.apache.org/gluon/で公開されており、開発者はMXNet でのGluon の使用方法を学ぶことができます。

【日本マイクロソフト株式会社について】
日本マイクロソフトは、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。マイクロソフトは、モバイル ファースト& クラウド ファーストの世界におけるプラットフォームとプロダクティビティのリーディングカンパニーで、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています。
日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する」企業像を目指します。

マイクロソフトに関する詳細な情報は、下記マイクロソフトWebサイトを通じて入手できます。

日本マイクロソフト株式会社 Webサイト http://www.microsoft.com/ja-jp/
マイクロソフトコーポレーション Webサイト http://www.microsoft.com/

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