[2018年5月8日]
Posted by:フランク ショー (Frank X. Shaw)
世界はコンピューターであり、膨大なデータに満ちています。2020 年までに平均的な人は日々 1.5 ギガバイト、スマートホームは日々 50 ギガバイト、そしてスマートシティはなんと 日々 250 ペタバイトのデータを生成するようになるでしょう。開発者にとって、このデータは膨大な機会を提供します。開発者は大きな力を得るとともに、責任を負うことにもなります。これが、本日の Build の講演で、「世界を変えるためのツールやガイドで開発者を支援する」という自社の役割を、マイクロソフトが軽く考えていないと述べた理由です。シアトルのステージで、マイクロソフト CEO サティア ナデラ (Satya Nadella) は、AI が推進する新しい世界について述べました。AI は医療を改善し、基本的人権に関する課題を解消し、多様性とアクセシビリティを備えた社会の構築に貢献します。
安全で公平なより良い世界を作る上で、マイクロソフトの責任は重大であると考えています。マイクロソフトは、テクノロジの倫理的な開発と利用に常にコミットしてきました。AI が私たちの生活で果たす役割が増すにつれ、人類に貢献するというマイクロソフトのコミットメントが今まで以上に強力になっています。本日、マイクロソフトは AI for Accessibility を発表しました。これは、世界中の 10 億人を超える障碍を持つ人々に向けた、人間の能力を拡大するためにAI を活用する、2,500 万ドル規模の 5 年間にわたるプログラムです。AI for Accessibility は開発者、NGO、学術界、研究者、発明家へ行動を呼びかけ、Employment(雇用)、Human Connection(人とのつながり)、そしてModern Life(現代的生活)という3つの分野において、障碍を持つ人々に向けた取り組みを加速することを求めています。本プログラムは、アクセシビリティを向上する AI ソリューションの開発を加速するための助成金、テクノロジ、専門知識の提供を含み、Azure Cognitive Services の最近の機能強化を活用して、聴覚や視覚などの障碍を持つ人々を支援するインテリジェントなアプリの開発を援助します。リアルタイムの音声テキスト変換、視覚認識サービス、タイプ中に単語をサジェストする予測機能などが対象となるテクノロジの例です。既に、視覚障碍を持つ人々を支援する Seeing AI や alt-text 機能、そして、自閉症の人々を支援する Helpicto などがすばらしい結果をもたらしています。
AI が社会を推進する心臓ならば、インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジは背骨です。今後 10 年間に、日々使用される数十億個のデバイスが相互接続されるようになります。これらのデバイスはクラウドとの常時接続なしに、見て、聞いて、推論し、予測することができます。これがインテリジェントエッジであり、コンピューターと現実世界のインターフェースとなる存在です。インテリジェントエッジは AI とクラウドを活用して、工場や手術室を含むあらゆる場所で、特に人間にとって危険であったり、解決に新たなアプローチが求められたりするシナリオにおいて、新たな情報を収集して推論します。
本日、マイクロソフトは開発者に向けてこれらの可能性を現実にするためのツールとガイドを発表します。例として、Azure IoT Edge Runtime をオープンソース化することで、お客様によるランタイムの修正やアプリケーションのカスタマイズを可能にし、エッジでの開発を容易にします。エッジ向けに提供される最初の Azure Cognitive Service である Custom Vision を提供し、エッジデバイス上で見て、聴いて、話して、解釈できる強力なAIアルゴリズムの開発を可能にします。また、DJI と Qualcomm との提携も行います。世界最大のドローン企業である DJI とマイクロソフトは、企業向けドローンソリューションの開発で協業します。これにより、農業、建設、警備などの重要分野において、開発者は、たとえば農産物の収穫高を増大するなどの画期的なソリューションを開発可能になります。Qualcomm Technologies, Inc. とは、カメラベースの IoT ソリューション用に Azure IoT Edge を稼動するビジョン AI 開発キットを共同開発します。カメラは機械学習やコグニティブサービスなどの先進的 Azure サービスをクラウドからエッジにダウンロードして利用できます。他にも、ディープニューラルネットワーク処理アーキテクチャーである Project Brainwave のプレビュー版の Azure 上で提供します。Project Brainwave により、Azure はリアルタイム AI 向け最速のクラウドとなりました。
また、Azure Cognitive Services のアップデートにより、開発者は自身のアプリケーションに音声認識、テキスト読み上げ、カスタマイズ可能な音声モデル、翻訳機能を容易に追加できるようになりました。さらに、マイクロソフトはAzureに関して、あらゆるエージェントと統合された対話型の AI 体験を開発するための最適な場所にしています。Bot Framework のアップデートとCognitive Services により、企業のブランド認知に貢献する魅力的な対話機能、個性、音声カスタマイズを備えた次世代の対話型ボットが実現されます。
マイクロソフトが 8 年前に提供した Kinect は音声、視線、画像処理機能を備えた AI デバイスでした。マイクロソフトはこのテクノロジを進化させ、 Microsoft HoloLens を生み出しました。HoloLens を使用して、開発者はセキュリティ、製造、ヘルスケアといった、多様な業界で革新的なソリューションを構築してきました。センサーテクノロジの進化に伴う、センサーとMachine Learning、Cognitive Services、そしてIoT Edge などの AI サービスの組み合わせには、驚くほどの可能性があります。
本日、マイクロソフトはエッジ上のAI向けに設計され、マイクロソフトが提供する業界随一の ToF(Time of Flight)深度カメラなどのセンサー類とオンボードコンピューターを小型で電力効率性に優れたフォームファクターにパッケージした、 Project Kinect for Azure を発表しました。Project Kinect for Azure は最先端のハードウェアテクノロジを Azure AI と組み合わせ、環境にインテリジェンスを取り込むための新たなシナリオを開発者に提供します。
同様に、本日発表された Speech Devices SDK は、マルチチャネルのソースに対して、ノイズキャンセル、遠距離認識などを含む正確な音声認識機能を提供します。これにより、開発者はドライブスルーでの注文、車内や家庭内の音声アシスタント、スマートスピーカーなどのデジタルアシスタントといった多様な音声処理のシナリオを構築可能になります。
この新世代のテクノロジは複合現実によっても推進されており、職場における新たな可能性を開いています。本日、マイクロソフトは顧客との最初のインターフェースになり、問題の切り分けを行う Firstline Worker を支援する2つの新アプリ、Microsoft Remote Assist と Microsoft Layout を発表しました。Microsoft Remote Assist はハンズフリーのビデオ通話機能を提供し、Firstline Worker が手を離さずに自分が見た物を Microsoft Teams のコンタクトリスト上の専門家と共有し、協力して問題解決や作業を迅速に行うことができるリモートコラボレーションを実現します。同様に、Microsoft Layout により、複合現実による 3D モデルとホログラムを使用して、状況に応じた部屋の設計を行うことができます。
多様性とアクセシビリティの向上や人類全体にとっての問題解決など、私たちの仕事や生活の向上に関するあらゆる分野で開発者は主要な役割を果たします。AI とインテリジェントエッジによる新しいアイデアとソリューションが生まれる中で、マイクロソフトは開発者への支援を継続し、現実の問題解決に結びつく新ソリューション構築のためのツールとクラウドサービスを提供していきます。トップから現場まで、マイクロソフトは開発者主導の企業であり、プログラマーに投資し、問題解決のために最大限の権限を与えています。
Azure と Microsoft 365 による開発者の支援に関する追加情報は、Microsoft Cloud + AIグループ担当エグゼクティブバイスプレジデント スコット ガスリー (Scott Guthrie)、 そして Windows 担当コーポレートバイスプレジデント ジョー ベルフィオーレ (Joe Belfiore) のブログをご参照ください。
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