デジタルトランスフォーメーションの加速に向けて Windows for IoT がチップの選択肢を拡大し、インテリジェントエッジのサポートを強化

IoT の世界は未だかつてないほど活気にあふれ、世界中のビジネスを変革しています。そして、その変革のペースはさらに加速しています。AI と機械学習の進歩により、あらゆる業界の企業がインテリジェントエッジとインテリジェントクラウドのパワーを活用して効率性を向上し、ダウンタイム、廃棄物、およびミスを削減し、お客様の満足度を高めています。

Windows は 20 年以上にわたり、エンタープライズ級の組み込みデバイスをサポートしてきました。そして、本日、CEATEC Japan の基調講演において、私は、Windows for IoT によって、あらゆる規模のデバイス開発者がスマートで安全な IoT デバイスによるデジタルトランスフォーメーションを迅速に提供していけるよう支援するマイクロソフトの戦略について紹介しました。CEATAC では、Society 5.0 のフレームワークの元にスマートシティ、スマートビルディング、スマートインフラストラクチャにフォーカスが当てられており、これらのインテリジェントエッジのデバイスの基盤として、Windows for IoT がスケーラブルなオペレーティングシステムのファミリーを提供できることを誇りに思っています。このファミリーには以下が含まれます。

  • Windows 10 IoT Core は、小規模なスマートデバイス向けに構築されており、Windows に期待される管理容易性とセキュリティを提供し、Windows 10 IoT Core Services と共に、長期的な OS サポートと OTA (Over-the-Air) によるデバイスのアップデートと監視機能を提供します。Windows 10 IoT Core の活用法の最適な例は、多くの都市が直面する交通問題に対応するライドシェアのプラットフォーム Hourfleet です。Hourfleet プラットフォームは、Windows 10 IoT Core と Azure IoT 上で構築された、グローバルに展開可能で、コスト効率性が高い製品です。
  • Windows 10 IoT Enterprise は、Windows 10 IoT のフル機能バージョンであり、エンタープライズ級の管理性と固定機能スマートデバイス向けのロックダウン機能を提供します。City Beacon などの企業が、Windows 10 IoT Enterprise 上で次世代のインリジェントインフラストラクチャを構築しています。City Beacon は、街路や店舗に設置可能な Smart Hub を開発しました。この多機能キオスクは、多様な IoT デバイスを内蔵し、高速ネットワークに接続して、市民に対して地域に特化したアプリやサービスを提供します。
  • Windows Server IoT 2019 は、きわめて要求が厳しいエッジコンピューティングのワークロード向けに構築されており、ネットワーク接続されたアプリケーションの大規模データベース、ネットワーク、ウェブサービスのデータの接続、保存、分析に利用できます。

プロセッサの選択肢の拡大

本日、i.MX6、i.MX7、i.MX 8M、i.MX 8M Mini を含む NXP i.MX プロセッサファミリ向けの Windows 10 IoT Core Board Support Packages の一般提供開始を発表します。NXP は、セキュリティに優れた組み込みアプリケーションのコネクティビティソリューションのリーダーであり、NXP i.MX と Windows 10 IoT Core を組み合わせることで、デバイス開発企業は、安全で信頼性が高いコネクテッドデバイスの選択肢をさらに拡大できます。

Windows 10 IoT Core により、インテリジェントエッジにおける安全で電力効率性に優れたデバイスが実現されます。開発者は、慣れ親しんだ Windows 開発環境を使用して新たなインテリジェントデバイスを迅速に構築し、強力な Azure IoT プラットフォームを活用して展開できます。NXP のプロセッサファミリをサポートすることで、マイクロソフトは、IoT プロジェクトのエンジニアにとっての高品質のシリコンの選択肢を大幅に拡大します。

NXP の Business Development, Secure IoT Edge to Cloud Products 担当バイスプレジデント、ジェフ マイルズ (Jeff Miles) 氏は次のように述べています。「一般提供開始というマイルストーンに到達できたこと、そして、マイクロソフトとのパートナーシップ構築を継続できることを大変うれしく思っています。今回の発表により、NXP のお客様は、Windows 10 IoT Core 上で i.MX 6、i.MX 7、i.MX 8M を活用した業界有数のエッジコンピューティングソリューションを活用し、インテリジェントエッジ製品上で Azure の能力をフルに利用できるようになります。」

お客様による NXP i.MX Windows 10 IoT Core の採用

NXP i.MX プロセッサを使用したボードやデバイスが既に登場しており、パートナーエコシステムでは 15 種以上のボードが提供開始、あるいは、開発中となっています。たとえば、Diagramics は、Windows 10 IoT Core を含む NXP i.MX8 ベースの Azure IoT Device Catalog 認証済ソリューションを構築し、高機能のクライアントデバイスの開発を可能にすると共に、Azure IoT Hub Device Provisioning Service によるプラグアンドプレイを実現しています。本ボード製品とソリューションに関する追加情報は、https://docs.microsoft.com/en-us/windows/iot-core/learn-about-hardware/iotnxp をご参照ください。

基調講演で、私は、Smart Tower による、Windows 10 IoT Core、NXP、Azure IoT を組み合わせた新ソリューションも紹介しました。本ソリューションは、携帯電話基地局や送電線網などの重要な公共インフラの信頼性を向上し、ダウンタイムを削減するために設計されています。Smart Tower はエッジ処理をフルに活用して、タワーに搭載するセンサーモジュールとリアルタイムでタワーの状態を分析できる地上制御ユニットを開発し、ネットワークの遅延が大きい、あるいは、ネットワークに接続されていない環境をサポート可能にしました。さらに、本ソリューションでは、Azure IoT Hub を活用してデバイスの管理を行い、監視対象のタワー全体の履歴分析を可能にしています。Smart Tower は、デバイスの稼働環境の厳しさ、そして、なじみのある Windows IoT プラットフォームによる開発期間とコストの削減効果を理由として、NXP、i.MX、Windows 10 IoT Core の組み合わせを選択しました。

エッジ領域で継続するイノベーション

今年初頭に、マイクロソフトは、Windows 10 IoT Enterprise と Windows Server IoT 2019 上の Azure IoT Edge のサポートを提供開始しました。IoT Edge ランタイムの統合が容易でシームレスになり、機械学習アルゴリズムなどの複雑なコンピューティング機能をクラウドからエッジに移行することが容易になりました。また、Windows for IoT は Windows Machine Learning と Windows Vision Skills をサポートし、Azure 上で開発された高度な AI アルゴリズムを任意の Windows for IoT デバイス上で実行することが可能になりました。

エッジにおける業界トップの機械学習: Windows ML コンテナ

インサイダー向けプレビューとして本日提供開始された Windows ML コンテナは Windows ML API を使用して構築された AI 推論ワークロードに特化して設計されました。Windows ML コンテナは、エンタープライズ級 IoT ソリューション構築のための高速で柔軟なプラットフォームを企業に提供します。Windows の先進的機能に Windows 10 IoT プラットフォームのセキュリティと Azure IoT Edge サービスの管理容易性が組み合わされています。

Windows ML コンテナは、ホストされた AI ワークロードに対して、ハードウェアアクセラレーションと周辺機器への直接アクセスを提供します。ホストされたワークロードは、USB、I2C、SPI、GPIO を使用して接続されたセンサーやカメラを利用できます。ハードウェアアクセラレーションは、任意の DirectX 12 対応 GPU、あるいは、ホストに接続された Microsoft Compute Driver Model 準拠の ASIC を使用して利用できます。

コンテナを AI ワークロードに最適化したことにより、コンテナのディスク上のサイズはおよそ 350 MB となり、市場における他の GPU 対応推論処理コンテナと比較してはるかに軽量となっています。このサイズの小ささにより、お客様は Windows ML コンテナをより容易かつ安価に管理可能です。Windows ML コンテナの Insider Preview に関する追加情報は、https://docs.microsoft.com/windows/ai/windows-ml-container をご参照ください。

SQL Server IoT 2019: Windows for IoT のデータストレージとアナリティクス

長年の間、SQL Server は組み込み用途で利用されてきました。最新の SQL Server 2019 の機能を組み込みデバイス開発者にお届けできることを大変うれしく思っています。SQL Server IoT 2019 は、SQL Server 2019 と同等バイナリであり、OEM チャネル経由でライセンスされ、アプリケーションソフトウェアを稼働する専用エッジアプライアンス向け設計されています。Windows Server IoT 2019 との組み合わせにより、基幹系データアナリティクスの総合的データベースプラットフォームとなり、比類のないスケーラビリティ、業界トップクラスの性能とセキュリティ、そして、あらゆるデータに対するインテリジェンスを提供します。また、高並列性のインメモリテクノロジによる業務データに対するリアルタイムのアナリティクスを提供すると共に、永続メモリによる拡張性を提供します。Microsoft SQL Server IoT 2019 は本年末までに提供開始されます。

マイクロソフトは、クラウドのコネクティビティに多大な投資を行い、Windows のパワーを活用して、お客様のクラウドとインテリジェントエッジに向かう取り組みを加速しています。CEATAC でマイクロソフトが発表したイノベーション、そして、お客様やパートナーが開発中の現実世界の IoT ソリューションは、Windows for IoT の輝かしい未来の始まりに過ぎません。今週 CEATEC に来られるのであれば、是非、A012 のマイクロソフトブースでこれらの Windows IoT を直接体験してください。また、https://www.microsoft.com/en-us/WindowsForBusiness/windows-iot の追加情報もご参照ください。

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