アクセシビリティ:テクノロジを活用した障碍のある方に向けた活動

日本マイクロソフト株式会社 執行役員 最高技術責任者
兼 マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役 社長
榊原 彰

本日、12 月 3 日は、国連が定めた「国際障害者デー」です。日本でも 12 月 3 日から 9 日までは障碍者週間として、様々な啓発の取り組みが行われています。マイクロソフトはこの「国際障害者デー」に敬意を表し、アクセシビリティ ― 障碍のある方をテクノロジで支援する取り組みについて発表しました。

Seeing AI

本日より、視覚障碍者向けトーキングカメラアプリ「Seeing AI」日本語版の提供を開始します (関連ブログ) 。このアプリは、自分の周囲の風景を認識したり、レストランのメニューを読み上げたり、近くに誰がいるか、AI を活用して知る事ができる iOS 向け無料アプリです。マイクロソフトのクラウド AI である Cognitive Services により、スマートフォンのカメラに写った物やテキストを瞬時に認識します。

視覚障碍のある当社のプログラマーが中心となって開発され、2017 年に英語版を提供しました。今回新たに、日本語版を含む 5 か国語(オランダ語、フランス語、ドイツ語、日本語、スペイン語)へ対応し、これまでは言語の壁があった各国の視覚障碍の方にも、利用いただくことを期待しています。

ロンドンに拠点を置くミュージシャンのアンドレ ルイスさん。アンドレさんは、Seeing AI を活用して、日々の生活を自立して過ごしています。(ビデオはこちら

AI for Accessibility

障碍のある方を支援する AI 技術に投資する当社のグローバルプログラム「AI for Accessibility」において、東京工業大学様と合同会社シーコミュ様のそれぞれのプロジェクトが、日本における最初の受賞対象として決定しました。

東京工業大学は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などにより自身で身体を動かすことが難しくなった方が、瞳孔のサイズの変化で自分の意思を表すといったシステム「PuCom (ピューコム)」の研究を行っており、パートナーの方々と製品化に向けて取り組まれています。当社の機械学習を取り入れることで、より早く正確なコミュニケーションをとれるように開発されています。身体を動かさずに、瞳孔だけで意思の表示ができるので、障碍のある方向けのシステムに加えて、将来的には一般機器や手が使えない状況での情報入力の用途などが考えられています。

また、合同会社シーコミュは、AI と人のハイブリッド情報保障システム「AI ミミ」を開発しています。同社は、従来から聴覚障碍の方に向けて講演会などでの字幕による情報保障を遠隔でオペレーターの方が行うサービスを提供しています。今回、クラウド AI であるMicrosoft Cognitive Services Speech API による文字起こしと、人間のプロのオペレーターの修正作業を組み合わせることで、より早く正確な字幕を手軽に提供することが可能になっています。

どちらのプロジェクトも開発段階にあり、今後の正式提供が待たれますが、今回の受賞がその一助になる事を期待しています。

Xbox Adaptive Controller

マイクロソフトは、今年のアメリカンフットボールリーグ NFL の優勝決定戦 「Super Bowl」 のテレビ中継で、身体に障碍のある子どもたちがゲームを楽しんでいるとても元気でかわいらしい様子の CM を流しました。子どもたちが使っているのが「Xbox Adaptive Controller」。マイクロソフトのゲームコンソール Xbox と PC につなぐことができ、通常のゲームコントローラーでは使いにくい人が、大きなボタンをゲームコントローラーの A ボタンの代わりにしたり、自分が使いやすい、例えば足で踏むタイプのスイッチや息を吹きかけるタイプのスイッチを、ゲームコントローラーのボタンに割り当てて、ゲームをすることができます。この Adaptive Controller を日本でも発売することが決定しました。eSports も話題になる中、重い障碍のある人でも環境さえ整えば、ゲームで活躍することも不可能ではありません。マイクロソフトストア(オンライン)で近日中に発売しますので、正式な発売日のご案内を楽しみにお待ちください。

Xbox Adaptive Controller

この一連の活動は、まさに当社の企業ミッション「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を具現化したものです。
テクノロジを活用して、「すべての人、組織がより多くのことができる」ようにする精神のもと、活動を継続していきたいと考えています。

※ 本文中の「障害」に関する表記について、法律やあらかじめ表記が決まっているものに関してはそのままとし、当社が用いる場合には『障碍』としています。

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