※ このブログは、米国時間 2 月11 日 に公開された ”Along with our customers and partners, Microsoft will drive mobility in the next decade” の抄訳です
サンジェイ ラビ (Sanjay Ravi) 自動車業界担当ジェネラルマネージャー
Sanjay Ravi, General Manager, Automotive Industry
現在、自動車業界ではデジタル化以前からの長い歴史の中で最も変革的な時を迎えています。自動車および運輸業界が集結する中、新しいモビリティサービスにフォーカスした分野で 2030 年までに 4 兆ドルもの機会が生じると予測されているのです。
ラスベガスにて年初に開催された CES 2020 では、その機会の幅広さや規模がこれまでにないほど顕著に現れていました。今年の CES では、CASE (コネクテッド、自動運転、シェアサービス、電気自動車) 周辺で起きているトランスフォーメーションと、CASE を実現している基盤技術という観点で、特に 2 つのテーマが際立っていました。
ひとつは、過去 10 年間に登場した CASE 技術が大きく進歩したことです。そしてもうひとつは、次の 10 年でこれらの機能が統合されることです。
CASE 技術は過去 10 年で大きな進歩を遂げました。マイクロソフトは、CES において、お客様やパートナーとともにその進歩に関する重要な発表を行い、マイクロソフトのテクノロジが新たなビジネスモデルを加速させ、どのように消費者体験を向上させるのかを示しました。
車内エクスペリエンスの再発明
コネクテッドカーでは、車内での生産性やエンターテインメント機能が競合との差別化において欠かせません。自動車技術のグローバルリーダーである Faurecia は、マイクロソフトと協力し、快適さや健全性、インフォテインメント性を向上するサービスの開発を目指しているほか、オンデマンドコンテンツへのアクセスや共同作業プラットフォームを通して、自宅やオフィスから車内までをデジタル化するサービスの開発に取り組みます。
クラウドに接続することで、自動車メーカーやモビリティプロバイダー、および消費者も、運転席で強化したサウンドを楽しんだり、パーソナライズしたエンターテインメントオプションや車内サービスなど、ドライビング環境をアップグレードできます。Faurecia は、運転席の統合によって Microsoft Teams のビデオ会議が可能になる様子をCESにおいて披露しました。また Faurecia は、Microsoft Connected Vehicle Platform によって外出先でもゲームがプレイできるというビジョンを紹介しました。これには、マイクロソフトの新 Project xCloud ストリーミングゲームのプレビューを活用しています。
自動車の世界にユニークで感動的な体験をもたらす分野におけるグローバルリーダーである Cerence は、Cerence Drive 製品を Microsoft Connected Vehicle Platform (MCVP) と統合する取り組みをマイクロソフトと共同で進めています。この新たな統合は、音声対応プラットフォームとオペレーティングシステムの相互運用性によって車内に優れたユーザー体験を届けようとする Cerence の取り組みの一環です。MCVP でコネクテッドカーソリューションを開発している自動車メーカーは、Cerence の業界をリードする会話形人工知能 (AI) の恩恵を享受できるようになります。この技術を活用し、シームレスな音声対応型のコネクテッド体験をドライバーや乗客に提供できるからです。
完全な自動運転に向け加速する業界
自動運転が主流になる世界は目前まで来ています。重要な情報、分析、ソリューション分野のグローバルリーダーである IHS Markit は、先進運転支援システム (ADAS) や自動運転の利用と標準化が著しく進んでいるとしており、その背景として人々がこうした技術に馴染んできていることを挙げています。
マイクロソフトは、自動運転の未来に近づけるよう業界と協力しており、自動運転の開発やテストを Azure エコシステムで加速させています。例えば、自動車業界向けに組み込みおよびコネクテッドソフトウェア関連の製品とサービスを提供するグローバルサプライヤーで、受賞歴もある Elektrobit は、ソフトウェア検証用の新たなクラウドベースのエンドツーエンドソリューションによって ADAS および AD システムの開発を迅速化しています。
Azure 上で新たに利用可能となった EB Assist Test Lab は、検証および実証プロセス中に実際のテスト運転やシミュレーションによるテスト運転で生成されたペタバイト級の運転状況データをより簡単に管理できるというもので、分散型のチームが活用できる単一ソリューションです。同ソリューションにより、チームの共同作業が可能となり、最終的に最新機能をより迅速に提供できるようになります。
未来のモビリティ体験を切り開く
今後 10 年で、商用ソリューションを支え、世界規模で消費者の需要に応じ、新たなエクスペリエンスが誕生するよう構築されたスマートモビリティサービスの標準プラットフォームが登場するでしょう。Bell のデジタルモビリティプラットフォームである AerOS では、操縦者が航空機を 360 度見渡せるようになります。AerOS は AI や IoT などの技術を駆使し、フリートマスタースケジュール機能やリアルタイムでの航空機モニタリングといった強力な機能を提供し、Bell のモビリティ アズ ア サービス (MaaS) 体験を強化します。AerOS の開発にあたり、Bell は Azure を基盤として選択、マイクロソフトのエンジニアと手を組むことでアーキテクチャ面の知見を得たほか、開発者のサポートやベストプラクティスも手に入れました。
モビリティサービスは、車載、電話、信号機、充電ステーション、クラウドなど、さまざまなエッジデバイスの複雑な環境下における安全なデータ通信を実現する高度な IoT 機能の開発を大きく促進させるきっかけにもなるでしょう。スマート充電関連では、すでに自動車小売業とエネルギー業界の融合も見られます。現在エネルギー供給の関連企業全体がコネクテッドの分野で集結し、自動車の電力供給法を再定義しようとしています。
駐車テクノロジ分野のリーダーである FlashParking は、Azure 上に構築された Mobility Hub Operating System というプラットフォームを発表しました。これにより、孤立した駐車場が、従来のガレージや一般駐車場より効率的かつインテリジェントで適応性の高いコネクテッドモビリティハブへと進化します。
先進技術の融合で自動車産業の未来を強化
先進技術の融合は、自動車エコシステムを実現させスマートモビリティサービスを提供するにあたって重要な役割を果たします。ここでマイクロソフトが力を発揮します。マイクロソフトでは、幅広いグローバルパートナーネットワークと共に、自動車およびモビリティ企業が持続可能なモビリティサービスプロバイダーへと進化する過程をサポートします。
グローバルテクノロジ企業の ZF Friedrichshafen は、ソフトウェア型モビリティソリューションを提供する企業へと変革しようとしています。そのソリューションとは、Azure クラウドサービスと開発ツールを駆使し、開発の迅速化やコネクテッドカー機能の検証をグローバルレベルで推進するものです。
LG Electronics は、マイクロソフトと共に自動車インフォテインメントシステムを開発しており、管理システムの構築やその他のビジネスコラボレーションにも取り組んでいます。LG は Microsoft Azure クラウドサービスおよび AI サービスを駆使し、同社の BtoB ビジネスの成長エンジンをデジタルトランスフォーメーションさせようとしています。
コネクテッドカーの機会拡大へ
マイクロソフトのお客様やパートナーが CES で展示した付加価値サービスの多くは、Microsoft Connected Vehicle Platform (MCVP) をベースとしたものです。MCVP は、パートナーや OEM が迅速かつコスト効率良く独自のコネクテッドカーソリューションを開発する際に活用できる基本機能を提供します。その中には、アシスト運転や自動運転といった機能から、車載 AI テレメトリーや高度ナビゲーションといったようなデジタルサービスも含まれています。
例えばマイクロソフトは、大手独立系ロケーションテクノロジスペシャリストである TomTom と強固なパートナーシップを築いており、Azure Map を活用して交通量を基にしたルートの提案に取り組んでいます。また、TomTom および Moovit とも協力し、マルチタイプの旅行プランナーを開発しているほか、AccuWeather とは運転中に発生する天候現象を意識してもらうよう天気データや天気予報の分野で協力しています。
Volkswagen や ルノー・日産・三菱アライアンスなど、MCVP を活用する自動車メーカーやパートナーは増加の一途をたどっています。CES では、ルノー・日産・三菱アライアンスでコネクテッドカーサービス担当アライアンスグローバルバイスプレジデントを務めるカール モス (Kal Mos) 氏が、日産の顧客向けコネクテッドサービスの進化について解説し、今後の見解を語りました。
Volkswagen Automotive Cloud は、自動車業界最大級の専用クラウドとなり、あらゆる未来のデジタルサービスやモビリティサービスを同グループの全車両に提供する予定です。毎年 500 万台以上の Volkswagen 関連ブランドの車が、マイクロソフトの Azure クラウドとエッジプラットフォームに完全に接続されることが見込まれています。Automotive Cloud は、Volkswagen グループの全ブランドやモデルに順次展開される予定です。
Volkswagen では、Car.Software という新組織に 1 万人以上のデジタル専門家を集結させる予定で、2025 年までに車載ソフトウェアを実現するというグループ全体の任務を同組織が担当します。Car.Software では、コネクテッドカー&デバイスプラットフォーム、インテリジェントな車体&運転席、自動運転、車両動作&エネルギー、デジタルビジネス&モビリティという 5 分野をカバーするクロスブランドソフトウェアを開発する予定です。その目的は、Volkswagen グループ全体でひとつの統一ソフトウェアアーキテクチャを確立し、ブランド内での並行開発手法と統合することにあります。ここに挙げた 5 分野は、Volkswagen グループの全車種に対応する標準車載オペレーティングシステム「vw.os」上での開発作業と、Volkswagen Automotive Cloud への接続性をサポートします。
Ericsson は、180 カ国にて 400 万台以上の車を接続している同社の Connected Vehicle Cloud を、マイクロソフトの Connected Vehicle Platform と統合し、安全で快適かつパーソナライズされたコネクテッドドライブ体験を迅速に提供しようとしています。この統合ソリューションにより、自動車メーカーは、車載管理や無線によるソフトウェアアップグレード、そしてコネクテッドセーフティーサービスといったグローバル車載サービスを、より迅速かつ容易に展開して拡張できるようになり、コスト削減も可能となります。
デジタル戦略およびソフトウェア開発企業である Luxoft は、マイクロソフトとの協力関係を拡大し、コネクテッドカーソリューションやモビリティエクスペリエンスの提供を加速させようとしています。MCVP を活用することで、Luxoft は車載中心ソリューションを実現し、提供までの時間短縮が可能です。車載中心ソリューションにより、自動車メーカーは高度な車載診断やリモートアクセスと修理、予防保守といったユニークな機能が提供できるようになります。また、実際の使用状況データを収集することで、車載のエンジニアリングをサポートし、製造品質の向上が見込めます。
量子コンピューティングでより良い未来の構築へ
量子コンピューティングなどの最新ソリューションは、サプライチェーンや自動運転、モビリティといった分野に多大な影響を与える可能性を秘めています。マイクロソフトは Ford と共に、量子アルゴリズムによって都市の交通渋滞を改善し、よりバランスのとれたルーティングシステムを開発できないか模索しています。
今後 10 年間におけるモビリティの未来予想図
デジタルイノベーションが発展する中、マイクロソフトは自動車業界が AI や IoT、ブロックチェーン、量子コンピューティングといった技術を最大限活用し、新たなモビリティの世界や没入感のある体験を実現できるよう支援します。自動車業界では確実に、目の前にあるディスラプションを受け入れており、次世代モビリティに向けたエキサイティングな方法を開拓しているのです。
モビリティに関するマイクロソフトの最新ニュースは、https://news.microsoft.com/presskits/automotive/ に掲載されています。また、マイクロソフトがお客様やパートナー、自動車業界と協力し、今後 10 年でモビリティを加速させようとしている状況については、https://www.microsoft.com/automotive をご覧ください。
—
本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。