マイクロソフトデバイスの持続可能性における「Integrity Built In」の意味

トム ロバートソン (Tom Robertson)
コーポレートバイスプレジデント 兼 副法務顧問

本ブログは、英国時間 11 17 日に公開されたWhat ‘Integrity Built In’ means for Microsoft devices’ sustainabilityの抄訳です。

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) による世界的なパンデミックにより、日常生活のあらゆる面で混乱が起きています。働き方から学校への通学、自由時間の過ごし方に至るまで、パンデミックが生活に影響を与え続けているのです。またこのパンデミックでは、私たちが仕事や勉強をしたり、ゲームをしたりお気に入りの番組を見たりして休憩時間を楽しむ際に役立つ PC などの製品が、世界のサプライチェーンにいかに依存しているかも明らかになりました。マイクロソフトはグローバルなテクノロジ企業のため、サプライチェーンが企業ミッションの中で重要な役割を果たしています。その企業ミッションとは、「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というものです。

世界のサプライチェーンは、人権や持続可能性に大きな影響をもたらします。マイクロソフトでは、「誠実 (Integrity)」「アカウンタビリティ (Accountability)」「敬意 (Respect)」を尊重しており、それが責任を持ってサプライチェーンから調達する際の基盤にもなっています。マイクロソフトの FY20 Devices Sustainability Report における今年のテーマは、「Integrity Built In (組み込まれた誠実性)」です。マイクロソフトでは高い基準と目標を設定し、当社の製品が世界にもたらす影響を低減させようとしていますが、Integrity Built In はこの真摯な取り組みを表すものとなります。誠実性は、設計から調達、製造、流通、利用、そして廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体に反映されているのです。

ここで今回のレポートから、マイクロソフトの責任ある調達に対する真摯な取り組みとその進捗状況について、主な部分をご紹介します。

強制労働は断固禁止

マイクロソフトは全サプライヤーに対して高い基準を設定し、サプライヤーと協力してその従業員をサポートし業務改善に取り組んでいます。人権、労働、環境衛生と安全、そして倫理的なビジネス手法に対する責任は、サプライチェーンの上流からマイクロソフトおよびサプライヤーにあるものとします。これには、原材料の抽出や収穫、加工、精製、輸送に関わるリスクはもちろん、危険な労働慣行や強制労働、児童労働への対応も含まれます。マイクロソフトはサプライヤーに対し、サプライヤーが行っている調達手法をマイクロソフトの基準に合わせるよう要求しています。マイクロソフトのサプライヤー行動規範では強制労働を禁止しており、それにはあらゆる形態の囚人労働も含まれます。

監査とデューデリジェンス

マイクロソフトでは、当社の責任ある調達プログラムに参加している直接契約のサプライヤー施設のすべてを積極的にモニターしています。2020 年度は、リスクアセスメントなどのツールや工場訪問、第三者監査など、リスクベースのアプローチによって全工場をモニターしました。サプライヤーの契約、トレーニング、監査、検証を通じてサプライヤーのデューデリジェンスを常に改善しています。サプライヤーに何か不適合があれば、定められた期間内に是正するよう求め、それができなければマイクロソフトのサプライヤーとしての契約が終了する可能性もあります。2020 年度に監査を受けたサプライヤーの 239 工場のうち、198 の工場がこのコンプライアンス計画を実施していました。42 の工場では十分に計画が実施されていないとみなされましたが、年度内にすべてが修正もしくは緩和されました。

サプライヤーの健康と安全

COVID-19 の感染拡大により、マイクロソフトのサプライチェーンパートナーとその従業員はこれまでにない課題に直面しています。健康と安全はマイクロソフトにとって最重要事項であり、サプライヤーの従業員もその対象です。パンデミックが世界中に広がる中、マイクロソフトは世界保健機関 (WHO) のガイドラインに基づいた職場安全のベストプラクティスをサプライヤーと共有しました。Responsible Business Alliance (RBA: 責任ある企業同盟) と連携し、サプライヤーに労働時間と残業時間の規定に関するガイダンスも提供しています。残業は任意で行われるよう、またそれには割増賃金が支払われるようサポートしたほか、パンデミックの期間中もサプライヤーが適切な法律とマイクロソフトの基準を継続的に遵守できるよう支援しています。また、サプライチェーンの従業員が匿名で懸念事項を報告できるよう、労働者ホットラインも用意しています。2020 年度は 160 件の報告があり、156 件を解決、4 件は現在も調査中です。直接サプライヤーとも連携し、懸念事項の対処と是正処置の実施に取り組んでいます。

責任ある原材料の調達

マイクロソフトは、スズ、タンタル、タングステン、金、コバルトといった原材料を直接収集・採掘することはありませんが、自社デバイスではこれらの原材料を使用しています。コバルトの採掘が社会および環境に与える影響についての懸念がさまざまな報告書で強調されており、それには児童労働や危険な労働環境に関することも含まれています。マイクロソフトでは、サプライヤーの強固なデューデリジェンスによって鉱物サプライチェーンの変化と説明責任を促進しようと尽力しています。例えば、コバルトに関してはバッテリーのサプライヤーと直接協力し、その上流のサプライヤーから製錬所の情報を収集しています。マイクロソフトは継続的に調査とデータ収集のプロセスを改善しています。マイクロソフトと実際に取引のあるバッテリーのサプライヤーによると、コバルト製錬所は中国、フィンランド、韓国、ロシアに 19 ヶ所存在していることがわかりました。

変化に向けたパートナーシップ

責任ある調達の実現には、現場での取り組みが欠かせません。マイクロソフトは 2020 年度、責任ある調達を長年推進してきた国際 NGO の Pact と提携しました。今年 Pact では、女性の機会向上促進に注力しており、識字トレーニングやマイクロバンキングプログラムによって女性が貧困から脱却できるよう取り組んでいます。Pact の WORTH プログラムは、女性を 20~25 人のグループに分け、お金を貯蓄してクレジットを活用し、スモールビジネスの立ち上げを支援するというもので、同プログラムは賞も受賞しています。また、マイクロソフトは Initiative for Responsible Mining Assurance (IRMA: 責任ある採鉱の保証に向けたイニシアチブ) も積極的にサポートしており、IRMA の理事会でもリーダー的役割を担っています。COVID-19 の危機によって採鉱の実績に対する監査と検証はより困難になりつつありますが、マイクロソフトはリモートセンシングおよびモニタリング技術の実現に向けて IRMA とパートナーシップを組み、採鉱保証プログラムを強化して採鉱の実績に対し適切なデューデリジェンスが行われることを目指しています。

今後の道のり

これは、持続可能性への道のりにおいて単なる始まりに過ぎません。今後さらなる課題が立ちはだかることも理解していますが、マイクロソフトは新しい課題それぞれから学びを得、適応していきます。新たな持続可能性への課題ひとつひとつに対し、「誠実 (Integrity)」「アカウンタビリティ (Accountability)」「敬意 (Respect)」というコアバリューを持って取り組みます。今後も進捗状況をお伝えしていく予定で、皆様からのご意見もお待ちしています。このレポートに関するご質問やご意見は、[email protected] までお寄せください。

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