マイクロソフトの最新調査でオンライン上でのマナー向上が明らかに–10 代の若者が改善を後押し

ジャクリン ボーシェレ (Jacqueline Beauchere)
グローバルデジタルセーフティアドボケート

※ 本ブログは、米国時間 2 月 8 日に公開された “New Microsoft data shows improved civility online, driven by teens” の抄訳を基に掲載しています。

2020 年は世界的に Microsoft Digital Civility Index (DCI) が改善した年となり、新型コロナウイルス (COVID-19) が世界を覆したにもかかわらず、4 年間の最低値から回復する結果となりました。中でも、一部の地域でパンデミック期間中に人同士の連帯感が高まったほか、10 代の若者がオンライン上で責任ある態度を示したことなどが要因となり、指数が 3 ポイント上昇しました。マイクロソフトでは、国際セーファーインターネットデー (Safer Internet Day: より安全なインターネットの日) を機にこの調査結果を発表し、オンライン上にてより安全でより敬意を持った交流が求められていることに注目したいと思います。

2 月 9 日のセーファーインターネットデーは、世界中の人が自分のデジタル生活を見直す機会です。マイクロソフトは過去 5 年間、この日に「デジタルシビリティ (オンライン上での適切な行動)」というものを提唱し、オンライン上で交流するすべての人に尊厳と敬意を示そうと呼びかけています。Microsoft DCI は、32 ヶ国の消費者によって報告されたオンライン上での交流における論調や行動を示す指標ですが、2020 年はこの指標が 67% となり、2019 年より 3 ポイント改善されました。

マイクロソフトは 5 年連続で、若者や成人のデジタルシビリティやオンライン上でのリスクについて調査し、今回のようにレポートとして発表しています。調査対象となったのは、過去 5 年間で 30 ヶ国以上 5 万 8000 人以上におよんでいます。過去 4 年間の調査結果と同様、この最新の結果も「Civility, Safety and Interactions Online – 2020」(英語) によるもので、10 代の若者と成人がネット生活をどう認識しているか深堀りしているほか、評判、行動、性的、個人的/侵入的という 4 つの分野における 21* のさまざまなオンラインリスクにどの程度さらされているかを調査しています。指標はゴルフスコアのようになっており、(0~100 の間で) 指標の数値が低いほど回答者はリスクにさらされておらず、その国の人のデジタルシビリティレベルが高いことになります。

2020 年 4 月と 5 月に実施された今回の最新調査では、新たにデンマーク、フィリピン、スペイン、スウェーデン、台湾、タイという 6 地域を対象に入れたほか、オーストラリアを 2017 年以来再度追加しました。新たに追加・再追加した地域の中では、台湾の指標が最も良好で、調査対象となった 32 地域中 5 位、DCI は 61% となりました。この数値は世界平均より 6 ポイント低く、トップ 4 となったオランダ (51%)、イギリス (55%)、アメリカ合衆国 (56%)、シンガポール (59%) に次ぐ数字です。

デジタルシビリティにおいて過去 4 年間に 3 度 1 位を獲得したイギリスは、2020 年 2 位に転落し、マナー違反度合が 55% と徐々に上昇しています。この数値は、2016 年の初回で最も良好な指標を示した 45% から 10 ポイントも上昇したことになります。

オンライン上でのマナー違反度合が最も高かったのは、南アフリカ (81%)、ロシア (80%)、メキシコ (76%) でした。下位 3 ヶ国のうち 2 ヶ国は 80% 台となっていますが、これは下位 3 ヶ国すべてが初めて 80% 以上にまで急上昇した 2019 年よりは改善しています。

10 代の若者と COVID-19 が世界的な DCI 向上に貢献

DCI における前年比の傾向を年齢別に見ると、デジタルシビリティが全体的に著しく高まったのは 10 代の若者でした。32 の地域全体で 10 代のDCIが 2019 年の 66% から 63% へと改善した一方で、成人回答者の DCI は (72% から 71% へと) 1 ポイントの改善にとどまりました。また、10 代の若者は 4 つのリスク分野すべてでより好ましいスコアを示しており、性的リスクは若者が 4 ポイント近く低下しています。この数値が減少したのは、10 代の間で深刻なオンラインリスクに対する意識が高まっていることと関連している可能性があります。オンラインリスクには、性的いやがらせや、性的またはその他の目的で信頼を得ようとするオンライングルーミングなども含まれます。(こうしたリスクを防ぐ方法については次の資料をご覧ください: 性的なメッセージに関するファクトシート、オンライングルーミングに関するファクトシート)

さらに、昨年 7 月にもお伝えしたように、今回の調査は世界の多くの人たちがパンデミックに伴う外出禁止という現実に対応しはじめていた時期に行われました。それでも一部の地域では、COVID-19 によってデジタルシビリティが高まったようです。例えばアジア太平洋地域では、パンデミック期間中に助け合い、励まし合い、コミュニティ意識が高まり、危機対応に向け協力し合ったことから、回答者の 31% がデジタルシビリティが高まったと回答しています。世界的にも回答者の 4 分の 1 強 (26%) が、この期間中にデジタルシビリティが高まったと回答しており、「この状況は皆一緒」という集団的な気持ちが要因になっていると考えられます。

新たな 10 年におけるデジタルシビリティ

2020 年代のネット生活を把握するにあたり、回答者にはそれぞれの地域におけるデジタルシビリティの状況を示す質問を再度投げかけています。2 年連続で行ったこの調査は、回答の集計に基づいて示されるグローバルな DCI とは別に行われたものです。例えば、個人的/侵入的というカテゴリでは、「望まない接触」が大幅に改善されています。5 年間の調査において、望まない接触は回答者の間で最も懸念されていたことなので、これは大きな進歩といえます。具体的には、1 年前と比較して望まない接触に関するマナー度合は中立 (39%) または好意的 (17%) だと答えた人が増え (合計 56%)、「悪い」との回答 44% を上回っています。実際、2019 年は望まない接触を要因とするオンライン上の無礼度だけで 60% というスコアが出ています。他の 3 つのリスク分野のうち 2 分野でも、「悪い」という評価は減少しています。(詳細は図 1 をご覧ください。また、2020 年のサイバーいじめの結果については、こちらの記事をご覧ください)

Image of the ratings

それでも過去 5 年間の調査結果を振り返ると、現在のところ最も対立的なリスクの数はこれまでの最高値となっています。以下がその詳細です。

  • オンライン上でのリスクを体験した回答者の 5 人に 1 人 (20%) が、ヘイトスピーチにさらされたと回答しました。2016 年の調査開始時にヘイトスピーチがリスクとして登場した際は、ヘイトスピーチを体験したと答えた人が 16% だったので、当時より 4 ポイント上昇したことになります。
  • 差別も同様に上昇しており、オンラインリスクを体験した人のうち 15% が差別をリスクとして挙げています。これは初年度 (2016 年) には 10% でした。
  • 2020 年は回答者の約 3 分の 1 (31%) が、デマ、詐欺、オンライン上での不正行為の被害に遭ったと回答しています。2017 年にこのリスクが追加された時の数値は 28% で、その時より上昇したことになります。

デジタルシビリティを高めよう

新年を迎えて 1 ヶ月以上経ちましたが、オンライン上でより安全な習慣や実践を取り入れ、デジタルシビリティを高めるのに遅すぎることはありません。今年の国際セーファーインターネットデーのテーマは「協力してより良いインターネットを実現しよう」です。この言葉の意味は人によって異なりますが、この目標の実現に向け、デジタルシビリティチャレンジから始めてみてはいかがでしょうか。チャレンジの原則は以下の通りです。

  1. 人にしてもらいたいと思うような行動をしましょう。人と交流する際は共感、思いやり、やさしさを持って行動するようにし、オンラインでつながるすべての人に尊厳と敬意を持つようにしましょう。
  2. 違いを尊重し、多様な見解を重んじましょう。意見が対立した際は思慮深く対応し、悪口や個人攻撃は避けましょう。
  3. 意見が合わないことに対する返信は、一息置いてからにしましょう。また、他人を傷つけるようなことや評判を落とすようなこと、安全を脅かすようなことを投稿したり送信したりしないようにしてください。
  4. 自分のため、そして人のために立ち上がってください。オンライン上で虐待や残虐行為の対象となっている人を支援し、脅迫的な行為は報告し、不適切な行動や危険な行動の証拠は保存しましょう。

マイクロソフトは 5 年間、このチャレンジを推進し、自社のデジタルシビリティを高めるよう努めてきました。今後も前向きな行動やふるまいを促進するという長期的な目標の下、この取り組みを継続します。また、敬意とやさしさにあふれる実践的なメッセージに基づき、独自のプログラムや取り組みを実施するなどして同じようにデジタルシビリティを高めているテクノロジ企業や市民社会組織に感謝したいと思います。

デジタルシビリティに関する詳細は、www.microsoft.com/digitalcivility をご覧ください。また、米国の 10 代で、オンラインの世界を変えたいという情熱を持った人をご存知であれば、Council for Digital Good (デジタルグッド協議会) に応募するよう伝えてください。これは、ネット生活の現状と今後の改善策を検討する若者向けのプログラムです。それでは 2021 年のセーファーインターネットデーを安全にお過ごしください。そして、より良いインターネットの実現に向け、今後も協力していきましょう!

*評判 — 他人の個人情報をネットにさらす「ドキシング」や、個人的・職業的な評判をおとしめること
 行動 — 意地の悪い扱いをされること、荒らしやオンラインハラスメント、オンラインいじめなどを体験すること、ヘイトスピーチや無意識な差別にあうこと
 性的 — 望まない性的メッセージを送受信し、性的な勧誘があること、望まずして性的な注目を浴びること、性的いやがらせの被害に遭ったり、合意なく入手した性的な画像を元に脅されたりすること
 個人的/侵入的 — 望まない接触の対象になること、差別やスワッティング (虚偽の通報による悪質ないたずら)、女性蔑視を体験すること、過激派のコンテンツに触れたり勧誘されたりすること、デマや詐欺、不正行為の被害に遭うこと

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