オンラインマナーがここ 1 年で向上、2016 年以降で最も良い結果に――マイクロソフトの最新の調査より

Safer Internet Day

リズ トーマス (Liz Thomas)
マイクロソフト デジタルセーフティー パブリックポリシーディレクター

※本ブログは、米国時間 2 月 7 日に公開された “Online civility improved in past year and is the best it’s been since 2016, new Microsoft research shows” の抄訳を基に掲載しています。

マイクロソフトは、国際セーファーインターネットデー (Safer Internet Day: より安全なインターネットの日) の一環として、今年のテーマ「Together for a Better Internet」(協力してより良いインターネットを実現しよう) という精神に基づき、第 6 回目となる年次調査「Civility, Safety and Interaction Online – 2022」(オンライン上での礼儀、安全性、交流 – 2022 年版) の最新結果と、Digital Civility Index (DCI: デジタル上での礼儀指標) の最新スコアを発表します。

この調査は、13 歳~17 歳の若者と 18 歳~74 歳の成人を対象に 22 ヶ国で実施され、4 つのカテゴリ (評判、行動、性的、個人的/侵入的[1]) で 21 種のオンラインリスクに遭遇したか尋ねたほか、オンライン生活での体験 (パンデミック期間も含む) について、こうした領域での交流がオンライン上での礼儀にどのような影響を与えたかについて調べました。この調査への回答から DCI スコアが算出されています。DCI スコアはゴルフのスコアのようになっており、(0 から 100 までの指標において) 数値が低いほど回答者がリスクにさらされる率は低く、その国のオンラインマナーのレベルが高いということになります。

今回際立っている点は、今年のグローバル DCI スコアが 65% となったことです。この数値は調査を開始した 2016 年以来、最高のスコアとなります。また、世界的パンデミックから 1 年が経ち、オンラインマナーに対する見識が悪化しているにも関わらず、DCI は 2020 年から 2% の改善となりました。自国の DCI スコアやその他の主要統計データについては、国別のデータサマリーをご確認ください。

以下に、今年の結果から得たその他重要事項を示します。ここに挙げた内容は、官民による連携と消費者教育活動を通じたより安全でより礼儀正しいインターネットの推進にあたって注目すべき分野です。

オンラインでの安全性に対する認識は男女で異なり、女性の方がネガティブな対応を受けた経験が多い

今年 DCI が改善した背景には、10 代の少年や男性による回答者が、一般的に女性の回答者よりもオンラインリスクにさらされることが少ないと回答したことにあります。例えば 10 代の少年は、昨年の結果と比較して、荒らしや望まない性的メッセージを受け取った率が 5% 減少し、ヘイトスピーチに遭遇した率は 3% 減少しました。

一方、10 代の少女と女性回答者は、両グループともにオンラインリスクに以前よりさらされていると回答し、その結果より深刻な状況になっていると感じています。女性回答者は、2021 年に報告された全オンラインリスクの約 60% を経験しており、この数値は過去最高となっています。また、無礼な扱いを受けたことで、その影響や不安、苦痛をより感じているとの結果も出ています。

調査結果

今年の結果は、データの重要性も浮き彫りにしています。男女別データの質を高め、用意し、使うことで、傾向をより深く理解し、情報に基づいた政策への対話を促進し、少女や女性の実体験に対応する進捗の確認ができます。データは生活の中でより重要度を増してきていますが、ジェンダーに関する質の高いデータを入手するのは困難なこともあります。そこでマイクロソフトでは、デジタルマナープロジェクトの立ち上げ以来今回初めて、この調査の基礎となるデータを公開することにしました。これは、国連世代間平等フォーラムにおけるマイクロソフトのリーダーシップを示す取り組みの一環です。

このパートナーシップは、マイクロソフトがデジタルセーフティに関して実施している複数の関係者とのコラボレーションの一例です。マイクロソフトは、世界中の擁護団体や業界パートナー、政府機関と協力し、オンライン上の人たちを保護する解決策を編み出し効果的な公共政策を推進しようとしています。このデータを公開することで、新たなプロジェクトや研究の促進につながれば幸いです。世界中のさまざまな政府が規制措置を講じ、オンライン環境の安全性を高めようとする中、マイクロソフトは今後もデジタルセーフティが共通の責任であるという認識の下、総合的な全社会的アプローチを提唱していきます。

インターネットがすべての人にとって安全な場となるには教育が重要である

今年は、すべての人にとってより安全なオンライン環境を構築するには何が必要かという点の認識についても調査しました。その結果、性別や年齢に関わらず 10 人中 9 人近くの回答者が、デジタルの世界をより安全にする方法についてより良い教育が必要だと回答しました。

マイクロソフトのデジタルセーフティへのアプローチで重要な部分となっているのは、オンライン上での安全性に関するリソースやツールを提供することです。マイクロソフトは、ユーザとその家族に安全な選択ができるようになってもらいたいのです。そのためマイクロソフトでは、当社の調査や関係者からの情報に基づき、オンライン上で安全性を保つための新たなガイダンスをお客様に継続して提供しています。例えば 2021 年 6 月には、教師や生徒が教室内で重要なオンラインの安全性に関して議論できるよう、「デジタルセーフティに必要なもの」(教師と生徒向け) を発表しました。

2022 年の国際セーファーインターネットデーを記念して、Minecraft に新たなアドベンチャーも公開されています。これは、生徒がインターネット上の一般的な脅威を認識し、自分と自分の情報を守る戦略の立案方法を学ぶというものです。CyberSafe: Home Sweet Hmm というこのアドベンチャーは、教育版 Minecraft にて無料で利用可能です。ゲームがベースとなったこの学習体験では、7 歳~12 歳の生徒が自分好みのブロック状の世界で遊びつつ、楽しくクリエイティブにオンラインの安全性について学べるようになっています。詳細は Xbox Wire をご覧ください。

またマイクロソフトでは、直接若者からデジタルセーフティに関する体験談を聞いて有益な情報を得ています。去年 8 月には、米国に住む 13 歳~17 歳のグループに向け、2021 Council for Digital Good というバーチャルサミットを開催しました。4 日間にわたる同サミットでは、オンラインマナーの状況について参加者の意見を聞いたほか、ネットいじめやテロ、プライバシー、ヘイトスピーチなど、オンライン上での安全性に関する主要トピックもカバーしました。また、信ぴょう性、明瞭性、多様性、バランスなどの重要性についてなど、オンライン上でもリアルな世界でも自分の発言や行動には責任を持つことなどのテーマを取り上げ、その見解が示されました。

行動への呼びかけ

より安全なインターネットを共に構築するため、マイクロソフトは引き続き多くの人に「デジタルシビリティチャレンジ」(デジタルマナーへの挑戦) を実践してもらいたいと考えています。これは、以下 4 つの一般的な原則に基づいており、インターネットを利用する際に、思いやりや共感、優しさが育まれることを目指したものです。

  1. 人にしてもらいたいと思うような行動をしましょう。人と交流する際は共感、思いやり、やさしさを持って行動するようにし、オンラインでつながるすべての人に尊厳と敬意を持つようにしましょう。
  2. 違いを尊重し、多様な見解を重んじましょう。意見が対立した際は思慮深く対応し、悪口や個人攻撃は避けましょう。
  3. 意見が合わないことに対する返信は、一息置いてからにしましょう。また、他人を傷つけるようなことや評判を落とすようなこと、安全を脅かすようなことを投稿したり、送信したりしないようにしてください。
  4. 自分のため、そして人のために立ち上がってください。オンライン上で虐待や残虐行為の対象となっている人を支援し、脅迫的な行為は報告し、不適切な行動や危険な行動の証拠は保存しましょう。

最後に、2021 Council for Digital Good における独創的な宣言をご紹介します。これは、参加者が安全に対するコミットメントを歌で表現したものです。

The internet is crazy

The internet is big

Everyone gets it

We’ve set boundaries

To keep everything calm

Here is our Manifesto song

We pledge to be kind

Look from others’ perspectives

We will accept it

If we are corrected

If something doesn’t feel right

To us

We’ll tell someone we trust

(And that is a must!)

We don’t spread or accept any hate

Because sometimes a “sorry” can be too late

This is what we created

Different perspectives made it

This is to ensure safety for all

A better online world, we hope to install

歌詞: 参考訳

インターネットはクレイジー

インターネットは巨大

みんなわかってる

境界線を設けることで

落ち着きを保ってる

これは宣言を歌にしたものだ

親切でいることを誓う

他人の視点に立って

それを受け入れる

訂正されることがあれば

何か違うと感じることがあれば

信頼できる人に伝える

(絶対だよ!)

憎しみを拡散しないし受け入れない

謝っても遅すぎることがあるからね

これをみんなで作ったんだ

異なる視点が作ったんだ

これでみんなの安全が確保される

より良いオンラインの世界を作りたいんだ

オンライン上の安全性に関する問題についての追加情報やガイダンスは、リソースページをご覧ください。Facebook Twitter でも、より安全なインターネットについて情報発信していますので、フォローいただければと思います。


[1]

評判 — 他人の個人情報をネットにさらす「ドキシング」や、個人的・職業的な評判をおとしめること
行動 — 意地の悪い扱いをされること、荒らしやオンラインハラスメント、オンラインいじめなどを体験すること、ヘイトスピーチや無意識な差別にあうこと
性的 — 望まない性的メッセージを送受信し、性的な勧誘があること、望まずして性的な注目を浴びること、性的いやがらせの被害に遭ったり、合意なく入手した性的な画像を元に脅されたりすること
個人的/侵入的 — 望まない接触の対象になること、差別やスワッティング (虚偽の通報による悪質ないたずら)、女性蔑視を体験すること、過激派のコンテンツに触れたり勧誘されたりすること、デマや詐欺、不正行為の被害に遭うこと

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