京都大学 防災研究所の洪水予測・解析において、Microsoft Azure を活用

日本マイクロソフト株式会社は、国立大学法人 京都大学 防災研究所・防災技術政策研究分野において、台風による洪水などの災害解析における降雨流出氾濫モデル (Rainfall-Runoff-Inundation、以下 RRI モデル) の自動化を目的として、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」が採用され、長時間・広域のリアルタイム洪水予測の研究等で活用されていることを発表します。

京都大学

京都大学 防災研究所・防災技術政策研究分野では、台風で発生する河川の氾濫解析を行う際に、気象庁から届く観測や予測の降雨データを基に予測することからリアルタイム性が求められるのに対して、従来のオンプレミスのスーパーコンピュータではジョブの混雑状況などによってシミュレーションをリアルタイムに実行できないという課題がありました。京都大学 防災研究所では、リアルタイム洪水予測システムのクラウド化を検討し、複数のクラウドサービスを検討した結果、Microsoft Azure の採用を決定し、2021 年 1 月より構築を開始し、同年 7 月より利用開始しています。

[従来のスーパーコンピュータを用いたシミュレーション方法]
RRI モデルによる台風の災害解析では、台風の発生後、日本近海に接近し災害発生が予測される地域に対して洪水予測のシミュレーションを行うほか、対象地域ごとに少しずつ異なる複数の予測降雨を用いてアンサンブル予報を行います。予報は 39 時間先まで行い、計算には十数時間かかります。計算に必要なデータは 6 時間ごとに気象庁から送られるため、次々に計算を進める必要があります。台風の進路によってシミュレーション対象となる地域も変化することから、必要な計算リソースの量が変化するのに加えて、計算結果も増えていくためにストレージ容量も十分に確保しておく必要があります。
ジョブを投入してシミュレーションを行うスーパーコンピュータを用いた方法では、リアルタイムに結果が得られないため、予め確保しておいたノードを用いてシミュレーションをする必要があり、刻々と変化する計算に対応するため、徹夜作業となってしまうこともありました。

[Microsoft Azure を用いた新しいシミュレーション方法]
台風の発生時から刻々と変わる計算リソースの需要に Azure CycleCloud のオートスケールの機能で対応し、必要な時に必要なリソースを割り当てることが可能になりました。データフローは、気象庁から届く観測データをいったんオンプレミス環境に収集し、そのデータを Azure Files 上に転送します。このデータを用いて RRI モデルで予測シミュレーションを実施すると、結果データも膨大なものとなりますが、クラウドサービスを活用することで膨大なデータを扱うことが可能になりました。また、仮想マシンの起動・停止、ジョブの割り当てなどのシステムの管理において、CycleCloud で提供されている機能を簡単なシェルスクリプトを用いてフローの自動化を行うことで、100 コア以上を並列的に使用した自動計算も実現できるようになりました。

京都大学 防災研究所では、今後、シミュレーション結果の可視化も Azure 上で行うことで、クラウドサービスを通じて一般向けに提供することも検討しています。日本マイクロソフトは京都大学 防災研究所の取り組みを引き続きクラウドサービスで支援していきます。

参考:

令和 2 年 7 月豪雨の際の球磨川の氾濫予測 (RRI モデルによるシミュレーション結果の可視化)

令和 2 年 7 月豪雨の際の球磨川の氾濫予測 (RRI モデルによるシミュレーション結果の可視化)

Azure CycleCloud の画面

Azure CycleCloud の画面

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