製造業の未来が今ここに: 重要な 4 つの業界トレンド

製造業の未来が今ここに: 重要な 4 つの業界トレンド

Manufacturing and Mobility Industry 担当コーポレートバイスプレジデント
ドミニク ウィー (Dominik Wee)

※本ブログは、米国時間 4 月 13 日に公開された “The future of manufacturing is now: Four trends shaping the industry” の抄訳を基に掲載しています。

製造業の中核にはイノベーションがあります。イノベーションは、経済的能力を高め、労働力を強化し、機会と成長を生み出します。今日、私たちは、消費者の需要の変化、労働問題、サプライチェーンの分断、テクノロジの進歩、持続可能性の要求によって、製造業が 100 年に一度の変革を遂げようとしているのを目の当たりにしています。産業革命から長い年月が経ち、業界は進化を遂げて、はるかに複雑な場所になりました。

マイクロソフトは、このような課題と機会を探求するため、世界のリーダーたちと共に、世界最大の産業技術見本市ハノーバーメッセに参加します。イノベーションの 1 週間を迎えるにあたり、製造業の未来を変える 4 つの重要な領域を本ブログでご紹介します。すなわち、コネクテッドワークフォースの支援、インテリジェントエンジニアリングとインテリジェントファクトリーにおける産業用メタバースの推進、アジャイルサプライチェーンの構築、持続可能性の加速です。このようなトレンドの原動力となるのが人工知能 (AI) です。AI は製造業にこれまで経験したことのないほどの可能性をもたらすでしょう。しかし、まだ、私たちは、その可能性のごく一部しか体験できていません。

ここでは、マイクロソフトがこの 4 つのトレンドをどのように実現し、業界を発展させようとしているのかを見ていきましょう。

コネクテッドワークフォースの支援

インテリジェントな工場を実現するには、互いにコネクトされたワークフォースが重要です。製造業の最前線で働く人々の 63% が、このテクノロジが創り出す雇用機会に大きな期待を寄せています。フロントオフィスから工場に至るまで、マイクロソフトのソリューションは、日常業務の合理化や、効率性・安全性・生産性の向上を実現し、従業員の意欲を高めることで、業務を改善します。

マイクロソフトは、製造業が直面するユニークな課題に対応するため、現場のオペレーションを合理化し、コミュニケーションとコラボレーションを強化し、従業員体験を向上し、共有デバイスのセキュリティを強化するソリューションを構築しています。

本日、以下のワークフォースに向けた新機能とアップデートを発表します。

  • AI を活用した Power Virtual Agents (PVA) の Power Apps へのネイティブ統合が、現在パブリックプレビュー中です。AI によるバーチャルエージェントが Power Apps で容易に利用できるようになり、現場の最前線で働く人々が、製造業アプリケーションのコンテキスト内でインテリジェントな答えを簡単に見つけられるようになります。
  • Microsoft Teams を通話ソリューションとして活用することで、チームメイト、顧客、サプライヤーとつながることができます。今年後半には、工場で働く従業員も、共有の Android スマートフォンを使って、どこで仕事をしていても通話できるようになる予定です。

今日の製造業のワークフォースの支援については、Microsoft 365 Blog の最新記事をご参照ください。

レジリエントでアジャイルなサプライチェーンの構築

サプライチェーンの分断という課題は今に始まったことではありません。しかし、今や、サプライチェーンの複雑性と変化の速さは、組織の問題解決能力を上回っています。製造にかかわる企業は、分断を防止し、最小化する必要に迫られています。その結果、サプライチェーン担当者の約 90% が、自社のサプライチェーンをより強靭にするための投資を計画する状況になっています。

お客様をサポートするために、マイクロソフトは Supply Chain Platform や Supply Chain Center といったソリューションを提供しています。これらのソリューションにより、企業は複雑なサプライチェーン全体のリスクを軽減し、すぐに利用できる「司令塔」を提供できるようになります。これにより、Kraft Heinz などの企業が、既存システムを置き換えることなく、独自のニーズに対応しています。さらに、Microsoft Dynamics 365 Copilot が、材料・在庫・流通ネットワークなどを横断して、生成 AI を用いたリアルタイムの予測的洞察を企業に提供し、潜在的な分断を事前に回避できるようにしてくれます。

マイクロソフトは、お客様と共にサプライチェーンのレジリエンスを向上するための取り組みを行っています。半導体メーカー STMicroelectronics は、Microsoft Azure HPC を活用し、サプライチェーンの変革、研究開発の高度化、製造規模の拡張を実現しました。製品をより早く市場に投入し、2025 年までに生産能力を倍増し、2027 年までにカーボンニュートラルを達成できる見込みです。Toyota Material Handling Europe は、Dynamics 365 Supply Chain Management に倉庫の自動化機能を導入し、反復作業を迅速かつ正確に実行できる自律走行車により、効率性と生産性の向上を目指しています。このロボット技術は、在庫レベルの管理に貢献し、在庫管理の向上や運搬コストの削減を実現します。

Dynamics365 チームによるサプライチェーンソリューションについてはこちらのブログ記事をご参照ください。

Dynamics365 チーム

人と AI の協働: 産業用メタバースによる次世代インテリジェントエンジニアリングとインテリジェントファクトリー

製造業における最も大きな変化のひとつに、インテリジェントファクトリーの台頭があります。誰もが実世界のデータで複雑なプロセスをリアルタイムに可視化し、対話できる共有仮想空間に接続された、産業エコシステムを想像してみてください。AI、デジタルツイン、複合現実 (MR)、機械学習、Cloud-To-Edge などの基盤技術で構築された産業用メタバースは、リモートオペレーションやリモートスキリング、AI によるプロセスや資産の最適化、ロボティクス、自動化、自律的オペレーションなどによって直ちに価値を提供し、企業の経営や管理を変えています。

同様に、産業用メタバースが、製品エンジニアリングをより協調的かつ没入的にする新たな機会を生み出しています。これにより、製造業の企業は、競争が激化する環境下で、市場投入までの時間を短縮できます。

本日、HoloLens 2 に Windows 11 を搭載することで、セキュリティを強化し、開発者向けに最新ツールを提供することを発表しました。これは、マイクロソフトによる製造業企業、そして、その現場の作業員をサポートする没入型体験へのコミットメントが継続していることを示しています。また、Dynamics 365 Guides のアップデートとして、手の届く範囲にあるあらゆるものに注釈を付ける機能、組織が MR アプリをより適切にコントロールできるカスタムセキュリティ機能である Restricted Mode、ユーザー体験を強化する Guides 内での Teams 通話の実現などを発表しています。

Siemens は、生成 AI を活用することで、製品設計、エンジニアリング、製造、運用の各ライフサイクルにおいて、企業のイノベーションと効率化を支援しています。同社は、Azure OpenAI Service の言語モデルを活用し、部門横断的なコラボレーションを強化する Teamcenter アプリを Microsoft Teams 上で提供する予定です。また、ハノーバーメッセでは、ファクトリーオートメーション向けソフトウェアのコードの作成、最適化、デバッグを補助してくれる、Azure AI Service を搭載したアシスタントや、工場での視覚的品質検査での産業用 AI の活用法などを実演する予定です。Rockwell は、ロボティクスと AI テクノロジを統合し、フィールドサービスワーカーと工場の資産管理の最適化を支援しています。NVIDIA の Omniverse Cloud は、工場のデジタルツインの構築やクローズド ループ シミュレーションを実行し、設計エンジニアリング部門や現場の作業員が、チームのワークフローを簡単にデジタル化できるようにします。

AI

持続可能性、エネルギー最適化、燃料電池のイノベーションがこれまで以上に重要に

再生可能エネルギーの使用、廃棄物削減のための循環型経済の原則の採用、環境への影響を最小限に抑えるための生産プロセス最適化など、環境に配慮した慣行や取り組みを実施している製造業企業にとって、持続可能性は最重要課題です。

マイクロソフトは、Microsoft Cloud for Sustainability などのテクノロジと強力なパートナーエコシステムを通じて、エネルギー効率の高い持続可能な未来のための重要な基盤を構築しています。今週、Seeq Corporation は、Seeq Solution for Microsoft Sustainability Manager を発表しました。このソリューションは、時系列プロセスデータの準備・分析・継続的改善を統合し、プロセス製造業のオペレーションが環境に与える影響を低減します。

社会の最も困難な持続可能性の問題の多くは、化学や材料科学の問題であり、最終的には大規模な量子コンピューターが必要となります。しかし、従来型のコンピューターの能力が継続的に向上していることを考えると、今日、より多くの量子化学の問題を最先端のクラウドサービスを用いて解決することもできます。持続可能テクノロジのグローバルリーダー Johnson Matthey は、マイクロソフトの Azure Quantum の化学者たちと協力し、Azure HPC のスーパーコンピューティング機能と高度なワークフローによって新しい予測モデリングツールを開発し、化学シミュレーションの加速、AI の可能性の追求、量子コンピューティングへの対応に取り組んでいます。

多くの製造業企業が、現場や生産工場におけるエネルギーコストの上昇という喫緊の事態に直面しています。そのため、マイクロソフトはパートナーやお客様と協力し、エネルギー損失が発生している場所を可視化し、的を絞った評価によって問題を解決するのに役立つような重要ユースケースに優先的に取り組んでいます。

これらは、より強く、よりレジリエンスに優れ、より持続可能な明日を築くために、今起きているエキサイティングなイノベーションの一部です。ハノーバーメッセで多くの方にお会いできることを楽しみにしています。

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