Microsoft Power Platform コミュニティ事例紹介: ローコードと AI が仕事と人生をどう変えるか

Microsoft Power Platform コミュニティ事例紹介: ローコードと AI が仕事と人生をどう変えるか

チャールズ ラマナ (Charles Lamanna)

※本ブログは、米国時間 9 月 10 日に公開された “How the Microsoft Power Platform community is using low-code and AI to transform work and lives” の抄訳を基に掲載しています。

私たちは、誰もが革新的なソリューションを開発できるような技術を開発することに日々取り組んでいます。私たちは、Copilot、AI、ローコードの強力な組み合わせが、あらゆる部門や職業的背景を持つ人々の仕事やキャリアを変える事例を見てきました。Microsoft Power Platform チームは、コーディングの専門知識の有無にかかわらず、誰もが自社の課題をテクノロジで解決できるようになるべきだと考えています。誰もが反復的なプロセスを自動化し、アプリを作成できるようになることで、最も意義のあるプロジェクトに集中できるようになります。そして、誰もが AI によってキャリアを向上させることができるようになるのです。

この新しい時代において、真のビジョナリーとは、ローコードと AI ツールを活用して、人々の仕事や生活に直接影響を与えるソリューションを開発する人たちです。Microsoft Power Platform コミュニティは、イノベーションと創造性の次のフロンティアを私たちに示し続けています。以下に、私たちが目にしたユーザーコミュニティの事例の中から、最も革新的で感動的なケースをいくつか紹介します。

また、開催される第 3 回 Power Platform Community Conference でも、グローバル コミュニティから生まれた画期的な成果をいくつか紹介したいと思います。

採掘トラックの巨大なタイヤを管理

ドニア ストランド (Donia Strand) 氏は、カナダのブリティッシュ コロンビア州バーノンにあるタイヤ会社 Kal Tire のシニア ビジネス システム アナリストです。同社の Microsoft Power Platform マネージャーである彼女の仕事は、ローコード開発者として独自のソリューションを構築することから、プロの開発者と協力してソリューションを構築することまで多岐にわたります。

世界中の鉱山現場で進入路の実用性を評価するため、同社の鉱山向けタイヤ グループは「Site Severity」 (現場のシビアリティ評価) 調査を実施しています。この調査は、鉱山現場の状況を把握し、高価な採掘用運搬トラックのタイヤの寿命を延ばすのに役立ちました。以前は「監督者がデータをエクセルに入力し、写真を撮り、報告書を作成するのに 1 時間半も費やしていました」とストランド氏は言います。

カナダの Kal Tire オペレーション マネージャーがこのビジネス課題をストランド氏に相談し、Microsoft Power Apps を使用して調査を支援するアプリを開発することになりました。現在、MNP Digital と共同で開発した Kal Tire の「Site Severity」アプリは、 モバイル デバイス上で動作し、採掘現場のデータ収集プロセスを自動化しています。このアプリはオフラインでもデータを安全にキャッシュすることが可能で、採掘現場ではほとんど必須条件である、人里から離れた地域での使用にも対応しています。そして、Microsoft Power Automate を使用して、視覚的にわかりやすいグラフを含む洗練された PDF レポートを作成し、ステークホルダーと共有することができます。

ストランド氏「アプリのデータを Power BI に統合することで、鉱山タイヤ グループは全地域にわたる鉱山の状況を包括的に把握できるようになりました。これは、より良い意思決定につながり、採掘トラックのタイヤの摩耗や損傷を減らします。また、時間とリソースを大幅に節約でき、監督者は最も重要なタスクに集中できるようになりました。」(ストランド氏)

ストランド氏は、今後 Microsoft Copilot Studio を使用して Kal Tire 用の新しいタイプのカスタム Copilot を作成することを楽しみにしています。Microsoft Power Platform を使い始めたばかりの人へのストランド氏からのアドバイスは以下の通りです。

「シンプルに始めて、実験してみれば、何ができるかに驚くことでしょう。Microsoft Power Platform と AI は時間を節約し、新たな可能性を開く、まさにゲームチェンジャーです。」(ストランド氏)

出張用チャットボット

ダニエル シャウリッシ デ オリベイラ (Daniel Schaurich de Oliveira) 氏は、ブラジルのフロリアノーポリスに拠点を置く出張専門旅行会社 A1 の創設者兼オーナーです。約 30 年にわたり、法人向けに国際および国内旅行サービスを提供することに専念してきました。

新型コロナウイルス感染症の大流行という試練は、オリベイラ氏にとって、会社を改善する新たな方法を模索する思いがけない機会となりました。渡航制限が業界に深刻な影響を与える中、この閑散期を利用して、Microsoft Power Platform と AI がどのように日常業務を変えられるか模索しました。まずは、アラートとレポート作成の自動化から始めました。そして間もなく、日常業務の見直しをするため、より野心的なプロジェクトに着手しました。

「私は IT の素養がなく、コーディングを勉強したこともありません。しかし、Copilot Studio を使用してチャットボットを開発し、会社や業界に関するさまざまな問い合わせについて、チャットボットがチームを支援できるようにしました。」 (オリベイラ氏)

オリベイラ氏従業員が新しい AI を搭載したチャットボットを受け入れるのに時間がかかることを懸念したオリベイラ氏は、チャットボットを「Fifi (フィフィ)」 (ブラジルのポルトガル語で「ゴシップ好き」) と名付け、パーソナリティを与え、ユーモアがあり、知識豊富な「彼女」を A1 社の一員として扱うようにしました。

その結果、フィフィのおかげで社内業務が効率化され、チームは定型的な問い合わせに費やす時間が短縮され、より戦略的な業務に集中できるようになりました。

「今では、フィフィは単なるチャットボットやデジタル ツールではありません。彼女はすでに私たちの大事なチームメイトです。フィフィがオフラインのときはいつも、『今日フィフィは病欠だよ』と冗談を言っています」(オリベイラ氏)

「Microsoft Power Platform は素晴らしいです。おかげで、想像もしなかったような方法でアイデアを膨らませ、ビジネスを改善することができます。」とオリベイラ氏は結論付けます。

郵便室からマイクロソフト MVP

オランダからアメリカに移住した若い女性、ディアン テイラー (Dian Taylor) 氏は、まず衣料品店とアメリカの大手事務用品小売業者の郵便室で働きました。その後、銀行の人事部に転職し、やがて Microsoft Dynamics 365 と Microsoft Power Platform を学びました。

現在、フロリダ州ボカラトンにある RSM US LLP でプリセールスを担当しているテイラー氏は、魅力的で効果的なデモを大量に作成する仕事を任されています。テクノロジに関して専門的な教育を受けていなくても、Microsoft Power Platform を使用して、デモンストレーションやプレゼンテーションにシームレスに統合できる Copilot やアプリを開発しています。

「Copilot Studio をよく使います。ウェブサイトや Power Pages で利用するカスタムチャットボットを作成するだけでなく、Dynamics 365 Customer Service と連携するためにも使用しています。デモに最適で、現場のエージェントのプレッシャーを軽減できます。」 (テイラー氏)

テイラー氏「Microsoft Power Platform のお蔭で自分の仕事がより充実したものになりました。新しいテクノロジの活用を始める人にアドバイスするとしたら、怖がらずにトライし続けることです。『何もかもわからない』と感じるときがあっても大丈夫です。手順をひとつ戻って、適切なツールの使い方を学べば、きっとうまくいくはずです。」(テイラー氏)

テイラー氏は、Microsoft Business Applications MVP 賞を 4 度も受賞しています。そんな彼女の経験からの言葉でしょう。

自閉症の親子を支援

ラガヴ ミシュラ (Raghav Mishra) 氏はデンマークのコペンハーゲンにあるコンサルタント会社 Sprint 365 のプロダクトアーキテクトです。ハッカソンのために新しいビジネスソリューションを開発しているときに Microsoft Power Platform の可能性を発見し、同じツールが家庭での個人的な課題にも適用できることに気づきました。ミシュラ氏には、自閉症の息子のために毎週数時間を費やして視覚的な指示シートを作成する妻がいました。「妻は、歯を磨いたり靴を脱いだりするような、毎日の行動を息子に指導するために、手描きの画像と指示を書いた 1 ページごとの指示シートを作っていました。」とミシュラ氏は言います。

ミシュラ氏は、Microsoft Power Platform を使用して、このような毎日の指示書作成を自動化する「Make Life Easy」アプリを開発しました。Power Apps、AI サービス、DALL-E API を活用してテキストと画像の両方を生成し、それらを Microsoft Dataverse に保存して 1 ページのカラフルな PDF にまとめました。この PDF は、ミシュラ氏の息子にとって魅力的なビジュアルガイドとして役立っています。

「キャンバス アプリを使ったことは一度もありませんでした。このプラットフォームであらかじめ定義された構造により、市民開発者である私は、わずか 5 日間でゼロからアプリを開発することができました。」(ミシュラ氏)

ミシュラ氏このアプリは、家族のルーチンを合理化し、指示書の作成に費やす時間を削減し、ミシュラ氏の息子にとっては様々な手順がよりわかりやすく楽しいものになりました。かつては何時間もかかっていたことが、今では数分で済むようになり、家族が一緒に過ごせる充実した時間も増えました。

「このアプリのおかげで私たちの日常生活が改善されました。このアプリが、同じようなニーズを持つ他の家族にも役立つことを心から願っています。」 (ミシュラ氏)

ファッションの伝道者からテクノロジの伝道者へ

東京にある AKKODiS コンサルティングの Microsoft Power Platform エバンジェリストである畠山湧夢氏は、ファッションモデルとしてキャリアをスタートさせました。しかし、次第にモデル業界で生計を営むことに難しさを感じ、ハードウェア エンジニアリングを学ぶための学校に通い始めました。

新型コロナウイルス感染症の流行が始まったときは、自動車部品を製造し、回路基板を作る仕事をしていました。会社が DX を推し進め始めたとき、畠山氏は率先してMicrosoft Power Platform を学び、社内の移行過程において極めて重要な役割を果たしました。

これまでアプリを作ったことはありませんでしたが、畠山氏はペースの速いファッション業界での経験から、スケジュール管理の重要性を理解していました。Power Apps を習得するとすぐに活用し、パンデミック時にリモートワーカー向けの勤怠管理アプリを作成しました。これは、わかりやすいダッシュボード形式で勤怠データを視覚化したものでした。

このアプリはすぐに効果を発揮し、50 人の従業員からなるチーム全体の勤怠管理を効率化しました。この成功を受けて、Microsoft AI Builder を業務に取り入れ始めました。PDF の請求書や領収書からデータを手動で入力する代わりに、チームはカスタム AI モデルをトレーニングしてこのプロセスを自動化し、ミスを大幅に減らして時間を節約しました。

畠山氏現在は、Microsoft Power Platform エバンジェリストとしてフルタイムで働いています。

「もともとはファッションの普及と販売の仕事をしていました。そして、ファッションの伝道者からテクノロジの伝道者へと転身しました。これは大きな変化のように思えますが、目標は同じです。より良い製品をすべての人に届けることです。」 (畠山氏)

新しい Microsoft Power Platform ユーザーと話すときは、「元ファッションモデルが Microsoft Power Platform で DXを実現できるなら、あなたも間違いなくそれを成し遂げることができます。」と冗談を言います。畠山氏の夢は、大企業から中小企業まで、Microsoft Power Platform を日本中に広め、誰もが独自のソリューションを想像し、開発できるようになることです。

Microsoft Power Platform が支援する イノベーションとエンパワーメントの未来

イノベーションの未来は、様々な現場で仕事をしながら、アイデアを現実に変える人々の手にゆだねられていることは明らかです。グローバルな Microsoft Power Platform コミュニティによって生み出された驚くべき進歩は、ビジネスとキャリアを変革するローコードと AI ツールの力を実証しています。

ラスベガスで開催される Power Platform Community Conference で多くの皆様にお会いし、今後数年間で私たちが一緒に達成できることを目の当たりにするのが待ち遠しいです。また、Microsoft Copilot の進化にともない、Microsoft Power Platform の開発はさらに簡単で、よりパワフルになっていきます。

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