Microsoft Elevate : 人を中心に据えて

Microsoft Elevate hero image

ブラッド スミス (Brad Smith) 副会長 兼 プレジデント

※本ブログは、米国時間2025年7月9日(水)に公開された “Microsoft Elevate: Putting people first – Microsoft On the Issues” の抄訳を基に掲載しています。

 

進路に悩む学生、教え方を見直す教師、従業員を管理するビジネスオーナーにとって、人工知能(AI)はもはや理論上の話ではありません。AI は私たち一人ひとりにとって、個人的な、身近な存在となっています。だからこそ、私たちがこれから取り組むべき最も重要な課題の一つは、単により賢い機械をつくることだけではなく、それらが人々の可能性を引き出し、成長を支援する存在になることだと考えています。

本日私たちは、Microsoft ElevateAI Economy Institute を発表します。AI が世界を変革していく中で、人を中心に据え、AI とともに成長するためのスキル、知識、そしてツールを人々に提供していくことが、私たちの使命だと考えています。

Microsoft Elevate では、長年にわたり非営利団体を支援してきた  Microsoft Philanthropies や Tech for Social Impact チームの活動を継承し、さらに発展させるために、学校非営利団体向けの技術支援、寄付、営業活動を一つの組織に統合しました。

より広い視点では、これはマイクロソフトの企業のフィランソロピー(社会貢献活動)と非営利ビジネスモデルにおける次章の始まりを意味します。これまでの Tech for Social Impact と同様に、Microsoft Elevateにおいても利益の一部を非営利プログラムに再投資することを約束しています。そして本日、今後 5 年間で学校、教育関係機関や非営利団体のミッション推進を支援するため、財政的支援、AIおよびクラウド技術を含む総額 40 億ドル以上の寄付をグローバル規模で実施することを発表します。

Microsoft Elevate では、マイクロソフトがグローバルで展開してきたスキル習得プログラムや各種イニシアチブの次なるフェーズにも取り組んでいきます。今後 2 年間で、Microsoft Elevate Academy は 2,000 万人が基礎的な理解から高度な技術トレーニングまで、需要の高い AI スキル認定を取得できるよう支援します。LinkedIn や GitHub を含むマイクロソフト内のグループと緊密に連携し、AI 教育とスキル習得を大規模に展開していきます。また、AI 教育とトレーニングの推進に向けて、世界各国の公共政策に働きかける役割も担っていきます。

Mirosoft Elevate is committed to expanding AI skilling globally

マイクロソフトは、ドイツ最大の州であるノルトライン=ヴェストファーレン州との取り組みと同様に、各国、各地域、各自治体と連携していきます。学校、コミュニティカレッジ、非営利団体との協力を通じ、AI 教育とトレーニングの推進に注力していきます。Code.org との新たな取り組み Hour of AI への支援をはじめ、革新的なイニシアチブも展開していきます。さらに、先日発表した American Federation of Teachers(アメリカ教職員連盟)との連携を含め、主要な労働組合との既存のパートナーシップを活用し、今後さらに多くの連携を進めていきます。これらの取り組みを総合的に推進することで、AI を活用するために必要なスキル習得の基盤づくりに向け、大きな一歩を踏み出します。

 

振り返りのひととき

現在のテクノロジー業界は、AI 開発競争の真っただ中にあります。中には、汎用人工知能(AGI)や超知能の実現を目指す動きもあります。しかし、私たちが本当に目指すべき「ゴール」とは、一体何なのでしょうか?

AI の未来について難しい問いを投げかけるのに最適なタイミングは、まさに今です。 AI がさらに強力かつ広範になる前に考えるべきです。歴史が示しているように、テクノロジーは創造性を引き出し、知識を広げ、人々をつなぐ力を持っています。しかし同時に、格差を広げる可能性もあります。トーマス エジソンが初めて電球に灯りをともしてから約 150 年が経った今も、何億人もの人々が電気のない生活を送っています。そしてわずか 15 年の間に、ソーシャルメディアは民主主義を広める有望なツールとみなされていたものから、偽情報を拡散する手段へと変わってしまいました。

これからの未来を見据えるとき、私たちは自問しなければなりません。私たちは人に取って代わる機械をつくろうとしているのか、それとも人がよりよく生きるための仕組みをつくろうとしているのか?人類を凌駕する AI を目指しているのか、それとも人類を高める AI を目指しているのか?

マイクロソフトは、明確な意思をもって取り組んでいます。私たちは、人を中心に据えながら AI を進化させていくことを信念としています。

We're putting a clear stake in the ground

働くことの人間らしさを高める

この取り組みは、働き方の未来、その変化にただ対応するのではなく、人々がその未来を主体的に形づくっていけるよう支援する、より広範なコミットメントの一環です。

仕事とは、単なる報酬以上の意味を持つものです。人々が貢献し、成長し、人生の中に意味を見出すための手段でもあります。それは、アイデンティティ、目的意識、尊厳の源でもあります。こうした考え方は、決して新しいものではありません。約 2,000 年前、アリストテレスは「エウダイモニア( eudaimonia )」という概念を提唱しました。目的ある活動を通じて人が豊かに生きる力です。この考え方は、AI が仕事のあり方そのものを変えつつある今も、なお私たちの心に響いています。

AI は、学びを深め、生産性を高めるための強力なツールです。しかし、どんなツールも、正しい使い方と広い視野を持って活用することが重要です。これはソーシャルメディアの活用から得られた教訓の一つです。遠く離れた友人とスマートフォンでつながりながら、同じ部屋にいる家族を無視してしまう――そんな経験は誰しもあるでしょう。AI は私たちの思考する力を減らすのではなく、より深めるために使うべきです。そしてそれは、テクノロジーだけでなく、文化や習慣にも関わることです。家庭、学校、職場など、あらゆる場面でAI をどう活用するかについて、丁寧な対話を重ねていくことが求められます。

最終的に、AI と仕事に関する議論は、単なる生産性ではなく、まず「人」から始めるべきです。データを処理することは機械にもできますが、判断を下すことができるのは人間だけです。言語を模倣することは機械もできますが、共感を示すことができるのは人間だけです。最適化することは機械にもできますが、思いやりことができるのは人間だけです。私たちの目標は、人間に取って代わる AI をつくることではなく、人間がより多くのことを、より良くできるよう支援する AI をつくることです。

成功の鍵のひとつは、パートナーシップです。AI の進む方向について、幅広いステークホルダーが意見を交わせるようにすることが重要です。そのために、私たちは政府、教育関係者、労働組合、雇用主、地域のリーダーと連携し、AI が人間の価値観を反映し、人々のニーズに応えるものとなるよう取り組んでいきます。

そのため、私たちは AFL-CIO (米国労働総同盟 – 産業別組合会議) や昨日発表した American Federation of Teachers などの労働団体とのパートナーシップをさらに強化し、組合員、教育関係者、

技能訓練指導者に向けた AI トレーニングを提供していきます。これには、AI 教育のための新しい National Academy for AI Instruction や、建設業界を対象とした夏季スキル習得シリーズなどの新たな取り組みも含まれます。また、政策立案者とも連携し、生涯学習、就業準備、AI 教育への公平なアクセスを支援する公共政策の推進支援にも取り組んでいます。

 

新たな企業シンクタンク:Microsoft AI Economy Institute

私たちは、AI が世界中の社会に対して投げかける新たな問いに対して、すべて答えを持ち合わせているわけではありません。その事実を認めることは重要であり、答えがない現状は誰にとっても同じでしょう。

Microsoft Elevate では Microsoft AI Economy Institute と緊密に連携し、より深い調査と政策的な洞察をもとに、この取り組みを支えるために活動していきます。この新たな企業シンクタンクの構築に向けて、私たちは今年 1 月から準備を進めてきました。このシンクタンクは、技術革新と社会的インパクトの間にあるギャップを埋めることを目的とした、これまでにない新しい形の組織です。

AI for Good Lab 内に設置され、Microsoft Research の優れた伝統を基盤とするこのインスティテュートは、AI が仕事、教育、生産性をどのように変革しているかを探るために、研究者の支援と連携を行っています。そこで得られた洞察をマイクロソフトの戦略や公共政策への取り組みに活かせる、現実的なソリューションへとつなげていくことを目指しています。

このインスティテュートは、世界各地で AI の変革的な可能性を探る学術研究を支援しています。今年初めに開始した現在進行中のプロジェクトには、世界各国の大学の研究者が参加しています。研究内容は、生成 AI が学術分野を越えたイノベーションをどう促進できるかの検証から、アフリカの高等教育における政策の空白への対応、AI スキルやマイクロ認定資格が実際の労働市場でどのような価値を持つかの評価まで、多岐にわたります。これらの取り組みは、責任あるグローバルな AI の未来を形づくるために、包摂的かつエビデンスに基づいた洞察を重視するインスティテュートの姿勢を明確に示しています。迅速な公開サイクルとオープンな協働へのコミットメントにより、インスティテュートの研究成果は社内だけでなく、世界中の一般の人々や政策立案者にも公開します。

このインスティテュートの活動は、Microsoft Elevate のスキル習得プログラムや各種イニシアチブに直接活かされていきます。AI 経済に備えるために必要なトレーニングプログラム、パートナーシップ、政策の枠組みづくりを支援していきます。

ワークショップ、研究者の連携、応用研究を通じて、AI Economy Institute は、AI と経済変革に関するグローバルな対話において、先導的な役割を果たす存在となることを目指しています。AI の恩恵が広く共有され、包摂的な成長のための基盤がテクノロジーとともに構築されるよう、取り組みを進めていきます。

これは、AI を世界中で善のためのツールとして発展させていく、より広範で継続的な取り組みの一部です。この中には、社会的課題の解決に向けた応用研究を推進する AI for Good Lab の進化も含まれています。また、大学、非営利団体、AFL-CIO  およびその加盟組織など、さまざまなパートナーとの連携による責任ある AI の推進も含まれます。さらに、バチカン市国やその「AI 倫理に関するローマ宣言」など、信仰に基づく団体や国連の主要機関をはじめとする重要な国際機関との協力も含まれています。

 

50 年の歴史を礎に

他のどのテクノロジー企業よりも、マイクロソフトの 50 年にわたる歴史は、人とテクノロジーが共に成長するために必要な要素への深い理解を私たちにもたらしてきました。PC やオペレーティングシステムが常にオープンプラットフォームとして機能してきたからこそ、世界中のソフトウェア開発者やイノベーターによる幅広いエコシステムを支える方法を理解しています。また、かつて「すべてのデスクと家庭にコンピューターを」という、一見非現実的と思えた夢を掲げて取り組んできたからこそ、テクノロジーの成功に本当に必要なものが何かを理解しています。それは、優れたイノベーションだけでなく、それらを人々の日常生活で活用できるようにするためのアクセスの確保と、必要なスキルを身につけるための支援という、極めて重要な取り組みに支えられているのです。

これから私たちが取り組むべきことは、次世代の AI を構築するだけでなく、次世代の機会を創出することです。Microsoft Elevate を通じて、AI がすべての人に役立つものとなるよう、人材、組織、アイデアへの投資を進めていきます。AI は、仕事の人間らしさを奪うものではなく、それを高めるものであるべきだからです。

 

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