コンテンツへ移動
メイン コンテンツへスキップ
News Center
脆弱な太平洋諸島が、災害への対処と環境回復に向けてデータに注目

脆弱な太平洋諸島が、災害への対処と環境回復に向けてデータに注目

著者: クリス・バートレット (Chris Bartlett)

※こちらは、米国時間 3 月 10 日に公開された “Vulnerable Pacific Islands look to data to cope with disasters and help heal the environment” の抄訳を基に掲載しています。

太平洋の熱帯の島々と言えば、柔らかい砂、青いラグーン、揺れるヤシの木が思い浮かびます。しかし、この絵はがきのようなイメージには、好ましくない裏側があります。これらの地域は、自然災害や気候変動の影響に対して世界で最も脆弱な場所の一つなのです。

嵐やハリケーンは、より激しく、より破壊的になっています。海水温の上昇に伴い、サンゴ礁が死滅しています。海面上昇により、脆弱な海岸線が侵食されつつあります。また、低地の環礁の中には、すぐに波の下に消えてしまいそうなものもあります。

一方、プラスチックゴミの浮遊や乱獲などの人災も海洋生態系に悪影響を与えています。

低地な島国ツバルのフナフチ島(写真提供: Getty)
低地な島国ツバルのフナフチ島 (写真提供: Getty)

問題は山積しており、中には完全に解決できないものもあるかもしれません。

それにもかかわらず、地域の研究者や政策立案者は楽観視しています。

タイムリーで適切で実用的で正確な洞察があれば、島々の危機への耐性を高めるために多くのことができると彼らは述べています。

その鍵はデータの中にあります。Pacific Community (SPC) は、太平洋に面する 27 の国と地域が参加する主要科学技術機関です。

同機関は、科学者や地球観測衛星によって常に蓄積されている、自由に利用できる環境関連データの山を掘り起こす新たな分析プラットフォーム Digital Earth Pacific を立ち上げようとしています。

同プラットフォームは、マイクロソフトの Planetary Computer 上に構築され、クラウド上の人工知能 (AI) と膨大な処理能力を用いて、複数ソースのデータにアクセスし、分析とモデリングを行います。

そこで得られた知見は、太平洋諸島の政府や計画立案者がより良い選択をするために役立ちます。

気象衛星が撮影した、フィジーとトンガに襲来した巨大ハリケーンの画像(写真提供: Getty)
気象衛星が撮影した、フィジーとトンガに襲来した巨大ハリケーンの画像 (写真提供: Getty)

SPC の地球科学・エネルギー・海洋部門担当ディレクター (退任予定) のアンドリュー・ジョーンズ (Andrew Jones) 氏は「この情報は世界の別の地域のデータストアに眠っていたのですが、これまで太平洋諸国はそれを利用することができなかったのです。」と述べています。

「この情報により、最も重要な課題に関する意思決定を行えるようになります。」

この新プラットフォームの開発は、太平洋地域のある国が、ここ数十年で最も大規模な災害から復興しようと懸命に取り組んでいる最中に行われています。

先月、フンガトンガフンガハアパイ海底火山が推定 TNT 爆薬 10 メガトン相当の威力で爆発し、トンガ王国を揺るがしました。

噴火の轟音は遠くアラスカまで聞こえたと言います。そして、塵と破片の柱が成層圏まで舞い上がり、首都ヌクアロファは息苦しいほどの灰と軽石の雨に覆われました。

数分後には、海から水の壁が押し寄せてきました。車も家も流されました。ボートは港から投げ出され、通信は途絶えました。

他の津波が離島を襲い、太平洋を越えて日本、オーストラリア、アメリカ西海岸にまで到達しました。

トンガ付近の海底火山が巻き上げた巨大な砂煙の衛星写真。(写真提供: CIMSS, SSEC, NOAA, JMA)

ジョーンズ氏は、衛星が収集した噴火前、噴火中、噴火後のデータを分析することで、たとえば、作物の被害や水質汚染の評価などを行い、復興活動に役立てられると言います。

「基準データ、つまり、平常時の状態、特に同じ月や季節のデータがあれば、植林地を失った場所や、水に灰が混入している可能性のある場所を特定できます。」

この地域は、南北アメリカ西海岸から日本、フィリピン、インドネシアを経て、南はニュージーランドまで続く火山と地震断層の弧からなる環太平洋火山帯に位置しており、火山活動、地震、津波の脅威は常に存在しています。

ジョーンズ氏は、理論的にはデータ分析が噴火の予知に役立つ日が来ると考えています。「もう 1 つの可能性は早期警戒に使うことです」と同氏は言います。

海底火山の大噴火による津波で大きな被害を受けた、トンガのヌクアロファ港(写真提供: メアリー・リン・フォヌア (Mary Lynn Fonua))
海底火山の大噴火による津波で大きな被害を受けた、トンガのヌクアロファ港 (写真提供: メアリー・リン・フォヌア (Mary Lynn Fonua))

「噴火の前に火山の形が変わるので、それを人工衛星から見ることができるかもしれません。」

「衛星が頭上を飛ぶのはいつか、火山にどれくらいの変形があるかなど、様々な注意点がありますが、可能性はあるでしょう。」

フィジー国土鉱物資源省の Geospatial Information Division ディレクター、メイジアン・ヒックス (Meizyanne Hicks) 氏は、災害への備えと復興にはデータに基づく意思決定が不可欠であると述べています。

近年、カテゴリー 5 の暴風雨により、複数の島が壊滅的な被害を受けました。2015 年には、熱帯サイクロン Winston がフィジーを縦断し、数十万戸の家屋が破壊されました。

2020 年には、サイクロン Harold が、わずか数日でソロモン諸島、バヌアツ、フィジー、トンガに壊滅的な被害をもたらしました。

昨年、フィジーに上陸したサイクロン Yasa は最大瞬間風速 260 キロの強風を伴い、何千もの家屋が倒壊・破損され、被害を受けました。このサイクロンによる豪雨は、壊滅的な地滑りを引き起こしました。

ナババツ村の丘陵地の斜面が崩れ、500 人以上の人々が避難しました。伝統的な土地に深い亀裂が入り、家は構造的に安全ではなくなり、住めなくなりました。

この地域は危険地帯に指定され、人々は今も家を失ったままです。ヒックス氏は、「当局が、有効なデータの活用により、村人を移動させるのに適した場所を特定し、家だけでなく、学校へのアクセスや生計維持のための土地利用の機会を提供してくれることを期待している」と述べています。

熱帯サイクロン Harold によって壊滅的な被害を受けた、バヌアツのペンテコスト島にある村(写真提供:ジニー・スタイン (Ginny Stein))
熱帯サイクロン Harold によって壊滅的な被害を受けた、バヌアツのペンテコスト島にある村 (写真提供: ジニー・スタイン (Ginny Stein))

「テクノロジはまさに目の前に: データもそろっており、すぐに利用することができる状態なのです。」

Digital Earth Pacific を統率するチームの一員であるヒックス氏は、「この新しいデータプラットフォームが、農業生産性、都市化、海岸浸食、天然資源の持続不可能な採取、廃棄物処理、環境汚染といった長期的課題にも対応し、太平洋諸島の人々にとってより良い未来を確保するために役立つ」と述べています。

「太平洋諸島の国々は、長年にわたり、環境問題を理解し、環境と太平洋諸島の人々の生活に関する意思決定を行う上で、(衛星による) 地球観測のアクセスと利用が困難なことを認識してきました」とヒックス氏は述べます。

「このような課題をよりよく理解するための下地が整ったことで、Digital Earth Pacific が登場しました。太平洋諸国は、アーカイブされた地球観測データを無料で利用できるだけでなく、効果的に収集され加工された地球観測データも利用できるようになり、意思決定者に大きな利益をもたらすでしょう。」

SPC の Director-General スチュアート・ミンチン氏(写真提供:Pacific Community)
SPC の Director-General スチュアート・ミンチン氏 (写真提供: Pacific Community)

SPC の Director-General のスチュアート・ミンチン (Stuart Minchin) 氏は「Digital Earth Pacific は経済的に多大に貢献する可能性があります。テクノロジは既に使用でき、データも揃っており、すぐに利用可能です」と述べています。

「Digital Earth Pacific は、衛星が飛ぶたびに信頼性と堅牢性を高め、定期的に成果物を生成する有用な公共財です。携帯電話で天気予報を見るのと同じように、各国はいつでもその情報にアクセスできるようになるのです。」

このシステムは、何年にわたって自由に利用できる衛星データセットを凝縮しています。これにより、災害によって海岸線がどのように変化したか、気候変動や波力エネルギーが島国に与える影響などの問題をリアルタイムに理解することができます。また、農家や計画立案者向けの気象予報も提供される予定です。

Microsoft Planetary Computer により、SPC は直感的な API を使用して、ペタバイト級の地球規模の衛星データや環境データに容易にアクセスすることができるようになります。これにより、影響力のあるソリューションの開発を効率化し、加速できます。さらに、SPC は、Microsoft Azure Machine Learning と Azure Cognitive Services を活用し、豊富な洞察を生み出すソリューションを構築しています。

宇宙から見た太平洋(写真提供:Getty)
宇宙から見た太平洋 (写真提供: Getty)

マイクロソフトは、世界の重要な環境データセット、AI、デジタルテクノロジへのアクセスを提供する Planetary Computer を提供することで、グローバルな生態系と生物多様性の保護に貢献することにコミットしています。

また、Planetary Computer により、パートナーは地球規模のデータセットに対して地域や国単位の質問をすることが容易になり、その結果を環境モニタリング、予測、計画、原因究明をサポートするアプリケーションに提供することができるようになります。

Planetary Computer に蓄積された地球観測データの履歴を解釈することで、太平洋諸島の国がこれまで、そしてこれから直面する変化を明らかにできます。これらの知見は、政策立案者の最善の計画立案に役立ちます。

トンガの人々が復興という困難な仕事に直面し、ナババツの人々が先祖代々の土地から離れなければならない将来を考えている中、何十万人もの太平洋諸島の人々は、来るべき変化や課題に対してより良い準備 (および装備) ができていることを知って安心できるようになるでしょう。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。