「1 人 1 台のタブレット」は最初の一歩。教育 ICT 利活用は新たなステージに

Posted by:中川 哲
業務執行役員 パブリックセクター統括本部 文教本部長

皆さん、こんにちは。日本マイクロソフトで教育機関のお客様を担当している中川です。

今年も満開の桜の下、多くの学校で入学式が行われました。仕事柄、私は、毎年様々な学校の入学式に参列する機会があります。今年もいくつかの学校にお邪魔し、新学校生活へ期待に胸を膨らませている子どもたちを見て、私も初々しい気分になりました。毎年この時期には、教育におけるICT利活用の進展のため、マイクロソフトに何ができるかをあらためて考えています。

 
平成 27 年 4 月に行われた佐賀県立佐賀西高校の入学式

昨年、佐賀県教育委員会様が開始した「ICT 利活用教育」は、この 4 月で 2 年目に入りました(つまり、佐賀県の県立高校に通っている高校 1、2 年生はほぼ全員、Windows タブレットを学校に持ってきているということです!)。昨年度はこのほかにも東京都荒川区、岡山県備前市、滋賀県草津市といった公教育機関が、通常教室でほぼ一人一台環境での Windows タブレット端末の導入を進められ、教育 ICT 利活用の、とりわけ環境整備面で大きな進展があったと感じています。また実際の授業での利活用が進む中でいくつかの課題も見い出され、着々と改善に向けた取り組みがなされていることも、大きな成果です。

大切なのは機器を整備するだけでなく、ICT を活用して、子どもたちにどのような学びの環境を提供したいのか。その「狙い」をより明確にして ICT の導入を進める教育機関様が増えつつあると感じています。以下は、その一例です。

  • 一斉授業に電子黒板やマルチメディア教材を用いて、学習者の興味関心を向上させる
  • 基礎学習領域で成績を向上させるか、理解の早い学習者により多くの (先の) 情報を提供する
  • グローバル時代に求められるコミュニケーション & コラボレーション能力を育む

またこの 4 月は、法制度上でも進展がありました。2015 年 4 月 1 日に学校教育法施行規則改正が行われ、「第八十八条の二:高等学校は文科大臣が定めるところにより、授業を多様なメディアを高度に利用して当該授業を行う教室以外の場所で履修させることが出来る。」(平成 27 年 4 月 1 日・官報号外 75 号掲載) と定められました。これまでインターネットのテレビ会議システムを使った授業は、正規の授業として認められていませんでした。それが今回の施行規則改正により、ICT を活用した遠隔授業に道が開かれたのです。たとえば「入院中の病室」や「離島」などで、Skype for Business を介して行った授業が単位にカウントされるようになれば、より多くの子どもたちに、質の高い学びの機会を提供できるようになります。そうした社会を目指して慶應大学SFC研究所との遠隔教育に関する共同研究も発表させていただきました。

最後に、来年に備えるべき事柄として、2013 年 6 月に制定され、一部の附則を除き 2016 年 4 月 1 日に施行される「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」)に対応した環境整備があげられます。これまで学習に障碍を感じる学習者は、教室に ICT 機器を補助器具として持ち込むことを「学校にお願い」し、「学校が許可」するという構図でした。しかしながら、来年の 4 月からは『権利』として申請できるようになります。

ただし法律が施行されたからといって、すぐにすべての環境が整うわけではありません。どのような障碍に対して、どのような ICT 機器が適切に機能するのか。また、学校が用意しておくべき環境はどのようなものか。関係者全員で準備し、備えていくことが重要だと考えます。

日本の教育 ICT 利活用は、黎明期から普及期に入りつつあると感じています。そこで、今後は、インターネットを活用した遠隔授業なども活用して、世界中の英知に学習者が触れられる環境を整備し、また、多様な特性を持つ学習者が不自由なく教育を受けられる環境を整備すべきだと考えています。日本マイクロソフトは、引き続き、日本の教育環境の向上に ICT の観点から全力で取り組んでまいります。

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