Build 2015 – 開発者向けテクノロジの進化において大きな、そして新たな旅の始まりの一歩を刻む

Posted by 伊藤かつら
執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長

皆さんこんにちは。米国サンフランシスコで開催中の開発者会議「BUILD 2015」では様々な発表がありました。
下記に米国時間4月30日に公開されたSteve Guggenheimerのブログの抄訳をご紹介します。

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BUILD の Day 2 が本日幕を明け、Satya Nadella、Scott Guthrie (英語)、および Terry Myerson (英語) から昨日発表したニュースとビジョンを踏まえてお話ができたことを嬉しく思います。Day 1 では、10 億台の Windows 10 デバイスの世界を構築し、(新しい “ブリッジ” ツールキット (英語) を搭載した) ユニバーサル Windows プラットフォームとクラウド上のデータ操作を利用して、これまでで最も魅力的な開発プラットフォームを作成するという大胆な目的を発表しましたが、今日は、その Day 1 で発表した壮大な計画と大胆な目的を基にお話をさせていただきました。Day 2 では、次のステップとして、実際のビジネスの話題とコードにそれらの概念を落とし込んで説明しました。マイクロソフトからのいくつかの発表に加えて、数社のパートナー様に、実際のシナリオとソリューションを使って、開発者の皆さんの力でいかにマイクロソフトのプラットフォームとテクノロジを有効活用できるかを披露していただくことができました。

Day 2 の基調講演の山場の 1 つは、メディアとエンターテイメント関連の発表でした。まず、The Roots の Questlove 氏の特別メッセージと共に、Muzik Official (英語) の皆さんがすばらしいドラム演奏のデモを発表してくれました。Muzik は、Bluetooth ワイヤレス接続対応の、低待機時間のドラムスティックを開発しました。このドラムスティックは、完全な空間認識機能を備え、ミュージシャンが空中でドラムをたたくことができます。つまり、ドラムセット一式が必要ありません。保護者の皆さん、お子さんがヘッドホンを付けて、音を出さずに Questlove のまねを懸命にしているところを想像してみてください。また、Propellerhead チームも、Windows、Android、および iOS のすべてに対応する音楽コラボレーション アプリ開発の経験を発表してくださいました。

コーディング デモで使用したコードと手順の詳細については、John Shewchuk がブログ (英語) で公開する予定です。

商用開発者向けには、Autodesk Spark プラットフォームのサポートを発表しました。これにより、Windows 10 に 3D 印刷機能が提供されます。Spark のエンジンによって、Spark 対応のすべてのデバイスに、Windows 10 で実行される印刷パイプラインが提供されます。Siemens は、Surface Hub でのエンジニアリング プロジェクトとして、没入型のコラボレーション機能を提供するエンジニアリング ソリューションのデモを披露しました。ほとんどの開発者にとって、レポートの作成は悩みの種ですが、Acumatica (英語) は、Power BI を使用して動的なレポート作成ソリューションを開発した課程を紹介しました。

その後、David Treadwell と Kevin Gallo を紹介し、彼らからモバイルフォン、タブレット、PC、Xbox のすべてを含めた Windows 10 デバイスに対応できるユニバーサル Windows プラットフォーム (UWP) アプリの構築プロセスを詳しくご説明しました。ユニバーサル Windows プラットフォームの UX コントロールは、さまざまな画面サイズに合わせて自動的に調節されるので、開発者は各デバイスの機能に応じてアプリを調節できます。David は、Web、.NET、Win32、Android Java、C++ コード、Objective-C コードを使用して新しい Windows アプリを構築する方法について、さらに詳しく説明しました。

Kevin は、Win32 ベースのアプリケーションを Windows ストアで公開するプロセスと、任意の Web サイトを基にWindows アプリを構築する方法を説明しました。また、本日リリースされましたが、Microsoft Edge ブラウザー (開発コードネーム: Project Spartan) の新しいレンダリング エンジンの機能強化も一部披露されました。また、Flight Arcade (英語) というアプリを使って、Microsoft Edge が WebGL、Audio、および Gamepad API を使用してこれまでの限界を打ち破り、Web プラットフォームの世界をいかに広げているかをお見せしました。このクラウド ベースの Flight Arcade Web アプリのコードを再利用して、ユニバーサル Windows プラットフォームに完全した Windows アプリを作成するデモも行いました。そして最後に、Kevin は Android アプリと iOS アプリを Windows 対応にする方法をご紹介しました。

昨日発表されたアプリ タイトルの他に、Day 2 では、FitBitShazam (英語)、rdio (英語) をはじめとした主力ブランドからも新しいアプリが提供されるなど、Windows 10 がますます支持を集め、その勢いを増していることをお知らせしました。また、Box との Windows 向けの新しいユニバーサル アプリの共同開発 (英語) など、パートナー様とのすばらしい協業事例もご紹介しました。

多くの開発者の方が、既存のマイクロソフト以外のコードを再利用して Windows アプリを構築することを検討していますが、逆に Windows 開発から始めて、その後、他のプラットフォームに移行することを検討している方もいます。そのようなシナリオでは、通常、Xamarin や Unity が頼みの綱として利用されます。本日、John Shewchuk はまた別の選択肢として、ManifoldJS (英語) という新しいテクノロジを発表しました。これは、既に作成されている Web エクスペリエンスを使用して、Android、iOS、および Windows に対応するホスト型アプリを作成するためのオープン ソースの JavaScript ライブラリです。詳しくは、John のブログ (英語) をご覧ください。既にこのようなインフラストラクチャを構築している企業の 1 社が SalesForce です。同社は、Web と Windows の長所を兼ね備えた SalesForce One ソリューションのデモを披露してくださいました。

JavaScript については、まだ他にもお話することがあります。asm.js (英語) についてもご紹介しました。これは、簡単に言うと、コンパイラ向けの低レベルで効率の良いターゲット言語として使用できる、JavaScript の厳密なサブセットです。JavaScript を使用したネイティブ並みのパフォーマンスと言えば、Vorlon.js (英語) もご紹介しました。これは、検査、テスト、およびデバッグの JavaScript コードをリモートで読み込むことができる JavaScript 用のリモート デバッグおよびテスト ツールで、どのデバイスでも Web ブラウザーだけで実行できます。

また、マイクロソフトと GitHub による GitHub Enterprise on Azure (英語) のリリースの共同発表も行われました。企業は、既に数百万人の開発者によって利用されているコラボレーション コード プラットフォーム (GitHub) のインスタンスを作成することで、エンタープライズ レベルのソフトウェアを開発および構築できます。また、GitHub Extension for Visual Studio (英語) を使用することで、より簡単に Visual Studio 2015 から直接パブリックまたはプライベートの GitHub プロジェクトにアクセスし、作業できます。Bing Developer Assistant (英語) を利用すると、世界最大のコード ホストである GitHub からコード サンプルやプロジェクトを検索して取得できます。Visual Studio 用のこれらの拡張機能に関する詳細については、Visual Studio ブログの記事「GitHub Extension for Visual Studio の発表」(英語) および「Developer Assistantへの GitHub の統合」(英語) をご覧ください。

また、Pompeii という、ポンペイの街の 3D 地図も発表しました。これは、50 時間に及ぶドローンを使ったスキャニングから得られた 30,000 点の写真と 30 GB のデータを基に、1,200 時間にわたるデータ計算を実行して作成されています。A7 Azure VM を使用して 3D メッシュを生成し、7,200 億ピクセルのデータと Azure によって生成された数千万個のポリゴンを基に、Babylon.js を使用して、ゲーム コントローラーを使ってポンペイの街を散策できるブラウザー内アプリを作成しています。

続いて Joseph Sirosh がデータについて講演しました。焦点を当てた 4 分野は、分析とレポート、リアルタイム操作、予測分析、および業界改革です。まず、how old do I look (英語) というアプリを紹介しました。このアプリでは、Azure Marketplace の高度な顔分析 API を使用して、Power BI と Azure Stream Analytics のデモを発表しました。次に、Azure Machine Learning を使用した未来予測に話を進め、弊社の Adam Garland を紹介しました。Adam は、Azure Machine Learning の使用経験がなかったにもかかわらず、March Madness の試合結果について Satya、Bing、および Google に勝る予測を立てた社員です。また、Joseph は Machine Learning と自身のゲノム解析結果を使用して、かかりやすい病気のリスク特性を把握する方法も示しました。最後に、Joseph は eSmart Systems (英語) の Erik Åsberg 氏を壇上に迎えました。同社はノルウェーの新興企業であり、Azure サービスと、機械学習やデータの効果を利用して、電力管理業界に改革を起こしています。さらに、本日は REST API および SDK のベータ版ポートフォリオ、Project Oxford (英語) もご紹介しました。Project Oxford を使用すると、開発者は機械学習の応用サービスをソリューションに簡単に追加して、オーディオ、テキスト、画像、ビデオなどのマルチメディアを解釈および認識することができます。

アプリ シナリオについて話すなら、ゲームについても忘れてはなりません。ゲームは一般的に、アプリの収益性が最も高い分野です。Day 2 では、限界にチャレンジするゲーム開発者による、すばらしい例を紹介しました。たとえば、スクウェア・エニックスWitch は、DirectX 12 による PC 上での写実的なリアルタイム レンダリングを初めて実現しました。また、Minecraft の MOD (ゲームの変更プログラム) を Visual Studio を使用して Java 言語で開発できる、新しいオープン ソース プロジェクトも発表しました。デモを披露してくれた Aidan Brady 氏は、Minecraft MOD の有名人であり、Mekanism MOD (英語) の作成者でもある高校生です。Aidan 氏とマイクロソフトの Briana Roberts は、Java による簡単な MOD の構築を実演しました。

マイクロソフトは、常に開発者コミュニティや開発企業と協力して開発者向けイベントを開催し、業界全体で連携して開発者を支援していきます。私が本日 Reactor というコードネームで発表した企画は、マイクロソフトがサンフランシスコに開設する複数の新しいワークスペースです。このワークスペースでは、起業したばかりの新興企業や、開発者コミュニティが共同作業する際の中心拠点を対象として、専門家による指導や技術的なアドバイス、会議や共同作業用の起業支援設備を提供します。

2 時間の基調講演でお伝えした内容は膨大なため、言葉だけでは十分に表わせません。すべてのプレゼンテーションは、それぞれの講演 24 時間後から Channel 9 (英語) でご覧いただけます。

Build は本日で終わりではありません。金曜日いっぱいまでセッションを開催し、そのビデオもオンラインで公開します。来月には、Build ツアーを実施し、Build のテクニカル コンテンツのハイライトを世界中の 25 都市にお届けします。

Build 2015 では、開発者向けテクノロジの進化において大きな、そして新たな旅の始まりの一歩を刻みました。ぜひ、テクニカル コンテンツをご覧になり、ツールをダウンロードして、ご意見をお聞かせください。

皆さんと今後の開発を進めていくことを楽しみにしています。

Guggs

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