日本航空が「最高級」(ファーストクラス) の体験を Microsoft HoloLens を活用して実現

Posted by: 岡部 一志
日本マイクロソフト株式会社 コーポレートコミュニケーション部 部長

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カナダのトロントで開催中のMicrosoft Worldwide Partner Conference 2016 (WPC 2016) において、弊社 CEO サティア ナデラの基調講演の中で、日本航空様の HoloLens を活用したプロジェクトをデモンストレーションを交えて紹介しました。

 

この日本航空様とのパートナーシップについて、マイクロソフトの Transform Blog で紹介させていただきました。以下は、その日本語抄訳版となります。

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[2016年7月11日]

一流シェフのドリームチームによる高品質な機内食、ストレスフリーな顧客体験を実現するウェブサイトの再設計など、飛行機の中にとどまらず、日本航空はすべての顧客に向けて最高級(ファーストクラス)の体験を提供しています。

同社は今回、同様の最高級の体験を従業員に向けても提供しようとしています。Microsoft HoloLens を活用して同社は、整備士訓練生向け、副操縦士を目指す運航乗務員訓練生向けに補助的なトレーニングツールのプロトタイプを開発しました。

日本航空の商品・サービス企画本部 業務部 業務グループ グループ長の速水孝治氏は「HoloLens は当社のビジネスにとって安全面で貢献できると考えています。安全運航は航空会社にとって最も重要な要素です」と語っています。

今までの訓練生は、まず動画やコックピット計器類の印刷物による「2次元的」な教材で訓練を行っていました。HoloLens を使用した運航訓練は「運航乗務員訓練生が知識として蓄えた記憶を体に記憶させることが出来ます。(速水氏)」

また、整備士訓練生はホログラフィックのエンジンや部品でトレーニングすることで、実際のエンジンやコックピットで作業しているかのように訓練や学習を行うことができます。

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Microsoft HoloLens を通して見た航空機コックピット(写真提供:日本航空)

Microsoft HoloLens は Windows 10 を搭載した最初のワイヤレス ホログラフィックコンピューターです。3D のホログラムを現実世界と融合し、ユーザーがその両方とやり取りをできる Mixed Reality (MR:複合現実)技術を採用しています。HoloLens はスタンドアローンで動作し、ケーブル、スマホ、PC との接続は必要ありません。

現在、運航乗務員になる訓練の初期段階にいる訓練生たちは、主にコックピットの計器類の写真を印刷したパネルなどを使用して操作技術を学んでいます。HoloLens を使用することで、目の前に詳細なコックピットの計器やスイッチのホログラムを投影し、自らの手で疑似的に操作することができるようになります。さらに、 HoloLens からカーソルや音声によるガイドも行われます。

整備士の実地訓練のためには、航空機が格納庫で整備中の時間帯や、場所の確保を待たなければならないことがよくあります。更には、エンジン本体を見て触れるためにエンジンカウルを取り外すといった作業の追加時間を考慮するなど、多くの調整作業が必要だったと速水氏は語っています。

HoloLens の採用により場所や時間帯に制約されず、「整備士の目の前に、エンジンがリアルに投影され、重要な部品を確認するといった作業をシミュレーションし、部品の名称やエンジンの構造を学ぶことができるようになりました(速水氏)」

HoloLens の訓練用プロトタイプは日本航空の運航乗務員や整備士から高く評価されています。速水氏は、「HoloLens によって、近い将来、航空機1機丸ごとを教室内に映し出したい」と語っています。

「HoloLens は明確な優位性と潜在能力があると日本航空は考えています。HoloLens が持つ可能性を多く学ぶほど、その特性を社内の訓練目的だけではなく、画期的な顧客体験に活用できるのではないかと思うようになりました」とさらに同氏は語っています。

日本航空は、マイクロソフトとのパートナーシップ、そして、HoloLens の導入により優秀な運航乗務員や熟練の技を有する整備士の養成という事業課題の解決のヒントを得ることができたと速水氏は語っています。これは、LCCが市場シェアを拡大しつつある航空業界のように「きわめて競合が激しい環境」において、とりわけ重要です。

日本航空のようなフルサービスキャリアは「常に新鮮で感動を与えるサービス」により旅行者への差別化を行なわなければなりません。

「これがいかなる局面においても自社のビジネス変革を追求することが重要だと考える理由です」と速水氏は語っています。

Microsoft HoloLens をツールに加えたことで、日本航空はこの目標に向けて飛び立ちました。

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