日本マイクロソフト、エム・データ、大阪大学、人工知能と人間の感情共有の共同研究を開始

[2016年12月12日]

日本マイクロソフト株式会社
株式会社エム・データ
国立大学法人 大阪大学

「女子高生AIりんな」にテレビ番組・CMの放送実績データを取り込み、 人工知能と人間の「共感」分析に活用

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日本マイクロソフト株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長:平野 拓也、以下 日本マイクロソフト)、株式会社エム・データ(本社:東京都港区、代表取締役:関根 俊哉、以下 エム・データ)、国立大学法人 大阪大学(所在地:大阪府吹田市、総長:西尾 章治郎、以下 大阪大学)の3者は、日本マイクロソフトの女子高生 AI(人工知能)「りんな」と、エム・データがテレビ放送(番組およびCM)の放送実績を独自にテキスト化したデータベース「TVメタデータ」を活用することで、人工知能がどのように人間と感情を共有できるかを実証する産学連携の共同研究を、2016年12月21日(水)より実施します。

人工知能の実践的な活用が広がる中で、人工知能に求められる社会的な役割が、ユーザーからの問い合わせ対応や検索のように人間(ユーザー)の命令に従って答えを返すものから、人工知能自らが主体的に人間に関わり、アシストする形に変わってきています。アンドロイドや介護ロボット、りんなのように、人間からの命令を待つのではなく、ユーザーに寄り添い、自らニーズを発見し、主体的に人間のニーズを満たしていく、そうした人工知能の進化が様々な業界・分野で求められています。3者では、人工知能と人間のコミュニケーションにおいて、相手の感情を読み取り感情を共有する、共感することは、今後、人工知能が人間に寄り添い協働していくために必須の技術であると考え、3者で連携して共同研究を行うことにしました。3者では、人工知能と人間が共通の話題にしやすい代表的なコンテンツがテレビ番組やCMの情報であると考え、日本マイクロソフトが「りんな」にエム・データのTVメタデータを活用した新機能を実装し、りんなの480万人以上のユーザーに提供、その反応を3者で連携して分析することで、人工知能と人間の「共感」を検証します。

本共同研究における主な取り組みは以下の通りです。

■女子高生 AI りんなに、エム・データのテレビ番組や番組内で紹介された商品等のデータを取り込み、ユーザーとのやりとりで活用
日本マイクロソフトは、2016年12月21日より、LINE上のユーザーが、りんなとテレビ番組やCMに関する雑談を楽しむことができる、新しい機能を提供開始します。りんなは、過去に放送されたテレビ番組やCM、出演した俳優・芸能人・タレントの情報を、TVメタデータで横断的に取り込むことにより、芸能人がテレビで紹介したおすすめスポット情報を提供する「芸能人聖地巡礼」などの新能力をユーザーに提供します。この能力の実現にあたって、エム・データが保有する、2006年以降に東京エリアで放送された全地上波放送局の24時間放送番組データ(1日あたり約300番組と約3,000の話題)、CMデータ(1日あたり約4,000本)、そして2015年以降に同エリアの同放送局の全番組内で紹介された商品、レストラン、ホテル等に関する商品やサービス(1日あたり約600件)に関するデータを活用します。

■りんなとユーザーのやりとりや、ユーザーの感情を分析、りんなの会話能力に随時反映
大阪大学では、大学院情報科学研究科 マルチメディア工学専攻ビッグデータ工学講座(鬼塚研究室)の荒瀬 由紀准教授が中心となり、ユーザーの感情をポジティブ、ネガティブ、あるいはさらに複雑なマトリックスに分類したうえで、エム・データが提供するTVメタデータを元に、ユーザーがテレビ番組や芸能人に対して抱く感情を人工知能がどのように把握できるかについて研究します。また、マイクロソフトがグローバルで展開している産学連携プログラムである「CORE連携研究プロジェクト」の1つとして、マイクロソフト リサーチと連携し、ユーザーの感情に対して人工知能の適切な返答はどうあるべきか、どのような返答をすることによってユーザーと人工知能が感情を共有しやすくなるのかについても研究・分析します。研究成果は、日本マイクロソフトが「りんな」の会話能力に随時反映していくほか、分析結果の詳細を2017年以降、論文として発表していく予定です。

● 分析のイメージ:
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構文解析して得られる構文木において、各フレーズのsentimentを推定しています。深層学習を用い、ボトムアップにsentimentが構文木上を伝播していくモデル(Socher et al. 2013)になっています。

Richard Socher, Alex Perelygin, Jean Wu, Jason Chuang, Chris Manning, Andrew Ng and Chris Potts: Recursive Deep Models for Semantic Compositionality Over a Sentiment Treebank, Proceedings of the 2013 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing (EMNLP 2013), pp. 1631-1642 (Oct. 2013).

●「女子高生AI りんな」と大阪大学大学院情報科学研究科 荒瀬 由紀准教授が、テレビを見て感情を共有しているイメージ:

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女子高生AIりんなについて
マイクロソフトの Cognitive Services(コグニティブ サービス)(注)の試験的なプロジェクトの1つとして 、Bing検索エンジンで培ったディープラーニング技術と、機械学習のクラウドサービス「Azure Machine Learning」を組み合わせて、 2015年8月に女子高生 AI「りんな」の提供を開始しました。現在では LINE と Twitter 上で 計500万人のユーザーが、りんなとのコミュニケーションを日々楽しんでいます。日本マイクロソフトでは、「りんな」の提供当初から、「りんな」の AI 技術向上のために、様々な形で試験的な取り組みを実施してきましたが、今回のエム・データのTVメタデータ活用は、メタデータを利用する初めての本格的な取り組みです。
(注)コグニティブ サービス:コンピュータが多種大量のデータを瞬時に処理することで、自然言語や音声、画像等を正しく認識するなど、自ら学習し、考え、分析を行うコグニティブ(認知)コンピューティングを、クラウドサービスなどを通じて、サービスとして企業などに提供すること

株式会社エム・データについて
エム・データは、テレビ放送(番組およびCM)の放送実績を独自にテキスト化したデータベース「TVメタデータ」を生成して、調査・分析・配信を行っている、2006年に設立されたデータプロバイダ・リサーチカンパニーです。2014年1月に、民放キー局(在京5局)等と資本提携し、デファクトスタンダードなデータベースを構築しており、主なサービスには、番組やTV-CMの放送内容を詳細に記録した「TVメタデータ」を提供する「①データ配信サービス」、お客様のご要望に応じて調査・分析を行う「②放送実績調査サービス」、放送された話題を露出・報道量等で集計したランキング形式で配信する「③ランキングサービス」、「TVメタデータ」を基点としたビッグデータ解析ツール「④TV Rank」の提供や企業のマーケティング支援、メディアコンサルティング業務等があります。

大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻ビッグデータ工学講座(鬼塚研究室)について
鬼塚研究室では人間のように文章を読み理解する、自然に会話をする、外国語を翻訳するといった高度な言語能力を持つ人工知能の実現を目指して自然言語処理を研究しています。また人やモノ、場所のつながりを表すビッグデータから知識を発見する分散マイニング技術の研究開発に取り組んでいます。

【参考情報】

りんな公式サイト:http://rinna.jp/
エム・データ:http://mdata.tv/
大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア工学専攻ビッグデータ工学講座(鬼塚研究室): http://www-bigdata.ist.osaka-u.ac.jp/
マイクロソフト リサーチ「CORE連携研究プロジェクト」
https://www.microsoft.com/ja-jp/ijarc/core/default_j.aspx

 

【日本マイクロソフト株式会社について】
日本マイクロソフトは、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。マイクロソフトは、モバイル ファースト&クラウド ファーストの世界におけるプラットフォームとプロダクティビティのリーディングカンパニーで、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています。
日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心でき、喜んで使っていただけるクラウドとデバイスを提供する会社」を目指します。

マイクロソフトに関する詳細な情報は、下記マイクロソフトWebサイトを通じて入手できます。

日本マイクロソフト株式会社 Webサイト http://www.microsoft.com/ja-jp/
マイクロソフトコーポレーション Webサイト http://www.microsoft.com/

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