AI に関わる戦略や文化、およびその責任について学ぶビジネススクールを開校

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本発表は、米国時間 2019 年 3 月 11 日に米国で公開されたブログの抄訳をベースにしています

ジョン ローチ (John Roach)
2019年3月11日 

ここ最近、世界で最も急成長している一部の企業が人工知能 (AI) を導入し、ビジネスの課題を解決するようになりました。事実、AI がリーダーシップをどう変えるかについて調べたマイクロソフトの新たな市場調査によると、このような急激な高成長を実現している企業は成長率が緩やかな企業と比較して 2 倍以上も積極的に AI を導入する傾向があることがわかりました。

また、急成長している企業は AI の展開をさらに発展させようとしており、その約半数の企業が、ビジネスにおける意志決定の精度や質を向上させるために今後、さらなる AI のビジネス活用計画を立てています。その一方で、成長率が緩やかな企業群において、同様の計画をしている企業はたった 3 分の 1 程度に過ぎません。しかしながら、同調査によると、高成長企業群ですら、事業全体にわたって AI 統合を実現しているのは 10 社のうち 2 社未満でした。

「人々がやりたいこと、今現在組織で実際に起こっていること、そして、組織の準備が整っているかという現実との間にはギャップがあります」と、ワシントン州レドモンドのマイクロソフト本社で AI マーケティング担当コーポレートバイスプレジデントを務めるミトラ アジジラッド (Mitra Azizirad) は語ります。

「AI 戦略を立てるには、ビジネスの課題以上に超えなければならない課題があります」と、アジジラッドは説明します。「AI 対応の組織文化を浸透させるには、リーダーシップや行動、求められる能力までが関わってくるのです」

戦略策定の課程で経営陣やビジネスリーダーがよく行き詰まる疑問点としては、企業全体に AI を導入するにはどうやってどこから始めればいいのか、AI によって求められる企業文化の変化にどう対応するべきか、責任を持ってプライバシーやセキュリティを保護し、政府の規則や規制に準拠した状態で AI を構築して活用するにはどうすればいいのかといったことが挙げられます。

そこで今回、アジジラッドのチームでは、ビジネスリーダーがこうした疑問に対応できるようにマイクロソフト AI ビジネススクールを開講することになりました。これは、無料のオンラインコースとして提供される上級クラスシリーズで、AI の時代にビジネスリーダーが自信を持って人々を導けるようにするためのものです。

※日本における展開は、具体的な内容が決まり次第ご案内します。

戦略、文化、責任にフォーカス

AI ビジネススクールのコース教材には、簡潔に書かれたケーススタディやガイド以外に、講義や展望、話題などのビデオが用意されており、忙しい経営陣でも時間のある時に少しずつ利用できるようになっています。短い入門ビデオのシリーズは、さまざまな業界に変化をもたらす AI 技術の概要が中心ですが、コンテンツの大部分は AI がもたらす企業戦略や企業文化、および企業責任への影響にどう対応するかにフォーカスした内容となっています。

「このスクールでは、戦略立案の方法を深掘りし、AI を組織に導入する際に妨げとなるものを事前に特定します」とアジジラッドは述べています。

同ビジネススクールは、マイクロソフト全体で実施しているさまざまな AI 関連の学習事業を補完するものです。他の AI 学習プログラムには、開発者向けの AI スクールMicrosoft Professional Program for Artificial Intelligence (マイクロソフトプロフェッショナルプログラム AI 版) などがあり、エンジニアや AI とデータサイエンスの能力を高めたい人に対し、仕事に生かせるスキルや実務経験を提供するものとなっています。

アジジラッドによれば、上記を含む他のプログラムとは異なり、AI ビジネススクールに技術的な要素はなく、内容的には経営陣が AI 変革に向けたジャーニーにおいて組織を先導していけるようなものといいます。

CCS Insight で人工知能をカバーしているアナリストのニック マクアイア (Nick McQuire) 氏は、同氏が調査した企業のうち、 50% 以上がすでに AI や機械学習についてリサーチ中もしくは関連するプロジェクトを追跡したり実行したりしているといいます。ただし、AI を組織全体で活用し、AI によって対処可能な事業機会や課題を特定した組織はまだわずかだとしています。

「理由としては、AI とは何なのか、AI で何ができるのか、そして、最終的に AI をどのように適用できるのかが、ビジネスコミュニティであまり理解されていないためです」とマクアイア氏は語ります。「 マイクロソフトはそのギャップを埋めようとしているのです」

マイクロソフト コーポレーション AI マーケティング担当コーポレートバイスプレジデント ミトラ アジジラッド (Mitra Azizirad)
マイクロソフト コーポレーション AI マーケティング担当コーポレートバイスプレジデント ミトラ アジジラッド (Mitra Azizirad)

ケーススタディから学ぶ

ヨーロッパ、アジア、中東にキャンパスがあるビジネススクール大学院の INSEAD は、マイクロソフトと提携し、AI ビジネススクールの戦略部分を構築することになりました。その中には、さまざまな業界で AI を活用して事業変革に成功した企業のケーススタディが含まれています。

例えば、世界有数の製造ソリューションプロバイダである Jabil のケーススタディでは、同社が AI を活用して電子部品を製造時にチェックし、間接費用の削減と生産ラインの品質向上を実現した手法を解説しています。これにより、 Jabil では社員が機械にはできない付加価値のある活動に注力できるようになりました。

「人的リソースが必要な作業はまだたくさんあります。特に、標準化されたプロセスに合わないものには人が必要です」と、Jabil のシニアバイスプレジデント 兼 最高情報責任者のゲイリー キャントレル (Gary Cantrell) 氏は説明します。

キャントレル氏によると、AI 導入の鍵となるのは、経営層が従業員に対し、AI に関する企業戦略を明確に伝えるよう取り組むことだといいます。その戦略とは、決められた反復作業を削減し、従業員が自動化できない作業に注力できるようにすることです。

「従業員が憶測や疑問を抱いた状況が続けば、一定の時点で必ず逆効果になってしまいます」とキャントレル氏。「そのため、方向性を明確にしてチームをしっかり結びつけることができれば、AI の適用はうまく行き、しかも迅速に進むでしょう」

AI 対応の文化に向けた準備

AI ビジネススクールでは、文化と責任に関してもデータに重点を置いています。というのも、AI をうまく取り入れている企業は、部門や事業担当に関わらず全体で自由にデータを共有しており、全社員がデータを駆使した AI アプリケーションの開発と導入に関わっているからだと、アジジラッドは説明します。

「望むような結果を得るには、まず組織データの利用方法についてオープンなアプローチで進める必要があるでしょう。それが AI の基礎ですから」とアジジラッドは述べています。また、成功するリーダーは AI へのアプローチとして、異なる役割の人を集めてデータサイロを壊すなどの包括的な手法を取るといいます。

その点がよくわかるように、マイクロソフト AI ビジネススクールでは、マイクロソフトのマーケティングチームのケーススタディを紹介しています。同チームでは、AI を活用して営業チームがより多くのリードを獲得できるようにしたいと考えていました。そこで、マーケティングチームでは、ソリューションの構築に向けてデータサイエンティストと協力し、何千にもおよぶ変数を測定してリードをスコア化する機械学習モデルを作成しました。この協力関係では、リードの品質に対するマーケティング担当者の知識と、データサイエンティストの機械学習に関する専門知識が結びついたのです。

「AI、および文化に関しては、解決しようとしている事業課題に一番近い人がきちんと関わっていなくてはなりません」とアジジラッドは語ります。アジジラッドによると、営業チームはリードスコアモデルが質の高いリードにつながると確信し、同モデルを採用しているとのことです。

AI とその責任について

信頼の構築は、責任を持って AI システムを開発し、展開することでも生まれます。これは、マイクロソフトの市場調査による結果と、ビジネスリーダーの考えが一致した部分です。調査によると、高成長企業では、リーダーが AI の知識を深めれば深めるほどAI の展開にはちゃんと責任を持つべきだという認識が高まっていることがわかりました。

AI ビジネススクールでは、責任のある AI の意義について、マイクロソフト自身の取り組みを紹介しています。コース教材には、AI システムを悪意のある攻撃から保護する必要性や、モデルのトレーニングに使われるデータセットの偏りを検出するシステムの必要性など、マイクロソフトのリーダーが教訓を得た実例が含まれています。

「時間が経ち、企業が自ら構築した機械学習アルゴリズムやモデルに運用上依存するようになれば、ガバナンスへの注目度はより高まるでしょう」と、CCS Insight のアナリスト、マクアイア氏は述べています。

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【日本マイクロソフト株式会社について】
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日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する」企業像を目指します。

マイクロソフトに関する詳細な情報は、下記マイクロソフトWebサイトを通じて入手できます。

日本マイクロソフト株式会社 Webサイト http://www.microsoft.com/ja-jp/
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