前例のない四半期を振り返って: テクノロジを駆使した業界イノベーションや新型コロナウイルス感染症対策、そして将来への計画に取り組むお客様をご紹介

ジャドソン アルソフ (Judson Althoff) ワールドワイドコマーシャルビジネス担当 エグゼクティブバイスプレジデント

※ 本ブログは米国時間 4 月 27 日に公開された “Looking back on an unprecedented quarter: customers embrace technology to advance industry innovation, respond to COVID-19 and plan for the future” の抄訳です。

自動車業界と運輸業界の融合が進む中、新たなモビリティサービス分野で 2030 年までに 4 兆ドルもの機会が生まれると予測されています
自動車業界と運輸業界の融合が進む中、新たなモビリティサービス分野で 2030 年までに 4 兆ドルもの機会が生まれると予測されています

今年はこれまでにない年となりました。新たな 10 年を迎えるにあたり、1 月に開催されたコンシューマーエレクトロニクスショー (CES) や全米小売業協会 (NRF) 主催のカンファレンスでは、マイクロソフトのお客様やパートナーが業界をリードするようなイノベーションを披露しました。マイクロソフトも新たな持続可能性に向けた壮大な取り組みと、お客様の二酸化炭素排出量削減を支援する計画を発表しています。それが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) によってすべてが変わりました。通常の事業が混乱に陥り、さまざまな業界の組織が新たな環境へと追いやられたのです。パンデミックの影響を共に乗り越えようとする中で、テクノロジがお客様の機敏性を高め、事業継続性を維持できている状況はすばらしいことだと思います。また、重要な製品やサービスの維持に向け、パンデミック後の復活と新たな日常 (ニューノーマル) に備えつつ、適応力を高め規模を拡大するお客様もいらっしゃいます。

マイクロソフトの CEO サティア ナデラ (Satya Nadella) は、NRF 2020 のオープニング基調講演にて、小売業の未来に関する思いを語ると共に、テクノロジが同業界の変革をどう支援できるかについて解説しました
マイクロソフトの CEO サティア ナデラ (Satya Nadella) は、NRF 2020 のオープニング基調講演にて、小売業の未来に関する思いを語ると共に、テクノロジが同業界の変革をどう支援できるかについて解説しました

さまざまな業界に広がる画期的なイノベーション

2020 年第 1 四半期の幕開けは、自動車分野で次に何が起こるか注目すると共に、マイクロソフトが世界的なテクノロジイベントである CES に参加したことから始まりました。自動車業界は驚異的な速さで変革を進めており、クラウドやエッジ、IoT、AI サービスによってモビリティと自動車体験の未来が急速に形成されつつあります。自動車技術のリーディングカンパニーである Faurecia は、Microsoft Connected Vehicle Platform、Teams、そして Project xCloud を活用することで、自動車内でもインターネットに接続された状態を保ち、生産性を高め、楽しめる状況を作り出そうとしています。LG Electronics では、マイクロソフトの Azure クラウドおよび AI サービスを駆使し、車載インフォテインメントシステムの構築に取り組んでいます。また ZF は、マイクロソフトのクラウドサービスと開発者ツールを活用し、ソフトウェアベースのモビリティプロバイダーに変革しようとしています。

世界最大の小売カンファレンスである NRF では、サティア ナデラ (Satya Nadella) がオープニングの基調講演に立ち、マイクロソフトが小売業者と取り組んでいる内容を語りました。その取り組みには、小売業者がお客様をより深く理解できるようにすることや、デジタルツールで従業員の能力を高めること、共同イノベーションによってよりインテリジェントなサプライチェーンを構築すること、そして最終的には小売業ビジネスを再考することも含まれます。同イベントでは、Walgreens Boots Alliance が HoloLens 2 を活用した従業員向け複合現実トレーニングプログラムを試験導入中であると発表しました。また IKEA は、(現場の第一線で働く人も含め) 7 万人以上の従業員に対し、Microsoft Teams を導入して生産性を高めようとしている様子を紹介しました。さらに H&M は、世界の一部店舗でスマート衣料品リサイクル箱を用意し、より持続可能な未来に向けたファッション業界での継続的な取り組みを Azure IoT で実現していることについて語りました。また、高級アパレルメーカーとして世界最大級の規模を誇る Canada Goose は、Dynaics 365 Commerce ソフトウェアを活用し、エンドレス通路という原理を構築、実店舗で在庫を持たずに全商品をお客様に提供している様子について説明しました。このほかにも Home Depot では、エンドツーエンドのコマースマーケティングプラットフォームである Microsoft PromoteIQ を駆使し、同社の電子商取引サイトの月間 1 億 8000 万人近くもの訪問者の最大化を図っています。また Samsung は、小売店舗などの第一線で働く従業員が仕事中に簡単にコミュニケーションできるよう、プッシュ ツー トーク (押して話す) ボタンを搭載した新しいスマートフォンを発表。これは Microsoft Teams で利用できる Walkie Talkie という新トランシーバー機能を活用したものです。

2 月には、マイクロソフトと BMW が 2019 年に発表した Open Manufacturing Platform の運営委員会メンバーとして、Anheuser-Busch InBevBosch GroupZF Friedrichshafen が加わりました。Open Manufacturing Platform では、業界を超えたコラボレーションや知識・データの共有によって、製造業で大規模なイノベーションが促進できるよう支援しています。

パンデミックの発生

COVID-19 との戦いは続いていますが、お客様がテクノロジで戦いに挑んでいる様子には勇気づけられます。

第一線で働く看護チームでは、看護を必要とする膨大な患者数に対応し、システム内でその数を抑えようと、テクノロジを駆使してトリアージプロセスの規模拡大を実現しています。米国疾病予防管理センター (CDC) では、Azure 上で稼働する Microsoft Healthcare Bot サービスをベースとした COVID-19 評価ボットをリリース、患者の感染スクリーニングや、看護オプションの提案に活用しています。同ボットは、人工知能を利用して患者の事前スクリーニングを行い、看護計画の指導をすることで、医療従事者の負担を軽減します。また、Swedish Health Services では、病院スタッフや管理業務担当者が、リソースや保護用具、人工呼吸器の使用状況を監視できるモバイルアプリを構築しました。このアプリは、Power Platform という緊急対応ソリューションによって病院のダッシュボードと同期され、ベッド数や重要な器具の在庫を管理、その情報を地域全体で共有することで、他の医療従事者が所属する施設でも体制を整えるのに役立てています。

医療従事者が治療を継続的に提供できているのは、遠隔医療によるところも大きいといえるでしょう。例えば、St. Lukes University Health Network では、ウイルス感染の被害を受けやすい患者に対し、医師が Microsoft Teams で安全に 7 万 5000 件ものバーチャル診察を行いました。これにより、直接ウイルスと接触する機会を最小限に抑えられる上、マスクや手袋といった貴重な資源の維持にもつながっています。

教育分野では、学校や大学、学生、保護者の人たちが、遠隔学習モデルに必要なツールを身につけようとしており、マイクロソフトも世界中の学校と協力し、遠隔学習システムによって教室の外で学ぶ文化を育もうとしています。この取り組みの一環としてマイクロソフトでは、Teams を学生や教育者に無償で提供しています。University of Bologna では、8 万人の学生に対する授業のうち 90% を 3 日で Teams のオンラインコースへと移行しました。また、学生が教育の場との関係を維持し、学習を継続するにあたっては、AI も重要な役割を果たしています。University of Sydney では、Microsoft Azure Cognitive Services を活用して AI 搭載ボットを構築、COVID-19 に関する学生からの疑問に対応し、瞬時に回答を提供して追加情報にアクセスできるようにしています。Case Western Reserve University では、医学部の学生が Microsoft HoloLens を活用し、授業に遅れをとることなく没入型遠隔学習を継続しています。教育者のサポートに向けたより大規模な取り組みには、国連教育科学文化機関 (UNESCO) が立ち上げたグローバル E ラーニング構想があります。これは、教育崩壊を最小限にとどめ、社会的なつながりを維持しようというものです。マイクロソフトもこの連合に参加し、教育を決して中断させないようリソースや技術的専門知識を提供しています。

COVID-19 による国家緊急事態宣言への対応として、米国国防総省 (DoD) では従業員の大半をリモートワークへと移行させ、商用バーチャルリモート (CVR) 環境を構築して安全なテレワーク機能を DoD 内全域で働く数百万人ものユーザーに提供しました。マイクロソフトと DoD の継続的な取り組みにより、今後数週間以内に DoD は Office 365 と Microsoft Teams の単一ユーザー組織としては最大規模に達する予定で、これまで以上に導入スピードも早まっています。

COVID-19 によって従業員が在宅勤務となり、静まり返る米ワシントン州レドモンドのマイクロソフト敷地内
COVID-19 によって従業員が在宅勤務となり、静まり返る米ワシントン州レドモンドのマイクロソフト敷地内

COVID-19 の治療に向けた研究を加速させるため、マイクロソフトではさまざまな業界との取り組みを進めています。最近では、このパンデミックへの戦いに AI を適用しようと、C3.ai やトップクラスの大学と共に新たなコンソーシアムに参加すると発表しています。この取り組みでは、COVID-19 の感染速度を抑えると共に治療法の開発を加速させ、進化を予測して公衆衛生戦略を向上させることを目指しています。また、マイクロソフトはホワイトハウスによるコンソーシアムにも参加し、世界中の COVID-19 の研究者が最も強力なハイパフォーマンスコンピューティングのリソースにアクセスできるようにし、科学的発見の速度を大幅に高められるよう取り組んでいます。マイクロソフトはテクノロジでお客様をサポートすることはもちろん、従業員の安全も保ち、地域社会の公衆衛生と健康を守る取り組みに貢献しています。

今後の計画

ここ数週間で、マイクロソフトは金融サービス部門やメジャーリーグスポーツ、消費材およびサービス部門における画期的な新パートナーシップの詳細をご紹介してきました。BlackRock は Aladdin プラットフォームを Microsoft Azure に移行しましたし、NBA では Azure とその AI 機能でファン体験の再定義とパーソナライズに取り組んでいます。先週は、NFL がマイクロソフトとの深いパートナーシップの一環として、Microsoft Teams と Surface をテクノロジソリューションとして活用、史上初のバーチャル NFL ドラフトを実現しました。また The Coca-Cola Company は本日、マイクロソフトのクラウド上で業務標準化に取り組むと発表、同社の従業員やお客様との関係を新たなものにしようとしています。さらに 3 月下旬には、マイクロソフトが完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワークソリューション分野のリーダーである Affirmed Networks を買収することで合意したと発表しています。この買収は先週完了しましたが、これにより今後マイクロソフトは電気通信業界との取り組みを進化させ、通信事業者向けの安全で信頼性の高いクラウドプラットフォームを構築すると共に、引き続き相互運用性に注力し、サプライヤーや新興イノベーター、その他の関係者と強固なパートナーシップを構築してクラウドベースのソフトウェア定義型ネットワークを 5G コネクティビティの世界へと広げていく予定です。

さまざまな業界のお客様やパートナーがデジタルツールを活用し、先の見えない状況で取り組みを進めている様子にとても刺激を受けています。COVID-19 によって生活は混乱していますが、回復力も垣間見ることができており、すでに私たちは機会にあふれイノベーションと創意に満ちたニューノーマルを共に構築する準備ができていると確信しています。

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