Microsoft Teams で開催した国内初のオンライン決算説明会、リアルタイム双方向性を生み出すために SBテクノロジーが実践した工夫とは?

2020年3月期 決算を説明する、SBテクノロジー株式会社 代表取締役社長 CEO 阿多 親市氏 決算内容の説明時のみ、マスクを外して対応
2020 年 3 月期 決算を説明する、SBテクノロジー株式会社 代表取締役社長 CEO 阿多 親市氏
決算内容の説明時のみ、マスクを外して対応

毎年 4~6 月は、企業の決算発表、株主総会、そして新商品・新サービスの発表会などステークホルダーや報道関係者を集めた大きなイベントが数多く開催される時期ですが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から「オンライン発表会」の形式を取る企業が数多く見られます。一方、これから開催を予定している企業のなかには「どのように実施するのが適切か」とその方法を模索している方も多いのではないでしょうか。

ベストな方法を手探りするなかで、特に多くの企業が悩むのが「どうすれば、双方向のライブ感を参加者に提供することができるか」や「どのように公平かつ透明性が高い質疑応答を実施するか」という点ではないでしょうか。オンライン発表会の場合、従来、会場で手渡ししていた資料は事前にデータで配布したり画面に映し出したりすることができますが、参加者は情報を一方的に受け取るだけになりがちです。双方向を重視し、終始自由に発言できる環境を用意してしまうと、発表会がディスカッションの場になってしまうかもしれません。

こうした課題を解決した好例といえるのが、SBテクノロジー株式会社です。同社が 2020 年 4 月 27 日に開催した「2020 年 3 月期 決算説明会」は、コラボレーションツール「Microsoft Teams」を活用して、臨場感のあるオンライン決算説明会になりました。利便性に加えて、セキュリティや信頼性の高さが求められることから、Microsoft Teams を活用した国内初の決算説明会となりました。この取り組みにおいて、どのような点を工夫していたのか、そのポイントをご紹介しましょう。

重要なカギを握る、「利用マニュアル」と「事前テスト」

今回のオンライン決算説明会では、「Microsoft Teams」のライブイベントの機能を使い、パソコンやスマートフォン、タブレットから記載された URL にアクセスするだけで説明会に参加できるように案内されました。マイクやチャット機能で発言できる権限を付与しており、視聴するだけではなく参加者側からも随時、発表内容についてフィードバックができるようにしてあるのが大きなポイントです。数十名が参加して大きなビデオ会議を開催するようなイメージです。

しかし、投資家や証券会社担当者、報道関係者のなかには、こうしたビデオ会議の環境に馴染みのない方もいる可能性があります。そこで、SBテクノロジーでは事前に 2 つの準備をしました。

ひとつが、利用マニュアルの配布です。オンラインで決算説明会に参加するための事前準備から、本番当日に発表会に参加・視聴するための操作の流れ、そして質疑応答の方法に至るまで、スクリーンショットを使ってわかりやすく説明した資料を、「PC ブラウザ版」「iPhone 版」の 2 種類用意して、参加者に配布しました。どのボタンを押すのか、どのように入力するのかなど、ネット初心者でもわかる丁寧なマニュアルになっている点が大きなポイントです。

加えて、そのマニュアルには、円滑にオンライン発表会を実施するためにいくつかの「ルール」が設定されていました。

1.参加者は「氏名+会社名」で会議に参加する

2.参加者はマイク、カメラを終始 OFF にする

3.質疑応答ではチャット機能を使い「質問あり」と送信する

4.司会から指名された方のみ、マイク機能を ON にして発言する

5.質疑が終わったら速やかにマイクを OFF にする

参加者名にルールを設け、そしてマイクやカメラを常時 OFF にさせることで不用意な発言が配信中に入り込まないようコントロールし、そして質疑応答の際には「チャットで呼びかけ→司会が確認→質問者が発言」という流れをシンプルに、そしてわかりやすく示すことで、質疑応答の際には参加者が積極的に参加できる環境を整えました。

会議への参加方法や質問の方法など、スクリーンショットを多用してわかりやすく解説 (資料提供:株式会社 環)
会議への参加方法や質問の方法など、スクリーンショットを多用してわかりやすく解説 (資料提供: 株式会社 環)

そして、事前準備のふたつめは、「接続テスト」と呼ばれる予行練習の実施です。SBテクノロジーでは、決算説明会が開催される数日前に、この「接続テスト」を 2 日間、各 1 時間ずつ用意。参加者はマニュアルに沿って、この日のために用意された「テスト専用オンライン会議」に参加しました。

「接続テスト」はわずか 2 分ほど。まずは自分が「会社名+氏名」で参加できているかを確認した上で、チャットにコメントをします。すると、SBテクノロジーの担当者がコメントを確認して呼びかけるので、参加者はマイクを ON にして SBテクノロジー側に自分の声が届いているかをテストします。テストの流れ、操作するボタンなどは常に画面に表示されているのでわかりやすく、確実にテストを実施することができました。

接続テストでは、操作方法を説明する画面が表示され、音声でのサポートが提供された
接続テストでは、操作方法を説明する画面が表示され、音声でのサポートが提供された

■ オンライン説明会を円滑に進行

接続テストの開催を経て迎えた決算説明会当日。参加者には事前に氏名の書き方のルールとマイク、カメラの OFF が呼びかけられ、定刻を迎えました。なお、事前接続テストの結果、参加者の社名が長い場合は表示名が切れてしまうことがわかったため、即時に識別できるように氏名を前にしたそうです。

開会直前にも視聴中のお願いや操作ボタンの説明を表示
開会直前にも視聴中のお願いや操作ボタンの説明を表示

決算説明会は、SBテクノロジー本社のセミナールームから配信されましたが、同会場では、関係者全員の検温、マスクの着用、間隔をあけて着席、換気などの基本的な対策がとられ、登壇者が説明するときだけ、マスクを外していました。

決算説明のプレゼンテーションは、登壇者の映像とプレゼンテーション資料を切り替えながら進行し、リアルタイム視聴者は関係者も含めて 80 名ほど。遅れて参加した人や途中で退席したり再度参加したりした人もいましたが、約 1 時間の説明会を通じて、事前にマニュアルやテストで「マイク、カメラの OFF」を案内していたこともあり、プレゼンテーション中に不用意な発言が入り込んでしまうこともありませんでした。

プレゼンテーションが終了して質疑応答の時間になると、司会者は「質問のある方は、チャットにてコメントをお願いいたします。(チャットの) 投稿の順番に呼びかけます。」と案内。投資家や証券会社の担当者などから「質問あり」のチャットが寄せられ、司会から氏名された質問者は順番にマイクのミュートを解除して質問を行っていました。途中、質問者がマイクボタンと退出ボタンを押し間違えてしまうというハプニングもありましたが、質問者の音声もはっきりと聞き取ることができ、スムーズに質疑応答が進行していきました。こうして円滑に進行した背景には、事前のマニュアル配布と接続テストの実施も大きく寄与しているものと考えられます。

質疑応答の模様。質問の呼びかけはチャットからも行われていた。

ツールの使い勝手をある程度理解している社内のチームメンバーや取引先とのオンライン会議とは異なり、広く様々な参加者が集まるオンライン発表会では ICT のリテラシーやツールに対する理解に大きな幅があるものです。もし「参加したいけれど使い方がわからない」という人が参加を断念してしまうと、ステークホルダーと企業のエンゲージメントへの影響も懸念されます。オンライン発表会に誰でも参加できる環境を提供するためには、ツールを活用するだけではなく、参加者に対する十分な配慮と事前の準備が大きなカギを握るのではないでしょうか。

なお、今回 Microsoft Teams を活用したオンライン決算説明会を開催した SBテクノロジーは、マイクロソフトのクラウドビジネスにおけるパートナー企業として、大手企業を中心に数多くの導入実績があり、これまでに「マイクロソフト パートナー オブ ザイヤー」を 7 回受賞されるなど、マイクロソフトのクラウド製品導入に豊富なノウハウを持っています。今回のオンライン決算説明会の開催について、次のようにコメントしています。

「今、緊急事態宣言の発出により、多くの企業が在宅勤務やイベント自粛を余儀なくされています。Microsoft Teams を活用することで、特別な機材やシステムを揃えることなく、セキュアにイベント開催やコミュニケーションを実現することが可能です。今回の取り組みが、少しでも皆さまの参考となり、この難局を乗り越える一助になれば幸いです」

[参考情報]
SBテクノロジー株式会社プレスリリース【開催報告】SBT、新型コロナウイルス感染拡大防止への対応で本決算説明会を Microsoft Teams によるライブ配信で実施

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