新ツールが、人々の健康を増進し、在宅勤務による予期せぬストレスを軽減

バネッサ ホー (Vanessa Ho)
2020 年 9 月 22 日

※ 本ブログは、米国時間 9 月 22 日に公開された “New tools can help boost wellbeing and soothe unexpected stresses of working from home” の抄訳です。

パンデミック宣言から 6 カ月後、多くの人々にとって在宅勤務は当たり前のものになりました。しかし、それには代償があります。カマル ジャナダン (Kamal Janardhan) にとっては同僚との習慣だった午後のティータイムがなくなったことでした。シャムシ イクバル (Shamsi Iqbal) にとっては、ビデオ会議の連続と子育てによって集中できる時間がなくなることでした。チャールズ モリス (Charles Morris) にとっては、仕事と家庭の境界線が曖昧になることでした。

この 3 人のマイクロソフト従業員 (主任エンジニア、研究者、人事マネージャー) にとって、在宅勤務ができることは幸運でした。また、専門家である彼らは在宅勤務が一般的にもたらすストレスにも対応し、精神集中 (マインドフルネス) を教え、生産性について研究し、多くの人にとってパンデミック以前にあった交通渋滞に悩まされる通勤にも実は利点があったという意外な事実を発見しました。

今週開催される Microsoft Ignite において、マイクロソフトは、世界中の人々の健康と生産性の支援を目的とした、Microsoft Teams と Outlook の新機能を発表します。これらの機能には、仕事と家庭との切り替えを容易にするバーチャル通勤機能、マインドフルネス瞑想のグローバルリーダー Headspace のサービスとの統合などがあります。

また、同僚とのつながりを深めたり、集中して仕事をしたり、休憩時間を確保したり、個人・マネージャー・リーダーがパーソナライズされた洞察やパターンを得るためのツールも提供されます。

これらの新機能の背後にあるデータによる洞察獲得のプラットフォーム、MyAnalytics と Workplace Analytics 担当ゼネラルマネージャーのジャナダンは「テクノロジは、在宅勤務の実現や生産性維持に重要な役割を果たしているだけでなく、健康を維持・向上する上でも重要な役割を果たします」と述べています。

「マイクロソフトには、企業による従業員の健康とマインドフルネスの育成が、後付けではなく当然のものとして一日の仕事に織り込まれているようする責任があります。従業員の健康に焦点を当て、あらゆるレベルの従業員にマインドフルネスを取り入れてもらうことで、ビジネス全体を変えることができます。企業の業績を向上し、全従業員の意識を変えることができるのです。」

これらの機能は、いくつかのマイクロソフトの調査で明らかになった在宅勤務の課題を人々が克服できるよう支援するために設計されています。ある調査では、在宅勤務ではオフィスに通勤する場合と比較して平日の残業時間が多くなることが判明しています。別の調査では、ビデオ会議、疎外感、常に「オン」状態である感覚などによって、在宅勤務がストレスや精神的疲労につながりやすいことが示されています。

チャールズ モリス (写真提供: 本人)

マイクロソフトで、マインドフルネスと瞑想に関する講師を務める人事ディレクターのモリスは「私たちは、仕事と家庭の境界線が薄まり、1 杯の大量のスープのような状態にあります。仕事を少しこなし、家族との生活を少しこなし、自分自身のケアを少しこなすという状態です。このようなマルチタスク状態では、私たちはあまり生産性を発揮できない傾向があります。」

Teams のバーチャル通勤体験は、かつて物理的な通勤がもたらしていた境界線の作成を支援します。一日の仕事の初めに「通勤」をスケジュールすることで、散歩やコーヒーなど仕事に向けて気持ちを準備するための時間を割り当てられます。一日の終わりの「通勤」は、一日の反省をしたり、仕事の達成を祝ったり、後回しにしたタスクを TODO リストに登録したり、Headspace を使って瞑想したりすることで、仕事から気持ち完全に切り離せるようカスタマイズできます。

この機能は、イクバルとその同僚による研究に触発されたものです。イクバルは、Microsoft Research において休憩時間の重要性家庭と仕事との切替えに関する研究を行っています。Microsoft Research AI の主任研究者であるイクバルは、通勤は仕事と家庭を精神的に切り替えるための一連の時間を提供しており、それが健康や生産性に貢献していたと述べています。

「『もう通勤しなくてよくなってうれしい。時間も節約できる』と言う人がいます。しかし、仕事に向けて気持ちを盛り上げ、そして、仕事の後にリラックスするというルーチンがないと人は一日の終わりには疲れ果ててしまいます。」

「人は長時間集中力を高めた状態では働けないということを示唆する、感情のホメオスタシスという考え方があります」と、マルチタスキングにおける注意力の管理に関して人々を支援する専門家であるイクバルは述べています。

「生産性を維持するためには、仕事から離れてエネルギーを補充する必要があります。燃え尽きを防ぐためには、気分転換がきわめて重要です。」

バーチャル通勤体験は、2021 年前半に提供開始されます。

ミーガン ジョーンズ ベル (写真提供: Headspace)

Headspace との統合機能も 2021 年に提供開始されます。これにより、バーチャル通勤や、重要な会議の前や重要なプロジェクト開始前で集中が必要な時など、仕事中の任意の時間に、Teams によって瞑想の時間をスケジュールすることができるようになります。

世界 190 カ国の 6,500 万人以上の人々がアプリとオンラインサービスを利用している Headspace の最高戦略・科学責任者、ミーガン ジョーンズ ベル (Megan Jones Bell) 氏は「マイクロソフトと協力して、世界中の人々の生活にマインドフルネスを提供できることをとてもうれしく思っています。私たちは、働く場所で人に会うことで、自身の健康維持を優先することを促し、メンタルヘルスのルーチンを一日のあらゆる時間に統合できるようになることを願っています」と述べています。

Headspace による瞑想はストレスを軽減し、集中力を向上し、回復力を高めることが実証されています。1 日 10 分程度の短いセッションでも、現在の意識に注意を向けられることによるメリットを享受できます。

「マインドフルネスは、ストレスから生まれる心の中の雑音を解消するのに有効な方法です。忙しさの罠から一歩踏み出して、自分自身を確認することができる内なる一時停止ボタンということもできるでしょう」とジョーンズ ベスは述べます。

従業員向けの精神集中と瞑想プログラムとして Headspace を割引価格で提供しているマイクロソフトは、新しい Headspace 統合機能と Teams のバーチャル通勤の「最初の顧客」になります。

10 月には、従業員間のつながりを強め、集中して仕事や休憩のための時間を確保できるようにするための、Teams 内の新しい体験、Stay Connected と Protecting Time が提供され、個人の生産性に関する洞察を得られるようになります。Outlook で配信される Cortana によるメールの要約が、同様の生産性に関する洞察と推奨アクションと共に利用できるようになります。

Stay Connected 機能は、フォローアップを必要とする可能性のある重要な協業者を、関連する文書やメールを含めてインテリジェントに表示します。また、仕事・遊び・健康に関連したミーティングのスケジュールも簡単に立てることができます。

ワシントン州レドモンドの自宅近所の公園で散歩をしながら Teams の会議を行うカマル ジャナダン (写真提供: ダン デロング (Dan DeLong))

「在宅勤務による最大の損失の 1 つは、会議の最初の雑談、コーヒーブレイク、一緒の昼食などによる人間的つながりが失われてまったことです」とジャナダンは述べます。

かつて、彼女のチームは、どんな天気でも行われていたハードなウォーキングミーティングのために、オフィスにレインジャケットと頑丈な靴を要していた方が良いと冗談を言っていました。

「今は互いが恋しくなり、別々の場所で同時に歩くウォーキングミーティングを行おうと思い始めました。同じように別々の場所で同時に瞑想したり、ストレッチしたりすることもできるでしょう」とジャナダンは述べます。

Protect Time は、カレンダーが会議でいっぱいになる前に、集中して仕事をする時間、休憩時間、個人的な約束のための時間をユーザーが確保できるようにします。これは、最近、イクバルが、会議で特に疲れた一日の後に「集中タイム」を確保するために使用し始めた MyAnalytics の洞察に基づいています。

「この効果は目覚ましいものでした。仕事をうまく進めるためにはカレンダーを仕事で埋めてはいけなかったのです」とイクバルは述べます。

イクバルと彼女のチームは現在、2 人の活発な息子と一緒に昼食を食べる時間、勉強を手伝う時間、一緒に自転車に乗る時間など、様々な種類の仕事以外の時間の影響を研究しています。

2017 年のワシントン州レドモンドでのシャムシ イクバルと息子ネハーン。現在、イクバルはパンデミックのために在宅勤務しています。(写真提供: ダン デロング)

「丸一日が仕事になってしまわないよう注意する必要があります。散歩に出かけたり、音楽を聴いたり、ソーシャルメディアをチェックしたり、家族と過ごしたりなど様々なやることがあります。休み時間を楽しみすることで、仕事の効率が向上するのです」とイクバルは述べます。

従業員の健康には組織による理解と支援が必要です。これが、マイクロソフトが Teams にマネージャーとリーダー向けの洞察機能を提供する理由です。本機能は、10 月から提供開始される予定であり、チームメンバーに長時間労働による燃え尽きのリスクがないか、顧客や同僚と良好なつながりを維持できているか、仕事の進捗は良好かなどを、集約されたビューで表示します。

ダッシュボードが、研究成果に基づいた推奨アクションを表示し、マネージャーやリーダーによる従業員の健康維持を支援します。Teams に新しい Insights アプリをインストールすることで、この新機能が使えるようになります。

Microsoft 365 のマーケティングディレクター、バービー スタフォード (Barbie Stafford) は、「従業員の健康は生産性向上に不可欠です」と述べています。

「健康は組織のあらゆるレベルに浸透していなければなりません。ゆえに、健康に関する洞察は個人だけではなく、新たな働き方を推進する立場にあるマネージャーやリーダーにも提供する必要があります。」

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