Azure Applied AI Services が AI ソリューション開発を加速し、ビジネスの成長を支援

ジョン ローチ (John Roach)
Microsoft Research & Innovation Writer

※ 本投稿は、米国時間 5 月 25 日に公開された “Azure Applied AI Services accelerate AI solution development to help businesses soar” の抄訳を基に掲載しています。

ドイツの航空会社である Lufthansa CityLine のターンアラウンドコーディネーターは、空港内のゲートに駐機している 10 機ほどの飛行機の映像を表示したモニターに常に目を釘付けにしています。コーディネーターの仕事は、すべての旅客が安全に、時間通りに、そして荷物と共に目的地に到着できるよう、飛行機の荷下ろし、燃料補給、清掃、備品補充、および荷積みを確実に行うことです。

ターンアラウンドの行程で失われた数分が積み重なると、航空会社にとって年間数 100 万ドルの損失になる可能性があります。多くの業界人が言うように、飛行機は空を飛んでいる間にしか利益を上げられません。

Lufthansa CityLine の事業開発およびプロジェクト管理の責任者である フィリップ グラインダマン (Philipp Grindemann) 氏は、「自動車レースのピットストップを思い浮かべてください。航空機のターンアラウンドでも同じようなことが起こります。すべてのプロセスが、時間通りに、迅速に、無駄なく行われる必要があります」と述べています。

Lufthansa CityLine は、世界的ネットワークを擁する世界有数の航空会社グループ Lufthansa の子会社です。ルフトハンザは、ドイツのフランクフルトとミュンヘンにハブ空港を置いています。Lufthansa CityLine は、ヨーロッパ各地の目的地とこれらのハブ空港を結び、1 日あたり 300 便以上を運航しています。顧客の満足度を高め、Lufthansa の収益を向上させるためには、定刻通りの到着と出発が不可欠です。

天候以外の遅延の原因として、綿密に組み立てられたターンアラウンドのプロセス中の手違いがあります。業界の他の多くの企業と同様に、Lufthansa CityLine では、手動のタイムスタンプを使用して、ターンアラウンドプロセスの各ステップの開始と終了のタイミングを把握し、タイムスタンプデータに基づき、ターンアラウンドをより速く、無駄のないものにするためにどこを調整すべきかについての洞察を得ています。

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Lufthansa CityLine は、Lufthansa Group のコンサルティング企業 zeroG と提携し、試行プロジェクトを開始しました。zeroG は、Lufthansa Systems が、世界中の航空会社のオペレーションと業務プロセスにおける人工知能の活用を加速するために設立した企業です。その一例が、AI によるターンアラウンド管理の改善です。

zeroG の Deep Turnaround ソリューションは、Live Video Analytics と Azure Video Indexer の機能を組み合わせたマイクロソフト社の新サービス Azure Video Analyzer を活用しています。Lufthansa では、動画フィードから自動的にタイムスタンプを生成し、ターンアラウンドが予定のスクリプトから外れたときにアラートを発信します。

「Deep Turnaround の透明性によって、ケータリング業者がいつ到着するか、航空機を降ろすためのブリッジがいつ到着するかを知ることができ、航空会社はプロセスをコントロールし、以前よりもはるかに無駄のないプロセスを実現することができるようになりました」と zeroG の主任コンサルタント、マニュエル バン エッシュ (Manuel van Esch) 氏は述べています。

たとえば、燃料トラックが予定よりも遅れて到着した場合、Deep Turnaround はターンアラウンドコーディネーターなどの地上業務担当者にアラートを発信します。このアラートをきっかけに、飛行機に 2 台目の燃料トラックを派遣するなど、遅延を防ぐための解決策が検討されます。

Applied AI Services

Azure Video Analyzer は、火曜日にマイクロソフトが開発者向け年次カンファレンス Microsoft Build で発表した、Azure Applied AI Services の数多くのサービスの一部です。Azure Video Analyzer、Azure Metrics Advisor、Azure Bot Service、Azure Cognitive Search、Azure Form Recognizer、Azure Immersive Reader といった Azure Applied AI Services のサービスは、特定のシナリオに応じた AI ソリューションの開発を加速します。

Azure Applied AI Services は、Azure AI の製品とサービスの中核となる AI モデルを基盤として構築されています。その中には、カスタマイズ可能な AI モデル、テキストから意味の抽出、アプリやサービスへの音声の統合、画像や動画内のコンテンツの識別と分析、そして意思決定などを支援する AI ソリューションの構築ツールを提供する Azure Cognitive Services も含まれています。

また、お客様は、これらのサービスをカスタマイズし、Azure Machine Learning の独自のカスタムモデルで拡張することで、特定のビジネスニーズを満たすこともできます。

マイクロソフトの Azure AI 担当コーポレートバイスプレジデント、エリック ボイド (Eric Boyd) によれば、お客様は日常的に AI の可能性を感じているものの、ソリューションの構築は予想以上に難しいとの声を上げています。

「Azure Applied AI Services の目的は、一般的なビジネスプロセス向け AI ソリューションの開発を加速するための追加的なパッケージングと構造を提供することです」とボイドは述べています。

たとえば、Azure Video Analyzer サービスでは、Azure Cognitive Services の Computer Vision と自動キャプションモデルに加えて、既存の監視カメラの動画フィードやビデオ管理システムを統合する機能が含まれており、企業がビデオ分析ソリューションを容易に構築できるようになっています。

ボイドの Azure AIチームは、一般的なビジネスシナリオに対してお客様がゼロからの構築を繰り返しているのを見てきました。マイクロソフトは、それらのシナリオを対象に Azure Applied AI Services というカテゴリーを新設しました。たとえば、Azure Form Recognizer は、テキストを認識するコンピュータビジョン技術である OCR をベースとしており、領収書の読み取りや問診からのデータ抽出など、多くのビジネスソリューションの重要要素となります。

「お客様が求める機能をアプリケーションに取り込むためには、やるべきことが数多くありました。単にテキストを取得するだけでは十分ではありません。ドキュメントの構造を理解し、『誰かが記入したこのフォームの情報を私のデータベースに入れたい』と言う声に応える必要がありました」とボイドは述べています。

Azure Form Recognizer は、OCR 技術をベースにし、ドキュメント全体の構造を理解し、関連する情報を抽出してデータベースに登録するフレームワークを備えています。

マイクロソフトの社内 AI ソリューションを活用

Azure Applied AI Services の多くは、もともとマイクロソフト社内の製品やサービス向けに開発された AI ツールをベースにしています。たとえば、Azure Metrics Advisor は、マイクロソフトの検索エンジン Bing 向けに、ある国からの問い合わせの急増や、広告収入の急減など、通常から逸脱した状態を検知するために開発されたツールをベースにしています。

「検索の状況は日々変化するため、その異常を検知することができれば、より迅速に問題に対処し、解決することができます。この異常検知サービスは、Power BI などの様々な場所に展開されていますが、それは開発者向けインターフェイスであり、多くの要素をつなぎ合わせる必要があります」とボイドは述べています。

マイクロソフトは、Azure Cognitive Services の 1 つである Anomaly Detector を通じて、このテクノロジを一般に公開しました。Azure Applied AI Services では、Anomaly Detector のテクノロジをベースに一般的な法人顧客向けソリューションとして調整し、指標を監視して問題が発生した場合にはアラートを発行し、問題解決のためにどこを見ればよいかを示すソリューションを容易に展開できるようにしました。

Azure Bot Service のバックエンド開発は、Azure Metrics Advisor と同様の軌跡を辿っているとボイドは指摘します。このサービスは、Language Understanding、QnA Maker、Speech to Text、Text to Speech など、Azure Cognitive Services の中核となる音声や言語技術をベースにしており、インテリジェントな会話アシスタントの開発を支援します。

「複数の Cognitive Services サービスを組み合わせてパッケージ化し、お客様がよりシンプルに全体を組み合わせて使えるようにしました」とボイドは述べています。

AI によってさらなる価値を創出

今回、Azure Applied AI Services カテゴリーで提供されるサービスの中には、Azure Form Recognizer や、開発者が年齢や能力に関係なく読み書きを改善する技術をアプリケーションに実装できる Azure Immersive Reader など、これまで独立した Azure Cognitive Services として提供されていたものもあります。

Azure Bot Services や開発者がアプリや Web サイトに AI を活用した検索機能を統合できる Azure Cognitive Search などのその他のサービスは、Azure AI の下で個別に提供されていました。

今回の製品再編は、企業のお客様が共通のビジネスプロセスに対する AI ソリューションを見つけやすくすることを目的としているとボイドは述べています。Azure AI チームが特定の業界のお客様と協業し、Azure AI サービスを組み合わせて同じような問題を解決しているお客様を目の当たりにすることで、この新しいカテゴリーは今後数カ月から数年の間に拡大していくことが予想されます。

「『どのようにパッケージ化し、組み合わせ、簡素化するか?』というこのカテゴリーは、人々に AI の強力なパワーを理解し、『自社のビジネスの全分野に適用する必要がある』と考えていただくようにする上で有用です」とボイドは述べています。

Lufthansa CityLine が試験的に導入した Deep Turnaround ソリューションに、zeroG が Azure Video Analyzer を採用した背景には、データを生成して、理解する AI の能力があります。また、航空会社のチーフデータオフィサーであるグザビエ ラガルデール (Xavier Lagardere) 氏によれば、これは Lufthansa Group 全体の AI によるデジタルトランスフォーメーションの始まりに過ぎません。

「私たちは、データに基づいて選択、決定、さらには、行動することに関しては、まだシステムとしてリアルタイムのデータドリブンな企業にはなっていません。私たちが日々生み出している膨大な量のデータを、将来的に活用できることに大いに期待しています」とラガルデール氏は述べています。

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