日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ事業本部 流通サービス営業統括本部長 山根 伸行
日本マイクロソフトは、2021 年の注力分野に「市場・お客様のデジタルトランスフォーメーション (DX)」を位置づけ、小売・消費財製造業を含む各業界のお客様の変革を支援しています。
現在、2025 年の崖や新型コロナウイルス感染症の拡大といった業界を問わない課題に加え、小売業では消費者行動の変化を受けてのイーコマースの再創造やリアル店舗の再定義、消費財製造業では直販 (D2C) やサプライチェーン、サスティナビリティなど、業界特有の変化への対応に迫られています。
このような現状を受けマイクロソフトは、小売・消費財製造業のお客様に対してそれぞれ 4 つの軸により DX 推進の支援策を展開しています。また、同業界では、海外を皮切りとして中長期的な戦略的パートナーシップを結ぶ例が増加しており、今回は支援策の詳細とあわせて国内外の戦略事例について紹介します。
■ 小売業向けの支援策と三越伊勢丹様、イオン様のDX推進事例
小売業においては、小売業のIT活用活性化のために業界団体の DX 推進活動に参画しているほか、国内のITベンダー約 500 社と協力して、店舗システムを中心としたIT国際標準仕様の策定にも取り組んでいます。
また、お客様に、Enabling Intelligent Retail、DX を推進可能なインテリジェントな企業に変革いただくべく、デジタル基盤を提供し、「顧客理解の促進」「従業員の強化」「サプライチェーンの高度化」「小売業ビジネスの再創造」を軸に支援策を加速しています。
Enabling Intelligent Retail を支えるデジタル基盤となるのが、小売業に特化したクラウドである「Microsoft Cloud for Retail」です。これまでの小売業における知見を元に機能を統合した包括的なクラウドプラットフォームであり、データを統合的に管理し、AI により予測的に分析し、コラボレーションにより効率的に業務や施策を進められるよう支援します。2021 年の 1 月よりプレビュー版を提供しており、今後も以下サイトなどで最新情報をご紹介していきます。
こうした支援により実際に DX を推進されている、先進的な国内の事例として三越伊勢丹様、イオン様の取り組みを紹介します。
三越伊勢丹様は、Microsoft Azure をベースに仮想都市プラットフォームを立ち上げ、仮想店舗を築くことで、新しい百貨店ビジネスを創出されています。スマートフォンで入れる仮想世界に注力されており、アバターで友人とコミュニケーションしながら、歩き回って思わぬものに出会うといった、デジタルとアナログが融合した DX による新しい体験価値を提供されています。仮想空間内でリアルにはないファッションやエモーション、アバター等のデータ売買、将来的には仮想店舗としての伊勢丹のみならず、新宿仮想都市プラットフォーム上に様々なサービスやエリアが形成されていくパートナーシップの枠組みも検討しています。
イオン様では、DX を継続的かつ加速するための人材育成に取り組まれています。「気づく・学ぶ・創る」をテーマに 3 年前に開始したスーパーマーケット事業関連有志による勉強会「SM-DX Lab]が、グループ全体へと拡がっています。社長からアルバイトまで誰もがオンライン上で学ぶために、6 月に開催された最新回では国内外約 3000 人が参加。AI を活用した売場の可視化など本取り組みをきっかけとした DX 推進プロジェクトも生まれています。本取組を通じたまいばすけっと様の事例はこちらです。Microsoft Customer Story-利益を上げるための店舗改善にデータ / AI を活用するまいばすけっとの取り組み
■ 消費財製造業向けの支援策と資生堂の DX 推進事例
消費財製造業においては、「消費者とブランドのつながりの強化」、「アジャイルで持続的な製品ライフサイクルを実現するためオペレーションの最適化」、「取引先との連携強化」を柱とした活動を展開しています。この 3 つにより生まれたデータや仕組みを掛け合わせて「イノベーションの加速」を目指することで、DX の着想からサービス開発までを支援しています。
これらの活動を加速させる新たな施策として、マイクロソフトのこれまでの成功体験やクラウドソリューションを活用した、お客様のビジネスモデルや働き方、文化を変革するために共に伴走する新プログラムを開始しました。本プログラムは、多様な国内パートナー企業様と共に展開し、IT 部門に留まらないビジネス部門へのアプローチも含めてサポートします。
こうした支援を元に消費財製造業で DX を推進されている企業として、グローバルでは、セルフサービスとオペレーションの透明化により顧客体験を向上させた Pandora 様、デジタルツインによりデータ活用を促進する Unilever 様などの事例があります。
国内においては、資生堂様が、アクセンチュア社と新会社「資生堂インタラクティブビューティー」を立ち上げ、生産領域のモダン化や、顧客・従業員向け DX、グローバルでの IT ガバナンスといったデジタル戦略を推進されています。同社は、「一人ひとりのパーソナライズされた美容体験を生涯にわたって提供する」というミッションを達成すべく、Azure により統合基盤を構築し、顧客データを分析して最適な体験を提供するための取り組みを進められています。
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