ジェニー レイフレリー (Jenny Lay-Flurrie) – マイクロソフト チーフアクセシビリティオフィサー
※本ブログは、米国時間 10 月 1 日に公開された “With workers with disabilities being able to be paid as little as $2 an hour in 42 states, National Disability Employment Awareness Month is a time to honor, reflect and bring awareness” の抄訳を基に掲載しています。
米国国勢調査局によれば、米国には、障碍のある人が 4,000 万人以上います。COVID-19 は、障碍のある人々にいっそう大きな悪影響をもたらし、WHO (世界保健機構) が Disability Divide (障碍格差) と呼ぶ問題をさらに悪化させました。障碍のある人々の数は増加傾向にあります。パンデミック前もそうでしたが、それ以降ではさらに増加しており、最近では「ロングコビット (コロナ後遺症)」が障碍に指定されました。
今年の National Disability Employment Awareness Month (全米障碍者雇用啓発月間、略称: NDEAM) のテーマ、“America’s Recovery: Powered by Inclusion (米国の回復: インクルージョンによる推進)” は、パンデミック中に障碍のある人が直面している問題の核心を突くものであり、マイクロソフトの信念とも一致しています。マイクロソフトは、障碍が強みだと考えています。職場において障碍のある人の「インクルージョン」を確保することで、地球上のすべての人とすべての組織がより多くのことを達成できるようにするというマイクロソフトのミッションがさらに推進されるのです。
すべての人がより多くのことを達成できるようにするためには、特に職場において、従業員が最高の仕事ができるようなインクルーシブな職場文化を育む必要があります。何事にも柔軟性のある従業員などがハイブリッドな職場文化に移行できるよう導かなければなりません。
あらゆる人にとって公正な賃金
今年初め、マイクロソフトは「アクセシブル バイ デザイン」(設計時点からアクセシビリティを取り込む) テクノロジによって障碍のある人を支援し、インクルーシブな職場への取り組みを継続し、障碍のある方々が仕事に参加する機会を創出することで、障碍格差を解消するための複数年にわたるコミットメントを発表しました。
これまでの進展には大きな期待と喜びを感じますが、今が NDEAM であることを考えても、障碍のある人が雇用の場で平等に扱われていないことを訴えないわけにはいきません。今週、カリフォルニア州が障碍のある人を最低賃金以下で雇用する慣行に終止符を打つための取り組みを始めたことに拍手を送ります。この慣行は、障碍のある労働者の時給を 2 ドル程度にすることを法的に許容するものでした。カリフォルニア州は、他の 10 以上の州や連邦政府の取り組みと同様に、最低賃金以下の雇用慣行を段階的に廃止します。
マイクロソフトは、すべての人に公正な賃金が支払われることがきわめて重要と考えており、自社の Supported Employment Program の元で働くすべての従業員が、フルタイムでもパートタイムでも競争力のある賃金と福利厚生を得ていることを誇りに思っています。2019 年には、このプログラムの実践をすべてのサプライヤーへと拡大し、行動規範に条項を追加して、適切な最低賃金を全員に支払う義務を再確認しました。格差解消のために、小さくとも重要な一歩を踏み出すことができました。
より良く、より公平で、よりインクルーシブな職場を作るためには、まだまだやるべきことがあります。この課題に対するフォーカスと学習意識を高めるための全社的な取り組みと、NDEAM としての 10 月における参加機会の例を以下に述べます。
求職活動の支援
次の仕事を探すのが厳しい体験になることがあります。John’s Crazy Socks の創業者ジョン リー クローニン (John Lee Cronin) 氏とマーク X クローニン (Mark X. Cronin) 氏、Walmart のラッセル シャファー (Russell Shaffer) 氏、マイクロソフトのニール バーネット (Neil Barnett) がリンクトインの法務顧問ブレイク ローイット (Blake Lawit) をモデレーターとする雇用者のパネルに参加し、雇用機会やハイブリッドワークフォースでの働き方について議論します。リンクトインが主催するこのイベントでは、就職面接の管理、障碍情報の開示、宿泊施設の要件など、雇用や採用に関するヒントについて深く掘り下げていきます。このイベントは、あらゆる求職者を対象としており、就職活動に役立つ新しいヒント、洞察、リソースを提供することを目的としています。
インクルーシブな職場の構築
マイクロソフトは、世界の障碍のある人々の全体像を完全に反映した雇用を行うことを真に願っています。今月末には、多様性とインクルージョンに関する年次報告書で最新の障碍のある人の雇用率データを発表します。発表後には、数値の意味を説明する LinkedIn 投稿をシェアすると共に、マイクロソフト社内のインクルージョンの取り組みにおける次のステップを説明します。
ゲーミング
Xbox は今月、Twitch や Stream などを通じて、障碍のある人のコミュニティのゲーマー、プレイヤー、クリエイターに称賛のメッセージを発信しています。雇用との関連で言えば、Neurodiversity Hiring Program (ニューロダイバーシティ雇用プログラム) に Minecraft を活用しています。Minecraft Education チームは、候補者を評価する際に活用できる Minecraft 体験を制作しました。以下のビデオでは、カスタマイズされた Minecraft の課題にグループ参加することで、ニューロマイノリティの求職者が、チームワークやコラボレーションなどのマイクロソフトの強みを発揮できる機会となっている様子が紹介されています。このプログラムに関する追加情報はニューロダイバーシティ雇用サイトをご参照ください。
設計思想としてのアクセシビリティ
障碍格差を解消する上でテクノロジは重要です。デジタル経済においては、テクノロジへのアクセス、アクセシブルなテクノロジへのアクセスが、ワークフォースへの参加に不可欠です。マイクロソフトはこの責任を真剣に受け止め、設計思想としてのアクセシビリティを備え、最初の段階から適切に機能する製品を作ることにフォーカスしています。
つい先週のこと、マイクロソフトのチーフプロダクトオフィサー、パノス パネイ (Panos Panay) が、Surface デバイスとアクセサリ用の新しい Surface Adaptive Kit を発表しました。このキットには、よく使うキーを見つけたり、ノートパソコンを開いたり、アクセサリを接続したりする際に便利なさまざまな使い方ができるシンプルな触ってわかるツールが含まれています。キットは、誰もが自分自身で開封の喜びを味わえるよう、アクセシブルなパッケージで梱包されています。このキットは 11 月に発売される予定です。詳しくは Surface Adaptive Kit – Microsoft Store をご参照ください。
今月中に新製品や新機能についてさらに多くの情報をお届けします。たとえば、10 月 5 日に発売される Windows 11 では、誰にとっても最適な方法で作業を行えるようにするための機能が提供されています。簡単操作 (Ease of Access) からアクセシビリティへのブランド変更、コントラスト テーマの再設計、ビデオ キャプションのカスタマイズの新オプション、そして、AI が音声を認識してテキストを書き起こし、自動的に句読点を打つ Windows 音声入力などが追加されました。
また、Outlook、Microsoft Teams、Excel など、ワークプレースに欠かせないツールを開発している M365 チームの活動も、10 月中にご紹介する予定です。さまざまな障碍に対して柔軟な対応を実現する機能が提供されます。視覚や聴覚に障碍があったり、ニューロダイバーシティの特性がある方でも、また状況によって、キャプションなどのアクセシビリティ機能を使ってすべての会話を把握することができます。
特別なサポート
今回のパンデミック期間中に、マイクロソフトは、障碍のある人を対象としたアクセシビリティやテクニカルサポートが、インクルーシブな職場づくりの重要な要素であることを学びました。パンデミックやリモートワークへの移行が始まって以来、マイクロソフトの eDAD (enterprise Disability Answer Desk) では、リモートワーク中の従業員の生産性維持を支援したいと考えている教育機関、企業、政府機関のお客様からの相談が倍増しました。エンタープライズのお客様は、Enterprise Disability Answer Desk (eDAD) に問い合わせることで、アクセシビリティ機能、製品のコンプライアンス、支援テクノロジに関する質問の回答を得ることができます。
障碍のある方が技術的サポートを必要とされる場合は、Consumer Disability Answer Desk (DAD) が電話 (800-936-5900) またはチャットでサポートします。また、米国の聴覚障碍のあるお客様には ASL (手話) オプション (+1 503-427-1234) を用意しているほか、Be My Eyes アプリによるビデオサポートも提供しています。
追加情報については www.microsoft.com/en-us/accessibility をご参照ください。
関連情報
マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組み https://www.microsoft.com/ja-jp/enable
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