ジェニー レイ-フルーリー (Jenny Lay-Flurrie)
マイクロソフト チーフアクセシビリティオフィサー
※本ブログは、米国時間 11 月 5 日に公開された “What is Visual Description? As events evolve, greater accessibility for the disability community emerges” の抄訳を基に掲載しています。
マイクロソフトは、アクセシビリティに関して真摯な取り組みを進めています。長年にわたってお客様や従業員、コミュニティからの意見やリクエストに対応し、アクセシビリティや障碍のある人に対するインクルーシブな考えをすべての業務に体系的に取り入れてきました。マイクロソフトでは、障碍を強みと捉えています。障碍のある人のインクルージョンと能力向上を実現することで、世界中の障碍のある人の間に存在する社会的不平等である「障碍格差」に対処できるより良い製品作りにつながるのです。この考えはマイクロソフトのイベントでも同じです。Microsoft Ignite にて、ホストがビジュアルガイドを実施していることについて質問があったので、ここでビジュアルガイドに関する情報をお伝えするとともに、ビジュアルガイドを採用した理由をお話ししたいと思います。
マイクロソフトでは、毎年社内外で数百件ものイベントを開催しています。大規模イベントでは、あらゆる意見が反映できるよう、積極的に皆様の声に耳を傾け、学び、ベストプラクティスを取り入れるようにしています。長年マイクロソフトは、障碍のある人やアクセシビリティコミュニティが開催するイベントから、障碍のある人のインクルージョンやアクセシビリティのベストプラクティスを学び、その学びを Microsoft Ability Summit などのイベントに反映させてきました。Microsoft Ability Summit は、12 年前に始めた年次カンファレンスで、障碍のある人やアクセシビリティの専門家が集結し、よりインクルーシブな世界を目指してどのように協力できるか議論しています。
マイクロソフトのイベントチームでは、これまでのイベントで字幕やアメリカ手話 (ASL) を追加したほか、視覚に障碍のある人に向けて音声ガイドを提供してきました。そして、去年の Ability Summit で得たフィードバックに基づいて、ビジュアルガイドを追加しました。ビジュアルガイドの基準は、視覚障碍のコミュニティとの連携や、従業員およびお客様からのリクエストに基づいて作成しました。
ビジュアルガイドは、バーチャルイベントが増加したことで生まれた新しい手法です。視覚的な状況を言葉で表す音声ガイドは、いまや映画やテレビ番組などの動画には欠かせなくなりましたが、ビジュアルガイドはこの音声ガイドの原理がベースとなっています。ビジュアルガイドは音声ガイドの上の層にあるもので、話し手が自ら自分のことについて簡単に説明し、その中で文脈がわかるような情報を提供するというものです。視覚に障碍のある人がビジュアルガイドでメリットを得られるのはもちろんのこと、目は見えるものの映像を見ることができない人や、認知機能の低下によって見ている状況がうまく把握できない人なども、ビジュアル情報の音声ガイドが役立ちます。
ビジュアルガイドは任意で行われます。登壇者がビジュアルガイドを採用する場合は、セッションのはじめに自分のことについて短く簡潔に説明することを勧めています。例えば、髪の色、人種および民族、性別、服装、経歴など、自分の特徴を簡単に伝え、無意識に偏見を抱かれないようにするのです。
「ビジュアルガイドは、他の人であれば把握できるものの目に障碍のある私たちにはわからない視覚的な情報や、求めていたり必要だったりする情報を入手できる建設的な方法です。私たちが不快な思いをすることもありませんし、直接質問したり間違えたりするようなこともなくなります」と、Massachusetts Association for the Blind and Visually Impaired (MABVI: マサチューセッツ視覚障碍者協会) のエグゼクティブディレクターであるサシー アウトウォーター-ライト (Sassy Outwater-Wright) 氏は話します。「私は声だけを聞いて (彼・彼女という) 代名詞を誤って使ってしまったことがありますし、民族や人種、障碍について、視覚的に説明された時と声で説明された時とで間違って認識したこともあります」。聴覚と視覚に障碍があり、障碍のある人の正当性を推進する人権派弁護士であるハーベン ギルマ (Haben Girma) 氏は、ビジュアルガイドや音声ガイドを必要とする人が力を発揮するにあたり、そのような説明がなぜそこまで重要かについて、わかりやすいビデオにまとめました。これは、障碍のある人へのインクルージョンを実現するシンプルな方法なのです。
マイクロソフトは、引き続きアクセシビリティに優先的に取り組み、この手法を進化させ、実践しながら学んでいきます。アクセシビリティという道のりにおいて、マイクロソフトはコミュニティの声やお互いの意見に耳を傾けここまでたどり着きました。あらゆるイベントが、学びと進化の機会を与えてくれます。そしてあらゆるイベントが、地球上のすべての人がより多くのことを達成できるようにする機会となるのです。
マイクロソフトに関することでサポートが必要な場合は、Disability Answer Desk までご連絡ください。マイクロソフトのアクセシビリティへの取り組みについては、microsoft.com/ja-jp/enable をご覧ください。また、Twitter で @MSFTIssues をフォローいただければと思います。さらに詳しい情報は、以下をご覧ください。
- インクルーシブなミーティングでの自己紹介 (英文) – VocalEyes
- プレゼンテーションを行う際のガイドライン (英文) – MCN
- 統合された音声ガイド – YouTube
- インクルーシブなプレゼンテーションスキル – YouTube
- Accessible Events, Climbing Toddlers and Barking Dogs – Microsoft Accessibility Blog
—
本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。