日本の DX をアップスキリングで促進

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Ahmed Mazhariアーメド マザリ (Ahmed Mazhari) マイクロソフトアジア プレジデント

このブログは、2021 年 2 月 18 日に公開された ”How skilling is fueling Japan’s digital transformation” の抄訳をもとにしています。

日本ではいま大規模な DX が起こっており、企業はデジタルスキル不足に対応することでチャンスが広がると考えています。こうした日本企業の発展を促進するため、マイクロソフトはターゲットを絞った新たなアップスキリングに関するパートナーシップを開始し、デジタル未来の成功と持続可能性の実現を支援します。

これまでの日本の組織では、海外の組織ほどデジタル化が進んでおらず、そのことが経済的競争力にも影響を及ぼしていました。2021 年の IMD 世界競争力ランキング (IMD World Competitiveness Ranking) における日本の順位は 31 位で、中国や韓国、マレーシアといったアジアの他国よりも下位に位置づけられました。

この遅れによって、他の分野にも影響が及んでいます。例えば、元厚生労働大臣の加藤勝信氏は、COVID-19 (新型コロナウイルス感染症) への対応における最大の課題は、日本の DX が遅れていることだと述べました。

しかし、今ではその状況が変わりつつあります。日本では官民ともに DX を加速させており、クラウドソリューションを活用して市場投入までの時間を短縮し、イノベーションを実現し、より効率的に規模を拡大しようとしているのです。例えば去年は、経済産業省と東京証券取引所が、デジタル化によってビジネスモデルを変革し、クラウドサービスなどのテクノロジを採用して新たな成長を実現している 28 社を「DX 銘柄」として選定しています。

公共部門でも、デジタル公共サービスの提供に向けた開発をリードする新たなデジタル庁の設立に、多大な熱意が注がれています。

しかし、マイクロソフトが実施した Work Trend Index Report の最新調査では、テクノロジが現場の労働力を高めることや、職場のストレス軽減につながるとの結果が出ている一方で、従業員はトレーニング不足が要因で新しいデジタルツールを最大限活用できていないことが明らかになりました。

DX に向けた機運が高まる中、組織は従業員のスキルを高め、働き方を最新化するために必要なサポートについて、緊急の問いを投げかけている状況です。

変化する職場環境に適応できるよう従業員を支援

McKinsey の調査によると、日本における DX では、企業があらためて人材とテクノロジを経営の根幹に据える必要があるとしています。つまり、新たなスキルを社内で開発する必要があるということです。

日本は労働力の高齢化が進んでいることから、積極的にアップスキリングに取り組むことが特に重要です。2030 年には労働人口が 640 万人不足し、IT プロフェッショナルが 45 万人不足すると予測されているためです。

また、より多くの女性を労働力として採用することも重要です。女性の労働者数は増加しており、2019 年には労働人口の 44.4% を占めるという過去最高値を記録しましたが、その大半はパートタイムや派遣で働いています。

日本では働き方改革を導入することで、より多くの女性にフルタイムで働いてもらうよう推進し、より良いワークライフバランスの実現を含め、すべての人の雇用状況を改善しようとしています。

こうした改革や、さまざまな業界でリモートワークの導入が進むきっかけとなったパンデミックも相まって、日本の伝統的な労働文化が変革しつつあります。

そして企業は現在、こうした変化に対する職場の最善な適応策を模索しており、従業員が新たなスキルを身につけ既存のスキルを強化するにあたっての支援策を検討しているのです。

新たな働き方とスキルアップで日本を元気に

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マイクロソフトでは、日本における新しい働き方の導入や従業員のスキルアップに向けた取り組みを支援することを最優先事項と捉えています。

まず、当社の深い能力を活用し、組織が変化に対応した職場を用意し、働く環境を改善できるようサポートします。マイクロソフトでは、クラウドサービスにより、企業が従業員にハイブリッドワークやリモートワークといったより柔軟性の高い働き方を提供できるようにしています。

当社の Global Skills Initiative の一環として、さまざまな人のデジタルスキルの習得を支援しているほか、Microsoft Learn などのプログラムを通じ、お客様やパートナー企業の従業員のスキルアップにも取り組んでいます。

日本単独の取り組みとしては、戦略的分野に投資し、アップスキリングへの取り組みを強化しています。また、個人の新たなデジタルスキルの習得や、より多くの女性の再就職促進を目指したパートナーシップも実施しています。

スキルギャップ解消に向けた取り組みを強化

そして今回、マイクロソフトはこれらの取り組みをより強化します。

マイクロソフトは、HR ソリューションのリーダー Adecco Group の子会社である Modis と共同で、2025 年までに 20 万人の日本人 IT プロフェッショナルのさらなるスキル開発に向けたコラボレーションを開始しました。このコラボレーションは、デジタル人材の成長をサポートし、日本の DX と包括的な経済的・社会的発展を推進するものです。

特に、10 万人の非 IT プロフェッショナルや求職者が、技術分野でのキャリア開発や雇用に向けたトレーニングを受けられるようサポートします。また、10 万人の IT プロフェッショナルに対しては、業界をリードするクラウドテクノロジのスキルを身につけられるようにします。

さらに、さまざまな業界や政府における開発者の裾野を広げるため、教育や再教育をサポートします。これにより、従業員が IT の課題を解決できるようになり、新たなデジタル体験やアプリを自社開発する力が身につくでしょう。

今回のコラボレーションでは、日本のスキルの差を解消するため、失業者や求職者に対して雇用、転職、学習支援を実施します。Modis と Adecco Group が人材や雇用サポート面で貢献し、マイクロソフトは Microsoft Base および Microsoft Learn によって学習機会を提供します。

持続可能なデジタル未来を構築するために

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今回のスキルに関する取り組みは、未来の働き方に向けた準備や持続可能なデジタル未来の土台作りをする日本を支援するきっかけになるものだと考えています。

日本マイクロソフトのチーフラーニングオフィサーである伊藤かつらは、アップスキリングやリスキングによって日本のデジタルスキルの差を埋めることが急速に求められていると指摘しています。

「継続的学習はマイクロソフトの企業カルチャーの一部で、当社では従業員や企業のお客様、そしてコミュニティの皆様が、平等にデジタルトレーニングやアップスキリングにアクセスできるよう真摯に取り組んでいます」と、伊藤は述べています。

「Modis とのコラボレーションにより、IT プロフェッショナルもそうでない人も、適切なスキルを身につけ、最終的に日本の DX と経済の発展に貢献できるようになることを期待しています」

今回の新しいパートナーシップによって、日本中の人と組織がより多くのことを達成できるよう願わずにいられません。

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