What’s Next for Manufacturing in Japan 製造業における DX 推進支援策と国内 4 社の DX の取り組み

日本マイクロソフト株式会社 エンタープライズ製造事業本部 執行役員常務 事業本部長 渡辺 宣彦

What’s Next for Manufacturing in Japan

日本マイクロソフトは、Revitalize Japan (日本社会の再活性化)を 2022 年度のプライオリティとして掲げる中で、製造業を含む日本の各業界のお客様の変革を支援しています。製造業に対しては、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の製造業のトランスフォーメーション、ならびに製造業のお客様のより良い顧客体験の実現に貢献する」という活動方針のもと、組織変更も含めた各施策を推進しています。

製造業における DX 推進支援策と国内 4 社の DX の取り組み

これまで当社では、大企業へのハイタッチ営業を産業横断で一つの組織で展開していました。これを 2021 年 10 月に 2 つの組織へと分割、そのひとつが製造業のお客様すべてを対象とするエンタープライズ製造事業本部です。素材・化学から設備・装置、部品、完成品までの製造業のバリューチェーン全体に加えて電力・エネルギー産業もカバーする、業界を一貫した営業・サポート体制を整えています。

エンタープライズ製造事業本部では、製造業の DX 支援のアプローチとして、個別最適化システムからデータを開放してデータ活用環境を構築する「デジタル・フィードバック・ループ構築支援」、製造業のフィジカルと当社のデジタルを組み合わせディスラプターに対抗するための「新しい製品・サービスのアジャイル開発支援」、デジタル人財とイノベーションの創出のための「従業員のデジタル武装・DX スキル獲得支援」の 3 つの柱を掲げ、製品・サービスの提供だけではなく、ビジネス構築やスキルアップまでを支援しています。

そして具体的な個々の DX のシナリオとして、「従業員の働き方改革」「新しい方法でお客様とつながる」「アジャイル工場の構築」「レジリエント・サプライチェーンの構築」「イノベーションの加速・新しいサービス」といった 5 つの業務シナリオ、加えてそれぞれに共通する、「サステナビリティの実現」「セキュリティの合理化・強化」「データとインテリジェンスの開放」にフォーカスして支援策を展開しています。ここからは、これらのシナリオに実際に取り組まれている、国内製造業のお客様についてご紹介します。

DX のシナリオ

ソニー様: ソニー x マイクロソフト “目と手をふさがないコミュニケーションの検討

ソニー様は、耳をふさがない完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds」を提供しており、搭載されたセンサーや立体音響技術を活用して、音体験の創造のためのパートナーとの共創に取り組まれています。その一つとして、当社の 3D オーディオ マップアプリ Microsoft Soundscape との連携による「頭の向きを認識した立体音響ナビゲーション」があります。この技術を活かして、現在、医療等の現場作業における「目と手をふさがないコミュニケーション」の実現に向け実証実験を進めています。

“目と手をふさがないコミュニケーション” の検討

本共創は、当社との共同開発によるもので、当社のエンジニアのサポートのもと「スクラム開発手法」を実践しています。両社から 4 カ国のエンジニアが参画し、実行管理には Azure DevOps を活用、エンジニアリングの知見共有とスピーディな開発を実現しています。ソニー様は、今後もスクラム開発の経験を社内の他のプロジェクトへと展開する予定です。

リコー様: デジタルを活用した新しい仕事の仕方とデータの利活用

リコー様は、現在 OA からデジタルサービスの会社へと変革を進めるために、Microsoft 365 を中核とした社内のデジタル活用に取り組まれています。Teams をコラボレーションの中心に据え、SharePoint や Delve によるオープンなデータ共有とコミュニケーション、Power Platform によるワークフロー自動化、Power BI によるデータにもとづく意思決定、Planner によるオープンなタスク管理とリアルタイムマネジメント、Workplace Analytics による仕事のデータにもとづくセルフマネジメントなど、生産性の高い働き方を推進しています。

同時に、工場や顧客の製品稼働の各種データの活用にも取り組んでおり、製品ライフサイクル全体のデータ基盤として Azure Synapce Analytics を導入しています。同ソリューションにより、現場でのデータの利活用や分析の敷居が下がり、製品品質やサービスの向上に繋がっています。

デジタルを活用した新しい仕事の仕方とデータの利活用

■コマツ産機様: Azure Machine Learning を活用した生産設備の予知保全

コマツ産機様では、生産現場における部品故障による損失を抑え、保全コストを低減するために、壊れたら交換する事後保全や定期的に交換する定期保全ではなく、寿命が来たら交換する予知保全を実現するための DX を取り組まれています。予知保全を実現しているのが、同社の「産機 KOMTRAX」による IoT 化です。

「産機 KOMTRAX」は、トヨタ自動車との協業のもと大型プレス機の予知保全を実現しており、個々の機械からデータをクラウドに集約し、Azure Machine Learning の機械学習により異常を予知しています。センサーで取得した解析波形を機械学習で分析することで、劣化部位の特定を実現しています。

Azure Machine Learning を活用した生産設備の予知保全

■旭化成様: DX を支えるデータ基盤と人材育成

最後に紹介するのが現場と密着して DX を推進する中で、DX を支えるデータ基盤の構築と人材育成に取り組まれている旭化成様です。

同社は、データを活用し組み合わせることにより価値を創出するデータ基盤をユーザー中心手法で構築中です。データ基盤は、Azure Data FactoryAzure Data Lake をはじめとする Microsoft Azure を中核としており、構造化、非構造化を問わない膨大なデータを現場が効果的に活用できるような環境を目指しています。

人材育成においては、現場におけるデジタルプロフェッショナル人材の育成から始まり、2021 年 4 月からは、全社員を対象としたイーラニングの育成プログラムを開始しています。プログラムは、グローバルスタンダードなスキル認証である Open Badge を採用しており、当社とも連携して Power BI の活用方法といった独自のコンテンツも作成しています。

DX を支えるデータ基盤と人材育成

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