アニータ・ラマナン (Anita Ramanan)
Azure Quantum 担当 テクニカルプログラムマネージャー オプティマイゼーションリーダー
※本ブログは、米国時間 6 月 27 日に公開された ”Toshiba launches new SQBM+ quantum-inspired optimization provider on Azure Quantum” の抄訳を基に掲載しています。
金融、物流、バイオ、AI などの分野では、膨大な選択肢の中から最適な組み合わせを見つけ出さなければならない最適化問題が数多く存在します。このような組み合わせ最適化問題は、問題の規模が大きくなると、組み合わせのパターン数が指数関数的に増加するため、既存のコンピューターにより高速かつ合理的な計算コストで解くことは困難でした。
これらの組み合わせ最適化問題に取り組むための 1 つの方法として、問題をイジングモデルと呼ばれる二項表現にマッピングし、このシステムの基底状態を見つけるために設計されたオプティマイザーを使用することがあります。
東芝が Azure Quantum 上で新たに提供する SQBM+ (Simulated Quantum Bifurcation Machine+) は、同社の「シミュレーテッド分岐マシン (Simulated Bifurcation Machine、以下、SBM)」をベースに、最大 100,000 変数までの複雑かつ大規模な組み合わせ最適化問題を高速に解決できるイジングモデルソルバーです。
東芝は、自社の量子コンピューターに関する研究からヒントを得た新たなアプローチを採用し、SBM の速度、精度、規模を大幅に向上させました。Azure Quantum の SQBM+ プロバイダーで利用できるアルゴリズムは 2 種類あります。短時間で良好な解を求めるための、高速な Ballistic Simulated Bifurcation (bSB) アルゴリズム、そして、(従来型か量子型かを問わず) 他のコンピューターを凌駕する計算速度で、より正確な解を求められる Discrete Simulated Bifurcation (dSB) アルゴリズムです。また、提出された問題に応じて使用するアルゴリズムを自動的に選択するオートチューニング機能も実装されています。これらのアルゴリズムは、Azure クラウドで提供される GPU ハードウェア上で最高のパフォーマンスを発揮するように自動的に最適化されます。
さらに、これらのアルゴリズムは、ユーザーが任意に選択することも、自動選択機能によって選択することもできます。この選択は、Azure Quantum Python SDK を使用してソルバーのインスタンスを作成する際に、”algo” と ”auto” パラメーターに値を指定することで行えます。詳細情報は、東芝 SQBM+ プロバイダーのドキュメントをご参照ください。また、異なるアルゴリズムオプションの選択方法を示すサンプルは、qio-samples のリポジトリに掲載されています。
東芝のコーポレートシニアバイスプレジデント兼チーフデジタルオフィサーの岡田俊輔氏は次のように述べています。「SQBM+ のコア技術は、現在利用可能なコンピューターを活用し、複雑かつ大規模な問題に対して短時間で高精度な近似解を求められるソフトウェア SBM です。その結果、最大 100,000 変数のイジング問題を解くことができるようになり、当社の従来の PoC サービスに比べ約 10 倍の性能向上が実現されました。そして、これらのすべての機能が、Azure Quantum のクラウドプラットフォームを通じて容易にアクセスできるようになったのです」
Azure Quantum のお客様は、Quantum Workspace にプロバイダーを追加し、“Learn & Develop” (テスト用) または “Performance at scale” (商用利用) という料金プランのいずれかを選択することで、SQBM+ にアクセスできます。
東芝は、2020 年 9 月に Azure Quantum Network に参加して以来、量子に着想を得た最適化ソルバー技術を継続的に改良してきました。ダイナミックポートフォリオとリスクマネジメント、分子設計、様々な分野のルーティング・パーティショニング・スケジューリングの最適化など、組み合わせ最適化問題を解決したいお客様は、今すぐ SQBM+ を利用し、Azure Quantum を通じて、Azure クラウド上の GPU リソースを活用できます。
東芝の SQBM+ on Azure Quantum の詳細をご覧いただき、ご利用ください。
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