マイクロソフト 業界クラウド担当 コーポレートバイスプレジデント サティシュ・トーマス (Satish Thomas)
本ブログは、米国時間 6 月 1 日に公開された ”Accelerate your journey to net-zero with Microsoft Cloud for Sustainability” の抄訳を基に掲載しています。
本日マイクロソフトは、Microsoft Cloud for Sustainability の一般提供を開始することを発表します。今回のリリースは、マイクロソフトのクラウドポートフォリオ全体で増えつつある環境・社会・ガバナンス (ESG: Environmental・Social・Governance) 機能と、グローバルなパートナーエコシステムのソリューションを組み合わせることにより、組織がサステナビリティの推進と事業成長を加速できるようにするという当社の目標を次の段階に進めるものです。
無料トライアルはこちらから利用可能です。
排出量ネットゼロを実現し、産業がもたらした過去 2 世紀にわたる被害を修復することが必須とされていますが、そのような努力は気が遠くなるように感じることでしょう。規制が強化され、前向きな変化を求めるお客様からの要望が高まる中、さまざまな業界の組織がこの課題を受け入れ、マイクロソフトもその支援に取り組んでいます。マイクロソフトにとって、サステナビリティは 10 年以上も事業の中核としてきたテーマです。サステナビリティ計画 1 を進める中で、当社はその専門知識を共有し、お客様が再現できるようなツールや手法を開発しています。
Microsoft Cloud for Sustainability は、さまざまな業界で使えるよう設計された当社初の業界横断型クラウドです。当社のソリューションは、小売やエネルギー、製造業など、業界特有のニーズに合わせてカスタマイズすることが可能です。その中核となるのは、排出量情報の特定と記録の標準である温室効果ガス協定に準拠したデータモデルです。また Microsoft Cloud for Sustainability は、当社とパートナー企業との深い関係を反映したものとなっており、このパートナーシップによって重要なお客様のニーズや課題を共に解決するより優れたソリューションを提供しています。
Microsoft Cloud for Sustainability のデモビデオは、こちらからご覧いただけます。
今回リリースした Microsoft Cloud for Sustainability では、以下 4 つの投資分野におけるマイクロソフトとパートナーのソリューションが提供され、これによって組織のサステナビリティへの取り組みを強化します。
- データインテリジェンスの統合
- 持続可能な IT インフラストラクチャの構築
- 運用による環境への影響を軽減
- 持続可能なバリューチェーンの構築
データインテリジェンスの統合
お客様が多くの課題に直面するのは、データの取得と識別、データの統合、サステナビリティデータの単一かつ実用的なビューの作成などの分野です。当社のデータモデル上に構築された Microsoft Sustainability Manager では、データを簡単に入力して抽出し、理解することが可能です。排出量に関するデータを一元化し、データの取り込みや共有、レポーティングを効率化します。お客様は、あらかじめ組み込まれた計算モデルで迅速に結果を確認できるほか、特定のニーズに対応した計算をさらに構成することができます。当社のデータモデルが一貫性を保っていることから、より正確で信頼性の高いレポーティングが可能となるのです。統合されたデータは、当社のサステナビリティへのアプローチの基盤を象徴するもので、主要なパートナーアプリケーションとの豊富なコネクタにより、さまざまなセルフサービス型のデータ統合および計算エクスペリエンスをお客様に提供します。
持続可能な IT インフラの構築
持続可能な IT インフラを構築するための第一歩となるのは、ツールやシステム、アクティビティを、よりエネルギー効率の高いものへと置き換えることです。例えば、ワークロードをクラウドに移行することなどもこれに含まれ、オンプレミスから Microsoft Azure への移行によって炭素とエネルギーの排出量が削減できます。SI (システムインテグレーター) パートナーを利用してお客様のクラウドワークロードへの移行を推進する Azure Migration and Modernization Program (Azure 移行およびモダン化プログラム) は、最終的にサステナビリティのメリットを得るにあたって重要な投資となっています。
マイクロソフトでは、クラウド移行によるサステナビリティへの影響を組織が測定できるよう、2021 年 10 月に Microsoft Emissions Impact Dashboard (EID: 排出量影響ダッシュボード) の提供を開始しています。EID は、スコープ 1、2、3 を含む Azure の使用に関する独自検証済み排出量データをお客様に提供します。また、生産性ワークロードをクラウドに移行したことで回避される排出量も可視化します。2022 年 4 月現在、1,000 社以上のお客様が EID を積極的に使い、排出量削減の試算とレポーティングに活用しています。
また、Microsoft 365 サービスの利用も可視化しようと考え、Emissions Impact Dashboard for Microsoft 365 のプレビュー版もリリースしています。
運用による環境への影響を軽減
組織は、環境への影響が大きいプロセスを削減、除去し、置き換えることで、サステナビリティへの進歩を促進しています。これには、スマートファシリティによって建物や空間、機器の環境への影響を低減することなども含まれます。Microsoft Cloud for Sustainability では、エネルギー消費を削減し、スマートファシリティを構築し、コラボレーションツールやプランニングツールを重視したソリューションの優先度を高めています。マイクロソフトでは、お客様が環境への影響を低減できるよう支援しており、その取り組みの一環として Johnson Controls, Inc (JCI) などの企業とパートナーシップを組んでいます。同社の OpenBlue Enterprise Manager は、サステナビリティ、オペレーション、空間の健全目標を一元管理して推進するソリューション群です。同ソリューションには、エネルギーや資産、空間、健全状態、施設利用者の快適性パラメーターなどを監視して分析し最適化する機能が備わっており、さまざまな優先事項の中から適切なバランスが保てるようになっています。
「Microsoft Azure と Microsoft Cloud for Sustainability により、当社は顧客体験と成果をより高めるソリューションが構築できるようになりました。その成果は、世界の安全性や健康、持続可能性を高めることにもつながっており、お客様にとっても、当社の事業にとっても、地球にとっても有益なものとなります」 — Johnson Controls, Inc. 最高経営責任者 ジョージ・オリバー (George Oliver) 氏
持続可能なバリューチェーンの構築
よりサステナビリティを高められるよう進歩するには、組織のバリューチェーン全体の透明性が不可欠であり、正確で信頼できる上流データと下流データが求められます。こうしたデータは、主に調査に基づいたデータで管理するか、サプライヤー評価や EcoVadis などの組織によるデータを手作業で入手して管理します。EcoVadis は 9 万社以上のサステナビリティについて評価しており、こうした情報に関してはトッププロバイダーの 1 社です。マイクロソフトは EcoVadis と共同で、Microsoft Cloud for Sustainability の分析とレポーティングにおける当社のサプライヤーデータと共に、EcoVadis の評価データを表示できないか模索しています。これにより、組織はサプライヤーの選定において EcoVadis からサプライヤーの ESG 評価や排出量値、収益度スコアを取り込み、Microsoft Cloud for Sustainability のデータと統合して情報を活用できるようになります。
「企業は、バリューチェーンがサステナビリティの改善と影響を高める最大の手段であることに気づいており、戦略と行動計画を導くグローバルな視点を持った ESG 管理ツールを求めています。当社のサステナビリティ評価と Microsoft Cloud for Sustainability を組み合わせることで、企業はより良い意思決定に必要なインサイトを得ることができ、グローバル規模でサステナビリティの影響を高める際に必要なイノベーションを推進することができます」 — EcoVadis 共同最高経営責任者 ピエール-フランソワ・タラー (Pierre-Francois Thaler) 氏
Microsoft Cloud Solution Center のデプロイメントオーケストレーター
マイクロソフトの業界向けクラウドがすばらしいのは、構成可能なユースケースシナリオがそれぞれのクラウドに用意されている点で、そのシナリオはサステナビリティへの道のりのどの段階にある組織でも利用できるようになっています。Microsoft Cloud for Sustainability は、さまざまな業界や地域の組織に対応できるよう独自設計されており、最大の事業課題から取り掛かり、その最善の対処法が特定できるようになっています。マイクロソフトの業界向けクラウド用に特別に開発されたデプロイメントオーケストレーターにより、世界中のお客様の環境でこうしたユースケースシナリオを簡単に利用し更新することができるようになります。
優れた共同ソリューションを模索してみよう
当社の業界向けクラウドは、信頼できるパートナーによる比類なきグローバルエコシステム内の業界エキスパートとのコラボレーションによって支えられています。マイクロソフトは、主要な独立系ソフトウェアベンダー (ISV) や、システムインテグレーター、アドバイザリーパートナーと協力し、あらゆる地域のお客様が独自の事業課題に対処するにあたって必要となる包括的ソリューションを提供しています。当社のパートナーエコシステムにはさまざまな業界をカバーするソリューションが揃っており、Accenture、Avanade、Capgemini、EY、PwC、Tata Consultancy Services といった信頼できるアドバイザーが、持続可能な成長を実現する戦略の計画や設計、実装を積極的に支援しています。
「クラウドは、クリーンエネルギーへの移行を実現することや、製造業でデジタルツインを活用することなど、サステナビリティを事業の中核としながら、全く新しい方法でイノベーションを実現します。Accenture はマイクロソフトの長年のパートナーとして、お客様が Microsoft Cloud for Sustainability を最大限活用できるよう支援しています。これによりお客様は、製品やサービスにサステナビリティを組み込み、データに基づいたインサイトを活用してサステナビリティのパフォーマンスを測定し管理できるようになります。こうした機能は、ネットゼロの目標達成を実現するにあたって重要なのはもちろん、ESG を中心にこの分野を再構築しようとするすべての関係者に全体的な価値を提供する上でも欠かせないことなのです」 — Accenture グローバルサステナビリティサービスリード 兼 チーフレスポンシビリティオフィサー ピーター・レイシー (Peter Lacy) 氏
マイクロソフトのサステナビリティパートナーによる画期的な取り組みについては、Microsoft AppSource をご覧ください。ABB、Bentley Systems、Blue Yonder、Ecolab、EcoVadis、Honeywell、ICONICS、Johnson Controls、Transparency-One などのパートナーから、ご自身の組織に適したサステナビリティソリューションをお探しいただけます。
Microsoft Cloud for Sustainability の詳細をご確認いただき、ぜひトライアルにお申し込みください。
1 マイクロソフトのサステナビリティへの取り組みに関する最新情報: 2030 年に向けた基盤の構築 — マイクロソフト公式ブログ
マイクロソフトのサステナビリティへの取り組みに関する最新情報: 2030 年に向けた基盤を構築 – News Center Japan (microsoft.com)
—
本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。