未来に向けたイノベーション: ハノーバーメッセでの 4 大トレンド

未来に向けたイノベーション:ハノーバーメッセでの4大トレンド

カグラヤン・アルカン (Çağlayan Arkan)
製造&サプライチェーン担当 グローバル戦略およびセールスリード バイスプレジデント

※本ブログは、米国時間 5 月 31 日に公開された “Innovating for the future: Top four trends at Hannover Messe” の抄訳を基に掲載しています。

製造業の中核となるのは、イノベーションと、能力と才能の構築、そして成長です。製造業は生活のあらゆる面に欠かせないものですが、中でもこの 2 年は異例の障壁に直面したことで注目されています。ただ、こうした混乱期でも同業界には大きなチャンスがありましたし、さまざまな分野の製造業者が課題に立ち向かう様子も目にしました。工場では、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の検査キットや医療用品の製造と輸送に軸足を移すようになり、自動車メーカーはチップ不足の対応に取り組み、消費財メーカーは宅配やカーブサイドピックアップ (店舗外での受け取り) といったビジネスモデルに移行するようになりました。製造業がほぼ一夜にして新しい時代へと向かうことになったのです。

ただし、まだやるべきことは残っています。だからこそ、グローバルリーダーや仲間と共に今週ドイツのハノーバーで開催される世界最大の産業技術見本市であるハノーバーメッセに参加できることをとてもうれしく思います。マイクロソフトのブースでは、ABB、Ansys、Accenture、Avanade、AVEVA、Blue Yonder、Cognite、C3.ai、ICONICS、o9 Solutions、PwC、PROS、PTC、Rockwell Automation、Sight Machine、Tata Consultancy Services、Tulip Interfaces といった貴重なパートナーをお迎えし、業界変革に向けた共同イノベーションの様子をお伝えしたいと思います。

このイノベーションウィークに参加する中で、組織がより多様な労働力を強化するといったような主要トレンドが 4 つ見えてきました。その中には、フロントラインワーカーを重視することや、機敏な工場環境の構築に向け新技術を導入すること、レジリエンスの高いサプライチェーンについて再考すること、そしてサステナビリティを加速させることなどが含まれます。

ここでは、こうした主要トレンドが業界を前進させている様子について探ってみたいと思います。

  1. 製造業の現場で働く多様な作業員の能力を強化

業界 DX の中心には、製造業の現場で働く 4 億 2,700 万人以上の作業員がいます。今回のパンデミックでは、フロントラインワーカーに持続可能な成長と生産性を加速させるツールやソリューションが必要だということが新たに注目されるようになりました。マイクロソフトでは、フロントラインワーカーがより多くのツールを求めていることを把握しています。当社の Work Trend Index にて、製造業の現場で働く従業員の 63% が、テクノロジが生み出す雇用機会を歓迎しており、その準備をしていると答えているためです。

本日マイクロソフトは、製造業のフロントラインワーカーを結びつけ、エンゲージメントを高めるよう設計された Microsoft 365 に関する複数の製品アップデートを発表します。

  • Microsoft Teams の新しい Updates アプリによって、フロントラインワーカーとマネージャーがプロセスを効率化できるようになります。
  • Microsoft Teams Walkie Talkie (トランシーバー) 機能が、多種多様で頑丈な Crosscall 製ハンドヘルド端末から利用できるようになります。
  • Blue Yonder Workforce Management (WFM) 用の Microsoft Teams Shifts コネクタが一般提供されます。
  • Microsoft Viva の新アップデートによってスキルアップや学習が進み、フロントラインワーカーが将来に備えて安全性を向上しコンプライアンスを高められるようになります。ここで紹介した新機能を含め、アップデートの詳細については、Microsoft 365 ブログをご覧ください。
  1. 産業用メタバースで次世代の工場を促進

パンデミックは多くの人に警鐘を鳴らし、製造業者はスマートファクトリーや IoT プラットフォーム、クラウドコンピューティング、高度分析など、デジタル化への投資を加速しようと方向転換しました。実際、6 月に発行される製造業を対象とした IoT Signals Report では、調査対象の製造業のうち 72% がすでにスマートファクトリー戦略を実行しており、85% が人工知能 (AI) を将来の主要機能として受け入れていることが明らかになっています。

こうした戦略の加速に向け、Microsoft Cloud for Manufacturing が「産業用メタバース」の基盤としての役割を果たします。産業用メタバースとは、物理世界とデジタル世界を融合し、IoT や AI、デジタルツイン、複合現実、自律システムといった高度な技術によって未来の工場を実現するものです。製造業者はこの産業用メタバースを活用し、機械、装置、建物、工場、サプライチェーンなどの構築や運用、最適化のあり方を変革できるようになります。

現在マイクロソフトのお客様は、すでに産業用メタバースのコンポーネントを活用し、業務変革に取り組んでいます。例えば、世界的なロボットメーカーである川崎重工業は、デジタルツインを活用して仮想空間と実際のマシンが連動する様子をデモする予定です。また、マイクロソフトも Microsoft Dynamics 365 Supply Chain Management でロボット技術を活用して倉庫機能の自動化を改善し、こうした機能をサポートすることで倉庫の生産性向上や労働力不足を克服する方法をご紹介します。

  1. レジリエンスの高いサプライチェーンを設計

当チームと私は、日々サプライチェーンというトピックに注力しており、お客様と協力してサプライチェーンオペレーションの可能性を実現できるよう支援しています。マイクロソフトも製造業者なので、グローバルサプライチェーンの複雑さを理解しており、当社の非常に複雑な部分を 2 点変革してきました。そこでの貴重な学びとベストプラクティスを共有することが重要だと考え、このたびレジリエンスの高いサプライチェーンの構築に焦点を当てたビデオとブログの新シリーズを立ち上げることにしました。

ハノーバーメッセでは、お客様やパートナーがよりレジリエンスの高いサプライチェーンを構築できる、当社の最新の投資とソリューションをご紹介します。Dynamics 365 では、サプライチェーンの可視化をエンドツーエンドで強化し、柔軟なリアルタイムプランニングを実現、ビジネスプロセスをシームレスに連携して制約を緩和することでフルフィルメントを最適化及び自動化します。Dynamics 365 のサプライチェーンポートフォリオに組み込まれた Microsoft Teams では、社内のチームメンバーや外部パートナーとの合意形成に向けたコラボレーションが効率化され、ほぼリアルタイムで実現できるようになります。ここで紹介した機能の詳細やその他のアップデートについては、Dynamics 365 チームのブログをご覧ください。

また、マイクロソフトはパートナー企業と豊富なエコシステムを構築しており、BlueYondero9 SolutionsaThingzCosmo TechPTCParkourSCToolsGroup などのパートナー企業が当社のプラットフォーム上で堅牢なサプライチェーンソリューションを提供しています。そのソリューションは、サプライチェーンエコシステムのさまざまな機能やノードにまたがるデジタルツインや、相互運用性、可視性、計画、最適な実行を実現するリアルタイムのインサイトダッシュボードなど、多岐にわたります。そしてこれは、不確実な時代にお客様がより多くのことを達成できるよう支援している当社の手法を一変させるものなのです。

  1. 製造業のサステナビリティへの道のりを加速

製造業には、テクノロジの力を駆使して ESG (環境、社会、コーポレートガバナンス) の目標を達成し、サステナビリティを向上させ、お客様に長期的な価値を提供するすばらしい機会があります。私は世界中のリーダーと出会いましたが、ひとつ明らかなことがあります。それは、誰もがネットゼロへの道のりを最優先事項と捉えていることです。製造業者は、より優れたサステナビリティとレジリエンスを構築する機会があることに気づいており、またその道のりは長く重要であることも認識しています。

マイクロソフトでは、当社のテクノロジと豊富なパートナーエコシステムにより、持続可能な未来に向けた重要な基盤を構築しています。6 月 1 日より提供される Microsoft Cloud for Sustainability は、データを一元化し、自動化機能が強化された包括的で統合的なサステナビリティ管理を実現するソリューションで、これによって製造業がサステナビリティへの道のりを加速できるようになります。また、Siemens Energy とマイクロソフトのパートナーシップにより、革新的な再生可能エネルギーソリューションで国や産業の脱炭素化に取り組んでいる様子もご紹介します。これには、ドイツ・シュヴァルツハイデに拠点を置く BASF の発電所の近代化に向けたソリューションも含まれます。

ここでご紹介したものは、現在起こっている刺激的なイノベーションの一部です。これが、より強く、よりレジリエンスが高く、より持続可能な未来の構築へとつながっていくのです。

ホール 4 スタンド E34 のマイクロソフトブースで皆様にお会いできることを楽しみにしています。ブースでは、ガイドツアーへの参加や、エグゼクティブや製造・サプライチェーン専門家との対談ができるほか、Microsoft Cloud for Manufacturing の機能やソリューションが世界中のインテリジェントな製造を強化している様子についてディスカッションすることも可能です。

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