マイクロソフトのサステナビリティへの取り組みに関する最新情報: 2030 年に向けた基盤を構築

本ブログは、米国時間 3 月 10 日に公開された ”An update on Microsoft’s sustainability commitments: Building a foundation for 2030” の抄訳を基に掲載しています。

本日、マイクロソフトは年次サステナビリティレポートを発表します。本レポートでは、当社が 2030 年までにカーボンネガティブ、ウォーターポジティブ、廃棄物ゼロの企業に向けての取り組みの中で、2021 年時点での進捗状況を包括的に示しています。

マイクロソフトは 2020 年 1 月に気候変動への取り組みを発表しましたが、この時学んだ内容について透明性を持って共有することも表明しています。今年のレポートには重要な教訓がいくつか含まれており、当社の目標が一貫していることもお伝えできればと思います。その目標とは、マイクロソフトは自ら見出した世界よりもより良い世界を構築し、お客様やパートナー様も同様のことができるよう支援するというものです。

紆余曲折する進捗状況

紆余曲折する進捗状況

マイクロソフトは目標を複数達成しています。再生可能エネルギーの購入により、スコープ1とスコープ 2 の排出量は前年比で約 17% 削減されました。

一方で、スコープ 3 の排出量は増加し、前年比約 23% 増となりました。スコープ 3 の排出量 (企業のバリューチェーン全体の総排出量) は、管理と削減が最も難しい分野です。この 1 年の経験から、2030 年のカーボンネガティブ達成への道筋において、重要な新しい初期の学びを得ることができました。この学びを即座に適用し、スコープ 3 の排出量削減への取り組みを強化する追加の措置を講じます。

排出量が増加したのは、2021 年の大幅な事業成長が背景となっています。この間、マイクロソフトの事業収益は 20% 増加しており、クラウドビジネスへの需要増に対応しようとグローバルでのデータセンターの拠点も大幅に拡大しています。パンデミックの影響もあってデバイスの売上も増加し、特に Xbox とその関連サービスの利用が伸びました。

基本にフォーカス

これは長期的な取り組みであるため、成功するには気候対策目標達成の実現に向けた基本を明確にしておかなくてはなりません。昨年はこれまで以上に業務規律を重視し、2030 年の目標達成の実現に向け強固な基盤を全社で確立しました。

この基盤はデータから始まります。まず優先すべきことは、すべての排出量、中でも特にスコープ 3 の排出量をより正確かつ包括的に追跡し、当社の行動を把握することです。

マイクロソフトでは、炭素目標の設定方法を変更し、内部報告の頻度を増やしてその範囲も拡大しました。これにより、全社的に透明性が高まり、情報に基づいた意思決定ができるようになります。これに伴いサプライヤーの行動規範もアップデートし、二次サプライヤーに対しても排出量を報告するよう義務付けました。現在、87% 以上の二次サプライヤーからデータを入手しており、その大半を当社の炭素計測レポートに入れるようにしています。

昨年、マイクロソフトは世界最大となる 140 万トンもの炭素除去量を購入し、今年度はそれを上回る 150 万トン分の調達に向け順調に取り組みを進めています。今後はより際立った炭素除去目標を定め、2030 年まで契約量を毎年増やす予定です。これは、炭素除去市場の成熟を促進するという側面においても新たな影響をもたらすもので、市場ではそのような進歩が切実に求められています。

現在マイクロソフトでは、企業として成長を続ける中でもスコープ 3 の排出量を削減しようと、新しい強力な対策を取っています。まず、自社で設定した炭素排出絶対量の上限値に加え、基本的な事業推進要因に基づいて事業グループごとに年間の炭素強度目標を設定する取り組みを進めています。ここで設定した目標に対するパフォーマンスを、社内のシニアリーダーシップチームへのレビューも含め、さまざまな事業レビュープロセスと結びつける予定です。

また、社内での炭素料金を再構築して引き上げます。これは、より積極的にスコープ 3 の排出量を削減する措置であると同時に、炭素削減の基本コストに見合った料金にするためです。例えば、スコープ 3 の出張費は、来年度より CO2 換算 1 トンあたり (mtCO2e) 100 ドルに引き上げる予定です。これは、持続可能な航空燃料の購入をより推進する取り組みです。競争が激化する市場で 2030 年度の目標を達成するにあたり、今後も年間料金を加速して引き上げることでエネルギー効率を高め、低炭素素材を活用した設計変更の促進につなげたい考えです。

最後に、マイクロソフトでは炭素測定に関する取り組みを強化しており、炭素測定の業界標準の成熟と採用を加速しようとしています。その取り組みの一環として、自社の測定値を扱う際には、特定の環境情報を Deloitte & Touche LLP が独自にレビューするようにしています。しかし、測定値についてより全体的に焦点を当てる必要があるのはマイクロソフトだけではありません。そこで、ClimateWorks Foundation をはじめとする 20 以上の主要な組織と共に Carbon Call という新たなイニシアチブを立ち上げました。Carbon Call では、ネットゼロの未来に向けて、企業が抱える炭素排出量と除去量の計測に関する課題解決への取り組みを共同で進めます

コラボレーションと投資

Carbon Call 以外にも、この 1 年でさらなる行動の活性化に向けた新たなパートナーシップやソリューションを構築しました。重要な気候対策の推進に向け、次のような分野に投資しています。

  • Breakthrough Energy Catalyst に 1 億ドルの助成金を提供しました。これは、クリーンな水素、空気の直接回収、長期的なエネルギーの貯蔵、持続可能な航空燃料という 4 つの主要な分野でネットゼロを達成するにあたり、世界が必要とする気候対策ソリューションの開発を加速させるための助成金です。
  • また、4 年間で 10 億ドルという Climate Innovation Fund (気候対策イノベーション基金) において、炭素削減および炭素除去技術や、水と廃棄物を削減する関連気候対策ソリューションのグローバル開発の加速に向け、4 億 7100 万ドルを割り当てました。最近の投資先は、LanzaJetBlocPower、Eversource などです。

また、製品開発にも投資し、お客様やパートナーが自らの排出量をより適切に管理し、意味のある変化への一歩を踏み出せるよう支援しています。昨年は Microsoft Cloud for Sustainability を発表し、現在パブリックプレビュー版として公開しています。これによりサステナビリティに取り組む組織は、取り組みのいずれの段階においても、包括的で統合的、そして自動的にサステナビリティが管理できるようになります。

マイクロソフトは、持続可能なソリューションのリーディングテクノロジプロバイダーとして、ネットゼロや環境的に持続可能な未来に向けて前進するお客様やパートナーを支援しています。その一環として、エネルギー業界とも協力しています。当社では、エネルギー業界のお客様を含むすべてのお客様に市販のソフトウェアテクノロジやクラウドサービスを販売し続けますが、2050 年までにネットゼロの目標を掲げるエネルギー業界のお客様とは特に緊密に連携し、こうしたお客様が世界の再生可能エネルギーに対するニーズを実現する上で果たす変革的役割を称えたいと思います。エネルギー業界の原則についての詳細は、こちらをご覧ください。

この取り組みは、当社の事業のあらゆる側面で優先されます。本日 Xbox チームでは、目標達成に向けたチーム内での役割について発信しています。今後も、現在必要とされている基盤を引き続き構築し、2030 年の目標実現に向けて必要な取り組みを続けることが不可欠です。それが、世界がマイクロソフトに求めていることなのです。

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