雇用者と従業員の断絶を解消する

2022 年 9 月 22 日
Modern Work 担当コーポレートバイスプレジデント
ジャレッド スパタロウ (Jared Spataro)

※本ブログは、米国時間  2022 年 9 月 22 日に公開された ”Bridging the employer-employee disconnect” の抄訳を基にしています。

今朝、私はロンドンでサティア ナデラ (Satya Nadella)、そして、LinkedIn CEO のライアン ロスランスキー (Ryan Roslansky) と共に、経済の不確実性に直面しながらも、リーダーが従業員に活力を与え、ビジネスインパクトを促進する方法について話し合いました。リモートワーク、対面型、そして、その中間など、どのような働き方であっても、従業員を理解することがかつてないほど重要になっています。

世界は変わりました。2019 年の働き方に戻れると考えている人は、大きな間違いを犯しています。もはや仕事は単なる”場所”ではなく、自宅、本社、タイムゾーンなどを横断して従業員やリーダーを結びつける”体験”になっていることは明らかです。世界中の従業員がフレキシブルでハイブリッドなワークスケジュールを受け入れ、好きな場所で、好きな時に、好きなように働くことができる自由を享受しています。その一方で、多くのリーダーは、対面でブレーンストーミングが行われ、廊下での偶然の出会いが思いがけないコラボレーションにつながるような、従来のオフィスの親しみやすさを今でも切望しています。要するに、雇用者と従業員の間に断絶があるのです。そして、予測不可能な経済状況において、その断絶は広がるばかりです。

解決策は何でしょうか? それは、デジタルに接続され分散した従業員を受け入れ、従業員をビジネスの優先順位に合わせて再編成し、企業文化とミッションの追求に再参画させる、従業員エンゲージメントの新しいアプローチです。本日公表された、マイクロソフトの最新の Work Trend Index Pulse Report では、この断絶を解消し、従業員がその可能性を最大限に発揮し、成長できるようにするためにリーダーがすぐに行うべき 3 つの方針転換を提案しています。

マイクロソフトの会長兼 CEO のサティア ナデラ (Satya Nadella) は次のように述べています。「今日のダイナミックな経済環境において、企業が競争優位に立つためには活力ある従業員の存在が不可欠です。本日、マイクロソフトは、リーダーが生産性パラノイアを解消し、ソーシャルキャピタルを再構築し、従業員を再活性化できるようにすることを目指した、従業員体験プラットフォーム Microsoft Viva の新たなイノベーションを発表します。」

詳しく見ていきましょう。

重要なことを測定する

これまで、多くのリーダーは、組織の生産性を評価する際に、キーボードのクリック音を聞いたり、長時間のデスクワークを見たりなど、オフィスの様子で判断していました。ハイブリッドワークへの移行に伴い、リーダーの 85% が、部下が生産的に働いているかどうかを確実に把握することが困難になったと回答しています。一方で、リモートワーク、対面勤務、あるいはそれらを組み合わせた働き方であっても、従業員の 87% が、自分は職場で生産性が高いと答えています。こうした不安を解消するために、一部の企業はデジタルモニタリングを導入し、些細な指標を追跡しています。

見えないところで部下がきちんと働いていることを信じるのは、ストレスがたまるものかもしれません。すべての従業員は、仕事のパフォーマンスを評価されるための指標を必要としていますが、リーダーは、見かけの生産性に頼るのではなく、インパクト、つまり従業員が行った重要なことに注目する必要があります。半数近くの従業員が燃え尽き感を経験していると答えている今、どのような仕事がインパクトを与えるのかを明確にすることが極めて重要になっています。燃え尽き症候群は、従業員のウェルビーイングを阻害するだけでなく、イノベーションを妨げ、従業員の定着率を低下させるため、すべてのリーダーが警戒すべき課題です。

まず、従業員の意見を聴いてみましょう。これは簡単なことのようですが、半数以上 (57%) の企業が、従業員の職場体験についてほとんどヒアリングしていません。組織の健全性を把握するためには、従業員に関する有効なインサイトが不可欠です。このようなフィードバックを得ることで、人材、時間、金銭を失う限界点に到達する前に問題を発見することができます。

マイクロソフトでは、リーダーが明確性と整合性を高め、時間を浪費する雑務を排除し、社員が真のインパクトを発揮するのを邪魔している要素を見極めることを支援する新しい方法を追求しています。本日、マイクロソフトは、マネージャーやチームリーダーがチームの経験について定期的に機密情報としてフィードバックを求めることができる新たなアプリ Viva Pulse を発表します。Viva Pulse は、スマートなテンプレートと研究成果に基づいた質問群により、マネージャーに対して、何がうまく行っているか、どこにフォーカスすべきかを明確にし、チームのニーズに応えるための学習と行動の提案も行います。これは、来年 Viva に導入される Glint のような堅牢な全社的エンゲージメントツールを補完し、付加価値を高めるものです。

また、今年初めには、マイクロソフトは、組織が従業員の仕事とビジネス上の成果との整合性を維持するための新しい目標設定フレームワーク Viva Goals を発表しました。OKR (Objectives and Key Result: 目標と成果指標) を確認するための Microsoft Teams との緊密な統合、ワークアイテムを自動更新するための Azure DevOps との統合、KPI (Key Performance Indicator:重要業績評価指標) と Key Results を追跡するための Power BI データセットへの接続、プロジェクト管理の自動更新のための Microsoft Planner および Microsoft Project との統合といった、Viva Goals の新しい統合機能により、仕事の流れの中に組織の目標を取り込むことができるようになります。

オフィスの中でも外でもつながりを維持する

多くの組織がオフィス勤務復帰の義務化を撤回したことは、従業員がオフィスに戻るには単なるポリシーだけではなく、より明確な理由が必要であることを証明しています。従業員がオフィス勤務に戻る理由は、実は組織にもメリットがあることをデータが示しています。人は、お互いを求めて歩み寄るものなのです。オフィスに戻る動機として、従業員の 84% が同僚と交流すること、85% がチームの絆を再構築することを挙げています。このデータから、私たちは、人々とつながっていたいという人間としての深い欲求を持っており、一緒に過ごすことでより強い人間関係を築くことができ、それが最高の仕事をするための鍵となることが明らかになりました。

企業はソーシャルキャピタルの再構築を切実に求めています。従業員の半数が、直属のチーム以外との人間関係が弱くなったと答え、43% が会社から切り離されたと感じていると回答しています。ハイブリッドな世界では、リーダーはオフィスの外の世界も考える必要があります。どこで働いていても、従業員がコミュニティの一員であることを実感できるようにするには、一貫したコミュニケーションとつながりが重要です。

従業員が一緒に過ごす時間を確保するためにオフィススペースを最適化するだけでなく、従業員のデジタル体験により、離れて仕事をしている時でも従業員同士のつながりを維持し、仕事に集中できるようする必要があります。マイクロソフトは、リーダーやコミュニケーション担当チームがメッセージの効果を高め、一貫性とインパクトを持って従業員に届けられるようにするための新しいアプリ Viva Amplify を発表しました。このアプリは、コミュニケーションキャンペーンを一元管理し、メッセージの効果を高めるライティングガイドを提供し、Microsoft 365 の複数のチャネルや配信グループでの公開を可能にし、改善のための指標も提供します。

また、最近、マイクロソフトは、ストーリーに基づく会話や自己表現ツールによってデジタルコミュニティ構築を促進する Viva Engage の提供を開始しました。さらに、Viva Engage 内で、従業員がリーダーと直接対話し、アイデアや意見を共有したり、AMA (Ask Me Anything) イベントを開催したりできるスペース、Leadership Corner を発表しました。リーダーは直感的なダッシュボードを使用して、指標と従業員の感情をリアルタイムで追跡できます。

従業員が簡単に互いのつながりを発見し、組織全体でコラボレーションできるように支援するため、マイクロソフトは、AI を利用して関心事、知識、チームの目標に関する洞察を引き出す新機能 People in Viva を発表します。この体験は、Microsoft 365 のプロファイルカードや新しいアプリとして利用できるようになる予定です。

人材の維持には研修が重要

従業員の 76% が、学習と能力開発からより多くの恩恵を受けることができれば、より長く現在の勤務先に留まるだろうと回答しています。ここ数年、業務上のトレーニングに対する要望が爆発的に増加しています。従業員は、学習と成長の機会を、優れた職場文化の原動力の第 1 位と考えています。これは、2019 年には第 9 位だったことを考えれば急上昇です。新しく人を雇うより、既存の人材のスキルを向上した方が費用対効果が高いことは言うまでもありません。これらの調査結果は、既存の人材に投資しなければ、彼らは転職してしまうということを明確に示しています。厳しい労働市場において、人材を再活用し、長期的キャリアに投資することが、組織の成功と低迷の分かれ目となり得ます。

Viva により、従業員は仕事の流れの中でスキルを身につけることができます。Viva ラーニング アプリにより、Microsoft Teams 上で最新の学習コンテンツを簡単に発見、共有、追跡できるようになるため、企業の全従業員が必要な、あるいは、推奨されるトレーニングを常に最新の状態で利用できるようになります。Viva ラーニングと LinkedIn ラーニングの間の統合の強化により、Teams 内の仕事の流れの中で LinkedIn ラーニングハブのコンテンツにより容易にアクセスできます。カスタムコンテンツ、キュレートされた学習パス、修了済みコースなど、LinkedIn ラーニングハブのすべてのコンテンツが同期され、Viva に直接反映されるようになります。管理者は、LinkedIn ラーニングハブの設定画面内で統合機能を直接設定できるようになります。API は必要ありません。

また、すべての従業員が集合知を活用しやすくするために、AI を活用して従業員の質問と回答、組織全体における専門家をマッチングする、チャットのような体験 Answers in Viva も提供されます。

Viva の追加機能

仕事が大変であっても、働き方が大変であってはなりません。本日、マイクロソフトは、従業員が自分の時間を取り戻し、より大きなインパクトを発揮できるよう支援する、Viva プラットフォームにおけるいくつかの機能強化を発表します。Viva へのアクセスを効率化し、従業員が一日を順調にスタートできるよう、Viva コネクションの新しいホーム体験では、Viva のすべてのアプリを 1 カ所に集めることができます。Viva ブリーフィングメールのアップデートにより、よりパーソナライズされた生産性向上のためのレコメンデーションが提供され、従業員の仕事、会議、学習へのキャッチアップが支援されます。

また、マイクロソフトは、将来を見据え、特定の職務のユニークなニーズに合わせて従業員の経験をカスタマイズする方法も追求しています。プラットフォーム初の特定の役割向けアプリ Viva Sales 一般提供を 10 3 日に開始します。Viva Sales は、営業担当者の CRM を Microsoft 365 および Teams と統合し、より合理的で AI により支援された営業体験を、日々使用しているツール内で提供します。また、AI が生成するコンテンツ推薦による顧客エンゲージメントのパーソナライズと規模拡大を実現するため、Seismic とのパートナーシップも発表しています。

働き方は根本的に変化しており、長期的な成功を収めるためには、リーダーシップに対するアプローチも変化させなければなりません。それは容易ではなく、中には不快なことがあるかもしれません。変化を避けることはできません。しかし、データに目を向け、明確なメッセージ、つながり、学習機会を通じて従業員を支援することで、従業員と組織は成長して行くことができます。

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