Microsoft Ignite 2023: AI トランスフォーメーションと変革を推進するテクノロジ

Microsoft Ignite 2023: AI トランスフォーメーションと変革を推進するテクノロジ

チーフコミュニケーションオフィサー フランク X ショー (Frank X. Shaw)

※本ブログは米国時間 11 月 15 日に公開された ”Microsoft Ignite 2023: AI transformation and the technology driving change” の抄訳を基に掲載しています。

2023 年も終わりを迎えつつある今、ほぼすべての業界で、AI の進歩によるまったく新しい働き方の発見という、全体的変容が起こっています。

Microsoft Ignite は、お客様、パートナー、技術者・開発者がマイクロソフト テクノロジの総合的価値を実現し、仕事の進め方を再構築できるよう支援する技術進化を紹介するイベントです。

今年を締めくくるにあたり、AI が仕事を変革する兆候は明らかです。最新の Work Trend Index を見てみましょう。デジタルの負担を減らし、生産性を向上させることで、人々が人間らしい仕事に集中できるようにするために、マイクロソフトは 8 か月前に、Copilot for Microsoft 365 を発表しました。今、誰もが知りたいのは「Copilot は本当に仕事を変えるのか、そして変えるとするならどのように変えるのか?」という点です。アンケートと実験に基づくマイクロソフトの調査結果は、生産性の向上が現実のものであることを示しています:

  • Copilot ユーザーの 70% が、生産性が向上したと回答し、68% が仕事の質が向上したと回答しました。また、68% が創造的プロセスを活性化できたと回答しました。
  • 全体的に、ユーザーは特定のタスク (検索、執筆、要約) において 29% の高速化を実現できました。
  • ユーザーが欠席した会議の遅れをキャッチアップする速度は 4 になりました。
  • ユーザーの 64% が、Copilot を使用することで、電子メールの処理に費やす時間を短縮できると回答しています。
  • ユーザーの 87% が、Copilot のおかげで文書の初稿作成に取り掛かりやすくなったと回答しています。
  • ユーザーの 75% が、「Copilot でファイルの中から必要なものを見つけることができ、時間の節約になる」と回答しています。
  • ユーザーの 77% が、一度 Copilot を使うと手放せなくなると回答しています。

本日マイクロソフトは、テクノロジの導入から、生産性、セキュリティなど、AI 推進戦略の複数レイヤーに関連したおよそ 100 件にわたる発表を行います。ここでは、その主な発表をご紹介します。

クラウド基盤の再構想
マイクロソフトは、OpenAI とのパートナーシップ、検索、共同作業、仕事、学習のツールへの ChatGPT 機能の統合といった、画期的な技術の進化により業界をリードしてきました。AI 戦略をさらに推進するにあたり、マイクロソフトはクラウドインフラストラクチャを再考し、ハードウェアとソフトウェアスタックの各レイヤーにわたって最適化を図っています。

Ignite では、業界パートナーによる最新の AI 最適化シリコン、そして、マイクロソフトが設計した 2 つの新チップなど、データセンター関連領域全体にわたる新たなイノベーションを発表します。

  • Microsoft Azure Maia は OpenAI モデル、Bing、GitHub Copilot、ChatGPT などの AI ワークロード向けに、クラウドベースのトレーニングと推論を実行するように設計された AI Accelerator チップです。
  • Microsoft Azure Cobalt は、ARM アーキテクチャをベースに、汎用ワークロード向けに性能、電力効率、コスト効率を最適化したクラウドネイティブのチップです。
  • 加えて、Azure Boost の一般提供開始を発表します。Azure Boost は、プロセスをホストサーバーから専用のハードウェアとソフトウェアに移行することで、ストレージとネットワーキングを高速化するシステムです。

カスタムのシリコンを補完するため、マイクロソフトはシリコンプロバイダーとのパートナーシップを拡大し、お客様にインフラのオプションを提供しています。

  • Azure に AMD MI300X アクセラレーションによる仮想マシン (VM) を追加します。ND MI300 VM は、ハイエンドの AIモデルのトレーニングや生成推論などの AI ワークロードの処理を高速化するように設計されており、AMD の最新 GPU である AMD Instinct MI300X を搭載します。
  • NVIDIA H100 Tensor Core GPU 向けに構築された新しい NC H100 v5 Virtual Machine Series のプレビューは、ミドルレンジのAIトレーニングと生成 AI 推論向けに、より高いパフォーマンス、信頼性、効率性を提供します。また、NVIDIA H200 Tensor Core GPU を搭載し、AI に最適化された VM である ND H200 v5 Virtual Machine Series の計画も発表します。

Microsoft Copilot 体験の拡張
この 1 年間、マイクロソフトは、AI を使って人々がより多くのことを達成できるように支援するツール群 Microsoft Copilot のビジョンを継続的に磨き上げてきました。個人の生産性向上だけではなく、オフィスワーカー、現場で働くフロントラインワーカー、開発者、IT プロフェッショナルといったあらゆる役割と職務において生産性とビジネスプロセスを変革するために、Microsoft Copilot をソリューション全体に拡大しています。

マイクロソフトは Copilot の企業であり、将来的に、あらゆる人のあらゆる活動に対して Copilot が提供されようになると信じています。Copilot 関連の発表やアップデートの一部をご紹介します。

  • Microsoft Copilot for Microsoft 365: 今月、Copilot for Microsoft 365 が法人のお客様向けに提供開始となりました。すでに、Visa、BP、Honda (本田技研工業株式会社)、Pfizer などのお客様や、Accenture、EY、KPMG、Kyndryl、PwC などのパートナー企業が Copilot を利用しています。マイクロソフトは、アーリーアクセスプログラムなどのリサーチチャネルから得た知見に基づき、新たな価値の提供を続けていきます。新機能 Microsoft Copilot Dashboard は、Copilot がお客様の組織にどのような影響を与えているかを示し、マイクロソフトの Work Trend Index で得られるような働き方に関する洞察を提供します。また、Copilot がお客様それぞれの好みや役割に合わせた回答を提供できるようにするための新しいパーソナライズ機能を発表します。Copilot in Outlook の新機能が会議の準備を支援し、会議中は Copilot in Microsoft Teams の新機能であるホワイトボード機能とメモ作成機能によって全員が同じ情報に集中できるようになり、チームワークが強化されます。また、必要とするお客様は、文字起こしを開始することなく会議中に Copilot を使用できるようになりました。Copilot を会議に参加させれば、個人的なアシスタントにとどまらず、チーム全体を支援できます。PowerPoint や Excel、Microsoft Viva など、Microsoft 365 などのスイート製品全般にわたるアップデートの最新情報はMicrosoft 365 ブログをご参照ください。
  • Microsoft Copilot Studio: AI による変革は、組織独自のデータとワークフローを活用することから始まります。Microsoft Copilot Studio は、ビジネスの重要データを統合して Microsoft Copilot for Microsoft 365 をカスタマイズし、社内外で使用できるカスタマイズされた Copilot を構築するために設計されたローコードツールです。Copilot Studio はコネクタ、プラグイン、GPT と連携しているため、IT チームは Copilotを特定のクエリに最適なデータソースに誘導できます。
  • Microsoft Copilot for Service: 職務ベースのサポートを提供する最新の Copilot が、企業の顧客サービスの AI 化の加速に貢献します。Copilot for Service は Microsoft Copilot for Microsoft 365 を含み、生成 AI を使用して既存のコンタクトセンターの拡張を支援します。顧客との対話において、エージェントは Copilot for Service に自然言語で質問し、ナレッジリポジトリのデータソースに基づいた適切な洞察を得ることができ、より迅速でスマートな解決につながります。
  • Copilot in Microsoft Dynamics 365 Guides: 生成 AI とMixed Reality (複合現実) のパワーを組み合わせたこの Copilot は、フロントラインワーカーがワークフローを中断することなく複雑なタスクを完了し、問題を迅速に解決できるよう支援します。HoloLens 2 で最初に利用できるハンズフリーの Copilot は、サービス産業の専門家が自然言語と人間のジェスチャーを使用して、機器に重ねたコンテンツとホログラムを通じて対話型のガイダンスを提供できるよう支援します。
  • Microsoft Copilot for Azure: 日々の IT 管理を簡素化する IT 担当者のための AI コンパニオンです。単なるツールではなく、ユーザーの役割や目標を理解し、アプリやインフラの設計、運用、トラブルシューティングの能力を高めてくれる、統一されたチャット体験です。Copilot for Azure は、IT チームがワークロードに対する新たな洞察を得て、未活用の Azure 機能を活用できるようにし、クラウドとエッジの両方でタスクをオーケストレーションできるよう支援します。
  • Copilot をすべての人々に提供: Copilot のユーザー体験を簡素化し、誰もが Copilot を利用できるようにするためのマイクロソフトの取り組みは、ウェブの主要エクスペリエンスである Bing から始まります。Bing Chat と Bing Chat Enterprise は、Copilot に名称変更されます。この変更により、Microsoft Entra ID でサインインすると、Copilot をBing、Edge、Windows でお使いのお客様は、法人向けのデータ保護機能の恩恵を受けることができます。また、マイクロソフトは今後、法人向けデータ保護機能付き Copilot の適用を Entra ID (旧称 Azure Active Directory) ユーザーにまで追加料金なしで拡大する予定です。Copilot (旧称 Bing Chat および Bing Chat Enterprise) は、まもなくプレビューを終了し、12 月 1 日より一般提供を開始します。詳細はこちらをご参照ください。

データと AI の接続の強化
AI の価値は提供されるデータで決まります。これが、お客様のデータを自社の AI ツールに接続するための、シンプルな統合エクスペリエンスの構築にマイクロソフトが取り組んでいる理由です。

Microsoft Fabric はそのソリューションの一部です。提供開始された Microsoft Fabric は、エンタープライズグレードのデータ基盤上ですべてのデータ資産を統合する、AI を搭載した単一のプラットフォーム上にすべての人々をまとめることで、チームのデータ活用方法を再構築します。

Copilot in Microsoft Fabric は、Microsoft Office や Teams とも統合され、組織全体でデータ価値創造の力を拡大するデータ文化を育成します。マイクロソフトは、Build 開催以降 100 回以上の機能アップデートを行い、業界をリードするパートナーとのエコシステムを拡大し、現在では Milliman、Zeiss、London Stock Exchange、EY といった 25,000 社以上のお客様に利用いただいています。

Azure AI が開発者にとっての価値を向上
マイクロソフトは、開発者に最も広範囲な選択を提供できるよう、生成 AI モデルの選択と柔軟性を拡大し続けています。Microsoft Build で発表したモデルカタログに含まれる新機能 MaaS (Model-as-a-Service) により、プロの開発者は Meta 社の Llama 2 や Mistral 社から発表予定のプレミアムモデル、G42 社の Jais など、最新の AI モデルをアプリケーションの API エンドポイントとして簡単に統合できるようになります。また、これらのモデルを GPU インフラストラクチャの設定や管理なしで独自のデータでカスタマイズすることもできるため、複雑性が軽減されます。

Azure AI Studio のプレビュー版により、一つの場所で企業がより容易に AI アプリを探索、構築、テスト、デプロイするための、統一された信頼できるプラットフォームが提供されます。Azure AI Studio により、独自の Copilot を構築したり、独自のモデルを訓練したり、他の基盤モデルやオープンモデルを独自のデータでグラウンディングしたりすることができるようになります。

また、Azure AI Search の一機能である Vector Search の提供開始により、企業は生成 AI のアプリケーションにおいて、すべてのユーザーに対して精度の高い体験を生成できるようになりました。

16K トークンのプロンプト長をサポートする新しい GPT-3.5 Turbo モデルが利用できるようになります。GPT-4 Turbo モデルは Azure OpenAI Service で今年 11 月末にパブリックプレビューを開始する予定になっています。GPT-4 Turbo により、お客様はプロンプト長を延長し、生成 AI アプリケーションのコントロールと効率性をさらに高めることができるようになります。

近日中に、GPT-4 Turbo with Vision のプレビュー版がリリースされ、DALL·E 3Azure OpenAI Service でパブリックプレビュー可能になり、GPT-4 による次世代エンタープライズソリューションが推進され、企業は画像による高度な機能性を追求できるようになります。また、マイクロソフトの Azure AI Vision サービスと併用することで、GPT-4 Turbo with Vision はビデオの内容を理解してテキスト出力を生成することもできるようになり、人間の創造性をさらに高めてくれます。

AI の責任ある導入を実現
AI の安全かつ責任ある利用においてマイクロソフトは業界をリードしており、著作権侵害の訴訟から法人のお客様を守り、補償するための先進的コミットメントである Copilot Copyright Commitment (CCC) により、基準を設定しています。

本日、マイクロソフトは、CCC Azure OpenAI Service を利用するお客様にも拡大することを発表し、このコミットメントをさらに前進させました。この新しいコミットメントは、Customer Copyright Commitment と呼ばれます。この拡張の一環として、マイクロソフトは、Azure OpenAI Service のお客様が侵害コンテンツのリスクを軽減する技術的対策を実施できるよう支援するための新たなドキュメントを公開しました。このコミットメントの恩恵を受けるためには、お客様はこのドキュメントの内容に従う必要があります。

また、Azure AI Content Safety の一般提供が開始され、企業は有害なコンテンツを検出して軽減し、より優れたオンライン体験を実現できるようになりました。お客様は、Azure AI Content Safety を Azure OpenAI Service 内のビルトインセーフティシステムとして、Azure Machine Learning のプロンプトエンジニアリングの一部としてオープンソースモデルに、または、スタンドアロンの APIサービス として利用できます。

従業員、IT 担当者、開発者を支援する Windows の新体験の発表
マイクロソフトは、AI へのプラットフォームシフトを先導するために、人々を支援するための Windows への投資と開発を続けています。IT 部門と従業員の皆さまに向けて、新しい働き方を実現し、あらゆるデバイスでより多くの AI 機能にアクセスできるようにする Windows 11 と Windows 365 の新しいエクスペリエンスを発表できることを嬉しく思います。Windows を開発者のホームに、そして AI 開発のための最適な場所にするというミッションをさらに推し進めるため、マイクロソフトは Windows AI Studio など、数々の開発者向け AI ツールと生産性向上ツールを発表しました。

NVIDIA AI ファウンドリサービスの発表
大企業やスタートアップ企業による Microsoft Azure 上での独自のカスタム AI モデルの開発、チューニング、デプロイメントの高速化支援を目的として、NVIDIA は、Azure 上で動作する AI ファウンドリサービスを発表します。NVIDIA AI ファウンドリサービスは、NVIDIA AI Foundation モデルのコレクション、NVIDIA NeMo フレームワークとツール、NVIDIA DGX Cloud AI スーパーコンピューティングとサービスという 3 つの構成要素を組み合わせ、カスタムの生成 AI モデルを作成するためのエンドツーエンドのソリューションを企業に提供します。企業は、Azure 上の NVIDIA AI Enterprise ソフトウェアで自社のモデルを展開し、インテリジェントな検索、要約、コンテンツ生成などの生成 AI アプリケーションを強化できます。

AI 時代の防御力強化
近年、セキュリティ脅威の状況は劇的に変化しています。Microsoft Ignite では、セキュリティ担当者が世界をより安全な場所にできるよう支援するために、マイクロソフトのセキュリティソリューション群に導入される新たなテクノロジを発表します。

Microsoft Sentinel と Microsoft Defender XDR (旧名称 Microsoft 365 Defender) が統合され、Security Copilot の体験を組み込んだ業界初の Unified Security Operations Platform が提供されます。内蔵の生成 AI 機能により、マシンのスピードで脅威を防御し、複雑な環境の簡素化で担当者を支援することに特化した、単一の強力な体験です。

さらに、Intune、Purview、Entra に組み込まれた Security Copilot の拡張により、IT 管理者、コンプライアンス部門、アイデンティティ担当チームは複雑なシナリオを簡素化できます。Entra では、ID 管理者が ID アクセスのトラブルシューティングを迅速に行うことができるようになります。Purview では、データセキュリティアラートが豊富なコンテキスト情報を提供し、問題の迅速な解決を支援します。Intune では、IT 管理者が仮説検証分析を使用して、ガバナンスとコンプライアンスを向上させながら事業継続性を確保できます。

これらは Ignite で発表される内容のほんの一部です。サティア ナデラ (Satya Nadella)、ラジェッシュ ジャ (Rajesh Jha)、ジャレッド スパタロウ (Jared Spataro)、チャーリー ベル (Charlie Bell)、ヴァス ジャッカル (Vasu Jakkal)、スコット ガスリー (Scott Guthrie) の基調講演をライブまたはオンデマンドで是非ご覧ください。

さらに、本日のすべてのニュースをご紹介するサイト Book of News や以下の製品ブログで今回の発表の詳細をご覧いただけます。

関連情報:

Microsoft Ignite ウェブサイト (基調講演の視聴、写真・ビデオなどの素材集)

Microsoft Ignite オンラインイベント

マイクロソフト、チップへのシステムアプローチで「シリコンからサービスまで」AI のニーズに対応

Introducing new Copilot experiences to boost productivity and elevate customer experiences across the organization (生産性を向上し組織の顧客体験を向上する新しい Copilot 体験)

Simplify IT management with Microsoft Copilot for Azure – save time and get answers fast (Microsoft Copilot for Azure が IT 管理を簡略化 – 時間を節約し素早く回答を得る)

Introducing Microsoft Copilot Studio and new features in Copilot for Microsoft 365 (Microsoft Copilot Studio と Copilot for Microsoft 365 の新機能)

Announcing general availability of vector search and semantic ranker in Azure AI Search (Azure AI Search のベクトル検索とセマンティックランカーの提供開始を発表)

GPT-4 Turbo with Vision on Azure OpenAI Service (GPT-4 Turbo with Vision が Azure OpenAI Serviceで利用可能に)

Elevating the developer experience on Windows with new AI tools and productivity tools (新しい AI ツールと生産性ツールが Windows における開発者体験を向上)

Microsoft unveils expansion of AI for security and security for AI at Microsoft Ignite (Microsoft Ignite でセキュリティのための AI 拡張と AI のためのセキュリティ拡張を発表)

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