2025 Work Trend Index を公開: 新たな組織概念 “フロンティア企業”の誕生

2025 Work Trend Indexを公開 : 新たな組織概念 “フロンティア企業”の誕生

※本ブログは、米国時間 2025 年 4 月 23 日 (水) に公開された “The 2025 Annual Work Trend Index: The Frontier Firm is Born” の抄訳を基に掲載しています。

ジャレッド スパタロー (Jared Spataro)
AI at Work 担当チーフマーケティングオフィサー

私たちは新たな現実に突入しています。AI が驚くべき方法で推論し、問題を解決できる世界です。この利用可能なインテリジェンスは、ビジネスのルールを書き換え、私たちが知っている知識労働を変革します。産業革命やインターネット時代のように、この変革がその真価を発揮するには数十年かかるでしょう。そして、広範な技術的、社会的、経済的変化をもたらすでしょう。

世界中の働き方の変化を調査し、最新のトレンドやインサイトを提供する年次報告書「2025 Work Trend Index 」は、AI がもたらす変化に備えるため、すべてのリーダーやプロフェッショナルが知っておくべきインサイトと、取るべき行動を示しています。過去の調査同様、この大規模なグローバル調査は、Microsoft 365 の数兆件にのぼる生産性シグナルの分析や LinkedIn で労働と雇用の傾向などのデータに基づいています。今年新たに加わったのは、AI を活用するスタートアップ、経済学者、科学者、学者からの洞察です。これらはすでに進行中の大きな変化を示しています。実際、リーダーの 82% (日本 75%) が、今年は戦略と運営の核心部分を再考する重要な年であると述べています。

データは、新しいタイプの組織、フロンティア企業の出現を示しています。 — これらの企業は、即座に利用可能なインテリジェンス、人と AI エージェントのチーム、そしてすべての人に該当しうる新たな役割、 “エージェントボス”を中心に構成されています。これからの変化は非常に大きなものになるでしょう。人間の意欲、創造性、そして独創性は引き続き新しい経済価値と機会を生み出し続けるでしょう。事実、フロンティア企業の従業員の 71% が、自社が繁栄していると述べており、これは平均的なグローバル企業の回答である 37% と比較しても非常に高い割合です。

即座に利用可能なインテリジェンスの購入が可能に

インターネットが普及する以前、それがどれほどビジネスの再構築に影響をもたらすかを知っていたと想像してください。それが今のAIの状況です。インテリジェンスはもはや人員数や専門知識に縛られることはありません。AIのインテリジェンスは豊富で、手頃な価格かつオンデマンド、そして必要に応じて規模を拡大できる必需品です。経済的および株主の圧力が高まる中、必要なときにすぐに利用できるインテリジェンスは、成長の新しい手段を提供し、ビジネスの要求と人間の能力の間のギャップを埋めることができます。リーダーの 53% (日本 67%) が生産性を向上させる必要があると述べている一方で、世界の労働力の 80% (日本 83%) が仕事をする時間やエネルギーが不足していると報告しています。そして平均して、従業員は 2 分ごとに会議、メール、または通知で業務が中断されています。この能力ギャップを埋めるために、リーダーの 82% (日本 79%) が、今後 12 ~ 18 か月以内にデジタルワークフォースを使用して労働力を拡大することを期待しています。

デジタルワークフォースは、最も確立された企業の再発明を促進し、まだ考えられていない新しい企業の誕生をもたらすでしょう。LinkedIn では、トップ AI スタートアップ企業がデジタルフォースの採用を、ビッグテック企業の 2 倍の速度で進めています。その多くの才能は ビックテック企業から流出し、スタートアップの世界に留まっていることは、イノベーションと機会が高まっている深い変化を示しています。既存企業が適応し、挑戦者が規模を拡大する中、ドットコム (.com) ブームで見られたように、才能と競争のルールがリアルタイムで書き換えられています。

人と AI エージェントのチームが組織図を覆す

AI が専門知識を民主化し続ける中で、従来の硬直した組織図からより流動的で成果重視のワークチャートへの移行がみられます。これらの構造はビジネスのニーズに応じて柔軟に対応し、人とAIエージェントの適切な組み合わせを活用して業務を遂行します。各部門は、異なるペースと規模で進化する一方で、リーダーの 46% (日本 43%) が、自社の組織が AI エージェントを使用して業務フローやビジネスプロセスを完全に自動化していると述べています。カスタマーサービスマーケティング製品開発が AI 投資の優先事項となっています。

これらの人とエージェントのチームの影響を最大化するために、組織は新しい指標を必要としています: 人とエージェントの比率です。リーダーは 2 つの重要な質問をする必要があります: どの役割とタスクにどれだけの AI エージェントが必要か? そして、それらを指導するために何人の人間が必要か? この比率を正しく設定することは重要であり、タスクにより異なります。組織は、人間とデジタルワークフォースのチームがAI 単独よりも優れている場合や、顧客が人間の対応を好む場合、社会が高リスクの製品や財務の決定などの結果に対して人間が責任を負うことが期待される場合を考慮する必要があります。顧客との対話、戦略的な決定事項、製品の発売など、人とエージェントの適切な組み合わせを知ることが、仕事の進め方や成功の測定方法を定義します。

すべての従業員が AI エージェントのボスに

AI エージェントがますます労働力に加わるにつれて、AI エージェントの上司、”エージェントボス”の台頭が見られるでしょう。 AI エージェントを”効果的に”構築、管理し、その影響力をもって AI 時代におけるキャリアを形成し発展させる人々です。会議室から最前線の現場まで、すべての働く人は AI エージェントを活用するスタートアップの CEO のように考える必要があります。実際、リーダーたちは、今後 5 年以内にチームがエージェントを訓練 (41%) (日本 33%) し、管理 (36%) (日本 28%) することを期待しています。

積極的に取り組む準備ができている人にとって、AI はキャリアの加速装置になりますが、リーダーたちは先を行っています。今回の調査では、エージェントボスのマインドセットを、AIの定期的な使用頻度や信頼、そしてキャリアへの影響まで 7 つの指標で測定しました。リーダーはすべての指標で従業員を上回っています。 67% (日本 60%) のリーダーが AI エージェントに精通しているのに対し、従業員は 40% でした (日本 29% )。 また 79% のリーダーは AI がキャリアを加速すると信じていることに対し、従業員は 67% でした。しかし、この変化はリーダー層で止まることはありません。AI エージェントが日常業務に組み込まれるにつれ、すべてのレベルと機能にわたる役割が進化し、より広範な労働力も進化します。リーダーの 33% が人員削減を検討している一方で、78% が新しい AI 役職の採用を検討しています。そして 83% のリーダーは、AI を用いることで、従業員にキャリアの早い段階でより複雑で戦略的な仕事を任せることが可能になると述べています。

この変化は多面的であり、技術がビジネスや社会に広がるにつれて、すべての業界や役割が異なる進化を遂げるでしょう。インターネット時代がソーシャルメディアマネージャーからUXデザイナーまで、数十億の新しいナレッジワーカーを生み出したように、AI時代もすでに新しい役割を生み出しており、さらに多くの役割が登場するでしょう。次に備えることはもはや選択肢ではありません。従業員はAIスキルを身につけ、企業は適切なツールとトレーニングでそれを支援する必要があります。今求められていることは、率直な対話と意図的なコミュニケーション、そしてリスキリングへの実投資です。今投資する企業は、単に追いつくだけでなく、次に来るものを形作るでしょう

Copilot AI の新しい UI

本日、Microsoft 365 Copilot Wave 2 Springリリースを発表します。これは、人と AIエージェントの新たな時代の協力を推進するために設計されています。Copilot は今や AI エージェント世界への窓となり、より高度なモデル、適応型のメモリ、そしてあなたと共に働く推論エージェントによって駆動される新しい機能を備えています。更新内容は以下の通りです。

  • OpenAI の高度な推論モデルを搭載した Researcher や Analyst エージェントが Frontier プログラムを通じて顧客に提供されます。また、新しい Agent Store を利用することで、Jira、Monday.com、Miro などのパートナーや独自のカスタムエージェントを簡単に見つけ、ピン留めし、使用することができます。
  • Create は OpenAI の GPT-4o AI image generator を活用し、誰でもデザインとコンテンツ作成スキルを発揮できるようになります。ブランド画像を簡単に修正またはカスタマイズしたり、会社の承認済みブランドガイドラインに沿った AI 画像を生成したり、マーケティングコピーやSNS用素材、ニュースレターのバナーや動画などを作成できます。
  • Copilot Notebooks は、ユーザーのノート、文書、データを瞬時に分析し、具体的なアクションに結びつけます。Copilot は、特定のチャットやファイル、会議メモなどを含むノートブックの具体的な情報を参照することで、最も関連性の高い情報に焦点を当てることができます。データが進化するにつれて、元データの資料を常にスキャンしてリアルタイムで更新します。Notebooks は、2 人のホストが主要なポイントを解説する音声概要を作成することもできます。これは、楽しく柔軟な方法で情報を得る手段です。
  • Copilot Search は、新しい AI 搭載のエンタープライズ検索機能で、組織のアプリやデータから豊富でコンテキストに応じた回答を瞬時に見つけることができます。自社アプリや、ServiceNow、Google Drive、Slack、Confluence、Jira などのサードパーティのアプリに接続し、データがどこにあっても迅速かつ関連性の高い結果を得ることができます。
  • Copilot Control System の新機能により、IT プロフェッショナルや企業の情報システム部は特定のユーザーやグループに対してエージェントを有効化、無効化、またはブロックすることが可能になります。これにより、適切な AI エージェントが適切な人々によって使用されることを確保します。

2025 年はフロンティア企業が誕生した年として記憶されるでしょう。企業が AI の試用を超えて、AI 活用を中心に再構築を始めた瞬間です。一世代前のデジタルネイティブ企業のように、彼らは AI とエージェントに、不可欠な人間の洞察を組み合わせることで、非常に大きな価値を引き出す力を理解しています。私たちは顧客に次に何が起こるかを予測する洞察と、それを形作るための技術を提供しています。

WorkLab では、年次の Work Trend Index (英語) の詳細を公開しています。また、Microsoft 365 ブログ (英語) では、発表した製品内容をご覧いただけます。また、今年の Work Trend Index の調査結果が、中小企業にとって何を意味するかについても公開中 (英語) です。

また、本日の発表に関連するすべてのブログ、動画、素材については、マイクロサイトをご覧ください。


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