Microsoft Inspire: パートナーシップで AI トランスフォーメーションを加速

Microsoft Inspire: パートナーシップで AI トランスフォーメーションを加速

マイクロソフト チーフコミュニケーションオフィサー フランク・X・ショー (Frank X. Shaw)

※本ブログは、米国時間 7 月 18 日に公開された “Microsoft Inspire: Accelerating AI transformation through partnership” の抄訳を基に掲載しています。

マイクロソフトの成功における重要な要素となっているのはコラボレーションです。当社のパートナーエコシステムは、全世界で 40 万社以上にもおよぶパートナー企業で構成されており、特に現在のような AI にフォーカスした世界においてお客様に新しいテクノロジを提供する上で重要な役割を果たしています。Microsoft Inspire は、お客様の成功において当社のパートナー企業が果たす役割を認識する場であるとともに、マイクロソフト製品に携わる新たな機会や方法を共有する場となっています。

Microsoft Inspire のオープニングでは、パートナー各社のすばらしい業績を称えるため、6 月下旬に発表された、2023 年 Microsoft Partner of the Year Award のファイナリストと受賞者を表彰しました。この賞は、ソリューション分野、業界、ビジネストランスフォーメーション、社会的インパクトなど、さまざまなカテゴリーにおけるパートナーの成功とイノベーションに焦点を当てたものです。

今年の Microsoft Inspire では、AI がお客様やパートナーにとって革新的なツールとなるような支援を引き続き推進しています。より多くの AI 搭載ソリューションについて共有できることをうれしく思いますし、AI スキルの拡大やお客様の成功を促進する新製品や新サービスなど、さまざまな形でパートナーの皆様がこうした AI イノベーションを組織全体に適用する方法をご紹介することも楽しみです。ここで、今年のInspireの主な発表内容をご紹介します。

Bing Chat Enterprise の発表

2 月に新しい Bing を提供して以来、強力な新 AI ツールで組織を強化することに興奮を覚えるという企業のお客様から、企業データが保護されない点を懸念しているというご意見もいただくようになりました。そこで本日、商用データを保護する AI 搭載の業務用チャットとして Bing Chat Enterprise を発表します。同サービスを通じて入出力された情報は保護され、商用利用のお客様は管理されたアクセス手法によってより良い回答を得ることができ、高い効率性を実現し、新たな形で創造性を発揮できるようになります。

Bing Chat Enterprise は、Microsoft 365 E5、E3、Business Premium、Business Standard のライセンスをお持ちの組織を対象として、追加費用なしで本日よりプレビュー版を提供開始します。また、将来的には Bing Chat Enterprise をスタンドアロンのサブスクリプションとして、1 ユーザーあたり月額 5 ドルで提供する予定です。Bing Chat Enterprise の詳細や開始方法については、こちらをご覧ください。

Microsoft 365 Copilot の価格を発表

本日、Microsoft 365 Copilot の価格も発表します。Copilot の一般提供開始時には、Microsoft 365 E3、E5、Business Standard、Business Premium をご利用のお客様に対し、1 ユーザーあたり月額 30 ドルで提供します。

生成 AI アプリの中には、リアルタイムの文字起こしやコピーライティングなど、単一の機能に特化したものもありますが、Microsoft 365 Copilot では何千ものスキルを自由に操ることが可能です。Copilot は、文書、メール、カレンダー、チャット、会議、連絡先などのビジネスデータを基に回答を作成し、それを現在参加している会議や、あるトピックについて交わしたメール、先週のチャットといったような業務コンテキストと結びつけることで、質問に対してより豊かで関連性の高い、より実用的な回答を提供します。

また、Microsoft 365 Copilot は、何百万人もの人々が日々使用しているアプリケーションに統合されています。Word では創造性を高め、Excel ではデータを分析し、PowerPoint ではプレゼンテーションを設計し、Outlook では受信トレイを優先順位付けし、Teams では会議に出席したかどうかに関わらずその内容を要約します。詳細はこちらをご覧ください。

AI でセールス担当とカスタマーサービス担当を強化

セールス担当者には、ツールにできるだけ多くの選択肢が必要です。そこで、Dynamics 365 Sales 内にて Microsoft Sales Copilot に直接機能を追加します。例えば、AI が生成した商談の概要や、文脈に合わせたメールの下書き、会議の準備といった機能です。これによりセールス担当者は、Salesforce を含む顧客関係管理 (CRM) タスクを自動化でき、リアルタイムで実用的な知見を得て、AI 支援によるコンテンツやレコメンデーションを利用してお客様とのやり取りを大規模にパーソナライズでき、生産性を向上させてより多くの案件を獲得できるようになります。こうした機能は、すでに Microsoft Sales Copilot で利用可能な Teams 通話の要約機能やメールスレッド要約機能といった AI 機能に追加されます。2022 年 6 月に発表した Viva Sales は、セールス担当者のエクスペリエンスを変革させるという当社の取り組みの始まりでしたが、その機能は現在 Sales Copilot の一部となっています。Microsoft Sales Copilot の詳細は、こちらをご覧ください。

Microsoft Inspire では、Virgin Money などのお客様が、Power Virtual Agents の Copilot で構築したカスタマイズチャットボットによってカスタマーサービス部門を強化している様子もご紹介します。企業はほんの数分で、自然言語を使用してチャットボットをトレーニングし、社内外のナレッジソースやカスタマーサービスアプリケーションはもちろん、Bing Search によるウェブデータを参照できるようになります。Virgin Money では、3 か月かかるとされていたチャットボットの開発を 2 週間で実現しました。現在そのチャットボットは毎月 19 万 5,000 件以上におよぶお客様とのやり取りに対応し、サービス担当者がお客様からのより複雑な問い合わせに集中できるよう支援しています。

Power Automate での Process Mining

ワークフローの障害を特定し、その解決法を模索するのは難しいものです。そこでマイクロソフトは、 Power Automate Process Mining における次世代 AI 機能の一般提供開始を発表します。これは、AI を活用した知見をお客様に提供するもので、既存プロセスを最適化し、ローコードの自動化によって効率を高められるようになります。Process Mining により、ユーザーは組織全体で何が起きているか把握できるようになるほか、知見やアプリ、自動化の提案を生成する AI が使用できるようになり、Power Platform を利用して必要なソリューションを迅速に構築できるようになります。Power Automate Process Mining の詳細は、こちらをご覧ください。

Azure OpenAI の利用可能地域を拡大

Azure OpenAI Service は、4500 社以上のお客様に利用されており、同サービスに対する強い関心やビジネスへの導入には当社も感激しています。お客様の中には、組織データを使ってチャットボットを構築したり、文章を要約したり、コンテンツを生成したりと、驚くようなことを実践されていて、その発展を見ているだけでも非常に楽しく思います。

そこで、このサービスを世界中のより多くの組織にお使いいただきたいと考え、先週 Azure OpenAI Service が利用できる地域を北米と西ヨーロッパで拡大するとともに、アジアでも初めて利用できるようにしました。

Azure の新機能と投資

またマイクロソフトでは、Azure Migrate & Modernize のスケーラビリティや可用性を高めるために多額の投資を実施すること、そしてアナリティクスや AI に対する需要の高まりに応じて当社が行っているまったく新しい専用の投資となる Azure Innovate も発表します。

こうした新サービスでは、シナリオの対象範囲を拡大し、迅速でスムーズな移行から新しい AI搭載アプリの構築に至るまで、あらゆるものに対してより豊富なインセンティブとサポートを提供します。

Meta とマイクロソフトのパートナーシップ

Meta とマイクロソフトは、Azure および Windows における大規模言語モデル「Llama」ファミリーへの支援を発表しました。この発表には、マイクロソフトが Meta の優先パートナーとなり、Llama 2 の新バージョンを法人向けにリリースすることが含まれます。本発表は、Azure を利用中のお客様が、Azure 上で 7B パラメータ、13B パラメータ、および 70B パラメータの Llama 2 モデルを簡単かつ安全にファインチューニングできることを意味しています。さらに、Llama 2 は Windows 上でローカルに稼働できるよう最適化されるため、Windows を使用する開発者は、 Direct ML 実行プロバイダを ONNX runtime を通してターゲティングすることで、Llama 2 を活用することができます。本発表の詳細はこちらをご覧ください。

Epic との戦略的協業の拡大

マイクロソフトは、ヘルスケア分野のソフトウェア企業大手である Epic との戦略的協業を拡大します。この協業では、AI の力を駆使し、臨床医が管理業務にかける時間を減らし、質の高いケアの提供により多くの時間を費やせるよう支援しています。Epic は、Azure OpenAI Service を同社の電子カルテ (EHR) ソフトウェアに統合し、臨床医が会話形式で直感的に臨床データを探索できるようにするソリューションから、患者からのメッセージにより効率的に返信できるようにするソリューションにいたるまで、さまざまなソリューションを提供しています。また、Nuance DAX Express によって AI を活用した臨床文書作成機能を Epic のワークフローに直接組み込むことで、燃え尽き症候群につながる管理業務の負担をさらに軽減し、患者ケアへのアクセスを拡大し、医療成果を向上できるよう支援しています。

また、Epic のお客様は現在 Azure Large Instances を活用し、大規模な Epic EHR データベースの実行に必要となる、1 秒あたり最大 5000 万件のデータベースアクセスというスケールを実現しています。これにより Epic のお客様は、従来の共有パブリッククラウドインフラソリューションでの限界を超えたスケールアップが可能になります。

新しい Microsoft AI Cloud Partner Program

もうひとつ重要なポイントとして、Microsoft Inspire は次世代のパートナープログラムである Microsoft AI Cloud Partner Program も発表します。同プログラムは、あらゆるパートナーが Microsoft AI と Microsoft Cloud を活用しつつお客様に価値を提供できるようになるものです。マイクロソフトは同プログラムを通じ、あらゆるパートナーのビジネスモデル、成熟段階に対応する、包括的な投資ポートフォリオをパートナーに提供しています。

Microsoft AI Cloud Partner Program は、オンボーディングやスキル習得、市場開拓、インセンティブ、共同販売など、パートナーのライフサイクル全体をカバーするものです。パートナーは、旧プログラムの価値とメリットに加え、AI に特化した新サービスや特典が利用できるようになります。新プログラムへの移行にあたってパートナーがするべきことは何もありません。既存のパートナーは現時点をもって新プログラムに移行しており、これまでの特典や称号は維持されています。Microsoft AI Cloud Partner Program の詳細は、こちらをご覧ください。

パートナーに関するその他最新情報

パートナーの皆様が市場を開拓し、ビジネスを拡大するにあたり、新たな機会を提供する最新情報もいくつか用意しています。

  • ISV Success のアップデート: 前回の Microsoft Inspire にてプレビューとして発表した ISV Success は、AI Cloud Partner Program における ISV パートナー向けパスウェイであり、現在一般提供されています。ISV Success では、製品とクラウドの特典が受けられるほか、デモ環境やサンドボックス環境、アプリケーションの構築と公開に向けた技術コンサルティングが提供され、アプリケーションの公開後はマイクロソフトの商用マーケットプレイスを通じた取引の促進を支援する販売とマーケティングの特典が受けられます。また、ISV Success に参加するパートナーは、2023 年末には ISV Success の特典の一環として GitHub Copilot にアクセスできるようになります。
  • マルチパーティープライベートオファー: マイクロソフトの商用マーケットプレイスへの継続的な投資の一環として、マルチパーティープライベートオファーも発表しました。これにより、マイクロソフトの商用マーケットプレイスを通じ、パートナーが協力してカスタマイズソリューションを販売できるようになります。
  • より多彩なパートナーに向け、新たなソリューションパートナー認定を導入: AI Cloud Partner Program の一環として、新たな認定を導入し、より多くのパートナーが自社の技術力を差別化し、お客様の成功を実証する機会を提供します。例えば、学習パートナー向けの新たなトレーニングサービス認定、マイクロソフトのクラウドや当社の業界クラウドと連携したソリューションを構築するパートナーに向けたISV認定、またサポートサービス認定などが含まれます。

マイクロソフトでは、本日の発表をうれしく思うのはもちろんのこと、AI トランスフォーメーションを加速し、お客様の成功を推進し、パートナービジネスの成長と収益性を促進させるという当社の取り組みにも興奮しています。ここでご紹介した内容は、Microsoft Inspire で発表されたアップデートのほんの一部です。より包括的なレビューは、この記事の最後に記載した関連リンクをご参照ください。

本日の発表の詳細は、Microsoft Inspire に登録し、サティア・ナデラ (Satya Nadella)、ジャドソン・アルソフ (Judson Althoff)、ニコール・デゼン (Nicole Dezen) による 1 日目の基調講演をご視聴いただくか、オンデマンドにてご覧ください。すべての発表資料・画像等はこちらを参照ください。

関連リンク:

Microsoft Inspire ウェブサイト

2023年 Microsoft Partner of the Year Award の受賞者とファイナリスト

AI のさらなる推進 – Bing Chat Enterprise と Microsoft 365 Copilot の料金を発表

Bing Chat Enterprise の始め方を確認する

Microsoft Sales Copilot がセールス担当者とカスタマーサービス担当者を支援

Power Automate Power Mining の詳細

Azure の新機能と投資

Microsoft AI Cloud Partner Program の詳細

Microsoft Inspire 2023発表資料サイト

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