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より完璧なチートスを目指して: ペプシコが品質向上にマイクロソフトの Project Bonsai を活用

※ 本ブログは、2020 年 12 月 17 日に公開した ”More perfect Cheetos: How PepsiCo is using Microsoft’s Project Bonsai to raise the (snack) bar” の抄訳です。

私はこれまでの人生で、いったいどれだけのチートスを食べてきただろう。
袋を開けたときにいつも変わらずそこにいる、あの、うきうきするオレンジ色、満足度の高いサクサク感、こんがり焼いたエアリーなパフのくちどけ、複雑に絡み合うスパイスのこってり (いい意味で) したあの味付け。

ひとくちの (あるいは 1 袋の) 完璧なチートスはいつでもどこでも幸せを運んでくれる

それなのに、私は今の今まで、この至高の一口を作り出すためにどれだけの労力が注がれているかを考えたこともなかった。生産工場では水の比率から切断速度に至るまで、複雑ないくつもの工程と細かな製品の仕様が設定され、より完璧なスナックを日々目指している。チートスはペプシコにとって世界で最も愛され、実に 10 億ドルを稼ぎ出す主力商品であり、さらに完璧を求めていくことは最重要課題なのである。

そのあくなき品質向上の追及をさらに効率化させるため、ペプシコはマイクロソフト Project Bonsai による AI ソリューションを開発した。このソリューションは、コンピュータービジョンシステムのデータを使用して、製品が仕様から外れるたびに推奨や調整を行うもので、すでにパイロットプラントでは検証段階が終わり、まもなく生産工場に配備されることになっている。

これは私のようなチートスファンにとっては嬉しいニュースであるとともに、ペプシコにとってもテクノロジーと共に歩む新たな進化の扉を開けた記念すべき第一歩なのである。

「イノベーションはペプシコにとって成功のための重要な要素であり、エキサイティングな新商品、技術の進歩、さらには新しい働き方までもたらしてくれます。私たちはお客様が笑顔になっていただくために必要なものは何でも取り入れていきたいのです。」と、ペプシコのグローバルフーズ研究開発担当シニアバイスプレジデント、デニス・ルフェーブルは語っている。「当社の最も愛されているブランドの一つであり、10 億ドルの主力商品であるチートスは、現在世界 22 カ国で生産され、50 種類以上のフレーバーがあります。Project Bonsai の技術は、これら全ての『チートス』が常に完璧に作られるためにとても効果的であり、私たちはその可能性に興奮しています。これはほんの始まりに過ぎません。」

「工場の現場で起こすイノベーション」

ペプシコはまず、Project Bonsai の最初のテスト製品としてチートスの焼きパフを選択した。チートスのパフは押出機と呼ばれる機械で生産されており、従来はオペレーターが手動で押出機から出てくるいくつかのチートスを一定の間隔で選択し、形状やかさ密度などの品質をチェック、押出機の設定入力を調整していた。

Project Bonsai ではセンサーを使ってこれらのチェックをほぼ継続的に行うことができる。ライン上の製品が定義された範囲内から外れた場合、すぐにオペレーターに確認の勧告を行うか、自身で設定自体を調整することも可能である。

この最初のパイロットテストで Project Bonsai の「脳」は、この押出機を自律で調整しながらコーンミールロットの変化などの不規則な状況にも対応、製品の品質を一貫して生産することに成功している。

パイロットプロジェクトでペプシコと提携した Neal Analytics の CEO、ディラン・ディアスは、この取り組みは自律システムの設計と実装の素晴らしい例だと述べている。

「このプロジェクトでは、テクノロジーと、応用モデリングスキル、現場の工程ごとの専門知識を組み合わせて、工場のフロアでイノベーションを生み出しました」とディアス氏は語っている。

ペプシコのオペレーター出身であり、またエンジニアとしても豊富な経験と専門知識をもつディアス氏のトレーニングと知識は AI ソリューションのプログラミングや押出機のシミュレーション環境を設定する上で重要な役割を担っている。

このプロジェクトは、技術、応用モデリングスキル、工程ごとの専門知識を組み合わせて、工場の現場でイノベーションを生み出しました。

まず開発者がシミュレーションフレームワークを作成、AI アルゴリズムにトライアンドエラーとオペレーターからのフィードバック (強化学習と呼ばれるプロセス) を通じて学習をさせる。このテスト段階で、AI ソリューションは 1 日の工程をわずか 30 秒でシミュレートすることが可能になった。

つまり、AI ソリューションは、オペレーターが一生のうちに手動で確認するよりもはるかに多くの品質チェックを容易に行うことができるということになる。またこのコンピューティングパワーは、正しいオプションを瞬時に導き出すことができる。加えてペプシコの最も熟練したオペレーターとチートスのエキスパートの知識と経験を学習させているため、最高レベルの経験値をもとに品質と生産性の変動を監視することができるのである。

AI ソリューションは「最高のオペレーターの知識とスキルをパッケージ化し、他の施設でも同様に適用することができるということです。」と、このパイロットプロジェクトに取り組んだ Neal Analytics のテクニカルプロジェクトマネージャー、ジェイソン・ステムラーは言う。「このソリューションは、工程の流れを直観ではなく、データに基づいた明確な情報でオペレーターに共有することができます。手動測定プロセスを省略できれば、ペプシコのエンジニアはその時間でより画期的なイノベーションに注力することができるのです。」

悪いチートスづくり?

シミュレーションの実証段階が終わると、次はペプシコのプラーノ施設のテストプラントに持ち込んで、実際の製品での動作確認が始まった。

『この技術を開発するには、ダメな製品を AI が学習してそれを正しい仕様に戻せるようにする必要があります。』と、ペプシコのシニア・プリンシパル・エンジニアのショーン・アイシェンラウブ氏は言う。

個人的にはダメなチートスなんて作れるのか全く想像できないが、ペプシコが真剣に完璧を目指していることは理解できる。

コンピュータービジョンシステムが継続的に監視を行い、Project Bonsai ソリューションにデータを送信し続けることで、製品が彼らの目指す理想から少しでも外れた場合はただちに修正することが可能になる。

『迅速な修正により、規格外の製品を減らすことができ、結果それに伴う廃棄やパッケージの無駄などの問題を回避できるようになります。』と前述のアイシェンラウブ氏。

私にとって、完璧なチートスを袋いっぱいに食べられることがどれだけの幸せをもたらしてくれることか! ペプシコは現在この Project Bonsai のソリューションを生産工場で実際に配備する準備をすすめており、将来的にはさらに複雑な工程をもつトルティーヤチップなど、他のフリトー・レイ製品での使用の検討も始めている。

Leah Culler: Microsoft ビジネス&テクノロジー向け AI ブログ編集担当

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