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ゲームは自分の世界と外の世界をつなげる架け橋。あらゆる人がプレイを通じてつながるために

春。

桜の開花の便りが広がる中、最北に位置する北海道ではまだ雪がちらついていました。
広々した空間には様々なディスプレイ、スイッチ類、そして Xbox Series X Xbox Adaptive Controller を使って真剣な表情でプレイする人の姿。ここ北海道医療センターでは、新型コロナウィルス感染症 (COVID-19) の感染対策を最大限行いながら、あるビデオ撮影が行われていました。彼らはただ夢中になって Xbox でゲームをプレイしているだけではありません、ゲームが自分の世界と外の世界をつないでくれることを世界中の人へ伝えるためにプレイしているのです。

北海道医療センターに勤務する作業療法士 田中栄一さんは、病院で筋ジストロフィーなど神経筋疾患により障碍のある人々を対象とした「e スポーツ」への取り組みを行っています。

国立病院機構 北海道医療センター
国立病院機構 北海道医療センター

「当病院の神経筋/成育センターには現在 100 名程度の長期入院をされている患者さんがいらっしゃいますが、その 7-8 割の方が携帯電話・PC・コンソールを使ってゲームをされています。ゲーム自身はその方たちのリハビリテーションになると同時に、患者さんが患者さん同士のコミュニケーション、そしてインターネットなどのネットワークを介して病院の外の世界とのコミュニケーションの場となっているのです。」

作業療法室の様子。広い作業療法室にはたくさんのディスプレイやゲーム機器、患者さんごとのコントローラーが設置されている
作業療法室の様子。広い作業療法室にはたくさんのディスプレイやゲーム機器、患者さんごとのコントローラーが設置されている

田中さんは 1998 年ごろから障碍のある人々へのゲームプレイの支援に取り組んできましたが、当初からの最大の課題がゲームをプレイするためのコントローラーそのものにあったそうです。

一般的なコンソールゲーム機器のコントローラーは両手の 10 本の指を巧みに動かすことで、ゲームの中のプレイヤーを動かしたり、攻撃をしたり、話をしたり、操る形となります。しかし当然のことながらすべての人が両手を巧みに動かせるわけではありません。そのため田中さんたちは、それぞれの患者さんに合わせたコントローラーをカスタマイズして、すなわち全てハンドメイドでコントローラーを作っていました。そんな田中さんに衝撃が走ったのは 2018 年、マイクロソフトによる Xbox Adaptive Controller の発売のアナウンスでした。

「本当に驚きました。長年様々なゲーム企業に障碍者用のコントローラーの開発、発売を嘆願してきたのですが、私たちが欲しいと思っていたまさにそのデバイスが、驚くほどの低価格で手に入るとわかったのですから。」

障碍といっても、指先だけが動く人、あごがコントロールしやすい人、腕より脚が素早く動かせる人など、その症状は様々です。Xbox Adaptive Controller には大きなボタンがありそれ自体をコントローラーとして使える方もいますし、スイッチ類を簡単に接続できる接続口も複数用意されているので、その方の体の動かしやすい部位や動きに合わせたスイッチ類を Xbox Adaptive Controller に接続するだけで、一般的なコントローラーの代わりとして使うことができるのです。

Xbox Adaptive Controller の体に合わせてセットしている様子
Xbox Adaptive Controller の体に合わせてセットしている様子

マイクロソフトでは、すべての製品開発においてインクルーシブデザインという考え方を採用しています。

Xbox Adaptive Controller もその原則に従っており、その考え方は排他的要素を認識することから始まり、多様性から常に学び続け、そして一人のためが多くの人の解決になるという考え方のもと、デザイン・開発が行われています。

Microsoft Corporation Bryce Johnson, User Experience Researcher
Microsoft Corporation Bryce Johnson, User Experience Researcher

「人は誰もが何らかの能力を持っていて、一方でその能力に限界をもっています。だからこそ障碍がある人のために設計することで、結果的に多くの人にとって最大の利益をもたらすデザインを創り出すことができると、マイクロソフトでは考えています。」と Inclusive Design の Researcher である Bryce Johnson は話します。

今回日本マイクロソフトは、田中さんや入院する患者さんで構成されるプロジェクトメンバーの皆さんから Xbox Adaptive Controller の使い方ビデオを自分たちで制作することを提案されました。

体のどの部分が動くのか、指の動きや力のかかり具合など細かく確認している様子を撮影
体のどの部分が動くのか、指の動きや力のかかり具合など細かく確認している様子を撮影

「私たち障碍がある立場の視点で、この Xbox Adaptive Controller をどう使ってプレイしたらいいのか多くの人に伝えたいと考えたのです。」

新型コロナウィルス感染症 (COVID-19) の感染リスクもあり、東京の担当者などは現地に赴くことができません。ビデオ制作の打ち合わせは、北海道と東京を Microsoft Teams のオンライン会議でつなぎ、ビデオのストーリーや、内容の確認を細かに行いました。より多くの人に知ってもらいたいという想いから、Microsoft Translator も活用し、英語版の字幕の書き起こし、チェックなどを行いました。

公開されたビデオでは、Xbox Adaptive Controller の紹介から、障碍のある方の目線を通じてどのように自分がプレイするために何の準備をしたらいいのか、気を付けるポイントはどういった点なのかをわかりやすくまとめています。

【導入・概要編】Xbox Adaptive Controller ~自分にあわせてカスタマイズできる特別なゲームコントローラー~

ゲームプレイをしてみたいと考えている多くの障碍のある人に向けて、具体的に自分の身体の部位がどう動くことをチェックしたらよいのか、その動きをどのようにゲームのプレイに活かせるのか、細かく実践する姿を見ることができます。長時間同じ姿勢になってしまうことの注意点や、ゲームごとに使うボタンの数が異なるため、体と操作に合わせた確認することがプレイするための準備として重要であるとビデオでは伝えています。

【設定・活用編】Xbox Adaptive Controller ~自分にあわせてカスタマイズできる特別なゲームコントローラー~

自身も脊髄性筋萎縮症 (SMA) を患い、今回のビデオ制作のプロジェクトを統括した吉成健太朗さんは話します。

「障碍があると、普通のスポーツを皆さんと同じようにプレイすることはできません。
でも、ゲームの世界であればだれでも同じ条件でプレイすることが出来ます。そういったことが多くの人にまだまだ知られていないと感じています。僕と同じような障碍がある人には、こういう形で楽しめるスポーツがあるということを知ってもらいたい。障碍が無い人には、障碍があっても皆さんと同じようにプレイを楽しむことが出来るということ、それをこのビデオを通じて伝えられたらと考えています。」

Xbox Adaptive Controller の紹介・使い方ビデオプロジェクトの統括 吉成健太朗さん。自ら撮影・編集を行っています。
Xbox Adaptive Controller の紹介・使い方ビデオプロジェクトの統括 吉成健太朗さん。自ら撮影・編集を行っています。

田中さんは今後について、挑戦したいことがさらに増えたと言います。「今はこの北海道から、全国の人とつながることが出来るようになっています。また、これまで Xbox でプレイしたことがなかった患者さんも、Xbox Adaptive Controller を通じて新しいゲームに挑戦してみる人が増えてきました。これからは、ゲームの対戦などを通じて日本全国だけでなく、世界中の人とつながっていきたいです」

アクセシビリティとは、すなわちいつでも、どこでも、だれでも、どんな状況でもアクセスができるようになるということ。Xbox Adaptive Controller は、ゲームをプレイするあらゆる人をつなぐ、まさに架け橋のような存在なのです。

Xbox Adaptive Controller のビデオ制作を行った 北海道医療センター プロジェクトメンバーの皆さん。中央は設定編にも登場している新井海斗さん
Xbox Adaptive Controller のビデオ制作を行った 北海道医療センター プロジェクトメンバーの皆さん。中央は設定編にも登場している新井海斗さん

関連情報

・Xbox Adaptive Controller 紹介ビデオ (英語字幕)

【Introduction】Xbox Adaptive Controller: A game controller you can customize for your own use

【Advanced Setting】Xbox Adaptive Controller: A game controller you can customize for your own use

・こちらの Story を英語で読む場合はこちら

Gaming just like everyone else: quipped with the right gear, gamers with disabilities are making new connections across the world.

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