Bold Ambition & Our Core  (大胆な理想、そして、マイクロソフトのコア)

[2014年7月17日]

From: サティア ナデラ
To: マイクロソフト全社員
Date: July 10, 2014 at 6:00 a.m. PT
Subject: 2015会計年度の始まり – 大胆な理想、そして、マイクロソフトのコア

 

チームのみなさんへ、

2015会計年度の始まりにあたり、みなさんの昨年度の貢献に感謝したいと思います。ビジネスと組織面での大きな変革を推進するなかで、私たちが成し遂げた成果を誇り思います。みなさんの勢いと熱意が高まっていくのを感じられてとても勇気づけられています。

CEOの職に就いた日、私は、この業界は伝統を重んじるのではなく、イノベーションだけを重んじていると述べました。また、マイクロソフトのイノベーションを加速していくためには、私たちの魂、つまり私たちのユニークなコア(核)を再発見しなければならないとも述べました。私たちは、世界に対してマイクロソフトだけができる貢献とは何かを理解し、マイクロソフトがもう一度世界を変えられるのだということを信じる必要があります。マイクロソフトがまず成し遂げるべき仕事は、未だかつてないほど大胆に理想に向けて取り組むことだと私は考えています。

7月は、この大胆な理想、そして、マイクロソフトのコアへのフォーカスについて対話を行なうために使っていきます。本日は、私が過去数ヶ月間に議論してきた戦略的方向性と巨大な市場機会、そして、その機会から現実の成果を得るために必要な企業文化の根本的変革について述べたいと思います。7月22日に、最新の四半期の業績を発表しますが、その時に、2015年会計年度にコアへのフォーカスのために行なっていくことを詳しく説明します。7月中に、Senior Leadership Teamと私は、必要とされるエンジニアリングと組織上の変革について共有します。そして、MGXと//oneweekコンファレンスにおいて、これらの成果をまとめるために集結し、互いから学び、アイデアを実行へと結びつけていきます。

マイクロソフトの世界観

私たちは、モバイルファースト、クラウドファーストの世界に生きています。コンピューティングがあらゆる場所で提供され、デバイスに共通の体験が提供され、インテリジェンスが環境化しています。会議室、リビングルーム、都市、自動車、電話、PC等における数十億ものセンサー、スクリーン、デバイスが、広大なネットワークを形作り、私たちの生活の裏側で消え去るだけのデータの流れを作り出しています。このコンピューティングのパワーは、私たちの周りのほとんどのものをデジタル化し、人と人との間、そして、人と機械との間のやり取りから生み出されたあらゆるデータから洞察を導き出します。私たちは、コンピューティングパワーが希少であった世界から、ほぼ無限となった世界へと移行しています。このような世界では、人間の注意力こそが真に希少な資源になりつつあります。

この新しい世界では、インターネット接続デバイスを持つ人々の数はまもなく30億人以上に達します。人里離れた地域のスマートフォンを持った農家の人から、クラウドサービスベースのアプリを仕事でも生活でも活用する複数のデバイスを所有するプロフェッショナルのパワーユーザーまで様々な人々がいます。

データの生成と利用に使われる多くのデバイスとクラウドサービスの組み合わせは、マイクロソフトにとってユニークな機会をもたらします。マイクロソフトのお客様、そして、社会は、マイクロソフトが変わらない価値基準を維持しつつ、テクノロジの価値を最大化することを期待しています。マイクロソフトは、あらゆる個人が活用できる、より自然な人間とコンピューター間のインターフェースを構築します。すべての業界に価値をもたらす安全なプラットフォームとインフラストラクチャーを開発し、展開していきます。データを活用したインテリジェントでパーソナルな体験の構築と、セキュリティとプライバシーの維持の間との最適なバランスを実現します。これらすべてを行なうことで、マイクロソフトは影響力を最大化できます。

このモバイルファーストでクラウドファーストな人々が世界で成長していけるよう支援することにマイクロソフトは情熱を傾けています。

マイクロソフトのコア

PCをあらゆる家庭のあらゆるデスクに置くことで、テクノロジが人々や組織が自分の夢を表現し、実現するための機会を作り出すという信念のもとにマイクロソフトは創業されました。

最近では、マイクロソフトは自らを「デバイス&サービスカンパニー」と呼んでいます。デバイス&サービスという呼称は、自社の変革を始める上では有用でしたが、今、マイクロソフトはユニークな戦略をさらに進める必要があります。

マイクロソフトのコアは、モバイルファースト、クラウドファーストの世界におけるプロダクティビティソリューションとプラットフォームの提供企業であることです。地球上のあらゆる人とあらゆる組織が、より多くのことを達成できるようにするためのプロダクティビティソリューションを再発明していきます。

マイクロソフトは、人々、チーム、そして、組織全体のビジネスプロセスのプロダクティビティをひとつの相互接続されたデジタル基盤として考えています。また、個人、IT部門、開発者向けの相互接続されたプラットフォームという視点からも考えています。このような総合的視点を取ることで、マイクロソフトは、ますますデジタル化が進むこの世界において、より複雑で微妙になる日々の課題を解決できるのです。また、これは巨大な成長機会でもあります。生活と仕事のほとんどの局面でデジタル化が進展することで、GDPに占めるテクノロジ関連支出も増加していくからです。

プロダクティビティ体験とプラットフォーム構築という点では、マイクロソフトには豊富な実績とユニークな能力があります。マイクロソフトは人々が効率的に作業をできるよう支援してきました。たとえば、宿題、レシピの作成、予算計画などの作業です。世界中の友人や家族とチャットするという作業もあります。絵を描いたり、詩を書いたり、アイデアを表現したりという作業もあります。F1レーシングチームを運営したり都市全体を管理したりするという作業もあります。想像力のひらめきからあたらしいゲームを作り出し、世界中の人々とリミックスするという作業もあります。HIVのワクチンを作ったり声を失った人に声を提供したりするという作業もあります。

これは成長のためのきわめて重要な基盤です。

マイクロソフトは、仕事と生活のデジタル体験において、世界中のデバイス、アプリ、文書、データ、ソーシャルネットワークの調和を取っていくという点に、ユニークな能力を持っています。そこで、中心となるのは人です。ますます希少になる資源、すなわち「時間」の制約の中で、より多くのことができるように人を支援することが重要です。

マイクロソフトにとってのプロダクティビティとは、文書、スプレッドシート、スライドだけではありません。デバイス、アプリ、データ、ソーシャルネットワークの大海の中で泳ぎ続けなければならない人々のためにプロダクティビティを再発明します。コンピューティング体験の中心に人を置くことで、個人だけではなくグループや組織全体のプロダクティビティのニーズに対応するソリューションを構築していきます。プロダクティビティの意味を、単に何かを作るというだけではなく、人々が新たな洞察を活用できるようにしてくれる、ということも含めた概念へと変革していきます。より予測可能でありパーソナルであり有用なツールを構築していきます。組織がビジネスプロセスの自動化から、インテリジェントなビジネスプロセスへと移行していけるように支援します。マイクロソフトが構築するあらゆる体験は、実際に仕事や生活をしている個人の豊富な関連情報を理解した上でのものであり、簡単に作業を整理し、実行できるよう個人を支援するものです。

人々や組織のプロダクティビティ向上は、個人の自己実現、そして、経済成長の重要な推進要因です。マイクロソフトは、これをあらゆる場所で実現するための体験とプラットフォームの構築に尽力する必要があります。マイクロソフトは、あらゆるユーザーが潜在的に「デュアルユーザー」であると考えています。すなわち、職場や学校でテクノロジを活用するだけでなく、個人の生活でもデジタルテクノロジを深く活用しているということです。テクノロジを使って作業を行ないたいと感じており、新しいクラウドベースのアプリケーションを求め、カレンダー管理、高度な表現、コラボレーション、ミーティング、検索、リサーチを、セキュリティとプライバシーのコントロールを適切に行ないつつ、広く活用します。

マイクロソフトは、あらゆるデュアルユーザーを支援するために努力を惜しみません。まず対象となるのはインターネット接続デバイスを所有する30億人の人々です。そこではプラットフォーム的な思考を行ないます。開発者やパートナーは、世界中のあらゆる個人や企業に向けてマイクロソフトの体験を拡張するために、創造力を発揮し成長していくことができます。

マイクロソフト全体で、プロダクティビティとプラットフォームの再発明に尽力していきます。デュアルユーザーを特に念頭におき、仕事と生活の両方における最高レベルのデジタル体験の構築に徹底的にフォーカスしていきます。マイクロソフトのクラウドOS基盤、デバイスOS、そして、自社製のハードウェアは、すべてこのフォーカスに基づいていると共に、広範なエコシステムも実現します。マイクロソフトは、最もパーソナルで、インテリジェントで、オープンで、効果的なやり方で仕事と生活のデジタル体験を現実にします。

仕事と生活のデジタル体験

マイクロソフトは、モバイルファースト、クラウドファーストの世界に向けて再発明された仕事と生活のデジタル体験を提供します。最も重要な点として、これらの体験はプロダクティビティに優れています。その結果、人々はより容易かつ効率的に対面したり、協業したりできるようになります。新しい方法で考えを表現できるようになります。DelveやCortanaにより、知性の魔法に囲まれる体験をすることができるようになります。自然に問いかけてPower Q&Aから答えを得られるようになります。Skype Translatorによって言語の壁を越えて、世界を変えることができるようになります。アプリは、仕事と生活のデータを分けられるインテリジェンスが搭載されることで公私にわたり使用でき、個人のプライバシー上の選択に基づいて、設計されるようになります。これらのアプリは、誰でも発見、試用、購入が容易にできるように開発されます。他のエコシステム向けにも開発されますので、人々はコンテンツや充実したサービスをそのままであるデバイスから別のデバイスに移行することができます。これは、デバイスではなく人を中心に置いているからこそです。このような変革は、デスクトップのOfficeからOffice 365のサービスへの移行時、そして、個人用プロダクティビティ製品からグループ向けプロダクティビティ製品への移行時に起こりました。いずれのケースでもお客様の高い評価を受けました。マイクロソフトは、Skype、OneDrive、OneNote、Outlook、Word、Excel、PowerPoint、Bing、そして、Dynamicsといった、人々が慣れ親しんでいる世界最高レベルのプロダクティビティ、コラボレーション、ビジネスプロセスツールをさらに進化させていきます。

これらの体験は、今後ますます相互接続性を高め、背景情報の活用が進み、パーソナル性も高まっていきます。たとえば、今、私のWindows PhoneのCortanaアプリは、高速道路の渋滞状況と、私個人のカレンダーの情報を組み合わせて、娘の発表会に間に合うように会社を早く出るように教えてくれます。将来的には、メモを取ったり、会議を予約してくれたり、天気についての質問が、その日に着る服を決めるためなのか、家族の休暇の予定を決めるためなのかを判断できるような、さらに知能の高い個人向けアシスタントになっていくでしょう。仕事と個人生活の情報から判断し、そして、ユーザーがプライバシーをコントロールできるようにする。マイクロソフトの体験はそれらの点でユニークです。

クラウドOS: クラウドOSは、マイクロソフトが強みを活かせる分野であり、最大の市場機会でもあります。Azureを提供するマイクロソフトは、超大規模クラウドを稼働できる、ごく限られたベンダーのひとつです。AzureとWindows Serverを組み合わせることで、マイクロソフトは最新のビジネスを支援する、パブリック、プライベート、ハイブリッドすべてのクラウドプラットフォームを提供できる唯一の企業になりました。企業が既存のデータセンターとマイクロソフトのパブリッククラウドを組み合わせて、一貫性のあるひとつのインフラストラクチャーを構築できるようにすることで、マイクロソフトはIT投資効果を変革します。お客様がクラウドOS を活用してビジネスを加速し、すべてのデータとアプリケーションのニーズに応えられるようにします。

バックエンドのクラウドインフラストラクチャーに加えて、マイクロソフトのクラウドは従業員に対して、より充実した体験を提供します。たとえば、新製品のEnterprise Mobility Suiteにより、IT部門は、従業員が使用するWindows、iOS、Androidデバイスを管理し、同時に企業のセキュリティを確保できるようになりました。また組織が、SaaSアプリケーション(マイクロソフト製でもサードパーティ製でも)を安全に使用し、既存のセキュリティや管理基盤とシームレスに統合できるよう支援します。マイクロソフトは、アイデンティティとディレクトリサービスリッチデータストレージアナリティクスサービス機械学習サービスメディアサービス、ウェブとモバイルバックエンドサービス開発者プロダクティビティサービスといったハイレベルのサービスにおけるイノベーションを継続していきます。

また、マイクロソフトのクラウドOSでは、職場と日常生活におけるマイクロソフトのデジタル体験のすべてを稼働できるようにし、グローバルなデータセンターの拠点も拡大しています。職場と日常生活におけるマイクロソフトのデジタル体験は、サードパーティによる拡張性も提供しており、クラウドOSを中心とした開発者の充実したエコシステムが実現されています。これにより、お客様やパートナーはマイクロソフトのソリューションをカスタマイズし、拡張することで、さらにその価値を高めることができます。

デバイスのOSとハードウェア: マイクロソフトのWindows OSと自社製ハードウェアは、プロダクティビティ体験の基盤となります。Windowsは、スマートフォン、タブレット、ノートPC、TVから、82インチPPIボードの巨大画面に至るまで、あらゆるサイズの画面上で、デジタルな職場と日常生活のシナリオ向けに、最も強力で一貫したユーザー体験を提供します。今日のワークフォースとIT部門にとって、Windowsが最も安全で、管理が容易で、強力なOSとなるべく、マイクロソフトは投資を続けていきます。Universal Windows Applicationsにより、すべてのターゲットデバイス上で稼働できるアプリ作成が可能になり、Windowsは開発者にとっての大きな市場機会を生み出します。Windowsは、音声、ペン、ジェスチャーなどの新しい入出力方法をサポートするよう進化していき、最終的にはよりパーソナルなコンピューティング体験を実現します。

マイクロソフトの自社製デバイスは、デジタルな職場と日常生活に活気を与えます。世界最高のプロダクティビティタブレットであるSurface Pro 3はその良い例です。さらに、マイクロソフトはWindowsエコシステム全体への需要を喚起するための自社製ハードウェアを構築していきます。これは、Surfaceで行なったように、新カテゴリを作り出すこともあり得ることを意味します。また、Nokiaのデバイスとサービスを買収した時の目標であった、Windows Phoneの市場構築も責任を持って果たしていくことも意味します。

Xboxに関する私の考え、そして、マイクロソフトにとっての重要性についても触れたいと思います。大企業として、コア事業を定義するのが重要と考える一方で、根本的な影響力や成功を導く可能性がある他の事業についても賢明な選択を行なうことが重要です。モバイルファーストの世界で人々が費やす時間と金銭という観点から考えると、最も大きなデジタルライフの分野はゲーム産業です。ユニークで大胆なイノベーションによりこの市場機会を追求する上で、Xboxが製品群のひとつであることは幸運でした。マイクロソフトはXboxでのイノベーションを精力的に追求し、ゲームファンのみなさんにご満足いただきます。Xboxは、最も高く評価されている一般消費者向けブランドのひとつであり、オンラインコミュニティやサービス、そして、熱心なファン層も拡大しています。また、ゲーム向けに開発されたテクノロジが、プロダクティビティの領域でも利用される点でも恩恵を受けています。たとえば、WindowsのコアグラフィクスやNUI、Skypeの音声認識、Kinect for Windowsのカメラテクノロジ、GPUシミュレーションのAzureクラウド強化などのテクノロジです。結論を言えば、マイクロソフトはXboxのイノベーションそしてファン層の拡大を継続していき、新たなビジネス価値を創出していくのです。

今日、多くの人がモバイルをデバイスの視点から定義していますが、マイクロソフトはユーザー体験の視点から定義します。モバイルファーストの世界では、まだ私たちは初期段階にいます。今後数年間で、多くのカテゴリが生まれ、あらゆる画面サイズの多様なデバイスに共通する体験を提供することが重要になってくるでしょう。マイクロソフトは、デュアルユーザー、そして、その公私共通のニーズにフォーカスすることで、このイノベーションの最先端であり続けます。

マイクロソフトの企業文化

マイクロソフトの理想は大胆なものです。これは、企業文化も大胆に変革していかなければならないことを意味します。
この点に私たちは極めて多くの時間を費やしてきました。個人的な意義や満足をもたらすためではありません。私たちは一つになることで、世界にインパクトをもたらすテクノロジを創り出す機会を持っているのです。

このコア戦略推進のために、マイクロソフトの企業文化を変革していく上で、議論の対象にならなかったものはありません。組織とは変化するものです。組織の統合や企業買収も起こるでしょう。従業員の職務も変わっていきます。新しいパートナーシップも生まれます。時代にそぐわなくなった伝統は批判されます。優先順位は再調整されます。新たなスキルが生まれます。新しいアイデアが登場します。新しい雇用が生まれます。プロセスは単純化されます。マイクロソフトで成長していきたいのなら、そして、世界にインパクトを与えたいのなら、あなた、そして、あなたのチームはこのリストにさらに多くの変化を追加し、精力的に変化を推進していかなければなりません。

頭脳明晰で、好奇心に富み、理想を持った人々が仕事をしていく上で、マイクロソフトが最適な場所となることを、私は約束します。

第一に、私たちはお客様のことを常に考えます。

あらゆる人がお客様のことを常に考えなければなりません。エンジニアリングチームにはお客様が愛してくれる体験を構築することを期待します。セールスとマーケティング組織には、マイクロソフトのユニークな価値提案を示し、お客様に使っていただけることを最優先で考えることを期待します。

モバイルファースト、クラウドファーストの世界で、お客様が必要とする体験を提供するために、エンジニアリングプロセスを、お客様第一で、データに基づき、スピードを最優先に、品質にフォーカスしたものへと変革していきます。お客様が必要とするものをより効率的に予測し、理解すると共に、市場から得た情報に基づいてより迅速に変化できるようにします。エンジニアリングプロセスを合理化し、作業完了までの時間と労力を削減します。プロセスの数は減ることになるでしょうが、よりフォーカスが進み、定量的な評価が行なわれるようになります。意思決定に関与する人の数が減り、説明責任がより強調されるようになるでしょう。また、2つの新たな(または統合された)役割、すなわち、Data and Applied Scienceとソフトウェアエンジニアリングへの投資も強化されます。各エンジニアリンググループのData and Applied Scienceは、製品の定量的評価、そして、市場動向の予測分析にフォーカスします。これによってより効率的なイノベーションが可能になります。Software Engineeringは、情報がより迅速に流通し、製品やサービスの発案から、お客様に対する高品質の製品、サービスの提供に至るまでがスムーズに進むよう強化されていきます。これらの変革を行なうことで、私たちとお客様の距離を縮めることができ、組織を通じた説明責任を強化することができます。

第二に、上記の変革のために、新たなトレーニング、学習、実験が必要となります。今後半年の間に、トレーニングや人材開発の強化、そして、新しいアイデアの試行や新規プロジェクトのインキュベーションの拡大といった投資が行なわれます。みなさんの多くから職責の変更は容易ではないという声を聞いています。みなさんが、企業内でよりシームレスに異動し、最大の影響力と個人の成長を達成できる職責に就けるようなプロセスと思考形態の変革を行ないます。ここでも、説明責任、そして、お客様への最大の価値の提供といった点は同様です。しかし、将来の学習と成長に投資することは誰にとっても利益となることは明らかです。

最後のポイントになりますが、マイクロソフトのあらゆるチームは物事をシンプル化し、より迅速かつ効率的に動ける方法を発見する必要があります。組織を平たんに、ビジネスプロセスを簡素化することで情報やアイデアがより迅速に流通できるようにします。企業文化の変革とは今までとは違ったやり方を行なうことを意味します。自分には関係ないと考える人も多いかもしれませんが、実際は、私たち全員がマイクロソフトをより良くしていくために新しいアプローチを採用し、協力していくことが必要です。この目標のために、私はシニアリーダーシップチームの各メンバーに、イノベーションのプロセスを推進し、業務と仕事のやり方をシンプル化する機会を見極めるよう命じました。これについては7月中にまた詳しくお知らせします。
数ヶ月前に投資家との電話で、私はニーチェを引用し、マイクロソフトが「現実と直面する勇気」を持たなければならないと述べました。より重要なのは「機会と直面する勇気」も持たなければならないということです。

あらゆる人と組織がより多くのことができるように支援するというマイクロソフトの目標は明確です。また、マイクロソフトは、モバイルファースト、クラウドファーストの世界でプロダクティビティとプラットフォームを再発明するための適切な能力も持ち合わせています。この膨大な市場機会を活用するためには、適切な企業文化を作り上げなければなりません。そして、企業文化の変革とは、一人一人から始まっていくものです。

詩人リルケの「未来は、自らが私たちの中で変容するために、その時がやってくるずっと前から、私たちとともにあるものだ(The future enters into us, in order to transform itself in us, long before it happens.)」という言葉がこれを適切に表わしています。”

私たちは、個人として変わっていく勇気を持たなければなりません。どのようなアイデアを実現できるのか、どのような洞察を活用できるのか、どの人の生活を変えることができるのか、どのお客様を喜ばせることができるのか、どのような新しいスキルを学ぶことができるのか、どのようなチームの構築に貢献できるのか、どのような慣行に異議を唱えることができるのか、といった質問を自らに投げかけなければなりません。

個人として変革する勇気を持つことで、会社全体を変えることができ、この先にある膨大な機会を獲得することができるのです。

サティア ナデラ

 

マイクロソフトに関する詳細な情報は、下記マイクロソフトWebサイトを通じて入手できます。

日本マイクロソフト株式会社 Webサイト http://www.microsoft.com/ja-jp/
マイクロソフトコーポレーション Webサイト http://www.microsoft.com/

*Microsoft、Windows、Office 365、Skype、OneDrive、OneNote、Outlook、Excel、PowerPoint、Bing、AZULE、Windows Server、Surface は、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
*Windows の正式名称は、Microsoft Windows Operating System です。
*その他、記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

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