日本マイクロソフト株式会社 年頭所感

 [2015年1月5日]

    新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

   2014年を振り返り、最近の日本の経済状況を見てみますと、過去2年間のアベノミクス効果により、有効求人倍率の上昇、女性就業数の増加、活況を呈する株式市場などの好況なところと、消費税引き上げや急激な円安などの影響で人々の暮らしにおける不満足感や企業の業績悪化も見られるなど、先行きへの不透明感が強まった1年となりました。一方で「成長戦略」のスピードを緩めるわけにはいかず、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、日本は世界最高水準のIT利活用社会の実現を目指しています。

「プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニー」への変革

当社においては、2014年は創業以来最大ともいえる「変革」の1年でした。2月に3代目の CEOにサティア ナデラが就任し、多種多様なモバイルデバイスとクラウドサービスが普及した「モバイルファースト、クラウドファースト」の世界において、「新生マイクロソフト」として再出発し、新CEOの下での目指すべき方向性として、2014年7月にマイクロソフトの「コア」と「世界観」を社内外に向けて示しました。「モバイルファースト、クラウドファースト」の世界で、人々の生活や仕事・ビジネスにおける高いプロダクティビティと、それを実現するプラットフォームを提供していく「プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニー」として、当社は全社的な「変革」を加速しています。

また、ビジネスの分野でも、Officeのマルチプラットフォーム対応(iOSやAndroid対応)、9インチ以下のデバイス向けにWindowsライセンスの無償提供、Microsoft Azureにおけるオープンソースコミュニティとのさらなる連携、Visual Studio Communityの開始、そして、IBM、セールスフォース・ドットコム、Dropbox等、従来競合と言われてきた企業とのアライアンスなど、「変革」を象徴するような新しい取り組みが次々と発表されました。

日本における変革の推進

■ デバイスビジネスの加速

2014年4月に、2001年に発売し長年ご愛顧いただいたWindows XPのサポートを終了させていただきました。発売当時とはユーザーや企業のセキュリティ環境が大きく変化していることから、当社では安心、安全な環境に向けて、お客様には最新PC環境への移行を推奨させていただき、省庁、公的機関、パートナー各社と連携して様々な施策を展開しました。その結果、日本においてWindows XP搭載PCのインストールベースを10%未満にという目標を達成し、お客様のよりセキュアな環境への移行を推進させていただきました。

7月には、自社ブランドデバイス「Surface」の第三世代「Surface Pro 3」を発売しました。キーボード カバーやOffice搭載などの特徴はそのままに、第二世代と比べて、より薄く・軽く・大きな画面に進化したタブレットとして、「これさえあれば、なにもいらない」というメッセージの通り、PCとタブレットの1台二役が大変好評を得ています。

長年日本のOEMパートナー様と展開しているOfficeプレインストールPCも大きな変革を迎えました。10月には日本独自のOffice製品として「Office Premium」を発表、OEMパートナー様よりOffice Premium搭載PCが発売されました。ユーザーはアップグレードすることなく常に最新版Officeを利用でき、クラウドサービス(Office 365サービス)と組み合わせたハイブリッド構成のOfficeとなります。今後の日本のPCは、この Office Premium 搭載PCが標準的な位置づけとなることから、まさに「日本のパソコンが変わる」という大きな節目となりました。

2015年には、新しいデバイスOS(オペレーティングシステム)「Windows 10」の提供が予定されています。Windows 10は、従来のPCだけでなく、タブレット、スマートフォン、Xbox、組み込みデバイスなど、様々な形状のデバイスに対応した、全く新しいOSとして現在開発が進んでいます。Windows 10の投入を、パートナー企業も含めたWindowsエコシステム全体をさらに拡げる好機ととらえ、取り組んでまいります。

■ クラウドビジネスの加速

当社では、クラウドプラットフォーム(基盤)「Microsoft Azure」、クラウドプロダクティビティスイート「Office 365」、クラウドビジネスアプリケーション「Microsoft Dynamics」を法人向けの中核クラウドサービスとして位置づけ、全世界でクラウドビジネスを強化・加速しています。

日本では2014年2月にMicrosoft Azureの日本データセンターを開設、サービス提供を開始しました。続いて12月にOffice 365の日本データセンターからの提供を開始、2015年第一四半期にはDynamics CRM Onlineの日本データセンターからの提供を予定しています。当社の日本データセンターは、東日本と西日本の2つのリージョンの複数拠点で稼働しており、国内最高レベルの耐震性を誇る設備で、自社のソフトウェアで培った高信頼性・高可用性の自動復旧のネットワークの実現、バックアップ含め国内のみでの高い冗長性を提供します。日本のお客様向けには、PaaS/IaaS/SaaSのクラウドサービス全てを国内のデータセンターから提供することで、国内にデータ保有が必須の法人にもパブリッククラウド活用の選択肢を拡げるとともに、オンプレミス含めた様々な組み合わせでのハイブリッドクラウドをお客様のニーズに合わせて提供します。

2015年7月には、多くの企業システムで利用いただいた Windows Server 2003のサポートを終了させていただきますが、最新サーバー環境への移行推進と共に、クラウドサービスの活用はその移行先の有力な選択肢の1つとなります。

継続した「日本品質の追求」と国内データセンターの活用、様々なパートナー様との連携も拡大し、2015年は企業の企業情報システムのクラウド化、近代化を一層支援してまいります。

さらに信頼される会社として、日本法人30周年へ

マイクロソフト コーポレーションは今年設立40周年を迎えます。新CEOのリーダーシップも2年目に入り、さらなる変革が加速されます。革新的で多くのお客様に親しみをもって利用される製品・サービスを提供することで、「プロダクティビティ&プラットフォーム カンパニー」としての価値を高めていきます。

日本マイクロソフトは、前身のマイクロソフト株式会社の設立から、今年29周年、来年には30周年を迎えます。また、2011年2月の「日本マイクロソフト」への社名変更と品川本社オフィスへの移転から、まもなく4年となります。全社員が「日本のお客様、パートナー様、社会に貢献する」という想いをもって企業活動に取り組んできたことで、「会社」としての信頼感の高まりも感じております。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、クラウドやスマートデバイスを活用した様々な取り組みや新サービスが続々と検討・研究されています。我々日本マイクロソフトもぜひ日本の成長に向けて、ITベンダーの側面から貢献したいと考えております。2015年は、その想いと意志をさらに強く持ち、将来の「日本マイクロソフト」を見据えて「変革」を推進し、より良き企業市民として、さらに社会に貢献できる会社となるべく邁進してまいります。

本年も日本マイクロソフトに倍旧のご愛顧を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

日本マイクロソフト株式会社 代表執行役 社長 樋口 泰行

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