アジアにおいて、AI が大きな成果を挙げている 5 つの分野

ラルフ ハウプター (Ralph Haupter)
Microsoft Asia プレジデント
(本記事はLinkedInに投稿されたものです)

アジアの各地域において、ビジネスリーダー、政策決定者、学識者や業界専門家の間で活発に議論される話題として、人工知能 (AI) が社会にもたらす潜在的影響があります。

一部の方が AI の将来について注意を喚起していることは理解できます。多くの人々が失業し、AI へのアクセスが不公平になり、AI に求められるデータ量が拡大し続ける中でプライバシーや市民の自由が損なわれるというディストピア的な暗い未来像を描く人もいます。

AI が新たな社会的課題をもたらすことは否定できません。このような課題には十分な注意を払って対応していくことが必要です。とりわけ、企業が顧客や利害関係者において AI への信頼を構築していくことが重要です。

しかし、このような懸念材料によって、AI が社会にもたらす多大な貢献を見失うことがあってはいけません。
ここで、アジア地域で AIが既に大きな成果を挙げている 5 つの主要分野をご紹介します。

1. アクセシビリティ

現在、アジア太平洋地域には、6 億9,000万人の障碍を持つ人々がいます。AI は視覚、聴覚、認知、運動の障碍を持つ人々を支援し、日々の作業を独立して行い、より生産的で充実した生活を送り、社会により深く参画できるようにしてくれます。

一例として、AI を活用して顔、感情、手書き文字など、多様な視覚情報を識別してくれる無料アプリ Seeing AI があります。これらの情報は、視覚障碍を持つ人々のために音声情報に変換されます。これにより、世界に 2 億 8,500 万人いるロービジョン者の日々の生活を容易にし、視覚的世界へのアクセシビリティを高めてくれます。

Seeing AI アプリは視覚障碍を持つ人々のために視覚的世界を聴覚的体験に変換します。

2. 農業

今日、アジアの人口は世界人口のおよそ 60 パーセントに相当する 45 億人を超え、世界で最も人口の多い地域となっています。この数値はさらに増加し、2030 年までには 50 億人以上になると予測されています。アジア地域の食糧供給は既に課題を抱えていますが、農家がAI やアナリティクスを活用して収穫高を大幅に向上する新たな方法を発見できなければ、さらに問題は悪化します。

マイクロソフトはインドで非営利団体 International Crop Research Institute for the Semi-Arid Tropics (ICRISAT) と協業し、天候や土壌などの指標に基づいて作物の植え付けに最適な日を農家に助言する AI Sowing App を開発しました。

このソリューションは、AI を活用して過去 30 年間の気象データを分析し、リアルタイムのデータと天候予測モデルを使用して雨量と土壌水分を計算することで、最適な播種期を予測します。このプログラムは、農地にセンサーを設置するなどの農家による投資を必要としないため、新興国での利用に特に適しています。

3. 気候変動

21 世紀最大の課題のひとつとして、気候変動とそれがもたらす人類の健康、インフラ、自然システムへの影響があります。気候変動の主要な原因は炭素の排出です。

マイクロソフトでは、持続可能な事業運営を行い、ビジネスによる環境への影響を削減するという責任を重要視しています。この責任を達成するためのひとつの方法として、マイクロソフトは AI の支援によりデータセンターの運用とインフラの管理を行っています。その結果として、データセンターの計算と冷却に必要とされる電力が減少します。実際、従来型のエンタープライズデータセンターと比較して、マイクロソフトのクラウドサービスはエネルギー効率が 93 パーセント高く、炭素効率性が最大 98 パーセント優れています。

また、AI テクノロジの活用により、データセンターだけではなく建物全体におけるエネルギーの効率性の向上が可能です。シンガポールでは、国家の電力のおよそ3分の1が建物で使用されています。国家の産業基盤開発を担う政府機関 JTC は、建物の監視、分析、最適化の運用を Microsoft Cloud に集約することで、この膨大な電力消費に積極的に対応しています。センサーデータと AI による分析を活用し、JTC は、故障が起こる前に予測モデルによって問題を識別し、修正できるようになりました。これにより、エネルギーコストが 15 パーセント削減されました。

4. 教育

教育はより良い未来を造るために不可欠な要素であり、マイクロソフトは学生にとっての教育体験を強化し、成績を向上するために AI を活用しています。

南インドのアーンドラ・プラデーシュ州において、マイクロソフトは政府と協力し、学校からドロップアウトする可能性が高い学生を予測する新しいアプリを開発しました。このソリューションは機械学習、AI 機能、クラウドを活用し、入学時の情報、成績、性別、社会経済的特性、学校のインフラ、教師のスキルなどの複雑なデータを分析してパターンを探し出します。

これにより、行政と学校の担当者はリスクが高い学生を早期に特定し、ドロップアウトを防ぐためのプログラムやカウンセリングを提供できるようになります。既に、このアプリはアーンドラ・プラデーシュ州の1万校以上の学校で使用されており、2017年時点で500万人以上の学生が対象になっています。

AI の支援により学校を卒業して労働市場に参入できる学生の数が増すことで、将来の経済発展にも結び付きます。

5. ヘルスケア

最後に述べたい点として、AI テクノロジは今日の最も重大な疾病の克服において医療機関を支援すると共に、アジアの増加を続ける人々の生活の質を向上してくれます。

マイクロソフトはインドにおいて、国内最大の医療組織のひとつである Apollo Hospitals と協力し、世界の人々の死因のおよそ 3 分の 1 を占める心臓病の克服を目指して AI にフォーカスしたネットワーク を開発しました。インドに絞っても年間およそ 300 万件の心臓発作が発生しており、3,000 万人のインド人が心臓病を患っていると推定されています。

このパートナーシップは、マイクロソフトの AI 専門知識と Apollo Hospitals の心臓病における経験と知識を組み合わせることで、新たな機械学習モデルを開発し、患者の心臓病リスクを予測し、医師の治療計画を支援することを目標にしています。

これらは、AI が開発の初期段階にある一方で、既に私たちの生活に驚くべき恩恵をもたらしてくれている事例の一部でしかありません。AI の可能性は拡大過程にあり、これからも様々なすばらしい事例が出てくることを確信しています。結局のところ、AI は人間の創造性を強化してくれるだけではなく、私たちを人間らしくしてくれる要素、すなわち、思いやり、好奇心、そしてより良い未来を造りたいという熱意といった要素も強化してくれるのです。

【日本マイクロソフト株式会社について】
日本マイクロソフトは、マイクロソフト コーポレーションの日本法人です。マイクロソフトは、モバイル ファースト& クラウド ファーストの世界におけるプラットフォームとプロダクティビティのリーディングカンパニーで、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」を企業ミッションとしています。
日本マイクロソフトは、この企業ミッションに基づき、「革新的で、安心して使っていただけるインテリジェントテクノロジを通して、日本の社会変革に貢献する」企業像を目指します。

マイクロソフトに関する詳細な情報は、下記マイクロソフトWebサイトを通じて入手できます。

日本マイクロソフト株式会社 Webサイト http://www.microsoft.com/ja-jp/
マイクロソフトコーポレーション Webサイト http://www.microsoft.com/

* Microsoft は、米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標または商標です。
* その他、記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。

本プレスリリースのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。

Tags:

関連記事