日本マイクロソフト ヘルスケア (医療・製薬) 分野の最新情報を公開

日本マイクロソフトは、ヘルスケア (医療・製薬) 分野のデジタルトランスフォーメーションの推進に向けて、当社のクラウドサービスを活用した、病院内の働き方改革や、AI、Mixed Reality (複合現実) などを活用した診断、創薬研究などをご支援しています。当社では、2019 年 10 月 8 日 (火) にヘルスケア分野における、お客様やパートナー企業との最新の取り組み、今後の方針や施策を発表しました。

■ ヘルスケア分野における日本の課題
現在日本のヘルスケア分野には、少子高齢化、社会保障給付費の高騰、医療サービスの不足と地域格差などの課題があり、政府の未来投資会議では、ヘルスケア分野での重点的な取り組みとして、医療サービスの生産性向上、先端技術の積極活用、保健医療データの整備・流通の 3 点が挙げられています。

日本マイクロソフトでは、このような現状を踏まえ、より良い医療の実現に貢献させていただくために、「医療現場の改革」「医療の質の均てん化」「ヘルスケア連携」を重点分野として取り組んでいます。それぞれの最新の取り組みとお客様事例をご紹介します。

■ 医療現場の改革(医療技術・サービスの向上と労働環境の改善を両立)
働き方改革に役立つコラボレーションツールである Microsoft Teams は、日本の多くの医療現場で活用されています。倉敷中央病院様では、専門スタッフによる質の高い医療を提供するために、従来の主治医制度からチーム医療に転換を図るのにあたり、Microsoft Teams を採用され、リアルタイムに近い多職種間コミュニケーションを実現しています。詳細はこちらをご参照ください。

また当社では、医療現場で日々利用されている基幹アプリケーションと、Microsoft Teams の連携強化に取り組んでいます。今年 7 月には TXP Medical 株式会社の救急カルテシステム「NEXT Stage ER」と Microsoft Teams の連携を実現し、カルテ情報から医師同士の医療相談が可能になったことで、重症患者の病院間転送の相談などをより迅速に行えるようになりました。日本マイクロソフトでは、今後 1 年間にこうした医療アプリケーションと Microsoft Teams の連携を 20 件以上実現させたいと考えています。

日本マイクロソフトでは、医療従事者の皆さまの働き方改革推進をご支援するため、医療従事者向け働き方改革リーダーコミュニティを 2019 年 10 月末より開始します。医療機関において働き方改革を進めるリーダー 1,000 名 の育成支援を目標としており、無償トレーニング等も提供します。申込方法等の詳細は 10 月末に公開予定です。

■ 医療の質の均てん化(患者の診療参加と科学的根拠による偏りのない診療)
日本マイクロソフトでは、AI や Mixed Reality (MR、複合現実) などの最先端テクノロジを活用することで、医療の質の均てん化に貢献させていただきたいと考えています。

当社では 2019 年 6 月に、Mixed Reality を活用した医師と患者さんのコミュニケーション支援ソリューションの開発でアステラス製薬株式会社と連携することを発表しました。例えば骨粗鬆症においては、とくに初期段階の自覚症状が少ないこともあり、患者自身が自分の病気を自分事と捉えにくい傾向があります。こうした患者さんの意識を「能動的な治療に取り組む」意識へ変えていただくために、Microsoft HoloLens を用いたコミュニケーション支援ソリューションをアステラス製薬と連携して開発しました。2019 年内に一部の医療機関で試験的にこのソリューションを活用し、2020 年以降に Microsoft HoloLens 2 を用いて全国で展開させていただく予定で、2020 年に 50 医療機関、2022 年末までに 1,000 医療機関での導入を目指しています。

医療機関のお客様の AI 活用事例として、国立がん研究センター 東病院様の”医師の暗黙知のデータベース化”の取り組みをご紹介します。手術や治療などの医療処置は、医師のスキルや経験、ノウハウに基づく暗黙知に左右される領域が多く、そうした技術をいかにして後進の医師に共有し、医療技術の標準化(医療の質の均てん化)を図っていくかが課題となっています。国立がん研究センター 東病院様では、手術中の動画を収録、解析し、『手術工程』、『使用術具』、『処置内容』などを時系列にラベリングし、人の中に閉じていた技術や知識を定量化することで、どこでどういった処置をすればいいのかを可視化できるデータベースを、Microsoft Azure を活用して構築されています。記者説明会に登壇いただいた、国立がん研究センター 東病院 大腸外科 / 機器開発推進室 竹下 修由様は、Microsoft Azure 採用の理由として、今後のプロジェクトの展開に合わせて様々なことを実現できる将来性と、日本のヘルスケア分野で長年実績のある当社のクラウドサービスであること、サポートの充実などを挙げられました。詳細はこちらをご参照ください。

日本マイクロソフトでは、AI などの先端技術を活用したヘルスケア分野のデジタルトランスフォーメーションの推進に貢献するために、医療・医薬機関において変革を推進されるデジタル活用人財の育成を支援していきます。当社がグローバルで提供している「AI ビジネススクール」において、2019 年 9 月より医療機関、医療パートナー向けの無償オンライン講習の日本語版を提供開始しました。今後こちらのオンライン講習に加えて、お客様のご要望をお聞きして年間計画を作成したうえで、セミナーなどの集合型研修も組み合わせてご提供し、受講後にはその成果の評価まで実施していく予定です。

■ ヘルスケア連携(健康・医療・介護の連結 健康寿命の延伸)
当社では、お客様にマイクロソフトのクラウドサービスを安心してお使いいただくために、セキュリティおよびプライバシーに関するガイドラインやリファレンスを、パートナー企業と連携して提供しています。患者情報の取り扱いに関する「3 省 3 ガイドライン」に準拠したリファレンス(株式会社三菱総合研究所および日本ビジネスシステムズ株式会社による医療機関向け『Microsoft Azure』対応セキュリティリファレンス、きりんカルテシステム株式会社による『きりんカルテ』ガイドライン対応リファレンス等)や、製薬会社やバイオテクノロジ企業向けの CSV/GxP に対するガイドライン(Azure のお客様を対象とする詳細な GxP 認定評価ガイドライン等)を公開しています。

当社のクラウドプラットフォーム Microsoft Azure は、国内の電子カルテにおいても採用が増えています。亀田医療情報株式会社様は、クラウドネイティブの電子カルテ「blanc(ブラン)」を 2020 年 1 月より順次提供されるのにあたり、パブリッククラウド基盤として Microsoft Azure を採用されました。Microsoft Azure が、医療情報システムに求められるガイドラインに積極的に対応していること、国内東西 2 拠点での冗長化が可能であること、早くから日本の医療機関で利用されている実績があることなどを評価されています。

医薬品業界においても、Microsoft Azure のご採用が拡大しています。中外製薬株式会社様では、同社のデジタルトランスフォーメーションの推進にあたり、オンプレミス環境を Microsoft Azure でクラウド化されるとともに、RPA (Robotic Process Automation) やチャットボット、また Microsoft Teams も活用した、働き方改革にも取り組まれています(詳細はこちらをご参照ください)。みらかホールディングス株式会社様では、2019 年 9 月に提供開始となったばかりの SIEM(Security Information and Event Management)サービスである Azure Sentinel をいち早く採用され、Microsoft Azure、Microsoft 365 に加え、オンプレミス環境のセキュリティ関連のログを一気通貫で監視・管理し、そのログを AI で分析、セキュリティ脅威の挙動予測まで行う、先進的なセキュリティ環境を整備されています。

日本マイクロソフトのヘルスケア分野におけるデジタル化推進の取り組みに賛同頂いているパートナー企業をご紹介します。2018 年 9 月に発表させていただいた 30 社から 14 社を加え、44 社にご賛同いただいています。ヘルスケア分野では急速に変化する社会構造に伴い、多くの課題がありますが、当社では、リファレンスアーキテクチャーや技術者育成プログラムなどのご支援をさせていただくことで、パートナー企業とさらに連携し、課題解決と新たなビジネスの創出を図っていきます。

マイクロソフトでは、スタートアップ企業向けに営業支援や技術支援などを提供する「Microsoft for Startups」をグローバルで展開しています。日本のヘルスケア分野では、きりんカルテシステム株式会社、TXP Medical 株式会社、ネクスジェン株式会社、株式会社 T-ICU の 4 社が、本プログラムに選定されています。

日本マイクロソフトでは、2018 年 9 月の発表時に、2018 年 7 月 ~ 2021 年 6 月の 3 年間で、ヘルスケア分野における当社のクラウド売上比率を 40% から 70% に引き上げ、クラウドサービスによる売上を 2.5 倍に、ヘルスケア分野全体の売上を 1.5 倍の規模に拡大したいという事業目標をご紹介し、1 年が経過したところですが、順調に推移しています。当社ではヘルスケアクラウドの提供により、日本社会が直面している多くのヘルスケア関連の課題解決に挑戦し、より良い医療の実現に貢献していきたいと考えております。

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