マイクロソフト、自動車関連企業とのパートナーエコシステムを拡大 モビリティの未来を推進へ

自動車関連企業のスマートモビリティサービスプロバイダーへの転身をテクノロジで支援

自動車を最初に開発し、大量生産することによって交通革命を起こしたのは、カール ベンツ (Karl Benz) 氏とヘンリー フォード (Henry Ford) 氏でした。1 世紀以上経った今、自動車業界は再び交通のトランスフォーメーションに向けた準備を整えており、コネクテッドカーやパーソナライズされた自動運転体験、さらには電気自動車の開発を進めているほか、ライドシェアや配車サービス、複合輸送やスマートトランスポーテーションといった概念の新たな移動ビジネスモデルにも取り組んでいます。

コンサルティング会社の McKinsey & Company は、自動車業界が今後大きく成長し、2030 年までに 6 兆 6000 億ドル市場になると見込んでおり、中でも破壊的なビジネスモデルが収益全体の 25% を占めるとしています。メーカーは、自動車のシェアードサービスから完全な EV カーに至るまで、さまざまな新製品やサービスを開発中です。これにより、モビリティ アズ ア サービス (MaaS) を提供する大規模な車両フリートが登場し、個人が自動車を所有する時代から、サービスとして車両を利用する時代へと進むでしょう。また、車内体験も進化し、生産性や娯楽性が高くなるほか、安心かつ安全なパーソナルアシスタントがさまざまな交通状況をサポートし、企業や消費者に付加価値を提供するようになります。

このトランスフォーメーションには、データを中心としたマインドが必要です。自動車業界では膨大な量のデータが生成されるためです。とはいえ、企業はこうしたデータから関連するインサイトを導き出す準備が完全にはできていません。今後の成功は、企業がデジタルインサイトを特定して取り入れ、イノベーションへの取り組み方を進化させることができるかどうかにかかっています。マイクロソフトがデジタルフィードバックループと呼んでいる考え方を通じ、企業全体が関連するデータ、例えば、顧客やパートナーとの関係管理や、従業員のエンゲージメント、主要製品の制作、企業運営などのデータをつなげることができ、継続的に製品やサービスを向上し、モビリティ企業は競合との差別化を図ることができます。

マイクロソフトでは、こうした自動車業界の巨大な可能性を解き放つべく、インテリジェントクラウドやインテリジェントエッジ、IoT、AI サービスなどを提供して同業界をサポートし、自動車企業が自らデジタル機能を構築し拡張できるよう支援しています。

マイクロソフトは、あらゆる規模の自動車関連組織がスマートモビリティサービスプロバイダーへと変革できるよう、支援します。

マイクロソフトの自動車業界向け戦略は、主に 3 つの指針で成り立っています。

  1. マイクロソフトは自動車業界全体とパートナーとして事業を展開します。マイクロソフトが車両の製造やエンドユーザー向けのモビリティサービスを提供することはありません。
  2. マイクロソフトは、データの所有権は当社のお客様である自動車業界にあると考えています。データから得るインサイトが、自動車業界の新たな収益につながるためです。マイクロソフトがお客様のデータを収益化することはありません。
  3. マイクロソフトは、自動車関連企業が独自のブランド体験を強化して拡張し、お客様との関係性を拡大できるようサポートします。

マイクロソフトは、お客様との関係性と幅広いグローバルパートナーネットワークに注力し、お客様やパートナーが次の 5 つの分野で成功できるようサポートしています。その分野とは、コネクテッドカーソリューション、自動運転開発、スマートモビリティソリューション、コネクテッドマーケティングおよびコネクテッドセールス&サービス、そしてスマートファクトリーとインテリジェントサプライチェーンです。

1. コネクテッドカーソリューションの強化
マイクロソフトのコネクテッドカーに向けた取り組みの中心となるのは、Microsoft Connected Vehicle Platform (MCVP) です。MCVP は、高度なクラウドおよびエッジコンピューティングサービスと、強固なパートナーネットワークを組み合わせ、自動車企業がコネクテッドドライブソリューションを構築できるようにするものです。コネクテッドドライブソリューションには、車内体験から自動運転、予測サービスや予測接続まで、さまざまなソリューションが含まれます。マイクロソフトは、すでに Volkswagen および Renault-日産-三菱アライアンス とパートナーシップを締結しており、今後も継続して新たなパートナーと MCVP を活用したさまざまな取り組みを進めます。

LG Electronics の webOS Autoplatform は、車載用コンテナ対応 OS で、プレミアムテレビ用に制作されたサードパーティーアプリケーションエコシステムを車内体験にて実現します。webOS Autoplatform は、MCVP のコンテナベースのランタイム環境をサポートしており、これが新たな車内体験における重要な部分となります。

Faurecia は、MCVP を活用して“未来のコックピット”内に破壊的なコネクテッドパーソナライズサービスを造り、乗車する人すべての車内体験を改革しようとしています。

Cubic Telecom は、世界中の自動車業界および IoT 業界に向け接続性管理ソフトウェアを提供している同分野のリーディングカンパニーです。同社は、グローバル市場向け MCVP のコアサービスとしてシームレスな接続性を実現した初期パートナーでした。MCVP との密接なインテグレーションにより、単一のデータレイクと統合サービス監視パスが可能になります。

ZF は、マイクロソフトとのパートナーシップを通して、Azure や開発者ツール、各種ソフトウェア開発におけるマイクロソフトのノウハウを活用することで、自動車業界にソフトウェアソリューションを提供するモビリティサービスのプロバイダーへ転身しようとしています。

お客様の中には、ブランドや消費者ニーズに合わせた会話アシスタントを提供し、さまざまなデバイスやアプリで利用できるようにしているケースも見受けられます。Microsoft Azure Virtual Assistant Solution Accelerator により、こうしたアシスタントの作成が簡素化できます。

2. 自動運転機能開発の加速
自動車メーカーやサプライヤー、モビリティサービスプロバイダーが自動運転ソリューションを迅速に提供できるよう支援します。こうしたソリューションは、クラウドやエッジ、IoT、AI などの包括的なサービスと、企業間での共同開発を可能にするパートナー主導のオープンエコシステムにより、安全で快適なパーソナライズされた運転体験を実現します。マイクロソフトは、Microsoft Azureを活用して大量データを使ったシミュレーションを作成している Audi のような大企業から、中小規模の企業やスタートアップまで、あらゆる規模の企業をサポートしています。

マイクロソフトは、自動運転に取り組むスタートアップの成長を加速させるMicrosoft for Startups: 自動運転プログラムを自動運転通して、こうした企業がデリバリーやライドシェア、長距離輸送などの分野で新たなビジネスチャンスをつかめるよう支援します。Linker Networks Udelv といったスタートアップ企業とのコラボレーションの詳細は、スタートアップブログをご覧ください。

昨年の IAA でのマイクロソフトのブースでは、Bosch、FEV、Intempora、Applied Intuition が自動運転ソリューションを紹介しました。

FEV は、Microsoft Azure を活用した自社開発のデータ管理および評価システムにより、自動運転機能の検証における主な課題を解決しています。

Intempora はこのほど Intempora Validation Suite (IVS) を発表しました。これは、高度運転者および支援システム (ADAS: Advanced Driver and Assistance Systems) と高度自動運転 (HAD: Highly Automated Driving) アルゴリズムのテストやトレーニング、ベンチマーク、検証のための新ソフトウェアツールセットです。

Applied Intuition は、エンジニアチームと製品開発チームがより迅速かつ安全に、そして容易に自律性を市場投入できるようにするソフトウェアを提供しています。

3. スマートモビリティソリューションの制作を実現
インテリジェントマッピングやナビゲーションサービスは、スマートモビリティソリューションの構築に不可欠です。TomTom や Moovit といった企業がマイクロソフトとパートナー関係にあるのもそのためです。

TomTom は、HD Maps や Traffic などのナビゲーションインテリジェントサービスをコンテナサービスとして統合し、MCVP で利用できるようにしています。これにより、自動運転を含む他の車載サービスでもロケーション情報が活用できるようになります。

TomTom と Moovit もマイクロソフトと提携し、Azure Maps を活用した包括的かつマルチモーダルな移動プランを作成できるようにします。

Azure Maps を活用した Moovit は、障害のある人が安心して交通機関を利用できるよう支援する都市移動アプリです。このプロジェクトは、マイクロソフトの最新技術を誰もが利用できるようにし、インクルージョンを促進し、マイクロソフトの技術が善意で使われ地球上のすべての人が技術革新の恩恵を受けられるようにするという、マイクロソフトの目標をサポートしています。

4. コネクテッドマーケティング、セールス、サービスソリューションの強化
Microsoft Business Application により、マイクロソフトの自動車パートナーやサプライヤー、小売業者がお客様の新たなインサイトを構築できるようになり、オムニチャネルのカスタマー体験を提供できます。Microsoft Automotive Accelerator では、積極的なコミュニケーションにより、自動車企業がアポや自動車サービスの予定を調整できるようになります。

IAA では、Annata、Adobe、Daimler などのパートナー企業がソリューション展示しました。

Annata は、マイクロソフトの Automotive Accelerator を活用し、自動車メーカーや機器メーカーがビジネス上の課題に対応しつつ、市場における新たな機会を見いだせるよう支援しています。

Adobe とマイクロソフトの戦略的パートナーシップとインテグレーションにより、エクスペリエンスの作成やマーケティング、広告、分析、商取引におけるエンドツーエンドの顧客体験管理ソリューションが実現します。

Daimler は、ビッグデータおよび高度分析に向けた新クラウドプラットフォームとなる eXtollo を発表しました。eXtollo は、暗号鍵や、証明書、接続文字列、パスワードなどの秘密を保護するサービス Azure Key Vault を利用しています。

5. インテリジェントサプライチェーンの構築に向けたサービスの提供
エンドツーエンドのデジタルトランスフォーメーションを推進するには、工場から作業現場、そしてエンドユーザーへの納車に至るまで、統合されたデジタルサプライチェーンが必要です。マイクロソフトでは、Icertis や BMW といった企業と協力し、インテリジェントサプライチェーンを構築しています。

Icertis の Contract Management は、Microsoft Azure上でネイティブに実行でき、Office 365 や Teams、Dynamics 365 とシームレスに統合されるため、お客様はマイクロソフトの技術への投資から幅広い恩恵を受けることが可能です。

BMW とマイクロソフトは、製造メーカーが協力してデータサイロを解消し、生産の最適化を妨げる複雑な独自システムの課題を解決できるよう、引き続き Open Manufacturing Platform の開発に取り組みます。

さらに、Ford は、量子コンピューティングの分野でマイクロソフトと連携し、渋滞の緩和などの社会的な問題の解決をはじめ、幅広い分野での取り組みを開始しました。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。

Tags: ,

関連記事