2030 年までにカーボンネガティブを実現

プレジデント ブラッド スミス (Brad Smith)

当資料は 2020 年 1 月 16 日に公開されたブログの抄訳です

2030 年までにカーボンネガティブになるという計画を発表したマイクロソフト コーポレーション プレジデント、ブラッド スミス (Brad Smith)、CFOエイミー フッド (Amy Hood)、CEOサティア ナデラ (Satya Nadella) (2020 年 1 月 15日、写真:ブライアン スメイル (Brian Smale))

科学的コンセンサスは明確です。世界は CO2 の緊急課題に直面しています。大気中の CO2 が熱を蓄積する層を形成し、世界の気候変動をもたらしています。既に地球の気温は摂氏 1 度上昇しています。CO2 排出を抑制せず、気温の上昇が続けば、その結果が破滅的になることは科学的に明らかです。

科学者のコミュニティが結論づけたように、1700 年代半ばの第一次産業革命以来、人類は 2 兆トン以上の温室効果ガスを大気に排出してきました。そのうちの 4 分の 3 以上が CO2 であり、その大部分が 1950 年代半ば以降に排出されたものです。これは、自然が再吸収できる量を超えており、人類は毎年 500 億トン以上の温室効果ガスを大気に排出していることになります。これは、数年や数十年間続く問題というわけではありません。いったん過剰な CO2 が大気に排出されると、それが消散するまでには数千年を要します。

世界中の気象専門家が CO2 排出を削減するための緊急のアクションを取らなければならない点で合意しています。最終的には、私たちは「ネットゼロ」(正味ゼロ) の排出量を達成しなければなりません。これは、毎年排出するのと同量の CO2 を除去しなければいけないことを意味します。これには、現時点で存在しないテクノロジや革新的公共政策といった、急進的なアプローチが必要になります。これは野心的な (さらに言えば無謀な) 目標です。しかし、科学的な観点から言って、この目標は、現在地球に住む人々、そして、未来のあらゆる世代にとってきわめて重要です。

マイクロソフト: 2030 年までにカーボンネガティブへ

世界がネットゼロを達成する必要がある中で、より迅速に、また、より徹底的に進むことができる者はそうすべきです。これが、本日、マイクロソフトが自社のカーボンフットプリントを削減し、最終的にはゼロにするという野心的目標と新たな計画を発表した理由です。

2030 年までにマイクロソフトはカーボンネガティブとなり、1975 年の創業以来、直接的および電力消費により間接的に排出してきた CO2 の環境への影響を 2050 年までに完全に排除します。

このためには野心的目標だけではなく詳細な計画も必要であることは認識しています。以下で述べるように、マイクロソフトは、2030 年までに、直接的な排出、および、サプライチェーンとバリューチェーンに関連する排出を含めて、CO2 排出量を半分以下に削減するという野心的プログラムを立ち上げました。2012 年より開始し、昨年に増加した社内の炭素料金の対象を、自社による直接的排出だけではなく、サプライチェーンとバリューチェーン全体の排出へと拡大することによりプログラムの資金の一部を確保します。

また、マイクロソフトのテクノロジを活用して、世界中のサプライヤーやお客様がカーボンフットプリントを削減できるよう支援する新たな取り組みを開始し、さらに、CO2 の削減、捕獲、除去テクノロジのグローバルな開発を支援するための 10 億ドル規模の気候イノベーションファンドも設立します。また、来年より、サプライチェーンの購買プロセスにおいて、CO2 排出量削減を重要な考慮点とします。これらの取り組みの進捗状況は、マイクロソフトの CO2 の影響把握と削減の取り組みの詳細を記載した Environmental Sustainability Report (環境サステナビリティレポート)により毎年公表していきます。最後の点として、マイクロソフトは、CO2 削減と除去の機会を推進する公共政策を支援するよう声を上げ続けることによっても上記の活動を支援していきます。

規範に基づいたアプローチ

マイクロソフトは、複雑な社会的課題の解決に新たに乗り出す時には、まず学び、次に取り組みの指針となる規範を定義することを目指します。このアプローチは、プライバシー保護や人工知能における倫理などの今までの取り組みにおける基盤となってきました。今回の CO2 排出削減という野心的目標達成においても同じアプローチを取ります。継続的にイノベーションを行ない、新たな道を進んでいくためには、以下の 7 つの規範がきわめて重要であると結論づけました。

  1. 科学と数学に基づく取り組み:マイクロソフトの取り組みは、常に最善の科学的知見と厳格な数学的洞察に基づきます。この点については、以下で詳述します。
  2. 自社のカーボンフットプリントへの責任: マイクロソフトは、自社によるすべての CO2 排出に責任を持ち、2030 年までに排出量を半減し、排出量以上を除去できるようにします。
  3. 新たな CO2 削減・除去テクノロジへの投資: 10 億ドルの自社資産を新たな Climate Innovation Fund とし、世界がカーボンネガティブになるよう支援する CO2 削減・除去テクノロジの開発を加速します。
  4. 世界中の顧客の支援: おそらく最も重要な点として、サプライヤーとお客様が自身のカーボンフットプリントを削減できるようにするためのデジタルテクノロジの開発と展開を行ないます。
  5. 効果的な透明性の確保:マイクロソフトは、自社の厳格なグローバルレポーティング標準に基づき、Environmental Sustainability Report を毎年公表し、進捗状況の透明性を確保します。
  6. CO2 削減関連公共政策に対する意見表明:マイクロソフトは、CO2 の削減と除去を推進する公共政策をサポートしていきます。
  7. 従業員の参画奨励:マイクロソフトは、イノベーションを推進する上で従業員が最大の資産であることを認識しており、自社の取り組みに従業員を参画させる新たな機会を創生していきます。

科学と数学に基づく取り組み

CO2 の課題に対するマイクロソフトの企業としての取り組みは、科学の継続的発展そして数学上の原理に基づいたものでなければなりません。この点は、消費者としての私たち、そして、より広範なビジネスコミュニティにとっても同様です。

基本的な点では、状況はきわめて単純です。以下のグラフに示されるように、GDP の成長で測定された人類の繁栄はエネルギー消費と密接に結び付いています。これは過去においても将来においても成り立ちます。私たちが、経済的機会の創出と繁栄を継続していくならば、さらに多くのエネルギー消費が必要になるのはほぼ確実です。これは、世界中のどこでも成り立つことですが、とりわけ、発展途上国の経済に強く当てはまります。これらの国は、より工業化が進んだ国の繁栄に追いつくため機会を与えられるべきです。

過去 2 世紀、特に 1950 年代以来、経済の発展には CO2 排出量の絶え間ない増大が必要でした。しかし、このような過去の状況を変える必要があります。要するに、CO2 排出量を削減しながら、より多くのエネルギーを消費できなければならないのです。

この課題の重要性は、過去数年間の科学的研究の進化により裏付けられています。様々な研究成果により、過去 50 年間に地球の気温が摂氏 1 度上昇したこと、そして、CO2 の排出がこの気温上昇の主要な要因であることが明白になっています。実際、迅速、かつ、徹底的な変化をもたらさない限り、今世紀の終りまでに地球の平均気温がさらに 1 から 4 度上昇するという高いリスクがあります。そして、そのような気温上昇による影響は壊滅的なものです。

ここでの大きな課題は、私たちが CO2 排出量の削減に社会としてコミットしていない点です。マイクロソフトが至った結論の一つは「CO2 の数学」(“carbon math”) について学び、現実を直視することが必要ということです。これは、CO2 の問題が、私たちに、個人として、家族として、企業として、どのように関係しているかを理解する上で重要な数学の基本的な考え方です。

ここで、比較的単純ですがきわめて重要な概念があります。科学者は、CO2 排出を 3 つのカテゴリー (「スコープ」) に分類して説明しています。

  • スコープ 1 は、あなたの活動により直接的に生じる排出です。たとえば、運転する車 (企業の場合は商品の運搬に必要なトラック) の排気ガスや発電による排出です。
  • スコープ 2 は、あなたが使用する電力や暖房によって間接的に生じる排出です。家庭の電灯や企業のビルで消費される従来型エネルギーに伴う排出です。
  • スコープ 3 は、あなたが関連する他のすべての活動から間接的に生じる排出です。たとえば、あなたが食べる食品やあなたが買う商品の製造に関連する排出です。企業の場合には、この排出の要因は、サプライチェーン全体、ビルの材料、従業員の出張、商品のライフサイクル全体、消費者が商品を使用する際の電力消費等、きわめて広範になります。このため、通常、企業のスコープ 3 の排出はスコープ 1 とスコープ 2 の合計よりもはるかに大きくなります。

これから、この 3 スコープのすべてを監視すべきことが明らかです。マイクロソフトは、今年に 1,600 万トンの CO2 を排出すると予測しています。このうち、約 10 万トンがスコープ 1 の排出であり、約 400 万トンがスコープ 2 の排出であり、残りの約 1,200 万トンがスコープ 3 の排出です。スコープ 3 に関連する活動の広範さを考えれば、ほとんどの組織においてスコープ 3 の割合が高いでしょう。

CO2 の数学ではもう一つの重要ポイントがあります。それは、「カーボンニュートラル」と「ネットゼロ」の相違です。両者は一見似ていますが、実は異なる概念です。

  • 一般的な用法では、企業が「カーボンニュートラル」であるとは、排出量の削減を避けるため、あるいは、大気からの CO2 の除去のために金銭の支払により排出量をオフセットすることを指すことが多いと言えます。しかし、これらはまったく異なる行為です。たとえば、排出量を削減せずに済ませる方法の一つに、森林所有者に対して伐採をしないよう支払を行なうことがあります。これは良いことではありますが、実質的には、悪影響がある行為を他人に行なわせないために資金を使っていることになります。これは、CO2 の除去に貢献する、植林を増やすことにはつながりません。
  • これに対して、「ネットゼロ」とは、企業が、排出するのと同量の CO2 を実際に除去することを意味します。ここで、単に「ゼロ」ではなく「ネットゼロ」(正味ゼロ) と言うのは、依然として CO2 は排出されているものの、排出量が除去される量と等しいことを意味するからです。そして、「カーボンネガティブ」とは、企業が毎年排出する CO2 より多くの CO2 を除去することを意味します。

マイクロソフトは、2012 年以来、「カーボンニュートラル」を目指して努力してきましたが、最近になり、この領域はプライドよりも謙虚さが重要であることを知るに至りました。この点は、マイクロソフトだけではなく世界のあらゆる企業や組織にとっても同様でしょう。

他のカーボンニュートラルの企業と同様に、マイクロソフトは、既に排出した CO2 除去ではなく、主に排出を避けるためのオフセットに投資することでカーボンニュートラルを目指してきました。しかし、マイクロソフトはこの方向性を変更しています。すなわち、世界が求めることを実現するにはニュートラルだけでは不足なのです。

CO2 排出量の削減が不可欠であり、この分野への投資が重要であることに変わりはありませんが、大気から CO2 を除去する緊急のニーズが生じています。マイクロソフトは、この領域における投資により貢献できると考えています。

さらに、マイクロソフト、そして、他の多くの企業が克服すべき課題もあります。過去において、マイクロソフトはスコープ 1 とスコープ 2 の排出にフォーカスしてきましたが、従業員の出張を除いてはスコープ 3 の排出に関して十分な算出を行なってきませんでした。これが、マイクロソフトが 3 つのスコープのすべてについて 2030 年までにカーボンネガティブになることにコミットしている理由です。

自社のカーボンフットプリントへの責任

上記の科学的・数学的議論に基づき、マイクロソフトは自社の CO2 排出量を削減するための野心的計画を発表しました。本計画には大きく以下の 3 つの構成要素があります。

第一に、以下のステップにより 2020 年代の半ばまでにスコープ 1 およびスコープ 2 の排出をほぼゼロにまで削減します。

  • 2025 年までにマイクロソフトは再生可能エネルギーに完全にシフトします。これは、データセンター、ビル、キャンパスでの電力の 100 パーセントをグリーンエネルギーとする電力購買契約を結ぶことを意味します。
  • 2030 年までに、世界のキャンパスにおける車両を電気自動車化します。
  • マイクロソフトは、シリコンバレーキャンパスとピュージェット湾キャンパスの最新化プロジェクトにおいて、International Living Future Institute の Zero Carbon 認証と、LEED Platinum 認証の取得を目指しています。

第二に、以下のような新たなステップを採ることにより、2030 年までにスコープ 3 の排出を半減します。

  • 2020 年 7 月に、マイクロソフトは、現在の社内炭素料金にスコープ 3 の全排出も取り入れる改定を行ないます。現在の炭素料金は 1 トンあたり 15 ドルであり、スコープ 1 とスコープ 2 の全排出、および、スコープ 3 のうち、出張に関する排出を対象にしています。他の一部の企業とは異なり、マイクロソフトの社内炭素料金は、計算はされるが徴収はされない「影の経費」(“shadow fee”) ではありません。マイクロソフトの炭素料金は、各部門の排出量に従って実際に支払われ、その資金がサステナビリティの改善のために使用されます。

7 月から、マイクロソフトの社内部門は、スコープ 3 の排出に対応する社内炭素料金の支払を開始します。最初は、他のスコープよりも低いトンあたり料金が設定されますが、長期的には料金を増加し、スコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 が同額になります。これにより、全社的にスコープ 3 の排出を削減するインセンティブが生まれると共に、スコープ 3 の排出削減や CO2 除去に必要な資金が提供されます。

  • 2021 年 7 月までに、マイクロソフトは、スコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 の排出削減にインセンティブを提供する新しい購買プロセスとツールを採用します。サプライヤーと協力し、正確で一貫した報告と、科学的に検証された目標の達成に向けた効果的な進捗管理が実現されます。

第三に、2030 年までに、マイクロソフトは排出した CO2 よりも多くの CO2 を除去し、1975 年の創立以来、直接的に、および、電力消費により間接的に排出してきたすべての CO2 を 2050 年までに除去するという目標達成の道筋を確立します。この目標は、ネガティブエミッション技術 (NET) のポートフォリオにより実現していきます。NETには、植林、再植林、土壌炭素隔離、回収・貯留付きバイオマス発電 (BECCs)、大気からの直接回収 (DAC) などが含まれます。

マイクロソフトは、(1) スケーラビリティ、(2) コスト、(3) 入手可能性、(4) 検証容易性という 4 つの規準に基づき NET の属性を毎年評価していきます。テクノロジとコストの現状を考えると、当初は自然界に由来するソリューションにフォーカスし、新たなテクノロジが活用可能になる 2050 年までの間にテクノロジベースのソリューションへとシフトしていくことを目指しています。

新たな CO2 削減・除去テクノロジへの投資

地球の CO2 問題の解決には現時点で存在しない新たなテクノロジも必要となります。これが、マイクロソフトの取り組みの大部分が CO2 除去テクノロジの開発の促進と加速への投資に充てられている理由です。マイクロソフトが新たに設立した Climate Innovation Fund は、今後 4 年間にわたり 10 億ドルを新規テクノロジに投資し、この問題解決に従事する世界中の人々に資金へのアクセスを拡大していくことにコミットしています。これが必要な投資のごく一部であることは理解していますが、これに触発され、多くの政府機関や企業が同様の投資を行なうようになることに期待しています。

マイクロソフトは、この資金を主に以下の 2 つの領域に投資します。(1) プロジェクトへの投資と資金調達による継続的なテクノロジ開発の加速、(2) 株式と借入資本による新たなイノベーションへの投資。

マイクロソフトは、以下の 4 規準に従って投資のフォーカスを決定していきます。(1) CO2 削減や気候安定などのサステナビリティ面での好影響を実現できる可能性が高い戦略、(2) 現在、および、今後のソリューションを加速できる、追加の市場へのインパクト、(3) 過去と将来の排出に対応するテクノロジを構築するマイクロソフトにとっての重要性、(4) 開発途上経済を含む気候変動の公平性への考慮。

この新たなファンドに加えて、マイクロソフトの AI for Earth プログラムによる CO2 の監視とモデル化プロジェクトへの投資も続けていきます。過去 2 年間に、当プロジェクトは世界 70 カ国以上の 450 受給対象者をサポートするまでに拡大しました。

世界中の顧客の支援

CO2 削減に対するマイクロソフトの最も重要な貢献は、社内の活動だけではなく、そこで得られた知見、そして、データサイエンス、人工知能、デジタルテクノロジによって世界中のお客様がカーボンフットプリントを削減できるよう支援することであると考えています。多くのお客様において、サステナビリティが既にビジネスの重要な一部になっていますが、CO2 の影響の緩和に対する取り組みを始めたばかりのお客様もいます。お客様の取り組みの進捗状況にかかわらず、マイクロソフトはその支援にコミットしています。

CO2 の監視機能の向上はサービスや製品による影響の透明性を高めることから始まります。本日、マイクロソフトは、Power BI のダッシュボードを通じて Azure サービスによる推定 CO2 排出量を分析する新ツール Microsoft Sustainability Calculator の提供を開始しました。このツールにより、お客様は、クラウドワークロードの CO2 への影響を適切に理解し、Azure への完全移行のメリットを把握し、管理が困難なことが多いスコープ 3 の排出を含む ITサービスのカーボンフットプリントの報告を容易に行なえるようになります。

今後、さらに機能を強化した新たなソリューションやサービスを提供していきます。これには、Azure の全サービスに関連したスコープ 1、スコープ 2、スコープ 3 の排出、および、マテリアル循環に関する洞察を提供するツールが含まれます。また、Teams や Edge などのサービスやソリューションの CO2 効率性についても透明性を高めていきます。これらの取り組みは、マイクロソフトのクラウド基盤とサプライチェーンの環境効率性に関する科学的方法論と透明性に基づいたものです。

また、マイクロソフトは、スウェーデンの電力会社 Vattenfall と共に、年中無休のマッチングソリューションを開始します。これは、Azure IoT を活用し、お客様が求めるグリーンエネルギーを選択できるようにし、目標に合致したエネルギー消費を行なえるようにするための斬新なアプローチです。この新たなレベルの透明性により、お客様はグリーンエネルギーの利用可能性に適合できるようビジネス運営を調整し、カーボンフットプリントをさらに削減できるようになります。

また、マイクロソフトは CO2 削減に対応するための、お客様との新たなパートナーシップ締結にもコミットしています。これには、お客様やパートナーとの CO2 削減ソリューション開発の共同イノベーションが含まれます。たとえば、L&T Technology Services、ABB、Johnson Controls との協業による、エネルギー消費を 40 パーセント削減できるサステナブルなスマートビルディングソリューション、AT&T や NTT との戦略的提携におけるサステナビリティへの考慮、新たな標準やツール開発のための業界横断型コラボレーションの推進などがあります。

今後行なうべき作業の重要性と複雑性は計り知れないものがあり、地球上のあらゆる人々と組織の協力を必要とします。これが、マイクロソフトが、石油とガス業界を含むあらゆるお客様との協力関係の継続にコミットし、現在のビジネス要件に応えながら、将来のネットゼロを達成するためのイノベーションを支援している理由です。世界の生活水準を継続的に向上していくためには、より多くのエネルギー消費が必要です。エネルギー企業の再生可能エネルギーへの移行、そして、CO2 の捕獲、保管、大気からの直接回収技術などのテクノロジの開発を支援していくことが不可欠です。これらの取り組みは、拡大する世界経済が求めるエネルギー消費の拡大に伴わなければなりません。

効果的な透明性の確保

CO2 排出削減を真に推進するには透明性が不可欠です。現在も行なっているように、マイクロソフトは自社のサービスやソリューションのカーボンフットプリントの開示を進めていきます。マイクロソフトは、CO2 排出と除去に関する報告の透明性に関する強力な業界標準をサポートし、自社に対してもそれを適用していきます。

本日、マイクロソフトは、国連の 1.5-degree Business Ambition Pledge に調印しました。他の企業も同調することを望みます。また、自社の進捗状況を Environmental Sustainability Report によって毎年報告していきます。

CO2 関連公共政策に対する意見表明

マイクロソフトは、世界の CO2 削減努力に貢献すると考える以下の 4 つの公共政策上の課題に対して声を上げていきます。

  • 政府が援助する CO2 削減に対するグローバルな基礎研究と応用研究の拡大、明確な目標設定、グローバルでゼロ排出を達成するための革新的テクノロジ開発のための国際協力強化の必要性。
  • CO2 削減テクノロジが市場で迅速に規模拡大できるよう支援するための、規制面での障壁撤廃。
  • 市場原理や価格メカニズムの活用による、より確かな情報に基づいた人々や企業の CO2 排出に関する意思決定の支援。
  • 商品やサービスの CO2 消費量について購入者に伝えるため共通標準に基づいた消費者支援。

従業員の参画奨励

最後に述べたい点として、マイクロソフトの CO2 削減と除去の取り組みへの参加を従業員に奨励することで、その熱意と知見を活用していきます。アクセシビリティに関する取り組みで明らかになったことですが、サステナビリティは、マイクロソフトの従業員にとって重要な目標であるだけではなく、従業員が全社的な洞察やイノベーションを提供してくれる領域でもあります。

マイクロソフトは、全社的活動、および、個別のチーム活動に従業員が積極的に参画できる機会を創出していきます。本日、従業員の学習のために社内サイトの拡充を行ないました。また、年次開催されるハッカソンでは、CO2 削減と除去に明確にフォーカスしていきます。

世界の次のムーンショット

世界は CO2 削減の道を進まなければなりません。そして、マイクロソフトは、お客様や従業員がその道を進むよう求めていることを理解しています。これは、マイクロソフトにとって大胆な賭け、すなわち、ムーンショットです。それは世界にとっても同様です。

マイクロソフトにとって、2030 年までにカーボンネガティブになることは決して容易なことではありません。しかし、それは適切な目標であると考えています。そして、適切なコミットメントさえあれば達成可能な目標でもあります。学習と適合を継続していかなければなりません。個別の努力も必要ですが、より重要なのは世界中が協力していくことです。本日、適切な計画と目標を伴う計画を発表できたと考えていますが、解決すべき課題は多く、新たに開発すべきテクノロジもあります。今が行動を開始する時です。

本ページのすべての内容は、作成日時点でのものであり、予告なく変更される場合があります。正式な社内承認や各社との契約締結が必要な場合は、それまでは確定されるものではありません。また、様々な事由・背景により、一部または全部が変更、キャンセル、実現困難となる場合があります。予めご了承下さい。

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