ラグー ラマクリシュナン (Raghu Ramakrishnan)
データ担当最高技術責任者 兼 テクニカルフェロー
※ 本ブログは、米国時間 5 月 19 日に公開された ”Azure Analytics: Clarity in an instant” の抄訳です。
2020 年は、世界が一瞬にして変わる可能性があると実感する年になりました。数カ月という期間に、世界中のあらゆる産業が大混乱に陥ったのです。工場は止まり、ホテルはガラガラ、人々をつなぐ交通機関はひっそりとしています。こうした前例のない時代を生き抜くには課題も多く、企業は世界の急激な変化に対応できるよう、新たなレベルの機敏性が求められます。
その機敏性を実現するにあたって重要となるのは、データから新鮮で継続的な知見を得る能力です。マイクロソフトではお客様に向け、Azure の分析機能の体験におけるパフォーマンスと安全性を最大限高めようと取り組んでいます。昨年 11 月に Azure Synapse Analytics を発表した際には、エンタープライズデータウェアハウスとビッグデータアナリティクスの間に立ちはだかる障壁が効果的に排除され、データ専門家がコラボレーションして自ら簡単に分析ソリューションを構築し管理できるようになりました。Azure Synapse Analytics は業界の流れを変えるもので、昨年 11 月の発表以来お客様からも強い関心が寄せられています。
ただし、マイクロソフトはそこで立ち止まっているわけではありません。もうひとつ、運用データと分析システムを分離するという、長期間に渡って存在していた障壁があるためです。これまで HTAP (ハイブリッド型トランザクションアナリティクス処理) のワークロードをサポートするのは複雑で高コストなほか、トランザクション処理と分析処理のニーズとの間で妥協点を設定しなくてはなりませんでした。つまり、メモリなどの高価なリソースをオーバープロビジョニングし、単一システムで分析とトランザクションの双方をサポートするか、それぞれ別のシステムを維持するかのどちらかを選ばなくてはならなかったのです。多くのお客様は後者を選択したため、分析システムと運用システムをつなぐ複雑な ETL パイプラインを管理することになり、知見を得るまでに時間がかかっていました。
これまでシンプルで低コストなクラウドネイティブ HTAP の実装など存在せず、即座に一瞬でビジネスインサイトを得られるようなものはなかったのです。ただし、それは今日までの話です。
Azure Synapse Link を発表
マイクロソフトは本日、クラウドネイティブで HTAP を実装する Azure Synapse Link のパブリックプレビューを発表します。Azure Synapse Link は、Azure 運用データベースサービスと Azure Synapse Analytics 間の障壁をなくす機能で、運用データベースに保管されているリアルタイムのトランザクションデータからワンクリックで知見を得ることが可能です。データの移行を管理する必要はなく、運用システムに負荷がかかることもありません。Azure Synapse Link は、現在 Azure Cosmos DB にて利用可能となっており、今後 Azure SQL や Azure Database for PostgreSQL、Azure Database for MySQL などの他の運用データベースサービスでも利用できるようになる予定です。
Azure Synapse Link の仕組みを説明しましょう。まず基本となっているのはマイクロソフトのクラウドネイティブアーキテクチャです。利用するには、お好みの Azure データベースサービスにてボタンをクリックするだけです。すると、Azure Synapse Analytics にてデータへの直リンクが確立されます。運用データは、カバリングインデックスと類似している最適化されたカラム型構造として Azure Synapse Analytics に自動的かつ継続的に提供されます。複雑な ETL パイプラインや追加のデータベース計算リソースは必要なく、Azure Synapse Analytics を介してリアルタイムデータ上で分析ワークロードを瞬時にコスト効率よく実行できるようになります。
こちらの動画で Azure Synapse Link の詳細をご覧ください
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