Azure AI の新 Cognitive Services 機能でミッションクリティカルな AI アプリケーションの構築が可能に

エリック ボイド (Eric Boyd)
Azure AI 担当 コーポレートバイスプレジデント

※ 本ブログは 2020 年 7 月 8 日に公開した「Azure AI: Build mission-critical AI apps with new Cognitive Services capabilities」の抄訳です。

世界が新たな働き方やつながりを保つ方法に適応しつつある中、マイクロソフトでは Azure AI ソリューションで組織が目的を持った発明に取り組めるよう支援しています。

すべての開発者が AI を活用してより多くのことを達成できるようにするというビジョンの下、マイクロソフトは本日 Azure Cognitive Services の以下の拡張機能を発表します。

・ 医療用 Text Analytics のプレビュー
・ Form Recognizer の一般提供
・ Custom Commands の一般提供
・ Neural Text to Speech の新音声

医療保険持続可能な農業をはじめとするさまざまな分野で、Azure AI を選択する企業が引き続き増加しています。AI アプリケーションを構築して展開し、ビジネスを変革させるためです。IDC によると、2022 年までに 75% の企業が AI ベースのソリューションを導入し、業務効率を向上させ顧客体験を高めようとしているとのことです。

こうした需要の高まりに応えようと、今回の製品アップデートでは Azure Cognitive Services の既存の言語機能や、ビジョン、スピーチ機能を拡張しました。これにより開発者は、より豊富なインサイト時間とコストの削減顧客エンゲージメントの向上につながる、ミッションクリティカルな AI アプリケーションが構築できるようになります。

強力な自然言語処理で豊富なインサイトを提供

組織では、迅速にデータを処理する能力を高め、そのデータから新たなインサイトを生成しようとしています。新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) により、特に医療業界でこうしたニーズの緊急度が高まりました。毎年膨大な量の医療データが生成されていることから、医療従事者がこうした情報に迅速にアクセスし、新たな解決策を見つけて患者の治療経過を改善させることがますます重要になってきています。

今回発表した医療用 Text Analytics は、Text Analytics の新機能で、医療従事者や研究者、企業が非構造化医療データから豊富なインサイトと関係性を抽出できるというものです。この医療向け機能は、臨床ノートや臨床試験計画書をはじめとするさまざまなフォーマットの医療データを基に訓練されており、幅広いデータタイプとタスクを処理することが可能です。データからインサイトを抽出するにあたり、時間をかけて手動でカスタムモデルを開発する必要もありません。

COVID-19 のパンデミック対策として、マイクロソフトは Allen Institute of AI および主要な研究グループと提携し、COVID-19 Open Research Dataset を用意しています。このパートナーシップでは、4 万 7000 件以上の学術論文に基づき、医療用 Text Analytics および Cognitive Search を利用して COVID-19 検索エンジンを開発しました。これにより、研究者は COVID-19 対策において新たなインサイトが生成できるようになります。

また、自然言語処理 (NLP) も継続して進化させており、テキスト内の感情に関するインサイトを生成するアプリケーションがより迅速に構築できるようになっています。Text Analytics のオピニオンマイニング機能では、具体的な特徴やトピックに感情を割り当てることで、SNS データやレビューサイトなどから得るお客様のフィードバックがより詳細に把握できるようになります。

フォームを利用可能なデータに変換し、時間とコストの削減を実現

多くの非構造化データには、テーブルやオブジェクトなどの要素を持ったフォームが含まれています。このような種類の文書からインサイトを抽出するには、通常手動で文書タイプをラベル付けするか、大量のコーディング作業が必要となります。

そこでマイクロソフトは Form Recognizer を一般提供し、開発者が何百万もの文書から効率的かつ正確に情報を抽出できるようにします。データサイエンスの専門知識は必要ありません。

Capgemini Group の一部である Sogeti は、Form Recognizer を活用し、同社のお客様がより迅速に大量のデジタルドキュメントを処理できるようにしています。

Sogeti は、AI や機械学習の最先端ソリューションを提供し、お客様のデジタルトランスフォーメーションへの道のりを支援する新たな方法を常に模索しています。Sogeti Cognitive Document Processing (CDP) により、非構造化文書の処理や分類ができるほか、高精度でのデータ抽出が可能になり、運用コストと処理時間が削減できます。CDP は、Form Recognizer の強力なコグニティブ機能とタグ付け機能を活用しており、スキャンされた非構造化文書やデジタル化された非構造化文書から、キーレスでペアリングされたデータやその他関連情報を容易に抽出し、全体の処理時間をさらに削減します」Sogeti 人工知能および機械学習担当 最高技術責任者 マーク オースト (Mark Oost)

コンサルティングおよび分析ソリューションのリーディングプロバイダーである Wilson Allen は、Form Recognizer を利用して、法律事務所やその他専門サービスを提供する企業が (財務書類やローン申請書などの PDF や 画像といった) ドキュメントを処理し査定できるよう支援しています。また、複雑なフォームから正確な値が抽出できるよう、Form Recognizer にてカスタムモデルをトレーニングしています。

Form Recognizer をツールキットに追加したことで、大量の非構造化データを価値のある情報に変換でき、手作業で 400 時間以上かかるデータ入力作業が削減できました。これにより従業員は、より戦略的な仕事に取り組めるようになっていますWilson Allen 戦略担当バイスプレジデント ノーム マロック (Norm Mullock)

音声対応アプリで顧客エンゲージメントを向上

人も組織も、デジタル主導のタッチレスオペレーションへの移行に向けたバランスを保ちつつ、顧客体験を向上させる方法を模索し続けています。音声技術の進化により、お客様がブランドと接する際、よりシームレスで自然な音声体験ができるものを開発できるようになりました。

その進化のひとつが Custom Commands です。これは Cognitive Services のスピーチ機能で、今回一般提供を開始します。Custom Commands により、音声制御されたスマートホームの温度自動調節器のように、変数セットが正しく定義されているコマンドアンドコントロールのシーンに向けたタスク志向の音声アプリケーションがより容易に構築できるようになります。Custom Commands は、音声認識機能の Speech to Text と、話し言葉を把握する Language Understanding、音声で応答する Text to Speech を組み合わせ、ローコードのオーサリングによってアプリケーションに音声機能を迅速に追加できるようになります。

さらに、Neural Text to Speech では言語サポートを拡大し、最先端のニューラル音声合成モデルに基づいた 15 の自然音声を新たに提供します。追加された音声は、アラビア語を話すサルマ (エジプト)、アラビア語を話すザリヤ (サウジアラビア)、カタロニア語を話すアルバ (スペイン)、デンマーク語を話すクリステル (デンマーク)、英語を話すニージャ (インド)、フィンランド語を話すヌーラ (フィンランド)、ヒンディー語を話すスワラ (インド)、オランダ語を話すコレット (オランダ)、ポーランド語を話すゾフィア (ポーランド)、ポルトガル語を話すフェルナンダ (ポルトガル)、ロシア語を話すダリヤ (ロシア)、スウェーデン語を話すヒレビ (スウェーデン)、タイ語を話すアチャラ (タイ)、中国語を話すヒウガイ (繁体字 広東語)、中国語を話すシャオユ (台湾標準語) です。

すでに音声機能を自社アプリケーションに搭載し、顧客体験を向上させているお客様もいらっしゃいます。BBC では、Cognitive Services と Bot Service を利用して Beeb という AI 対応の音声アシスタントを開発、多様な視聴者に向け、より魅力的でカスタマイズされた体験を提供しています。

今回、こうして新たな製品イノベーションをお届けし、すべての開発者がミッションクリティカルな AI アプリケーションを構築できるようになったことを嬉しく思います。詳細については、以下のリソースをご覧ください。

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