レジリエンシー、変化、イノベーションの時代に向けて: クラウドにフォーカスした企業戦略が業界全体のトランスフォーメーションを推進

Mercedes-Benz USA では、同社のサービス技術者がより効率的に自社製品を修理しメンテナンスできるよう、米国の全正規販売店にて HoloLens 2 ヘッドセットを採用しています。HoloLens 2 には複合現実アプリケーションの Microsoft Dynamics 365 Remote Assist が搭載されており、ユーザーがハンズフリーで自分のコンピュータからビデオ通話をしてコラボレーションできるようになっています。

2020 年 10 月 26 日 | ワールドワイドコマーシャルビジネス担当 エグゼクティブバイスプレジデント ジャドソン アルソフ (Judson Althoff)

本ブログは、2020 年 10 月 26 日に公開された “A time of resiliency, change and innovation: How cloud-focused business strategies are driving transformation across industries” の抄訳です。

組織はこれまでにもビジネスにおけるレジリエンシー (回復力) の重要性を認識していましたが、レジリエンシーを高めるには時間と準備が必要です。そして今回のパンデミックでは、多くの組織が想像もできなかったような速さで進化せざるを得なくなりました。こうした新たな状況の中で回復と繁栄を目指すには、新たな課題が立ちはだかります。そこでマイクロソフトでは、お客様とパートナーシップを組み、デジタル機能を迅速に導入できるようサポートしたいと考えています。マイクロソフトは、お客様が迅速かつ効率的に、責任を持って事業に取り組もうと大きく前進し、長期的な価値を提供して今後の混乱による影響を抑えようとしている姿を目の当たりにしています。Microsoft Ignite で CEO のサティア ナデラ (Satya Nadella) が述べたのは、デジタル分野における Tech Intensity (テクノロジ活用の強度) が、ビジネスのレジリエンシーとトランスフォーメーションの鍵になるということです。私も、ShellLand O’LakesBNY MellonUnileverNHS Digital など複数のお客様とお話しする機会を設け、各社のデジタルトランスフォーメーションに向けたすばらしい取り組みについて伺いました。

7 月に、マイクロソフトを含む 9 社が新たなイニシアチブを立ち上げました。このイニシアチブは、世界経済のネットゼロへの移行を加速させる Transform to Net Zero (ネットゼロへの転換) という取り組みで、すべての企業が排出量を実質ゼロにできるよう研究し、ガイダンスや実行可能なロードマップを開発して提供することを目的としています。

マイクロソフトは、新たな取り組みや戦略的パートナーシップにより、デジタルイノベーションや世界のエネルギー移行を促進する取り組みを活用し、お客様と共に未来を形成していく考えです。例えば最近では、業界のリーダー企業と共に Transform to Net Zero (ネットゼロへの転換) という新たなイニシアチブを立ち上げ、民間企業がネットゼロの世界経済に移行できるよう、ガイダンスとビジネスプランを提供しようとしています。また、組織が持続可能性に対するお客様からの喫緊の期待に応えつつ、二酸化炭素削減の目標を達成できるよう支援もしています。最近発表した bp とのパートナーシップでは、エネルギー使用量と二酸化炭素排出量の削減を目指し、同社が新たなテクノロジイノベーションやデジタルソリューションをマイクロソフトのクラウド上で開発できるよう支援します。また、Shell との取り組みでは、お客様やサプライヤー、その他の企業が排出量削減を実現できるよう、新たなソリューションを構築して提供することを目指しています。

Standard Chartered Bank では、クラウドファースト戦略によってデジタルトランスフォーメーションを加速させており、バーチャルバンキング、次世代ペイメント、オープンバンキング、バンキング アズ ア サービスといったビジョンを実現しようとしています。

金融サービス業のお客様は、マイクロソフトのクラウドを活用することで、スムーズで常時稼働型の迅速なデジタルソリューションを構築し、顧客体験を拡充しようと注力しています。Mastercard とのコラボレーションは、新興技術の開発を加速させるもので、同社のパートナーが金融セキュリティと持続可能な成長を促進する新たなソリューションを構築し安全に拡大できるよう支援します。Morgan Stanley Capital International は、投資家が迅速かつ効率的にデータを管理できる新機能を提供し、Azure Data Services を活用してリスクやパフォーマンスの加速につながるインテリジェントな知見が得られるよう支援しています。英国では、Finastra がお客様に向けてよりミッションクリティカルなソリューションをクラウドに導入しているほか、Refinitiv では金融機関がコラボレーションしてデータやインサイトの力を活用できるよう支援しています。National Australia Bank では、クラウドイノベーションを加速させることで魅力的な顧客体験を構築しようとしており、シンガポールでは Standard Chartered Bank がクラウドファーストの手法を採用し、ネットワーク全体で銀行関連業務へのアクセス性を高めています。さらに、マイクロソフトはドイツに拠点を置く Munich RE ともパートナーシップを結び、リスク管理や製品開発に向けて被保険者人口データを保管し活用しています。これには Azure Cosmos DB を利用しており、規制やコンプライアンス要件を満たす方法で運用しています。

Telstra は、複数の業界で革新的で持続可能なクラウドベースソリューションの開発とリリースを加速させています。これにより、効率と意思決定能力を高め、顧客体験を向上させようとしています。

通信業界では、データ駆動型のソリューションがイノベーションを促進し、意思決定能力を高め、顧客体験を向上させています。AT&T がこのほど発表したのは、AT&T のグローバルセルラーネットワークおよび Azure Sphere 上に構築した高速で安全性の高いモノのインターネット (IoT) ソリューションです。これによって企業は機械や機器をクラウドに接続し、パブリックインターネットの必要性を回避できるようになります。また、オーストラリアに拠点を置く Telstra とのパートナーシップ拡大により、市民開発者が Microsoft Teams の Power Apps で手動のプロセスを自動化し、顧客サービスの向上と同社の業績改善に貢献しています。さらに、SK Telecom とは Xbox Game Pass Ultimate にて利用可能な「SKT 5GX Cloud Game」を発表、これにより韓国はアジアで初めて Xbox のクラウドゲームサービスを提供する市場となりました。T-Mobile は、小規模企業の成功を支えようと、Microsoft 365 の生産性向上ツールを追加料金なしで利用できる新たな料金プランを発表しており、同社のお客様がリモートの世界という新たな現実を受け入れられるよう支援しています。さらにマイクロソフトは、パンデミックの中で迅速に Azure Active Directory を採用した Lumen ( CenturyLink) とも協力し、同社の全世界の従業員が安全にリモートアクセスできるよう取り組んでいます。Azure for Operators のイベントでは、通信業界との密な協力関係を発表し、通信事業者が 5G の可能性を迅速に活用して、耐障害性とコスト効率を高められるよう、また新たなサービスやビジネスモデルを推進できるよう支援しています。また、5G Innovation Lab にも参加し、エンジニアや技術リソースを提供し、起業家が新たなイノベーションを開発し、テストして市場投入できるようサポートしています。

ニュージャージー州裁判所では、Microsoft Teams でバーチャル手続きによる裁判を行い、コロナ禍でも重要な法的サービスを提供しています。

今回のパンデミックは、多くの公的機関におけるデジタルトランスフォーメーションへの迅速な取り組みを後押しすることにもつながりました。ジョージア州財務局では、Microsoft 365 や Windows Virtual Desktop、Surface デバイスを活用した安全性の高いリモートワークソリューションにより、同州の重要なサービス運営を維持しました。ニュージャージー州裁判所では、州全体の自宅待機命令を受け、15 の管轄区域にまたがる全従業員をリモートワークへと移行、Surface と Teams を活用して 30 万人以上の市民に対し、3 万 6000 件以上のバーチャル法的手続きを行いました。また、教育機関も信頼できるクラウドパートナーとしてマイクロソフトを選択し、遠隔学習や研究機能をより迅速に提供しようとしています。英国ではノッティンガム大学が、研究者や工学部の学生に向けた拡張性の高い長期的ソリューションを見つけ出し、Microsoft 365、 Teams や Windows Virtual Desktop での学習を継続しています。ダラム大学では、職員と学生が Azure Active Directory を使ってオンプレミスアプリケーションにアクセスできるシンプルかつ安全な方法を編み出しています。サウジアラビアの教育省では、Microsoft 365 とリンクされ完全に Azure 上でホストされている国家プラットフォームを活用し、記録的な速さで遠隔教育を展開しています。病院でも、複合現実と人工知能 (AI) を使って患者を安全に治療しています。ケベック州で初めて COVID-19 患者の治療に指定された モントリオールの Jewish General Hospital もそのひとつです。同病院では、医師と患者との接触を最小限に抑え、限られた個人保護用具を維持する必要があったため、マイクロソフトの HoloLens を採用しました。これには Dynamics 365 Remote Assist および Microsoft Teams が含まれていることから、1 人の医師が患者を訪問している間、全医療チームは別室から参加することができました。

マイクロソフトには、パンデミック以外でも現実的な問題の解決につながる刺激的なストーリーが続々と届いています。欧州会議では、AI を活用して欧州連合の公用語 24 言語すべてでリアルタイムの字幕や翻訳を提供、誰でも議論にアクセスできるようにし、民主的なプロセスを住民にとってより身近なものにしようとしています。ブラジルでは PBSF が、中央ハブからのデータを利用して神経系損傷のリスクが高い新生児の脳の動きをモニターするシステムを開発し、救命と生涯的な損傷防止に向け迅速な対応が取れるようにしています。

Woolworths では、クラウドを活用することで、チームの作業を簡素化し、サプライチェーンを合理化し、店舗やオンラインチャネルにまたがる広大なネットワーク全体での顧客体験を向上させています。

小売業や消費者向け商品の分野でも、マイクロソフトはお客様と連携することでデータ資産の近代化を加速させ、セキュリティの向上やイノベーションの促進、インテリジェントな知見の獲得に貢献しようとしています。PepsiCo では、グローバルなデータ資産と SAP のワークロードを移行して知見を得、製品イノベーションと顧客関係を促進すると共に、Microsoft 365 で全従業員とのつながりを保っています。オーストラリアでは、Woolworths がミッションクリティカルなアプリケーションをマイクロソフトのクラウドに移行し、サプライチェーンの合理化と、店舗やチャネル全体における顧客体験の向上を図っています。英国の小売チェーンである Marks & Spencer は、オンプレミスのデータウェアハウスをリプレースした後に Azure Synapse Analytics を採用し、消費者の需要増加に合わせてデータの規模を拡大、データの民主化を実現しています。スイスに拠点を置く Nestlé では、カスタムソリューションを利用し、世界 30 万人におよぶ従業員のサイバーセキュリティの脅威を防御しています。ドイツでパーソナルケア製品を製造・販売する多国籍企業の Beiersdorf AG は、2 万人以上の従業員がすべてのアプリケーションとデータにアクセスできるようにし、安全に働ける環境を整えています。また、Office Depot では市民開発者プログラムを用意、Power Apps と Teams によって従業員が生産性を高めるアイデアを実現できるよう支援しています。オーストラリアの小売業者である JB Hi-Fi Group は、Dynamics 365 によるインテリジェントなソリューションを活用して透明性を高め、店舗かオンラインで商品が購入されるにかかわらず、同社の 2 ブランド双方における高い顧客満足度を維持しています。

Land O’Lakes がデジタル戦略で注力しているのは、デジタル機能の強化と地方コミュニティの活性化、そして農業業界を変革し、革新的なクラウドテクノロジによって消費者と農家のつながりを高めることです。

さまざまな業界のお客様が、革新的なデジタルツールを構築することで、コミュニティや企業の成功を支援し、安全性や効率性、包括性を促進しつつ、最も必要としている人たちに重要なサービスや商品を提供しています。例えば、マイクロソフトは Land O’Lakes と密に連携し、農業分野での新たなイノベーションを開拓しており、これによってサプライチェーンを強化し、持続可能性の高い実践を拡大し、米国全土における農村部のブロードバンド格差を埋めようとしています。同様に、ニュージーランド最大の農村供給協同組合である Farmlands では、クラウドベースの電子商取引システムを加速させており、パンデミックの期間中でも全国 7 万人以上の組合員に必要不可欠な農業用品を継続して届けられるようにしています。複合現実技術は、Ecolab などの食品・飲料メーカーにおける食品の安全性と高品質な製品の確保に役立っているほか、Mercedes Benz USA では、複合現実技術によって販売店の技術者が車の修理やメンテナンスをより効率的に行えるようにしています。建設会社の Suffolk は、現場の安全性を促進するため、熱検知カメラを使って現場に入る作業員全員の体温を確認しています。フランスでは Sodexo がデジタルツールと支援技術を提供し、障害を持つファーストラインワーカー (現場の最前線で活躍する労働者) の雇用機会を高めようとしているほか、こうした人たちがデジタルスキルを構築できるよう支援しています。Africa’s Talking は、Azure Arc を利用することで、ローカルクラウドへのアクセスが制限されている地域でもソフトウェア開発者が成長し、より多くの雇用と経済機会が創出できるよう支援しています。さらに、マイクロソフトは Citrix とも市場投入型ソリューション分野で密に連携しており、企業が未来の職場を再構築し、クラウドベースのツールやサービスで変化する市場環境に適応できるよう支援しています。

私は、マイクロソフトのお客様が、今日の現実と明日の約束のために、—特にこのような加速的なペースで—イノベーションにコミットしている様子には、深い感銘を受けています。こうしたお客様の努力は現在、変化する市場の需要に対応する能力も強化しながら、将来の運用リスクや環境リスクを抑えるのに役立ちます。また、お客様がマイクロソフトをデジタルトランスフォーメーションのパートナーに選んでいただいたことを大変光栄に思っており、お客様の事業回復とその先のトランスフォーメーションを加速させるお手伝いをしたいと思っています。

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