マイクロソフト 2020 年ダイバーシティ&インクルージョンレポート: 世界的変化の中で進化を加速させる取り組み

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リンジー-レイ マッキンタイア
マイクロソフト チーフダイバーシティオフィサー

※ 本ブログは、米国時間 10 月 21 日に公開された “Microsoft’s 2020 Diversity & Inclusion report: A commitment to accelerate progress amidst global change” の抄訳です。

本日ここでご紹介するのは、マイクロソフトの 2020 年 ダイバーシティ&インクルージョンレポート (英語) です。同レポートは、新型コロナウィルス感染症 (COVID-19) によるパンデミックや、人種的不平等の増幅、世界的な不確実性という現実に向き合う中で調査を行ったものです。

今年のレポートでは、データ以外にも中核となる 3 つの分野にフォーカスしています。その分野とは、従業員のパンデミック対応でダイバーシティ (多様性) とインクルージョンがどのように組み入れられているかといったことや、人種的不平等に対するマイクロソフトの取り組み、そしてマイクロソフトのラーニングパスにおける Allyship (協力関係) 分野への投資についてです。このほかにも、レポートには以下の内容が含まれています。

  • 米国のマイクロソフトの従業員の中で、自ら障碍があると認識している人の人数を初めて明らかにしています。
  • 米国以外の 10 大市場を含めた世界的な平等賃金データを幅広くカバーしています。
  • インクルージョンインデックスの詳細と、従業員がマイクロソフトのインクルージョン文化の強化に向けた取り組みをどう受け止めているのか、さまざまな方法で得たインサイトについて紹介しています。
  • 世界中のより幅広いコミュニティや身元、地域にまたがる従業員の声や体験を取り入れています。

顕著な推移がデータで明らかに

マイクロソフトは、2014 年より年次で従業員の人口統計を公開しています。今年のレポートは、直近 5 回の統計データの公開によって明らかになった傾向と学ぶべき点を反映したものです。

以下のデータは、マイクロソフトのデータのみを反映したもので、グループ企業[1] (LinkedIn、GitHub、そしてわずかに統合されたゲームスタジオなど) や、新規の買収企業、ジョイントベンチャーなどは含まれていません。

  • 多様性について: 全体的に 2019 年より若干「多様性」は高まっており、マイクロソフトの全世界における従業員の女性比率は 28.6 と、昨年より 1.0 増加しています。しかし、人種や少数派民族コミュニティの多様性についてはほとんどが段階的な進歩を遂げているに過ぎず、未だ取り組むべき分野が残っていることがわかります。
    • 黒人およびアフリカ系アメリカ人の従業員は、米国の従業員の 4.9 を占めており、2019 年より 0.3% 増加しました。
    • ヒスパニック系およびラテン系の従業員は、米国の従業員の 6.6 となっており、2019 年より 0.3% 増加しました。
    • ネイティブアメリカン、アラスカネイティブ、ネイティブハワイアン、太平洋諸島民の従業員は、米国の従業員の 0.7 を占め、この数値は昨年と変わっていません。
    • 十数種の異なる民族グループを含むアジア系の従業員は、米国の従業員の 34.7% を占め、2019 年より 1.6% 増加しました。
  • マイクロソフトでは、あらゆるレベルや役職において多様性を高める機会があることは明白だと感じており、特に黒人やアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、ラテン系の従業員でその機会が高いと見ています。最近では、シニアリーダーへの道を歩む上での計画的なキャリアプランの強化と人材育成への取り組み強化に力を入れています。
    • 黒人およびアフリカ系アメリカ人の従業員は米国の従業員の 4.9% を占め、個人契約者の 5.2 を占めていますが、マネージャーでは 2.9、ディレクターでは 2.6、パートナーや役員では 2.9 に過ぎません。
    • ヒスパニック系およびラテン系の従業員は米国の従業員の 6.6% で、個人契約者の 6.8 を占めていますが、マネージャーでは 5.4、ディレクターでは 4.8、パートナーや役員では 4.4 のみとなっています。
  • 今年は初めて障碍を持つ従業員に関するデータも公表しています。これは、成長のベンチマークを示すもので、今後の機会を把握する上でも役立つものです。
    • 米国のマイクロソフト従業員を対象とした調査によると、6.1% の従業員が自分にはなんらかの障碍があるとしています。このデータをレポートに取り入れた理由と、このデータによってマイクロソフトが今後どう前に向かっていくかについては、当社のチーフアクセシビリティオフィサーであるジェニー レイ-フルーリー (Jenny Lay-Flurrie) が解説しています。

マイクロソフトでは、すでに実施している包括的な取り組みに加え、リーダーシップと人材育成を継続的に加速させ、説明責任のあるシステムを用意し、インクルージョン文化を強化するよう努めています。

マイクロソフトのパンデミック対応

COVID-19 によるパンデミックで生活や働き方が急激に変化したことで、人によって異なる生活体験の差が顕著になり、これまで仕事で隠れていたさまざまな社会的不平等が見えてきました。学校の閉鎖や介護の制限によって家族の活動や作業負担が逆転した際には、マイクロソフトは特別休暇プログラム等を活用し、従業員を支援、全従業員が柔軟に休暇を取って遠隔学習へと移行できるようにし、大切な人の介護とのバランスが取れるようにしました。また、従業員がリモートワークに移行する際には、人間工学に基づいたオフィス家具の費用を負担したほか、精神的な健康とメンタルヘルスを維持できるよう、全員がさまざまなツールやリソースを利用できるようにしました。このような困難な時期を乗り切り、ワークライフバランスを保つには、お互いを思いやる気持ちが欠かせません。

人種的不平等に対するマイクロソフトの取り組み

6 月にマイクロソフトの CEO であるサティア ナデラ (Satya Nadella) は、社内の多様性を明確に高めてインクルージョン文化を強化し、エコシステムを駆使して変化を推進し、社員が生活と仕事の場としているコミュニティを強化するという取り組みについて、概要を紹介しました。 この取り組みは、米国の黒人およびアフリカ系アメリカ人コミュニティ特有の体験に対応するもので、マイクロソフトの多様性とインクルージョンへの取り組みを加速させる短期的および長期的な複数年の持続的活動もここに含まれます。

この取り組みはまだ始まったばかりで、宣言してからわずか 4 ヶ月程度しか経っていませんが、計画的で確固たる活動を進めています。明確な目標は 5 年間の取り組みとしていますが、マイクロソフトは少しずつ前に向かって歩んでいます。ここでその事例をいくつかご紹介しましょう。

  • 社内の多様性を高め、インクルージョン文化を強化するにあたり、中堅およびディレクターレベルの従業員を対象とした社内プログラムを拡充し、キャリアアップの機会を提供するとともに、マネージャーの多様な才能を育てる支援をしています。これは、すでにキャリア開発と人材育成の分野で確立された取り組みをベースとしています。
  • エコシステムの構築については、銀行や事業パートナーと協力し、機会創出に努めています。その一例が Clear Vision Impact Fund です。これは、黒人が所有し運営する Siebert Williams Shank Bank とのパートナーシップにより、初期 2500 万ドルのアンカー投資で立ち上げたファンドです。同ファンドでは、主に少数民族が所有する企業を中心に、中小企業の成長と運営資金を援助します。
  • コミュニティ強化の支援に向け、マイクロソフトは 8 月にコミュニティスキルプログラムを発表しました。これは、有色人種コミュニティにサービスを提供する非営利団体に、500 万ドルの助成金を提供するというプログラムです。また、歴史的に黒人の多い大学やカレッジ (HBCU: Historically Black Universities and College) との取り組みにより、多様な人材のパイプラインを拡大しており、HBCU の教師に対し、データやコンピュータサイエンス関連の能力向上を支援する新たな助成金プログラムも用意しました。

マイクロソフトの取り組みは今後も続き、全社会議や質疑応答、イントラネットなどを通じて従業員に最新情報を提供していきます。また、この件に関する包括的な最新情報は、今後のダイバーシティ&インクルージョン年次報告書でも提供します。

Allyship への投資について

マイクロソフトでは、多様性の高いインクルーシブな職場環境を作るにあたって、あらゆるレベルの人に役割があり、Allyship (協力関係) を結んだ人としての行動が鍵になると考えています。協力関係を結んだ人とは、計画的に意思決定し、他人の支援のために理解して共感し、行動する人のことです。Allyship というのはアイデンティティというよりも、生涯にわたって続く取り組みと実践のことだと言えます。

マイクロソフトの Allyship ラーニングパスは神経科学に基づいており、自身に対する理解が深まるほか、個人の学習に責任を持つよう推奨しています。2019 年 7 月に自発的な学習プログラムとして始まった同プログラムは、その後必須トレーニングプログラムへと進化し、今では 16 万人を超えるマイクロソフトの全世界の従業員に対し、共通言語とインクルージョン文化を創造する上で果たす各個人の役割を理解してもらうために使われています。これはグローバルな組織にとって特に重要なことで、幅広い社会の中で協力関係とはどのような意味をなすのか、その解釈が多岐にわたるような時代においても非常に重要なことなのです。マイクロソフトのコミュニティではこのトレーニングを採用しており、すでに前向きな進歩が見られます。マイクロソフトで中核となる全従業員にこのプログラムの入門コースのうち最初の 4 つが義務化されてわずか 2 ヶ月後の今年 9 月には、従業員の 24 にあたる 3 万 5000 人以上がこの分野のトレーニングを修了していました。

より詳細なデータやインサイト、従業員のストーリー、取り組みや教訓については、レポートの全文をご覧ください。

[1] マイクロソフトのグループ企業も含めたより広範囲なデータについては、レポートの 9~11 ページをご覧ください

関連情報
マイクロソフトの Diversity & Inclusion
https://news.microsoft.com/ja-jp/presskits/diversity-and-inclusion/

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