2030 年までに消費水量以上の水の補給を目指すマイクロソフト

2020 年 9 月 21 日 | ブラッド スミス (Brad Smith) プレジデント

※ 本ブログは、米国時間 9 月 21 日に公開された “Microsoft will replenish more water than it consumes by 2030” の抄訳です。

水は生命に欠かせないもので、人は水に頼って生活を維持しています。その基本的なニーズが、人間社会の発展を形成してきたのです。コロンブス以前の時代から古代、そして NASA に至るまで、探検家らは「水に従え」をモットーとして生活し、人類文明が発展する新たな機会を求め、模索し続けてきました。

地表の 70% は水で覆われていて、水は豊富にありますが、そのうち 97% は海にあって塩分が含まれ、飲むことも農作物に使うこともできません。世界の淡水は均等に配分されておらず、誰もが平等に入手できるわけでもありません。人が住んでいない場所に不均等に存在しているのです。そして人類の文明が発展した結果、世界的に利用可能な淡水の供給は毎年 4 兆 3000 億立方メートル分も枯渇する状況に陥っており、しかもその水の大部分は農業や工業用として利用されているのです。

この状況は変えなくてはなりません。マイクロソフトが今回、2030 年までに直接的な業務として水の補給量増加に取り組むという意欲的な声明を発表するのもそのためです。マイクロソフトは、水の消費について 2 つの取り組みを進めます。ひとつは水の使用量を削減することで、業務で使用するエネルギーのメガワットあたりの水の使用量を減らします。そしてもうひとつは、マイクロソフトが事業展開するエリアの中で、水ストレス (水需給に関する逼迫の程度) の高い地域に水を補給することです。これによりマイクロソフトは、2030 年までにグローバルで消費する水量以上の水を補給することになります。

マイクロソフトが進めている他の環境への取り組みと同様、今回の取り組みが、世界の持続可能性へのニーズに対応しようと拡大している活動の貢献につながれば幸いです。

さらなる勢いが必要なことは明らかです。国連水関連機関調整委員会 (United Nations Water) によると、現在 20 億人以上が安全な飲料水を入手できておらず、気候変動が水不足に拍車をかけているとのことです。国連では、2050 年までに 4 人に 1 人が慢性的な淡水不足の影響下にある国で生活することになるだろうと予測しています。また世界銀行 (World Bank) では、気候の影響で利用可能な淡水の量が減少していることと、需要が増加していることにより、2050 年までに都市で利用できる水量が 66% 以上減少する可能性があるとしています。

世界における水の危機の一歩先を行くには、経済や社会を動かす際に使う水量を減らし、最も必要とされる場所に十分な水を確保する協調的な取り組みが必要です。そのためには、水設備の管理方法を変革し、すべての組織が水の使用量を把握してバランスを取るという共同の努力が必要となるのです。マイクロソフトはグローバルなテクノロジ企業として、この両方の取り組みを進める覚悟で、自社の水の使用に責任を持ち、他社も同様の取り組みができるようテクノロジプラットフォームの分野でパートナーシップを組んでいきます。

この 1 年でマイクロソフトは、カーボンネガティブで廃棄物ゼロの企業を目指して懸命な取り組みを進めており、新たな地球コンピューティングプラットフォームを構築して地球の自然システムの監視方法やモデル化の方法、そして最終的には管理方法を変革しようとしています。今回の 2030 年に向けた水の補給量増加への表明は、こうした取り組みの 4 本目の柱となります。他の分野と同様、マイクロソフトは単に自社のために意欲的な目標を設定するだけでなく、テクノロジを活用してお客様も同様のことができるよう支援したいと考えているのです。

2030 年までにウォーターポジティブを実現

マイクロソフトは 2030 年までに、水の消費量を上回る水を補給するウォーターポジティブな企業を目指します。そのため、世界すべての流域で消費した水よりも多くの水を、水ストレスの高い流域に返還する予定です。返還する量は、マイクロソフトが使用する水の量と、返還先となる流域の水ストレスの深刻さによって決まります。

マイクロソフトの水補給戦略としては、湿地帯の修復やアスファルトなどの不浸透性表面を排除するプロジェクトに投資することなどが含まれます。こうしたプロジェクトにより、水を最も必要とする流域に水が補給できるようになりです。水の補給は、マイクロソフトが事業展開する地域で特に水ストレスの高い約 40 の流域にて重点的に実施する予定です。対象となる流域は、世界の流域に対する科学的な評価によって決まります。世界の淡水の大半は 1 万 6396 の流域に分かれており、それぞれに「ベースライン水ストレス」という水の圧迫度スコアがつけられています。このスコアは、天然資源を調査するグローバルな非営利研究機関である世界資源研究所 (WRI) が査定するものです。取水量が再生可能な供給量の 40% を超えた流域は「高ストレス」とみなされ、世界で 4717 の流域が高ストレスに該当しています。

この取り組みはすべてマイクロソフトの継続的な投資がベースとなっており、業務全体での水の使用量削減と補給を推進するものです。世界の全拠点で節水を必須としているマイクロソフト全社での持続可能性設計基準もここに含まれています。その一部をここで紹介します。

  • 今年後半にカリフォルニアのシリコンバレーにオープンする新キャンパスでは、敷地内に雨水収集システムと廃棄物処理場を設置、キャンパス内の非飲料水は 100% 同敷地内でリサイクルされた水で供給することになります。統合水管理システムが雨水と排水を管理し再利用します。水の再利用により、同キャンパスでは毎年約 430 万ガロンの飲料水が節水できる見込みです。
  • 地球のほぼ裏側となるイスラエル ヘルズリアの新キャンパスでは、節水効果の高い配管設備を採用し、35% の節水を実現します。また、エアコンから集めた水はすべてキャンパス内の植物の水やりに使われる予定です。
  • インド ハイデラバードのキャンパスにある最新のビルでは、排水を 100% 処理して再利用し、敷地内の造園や水洗、冷却塔の構成に使われています。
  • ピュージェット湾の本社再開発では、すべての新オフィスビルで収集した雨水を水洗設備や低流量システムに再利用します。これにより、年間 580 万ガロン以上が節水できる見込みです。
  • 2021 年より利用開始となるアリゾナ州の新データセンターリージョンでは、水ストレスの高いこの地域で水の使用量を削減し、水を補給する革新的な方法を採用します。冷却には半年以上水を全く使わず、気温が華氏 85 度 (摂氏 29.4 度) 以下になると水の代わりに外気で冷却する断熱冷却といわれる方式を活用し、気温が華氏 85 度以上になると住宅で使われている「スワンプクーラー」のような働きをする蒸発冷却システムを利用します。このシステムは非常に効率的で、冷却塔のように水を使った他の冷却システムよりも消費電力が少なく、水の使用量も最大 90% 少なくて済みます。また、マイクロソフトは First Solar と提携し、従来の発電の代わりに太陽光エネルギーを提供、これにより年間 3 億 5000 万リットル以上の節水を見込んでいます。

マイクロソフトの水の使用量削減と補給の取り組みは、需要に見合う水使用量を示す「水の可用性」という重要な問題に対処するものです。ただし、これは課題のほんの一部に過ぎません。水へのアクセス性、つまり安全な飲料水と衛生設備を供給することも同様に重要な課題なのです。そのためマイクロソフトは非政府組織 (NGO) と協力し、150 万人以上が清潔な飲料水と衛生的な水を利用できるよう取り組みます。この活動は 7 ヶ国にて集中的に実施する予定で、まずはサービスの行き届いていないコミュニティに注力している世界的な非営利団体である Water.org と協力し、ブラジル、インド、インドネシア、メキシコの人々を支援します。その後、中国、マレーシア、南アフリカのパートナーとも協力し、この取り組みをさらに拡大する予定です。

水データのデジタル化

マイクロソフトは自社のテクノロジを活用し、水ストレスの高い地域をより深く理解し、水の補給に向けた投資を地域全体で最適化する取り組みも進めます。マイクロソフトが展開する AI for Earth プログラムを通じて、次のような各分野のプロジェクトを支援します。

  • Vector Center は世界中の政府や企業と協力し、水の可用性とアクセス性の影響をより深く理解しようと活動しています。Vector Center が取り組んでいる課題のひとつが、データが未だアナログで、印刷されて山積みになっているような都市部のコミュニティにおける水のリスクと水不足についてです。そこで Vector Center はデータをデジタル化し、Azure 上で Perception Reality Engine というプラットフォームを開発しました。これにより、データの収集や関連付け、分析を実施し、リアルタイムで実際に何が起こっているか全体像が把握できるようになり、いつか水が利用できなくなるかもしれないという脅威を未然に防ぐ方法が見えてきます。また、特定の地域の水の履歴を表示することも可能です。Perception Reality Engine が降水量や地表水量、植物の生育状況といったさまざまなデータを使用し、世界中の水の可用性をマッピングして水の危機が発生している場所や近いうちに発生しそうな場所を見つけ出すのです。また、この情報をニュースソースやソーシャルメディアと重ね合わせ、世間の認識が現実と異なる部分を特定、ある地域で水不足が発生する前にガバナンスや教育、行動を変更できるようにしています。
  • 淡水生態系の保護と回復に取り組む非営利団体の The Freshwater Trust と、水保全に向けた技術ソリューションを開発する企業 Upstream Tech は、共同で BasinScout Platform というツールを開発しました。同ツールは、衛星データや作物の成長と農法に関するデータを利用し、機械学習を適用して現場レベルの農法と水資源への影響を大規模に評価、水の効率とコスト効率を高める方法なども示します。これにより、公共の水供給源である水流を保全し保護することができます。
  • Leadership Counsel for Justice and Accountability は、カリフォルニア州の非営利団体で、サービスが行き届いていないコミュニティの土地利用と交通機関に注力しています。同団体では、カリフォルニア州セントラルバレーの飲料水供給の課題に取り組んでいます。この地域では、約 150 万人の人が飲料水として家庭用の井戸を利用していますが、こうした井戸の多くは干ばつ時や地下水管理の問題で頻繁に故障します。そこで Leadership Counsel では、AI を活用して地下水の変化による家庭用井戸の故障や、それに伴う飲料水不足を予測しています。こうした情報を地方自治体に提供することで、井戸の故障防止や、水資源の管理と計画が改善できるようにしています。

気候イノベーションファンドの投資先: Emerald Technology Ventures

マイクロソフトの気候イノベーションファンド (Climate Innovation Fund) は、Emerald Technology Ventures による 1 億ドルのグローバルインパクトファンドに 1000 万ドルを投資しています。同ファンドには、Temasek、Ecolab、SKion といった企業も投資しています。このファンドは、初期段階から拡大段階にある世界中の企業と提携し、水技術のイノベーションと採用を促進、水資源の保全や、水の効率と質の向上、水処理における炭素排出の回避、気候変動への対応など、差し迫った課題にフォーカスしています。同ファンドは水戦略に特化した数少ないファンドのひとつです。

気候イノベーションファンドが Emerald Technology Ventures の 4 つの持続可能性分野のひとつに投資するのは、今回が 3 回目となります。最初の投資は炭素に、2 回目の投資は廃棄物にフォーカスしたものでした。

お客様への支援

マイクロソフトでは、お客様が気候変動による水関連のリスクを理解し、データを活用して水の使用量を削減し、水に対して賢明な意思決定をし、水の品質と保全を改善できるようなソリューションを開発しています。IoT や AI などのテクノロジが、水質と水効率の改善に重要な役割を果たしているのです。例えば、Azure IoT Central 政府アプリテンプレートでは、水の消費量削減に向け、遠隔地からリアルタイムで水質や消費量が監視できるようになっています。

  • 水、衛生、エネルギーの技術とサービスをグローバルで展開する大手プロバイダーの Ecolab は、マイクロソフトのお客様でありパートナーです。同社では、データとテクノロジを使ってお客様が水効率を高め、業務全体で水の使用量を削減できるよう取り組んでいます。Ecolab が世界 4 万 2000 台以上のコネクテッドスマートウォーターセンサーから収集するデータは、情報に基づいた提案を行うために使われ、プロセス改善や水の消費量削減を目指します。これにより、水の使用量が削減できて結果が改善され、運用コストが大幅に低減できるという「好循環」が生まれます。Ecolab は、Azure、Azure Machine Learning、Power BI といったマイクロソフトのテクノロジを活用し、世界中のエネルギー業界や農業、食品および飲料業、製造業、ホスピタリティ業界といった分野において、水の使用量をゼロにする取り組みを加速させています。
  • Schneider Electric (SE) は、効率化と持続可能性に向けたエネルギーと自動化デジタルソリューションを提供しており、世界有数のエネルギー技術と、リアルタイムオートメーション、ソフトウェア、サービスを統合ソリューションとして組み合わせています。最近では、スマートウォーター技術とサービスにより、水循環に伴う水と廃棄物の管理を改善するソリューションを Azure 上で共同開発、水と廃棄物の運用や、水とエネルギー、安全性、企業の持続可能性を最適化しています。最近実施したサリトレ II 廃水処理場の拡張に伴うボゴタ川の水質改善支援も同社の取り組みの一環です。Aqualia が管理するコロンビア最大のボゴタコロンビア水処理場と連携し、新たなデジタル技術で処理場の効率を高めているのです。ボゴタ川の汚染は 800 万人のボゴタ住民の環境と健康を脅かしており、改善に向けた取り組みの中で廃水処理場は重要な一部となっているのです。
  • Grundfos は、デンマークのビェリンブロに本社を置く世界的な水テクノロジ企業です。同社は世界の水と気候の課題に対応するソリューションを先駆けて開発し、人々の生活の質を向上させました。Grundfos はマイクロソフト製品を活用してデジタルソリューションや水ソリューションにおけるビジネストランスフォーメーションをサポート、顧客満足度の向上やイノベーションの促進、優れたオペレーションなどの期待に対し結果を残しています。同社が目指す水に関する意欲的な目標は 2 つあります。それは、安全に管理された飲料水を、水が必要な 3 億人に提供することと、2030 年までに消費可能な淡水を 500 億立方メートル分節約することで、同社がさまざまなイノベーションに取り組んでいるのもそのためです。水を提供するということは、都市の暖房に必要なエネルギー量を削減することにもなりますが、これには Azure 上に構築された Grundfos の iGRID システムを使います。IoT Hub などの Azure サービスが iGRID によって活用され、都市の熱配分を最適化して省エネを実現します。Grundfos によって熱損失が 20% 削減され、それが Azure 上の iGRID で都市エネルギーの使用量を削減し、既存ネットワークの寿命を伸ばして日々の生活でコストを下げることにもつながるのです。
  • Seequent は、ニュージーランドに拠点を置くマイクロソフトのお客様で、パートナーでもあります。同社は地理空間と地球科学への取り組みを推進するにあたって Azure を活用しており、カリフォルニア州最大の地下水機関である Water Replenishment District (WRD) と共同で水質と水量に対する重要な取り組みなどを行っています。WRD のサービスエリアは、ロサンゼルス郡南部の 420 平方マイルで、同地域の給水の約半分をカバーしています。WRD は Seequent の Leapfrog Works を使って同地区の流域の 3D モデルを作成、地下水流の理解を深め、汚染を特定しています。こうしたモデルは、WRD が Water Independence Now というプログラムを維持するのに役立っており、高度処理された再生水で地下水を補給するなど、地域資源を使って同地域を持続可能な状態に保っています。

ウォーターレジリエンス連合

どんな企業や組織でも、単独で世界の水の危機を解決することはできません。また民間企業には、水の可用性と入手のしやすさにプラスの影響を与える大きなチャンスが与えられています。中でも世界の大企業 150 社は、世界の淡水使用量の 3 分の 1 に影響を及ぼす可能性があるのです。今年初めに設立したウォーターレジリエンス連合 (Water Resilience Coalition) は、国連グローバル・コンパクトの CEO Water Mandate におけるイニシアチブです。同連合は、マイクロソフトを含む 7 社によって設立され、その後業界大手の企業 16 社にまで拡大、全社が集団で水の課題に取り組むと公約しています。連合では、集団行動をとるべき優先度の高い流域を特定し、こうした流域の状況改善に向けた目標を設定しようと協力しています。その目標の一環として、ウォーターレジリエンス連合のメンバーと協力し、水ストレスの高い流域における水の可用性とアクセス性、そして品質に関するプロジェクトに共同出資し、この重要な連合に参加する他の企業も積極的に募集する予定です。

政策に関する取り組み

安全できれいな飲料水を確保し、水インフラを維持して拡大し、重要な水の生態系を保護し、水の危機に対応するにあたっては、政府も基本的な役割を担います。水へのアクセスと可用性を高め、水質を向上させる公共政策に関しては、地方、国、世界レベルで声を上げていきます。

水ストレスの高い地域のデータを改善: 自らしっかり理解できていない問題を解決することはできません。政府は、地下と地表の水位の最新状況を正確に評価し、それが時間の経過に伴いどう変化しているか把握する必要があります。こうしたデータにより、地域の関係者が需要と供給のバランスを計算して予測することができるほか、水質の追跡や、防災と早期警報システムの促進、さらには革新的なソリューションの開発にもつながります。マイクロソフトが刺激を受けたのは、EU が欧州データ戦略の一環として、欧州共通グリーンディール (Common European Green Deal) というデータ空間を構築する計画を立てたことです。これは、環境データの可能性を活用することが目的で、EU の意欲的な気候目標の達成を支援します。マイクロソフトはこうした取り組みをサポートするにあたり、パートナーと協力して水の管理強化につながるより優れた水関連データを提供するツールを展開していきます。

水インフラのアップグレード: 政府に対しては、水インフラの改善と拡大に投資してもらうよう求めていく必要があります。安全な飲料水を提供し、雨水や廃水を処理し、水位を管理し、特に気候の影響を受けやすいコミュニティを中心にその影響から免れるには、こうした投資がとても重要なのです。その投資により、必要とされる雇用も創出されます。さまざまな国の政府が、水インフラを新型コロナウイルス (COVID-19) の復興パッケージと統合し、革新的なソリューションを促進するような機会を模索していくべきでしょう。マイクロソフトは、EU が InvestEU プログラムに水関連のグリーンインフラを組み入れたことや、重要な水インフラ資金に対する再承認を検討している最近の米国議会超党派の取り組みに賛同しています。今後もマイクロソフトは、各国政府がこうした重要な投資を優先するよう、数ヶ月から数年にわたって働きかけていく予定です。

気候戦略への水関連事項の統合: 気候変動は、主に水を通じて体験するものです。そのため政府には、気候と水の課題により統合的な形で取り組んでもらわなければなりません。そのひとつの方法が、各国の国家気候計画や、パリ気候協定での国別約束草案 (INDC: Intended Nationally Determined Contribution) の一環として設定する長期目標への取り組みです。各国政府が 2021 年の国連気候会議となる COP26 に向けて 2030 年気候計画を更新していますが、そこでは気候緩和や適応戦略の中に明確な水関連の目標を盛り込むべきだと考えます。

こうした政策への取り組みを進めるにあたり、マイクロソフトは WaterEurope に参加してスマートウォーターソリューションを推進すると共に、米国および EU の他の業界団体や擁護パートナーに対し、この政策を支持する上でより積極的な役割を果たすよう働きかけていきます。

従業員の協力

マイクロソフトでは、これまでの持続可能性への取り組みと同様、従業員にも協力を呼びかけ、投資対象とする水補給プロジェクトに関連するボランティア活動に従業員を招致したいと考えています。マイクロソフトの従業員は、これまでにも水補給プロジェクトで提携している NGO とボランティア活動を行っており、インド チェンナイのセンバカム湖の修復や、ワイオミング州シャイアンのクロウクリークの修復、ノースダコタ州ファーゴのレッドリバー沿いにおける生息環境の修復といった活動に参加してきました。積極的な水補給プロジェクトが実施されていない地域では、同地域のコミュニティにて水プロジェクトに取り組む非営利団体とのボランティアの機会について情報を提供していきます。

マイクロソフトは淡水に注力した取り組みを進めていますが、世界の海洋を保護する必要があることも認識しています。海洋では、世界の酸素の 50% 以上が生成され、排出された炭素の半分が吸収され、地球上の生物多様性の 80% が生息しているためです。海洋は世界経済と食料安全保障においても重要で、1 億世帯以上が漁業で生計を立てており、30 億人が主なタンパク源として魚介類を摂取しています。

世界の海洋を保護

経済協力開発機構 (OECD) では、2030 年までに海洋経済の価値が 3 兆ドルを超え、4000 万人以上の雇用が創出される可能性があると予測しています。この潜在的な経済的影響を実現するには、民間企業と公的機関、市民社会が協力し、気候変動や汚染、乱獲によって減少した海洋の生物多様性を増加へと転換させなくてはなりません。そのためには、優れたデータとガバナンス、政策が求められることはもちろん、スマートセンサーや自律型ロボット、データ分析、AI といった技術革新によって海洋をより深く監視し、モデル化し、管理していく必要があります。

マイクロソフトが、世界経済フォーラム第 4 次産業革命センターネットワークのノルウェー拠点における海洋イノベーションと技術への取り組み (C4IR Ocean) に参加しているのもそのためです。この取り組みでは、データと技術、ガバナンスのフレームワークを活用して世界の海洋を保護し、海洋を基盤とした産業の持続可能性を高めようとしています。

道路とは異なり、海洋には十分な地図がないため、情報に基づいた意思決定はできていません。マイクロソフトは、C4IR Ocean と協力している組織の 1 社として、Ocean Data Platform に取り組んでいます。Ocean Data Platform は、グローバルなオープンソースプラットフォームで、データサイエンティストやアプリ開発者、海洋空間プランナーが、海洋の状態を改善するソリューションを開発するにあたって過去のデータやリアルタイムのデータにアクセスできるというものです。

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マイクロソフトのミッションは、地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにすることです。マイクロソフトの事業目的と責任は、人と地球の問題を解決する有益なソリューションを生み出すことにあると考えています。だからこそマイクロソフトは日々お客様やパートナー、NGO、その他世界中のさまざまな人たちと協力し、気候変動の危機に取り組んでいるのです。地球のためになることは、最終的にはマイクロソフトのためにもなることなのです。

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