マイクロソフトが OpenAI の協力の下、GPT-3 言語モデルの独占ライセンスを取得

2020 年 9 月 22 日 | ケビン スコット (Kevin Scott) マイクロソフト エグゼクティブバイスプレジデント 兼 チーフテクノロジオフィサー

※ 本ブログは、米国時間 9 月 22 日に公開された “Microsoft teams up with OpenAI to exclusively license GPT-3 language model” の抄訳です。

マイクロソフトの仕事で私が最も楽しんでいることのひとつに、技術の進歩とインパクトが交差する場を目の当たりにし、そこに影響を与えることができるという点があります。これは、地球上のすべての人に利益をもたらすコンピューティングの大きなトレンドを活用することにもなります。フランクが今朝 Ignite について投稿した内容は、さまざまな分野でどれだけの進化が起きているかを示したものとなります。

現在最も重要なコンピューティングのトレンドが人工知能 (AI) であることは間違いありません。今では、あらゆる開発者や企業が活用できるような形で巨大な AI モデルを大規模に展開する力が高まっています。こうした中で AI はプラットフォームになりつつあります。つまり、驚くような新しい体験が構築できる環境になりつつあるということで、過去にパーソナルコンピュータやモバイルデバイス、インターネットで起こったことを彷彿とさせるようなものになっているのです。

AI プラットフォームを軌道に乗せるには、これまでにないようなコンピューティングパワーが必要です。そこで今年 5 月、マイクロソフトは世界有数の AI 研究機関である OpenAI とのこれまでのパートナーシップを拡大し、世界最大級のパワーを持つスーパーコンピュータを発表しました。そのスーパーコンピュータは、OpenAI の大規模な AI モデルをトレーニングするためにカスタム設計され、Azure 上でホストされています。

その後 OpenAI が画期的な GPT-3 モデルを発表したことはすでにご存知かと思います。GPT-3 は自己回帰型言語モデルで、とても人間らしい表現でアウトプットします。世界最大かつ最先端の言語モデルとなっており、1750 億個のパラメータを使用、Azure の AI スーパーコンピュータにて訓練されています。

本日、マイクロソフトは OpenAI の協力の下、GPT-3 の独占ライセンスを取得したことを発表します。これにより、マイクロソフトは、この技術革新を活用し、お客様に高度な AI ソリューションを開発して提供できるようになるほか、高度な自然言語生成というすばらしい力を使った新たなソリューションが開発できるようになります。

マイクロソフトは、今回のライセンス取得が Azure ベースの AI プラットフォームの拡大に向けた素晴らしい機会につながると考えています。AI プラットフォームの拡大は、AI 技術が民主化するような形で進み、新製品や新サービス、新たな体験を生み出し、AI at Scale によるプラスの影響力を高めていくでしょう。マイクロソフトのミッションは、地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにすることです。そこでマイクロソフトでは、すべての人にこの AI プラットフォームを提供したいと考えています。研究者や起業家、趣味でやっている人、企業など、すべての人にこのプラットフォームを使って新しいものや面白いものを生み出す意欲を高めてもらいたいと思います。

GPT-3 モデルは真に斬新な機能であふれており、同モデルによって実現するビジネスの可能性や創造力の可能性は非常に幅広いものとなります。その機能の多くは未だ想像もできないようなものです。執筆や作文の際に人間の創造力やアイデアを直接支援したり、長文データ (コードを含む) の大規模ブロックを記述し要約したり、自然言語を他言語に変換したりと、私たちがアイデアやシナリオを思いつく限り、その可能性は無限です。

こうしたメリットを、真の規模で、責任を持って、手頃な価格で、公平に実現するには、大規模テクノロジ企業であっても決して単独では実現できないほどの人手と努力が必要です。

今回の発表は、その実現への道に向けたほんの始まりに過ぎません。OpenAI は今後も、6 月に発表した Azure 上でホストされている独自の API を介して GPT-3 と他の強力なモデルを提供します。一方マイクロソフトでは、GPT-3 の機能を製品やサービス、体験に活用し、お客様の利益につながるよう取り組みを進めますが、同時に安全な汎用人工知能を構築するというミッションを掲げている OpenAI とも引き続き協力し、最先端の AI 研究の力を駆使して民主化すべく前進していきます。未来は、私たちが AI で何をするかによって決まりますが、いま進んでいる道は正しい方向に向かっていると信じています。

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