Microsoft Ignite 2020 開幕: 現在と未来に向けレジリエンシー (回復力) を構築する企業を支援

フランク X ショー (Frank X. Shaw) コミュニケーション担当コーポレートバイスプレジデント

※ 本ブログは、米国時間 9 月 22 日に公開された “Microsoft Ignite 2020: Empowering businesses to build resilience for today and what’s ahead” の抄訳です。

現在ではあらゆる業界で、テクノロジを活用してビジネスの変革を実現させる方法を再考しています。新型コロナウイルス (COVID-19) の影響により、私たちは数ヶ月で数年分ものデジタルトランスフォーメーションが起こった状況を目の当たりにしており、さまざまな企業における数多くの学びや体験にも大きな刺激を受けました。そこで明らかになってきたのは、テクノロジを採用してデジタルトランスフォーメーションを前進させることができている企業や組織は、現在はもちろん今後何が起こっても回復できる力 (レジリエンシー) を構築しているということです。

今回 Ignite 2020 を開幕するにあたって、マイクロソフトは COVID-19 が示した課題を忘れたわけではありません。多くの組織は、優先順位や顧客ニーズが変化する中で苦戦を強いられています。世界的な健康危機や経済の不確実性に直面しながらも、一部の人は全く新しい働き方に順応している一方で、今でも重要な仕事を続けるにあたって安全で新しい方法を模索し続けている人もいます。そして、仕事を失ってしまった人も数多く存在します。

しかし、個人も組織もこうした課題を通じて希望やチャンスが見えてくるのです。マイクロソフトはこれまでに、さまざまなお客様が新たなテクノロジを採用して前進するだけでなく、独自の能力を構築し可能性を再定義する様子を目にしてきました。事業運営のすべての側面で、デジタルテクノロジの力がレジリエンシーを高め、変革しているのです。

マイクロソフトは、お客様のイノベーションと創造力を最前列で見守ってきました。そこで今回は、お客様が現在直面する課題を解決しつつ、将来的に実現するものを構築する際に役立つ新たなツールを発表します。

今週開催する Microsoft Ignite 2020 では、マイクロソフトの製品やサービス群の中から、信頼に基づいて用意した新たなツールやサービスでレジリエンシーを構築し、組織や人の能力を高める方法をご紹介します。

クラウドサービスを利用するお客様向け発表

  • マイクロソフトは Dynamic 365 にて、組織がビジネスオペレーションをエンドツーエンドでデジタル化し、変化の激しい市場環境に適応できるよう支援しています。今回発表する新機能である Customer Service と Supply Chain Management は、現在のビジネス環境において特に重要となる顧客満足に焦点を当てたものです。強化されたこれらのソリューションは、現在のビジネスに対応することはもちろん、迅速に拡張やカスタマイズができることから、独自のデジタル機能が構築できます。
  • Dynamics 365 Customer Service 向けファーストパーティー音声チャネルは、Azure Communication Services 上に構築された新たな機能で、プライベートプレビューとして公開されます。音声を既存のオムニチャネル機能に統合することで、マイクロソフトのクラウド上に構築された単一のソリューションにてシームレスかつエンドツーエンドな顧客サービス体験を実現します。これにより、すべてのチャネルで一貫性を持ったつながりのあるサポートが提供できるようになります。
  • Dynamics 365 Supply Chain Management に 2 つの新たなアドインが登場します。これにより、可視性が高まり、需要と供給の変化に迅速な対応ができるようになります。新しいアドインのひとつは、Cloud and Edge Scale Unit で、Edge Azure スタックデバイスを使って重要なウェアハウス業務や製造ワークロードが実行できるというものです。これにより、組織のレジリエンシーが高まるほか、クラウドから一時的に切断されてもオペレーションが中断されることはなくなります。もうひとつの新たなアドインである Inventory Visibility は、小売業者やメーカーにて発生する毎分数百万件にもおよぶ大容量のトランザクションが簡単に処理できるようになるもので、リアルタイムでさまざまなチャネルの在庫が正確に把握できるようになります。
  • 現在の環境では、お客様や従業員との安全で効率的なコミュニケーションが欠かせません。そこでマイクロソフトは本日、Azure Communications Services を発表します。これにより開発者は、Microsoft Teams をホストしている安全なプラットフォームを活用し、エンタープライズレベルのコミュニケーション体験をさまざまなデバイスやプラットフォーム上で提供できるようになります。
  • リモートワークを実現し、IT 投資の優先度を高め、クラウドコンピューティングの規模を活用することが重要視されつつある中、企業ではハイブリッド導入が加速しています。そこで本日マイクロソフトは、Azure Arc 対応サーバ、Azure Arc 対応データサービス、Azure Stack Edge など、Azure ハイブリッド対応型のクラウドサーバ、サービス、デバイスをアップデートします。
  • Azure AI では、Azure Cognitive Services をアップデートし、ビジネスプロセスを効率化する新機能を搭載します。これにより組織は、責任を持って AI を展開しつつ、レジリエンシーを維持して経済復興に努めることができるようになります。また、Metrics Advisor Preview は、組織の成長エンジンのパフォーマンスを積極的に監視して課題を診断する新サービスです。そして Computer Vision の新機能である空間分析は、厳格な倫理基準と、責任のある実装方法のガイドに基づいて開発したものです。これは、チームや組織の出社再開にあたり、ソーシャルディスタンスなどの健康コンプライアンス対策に準じた部屋のレイアウトを構築する際に利用できます。
  • マイクロソフトでは、企業がお客様に向けて没入感のある革新的な体験を創造できるよう注力しています。そこで今回、Azure Mixed Reality サービスのポートフォリオを拡大し、Azure Object Anchors を追加することになりました。これにより開発者は、物理世界に存在する物体を自動的に検出し、調整や追跡ができるようになります。
  • また、Azure Kinect を支えている技術で、業界をリードする 3D Time of Flight 深度技術の商用化も発表します。これにより、Analog Devices や SICK AG など世界中のマイクロソフトのテクノロジパートナ―が、商用 3D カメラや関連ソリューションを開発できるようになります。
  • 宇宙データの科学的進歩や調査、利用を促進しようと、マイクロソフトはグローバルクラウドの力を宇宙にまで拡張しています。そこで今回、Azure Orbital のプレビュー版を発表します。これにより、物理的な衛星機能によって宇宙から取得したデータが迅速に分析できるようになります。レイテンシーの低いグローバルファイバーネットワークと、マイクロソフトのグローバルスケールのクラウドサービスにより、大規模な衛星データセットを駆使した迅速なイノベーションが可能になります。
  • ビジネスの現実が変化していく中では、データ駆動型の組織を運営することが重要となります。そこで今回、Power BI Premium Per User を発表します。これにより、組織や個人が、簡単に組織内の最も重要で関連性の高いデータを安全に作成して閲覧し、コラボレーションできるようになります。

インフォメーションワーカーおよびローコードソリューションの構築に取り組むお客様向け発表

  • 組織やチームが新たな仕事の世界でレジリエンシーを高め利益を出すために必要なツールとなる Microsoft 365 の新機能を発表します。個人的に気に入っている機能は以下のとおりです。
  • ミーティングをより良くする Microsoft Teams の機能として、新たに Together モードのシーンやカスタムレイアウトを提供します。これにより、例えばプレゼンテーションのビデオフィードを共有コンテンツの画面の前面に表示するといったこともできるようになり、プレゼンテーションのコンテンツがよりダイナミックで魅力的なものとなります。
  • Microsoft Teams Rooms およびデバイスを拡張します。Room リモートアプリ、Teams キャスティング、Microsoft Cortana による音声アシスタントなどを使ったタッチレスのミーティング体験を提供することで、一部の人が職場に戻る際の健康と安全をサポートします。これにより、従業員がコラボレーションの力を損なわずに安全ガイドラインを満たせるようになります。
  • Teams に新たな個人向け健康インサイトなどの新機能が追加されました。バーチャル通勤は、自宅での長時間勤務の中に組み入れるもので、Headspace などのアプリと組み合わせることで、仕事の前後や仕事中に瞑想してストレスを解消し、集中力を高めることができるようになります。
  • 組織が不確実性や変化に直面する中、Teams Workplace Analytics によるインサイトで組織のレジリエンシーを測ることが可能です。このインサイトによって、従業員が燃え尽き症候群のリスクを抱えていないか、また同僚やお客様との強いつながりを維持できているかといったことが見えてきます。
  • Teams に新たなセキュリティとコンプライアンス機能が追加されました。これにより、データを保護し、リスクを軽減し、コンプライアンスに対応できるようになります。
  • Teams Power Platform が機能強化され、誰もが簡単に Teams 上にてノーコードのアプリやボットを構築したり、ビジネスの課題を解決する自動ワークフローを作ったり、Power BI を使ってデータのインサイトを手に入れたりすることができるようになりました。
  • Microsoft Endpoint Manager の新たな管理機能により、さまざまなプラットフォーム上で稼働するデバイスを一箇所で保護し管理できるようになります。
  • Productivity Score に新たなカテゴリーが 3 つ追加され、組織の仕組みを可視化し、改善点を特定するインサイトが入手でき、スキルやシステムを向上するにあたって必要な行動が把握できるようになりました。これにより、誰もが仕事で最高のパフォーマンスを出せるようになります。
  • SharePoint Syntex による新たなエンタープライズコンテンツ管理ソリューションは、組織内のコンテンツを検索して作業する際の負担を軽減します。SharePoint Syntex は、Project Cortex から誕生し一般提供される最初の製品で、高度な AI を使ってコンテンツを理解しプロセスを自動化します。
  • デバイスに関するお知らせもあります。HoloLens 2 を新たな市場で提供するほか、2021 年 1 月には Surface Hub 2S 85” を法人向けに出荷開始します。

開発者向けの発表

  • ここ数ヶ月間で、これまでにない環境に組織が対応できるよう、プロフェッショナルな開発者が迅速にビジネスソリューションを開発していることがわかりました。こうした現実を支援するため、マイクロソフトはプロフェッショナル開発者向けに Power Platform および Azure のローコード機能のアップデートを発表します。このアップデートにより、Azure APIM と GitHub を統合し、カスタムアプリやボット、ワークフローが迅速に構築できるようになります。また、Power Automate Desktop のプレビューも発表し、市民開発者やビジネスユーザーにデスクトップ自動化のオプションを提供します。

セキュリティ関連の発表

  • セキュリティやコンプライアンス、アイデンティティは、このような変革期においてもお客様の優先事項であり続けています。企業がハイブリッドな働き方へとシフトする中で、遠隔地からユーザーの入社手続きをする必要性も出てきており、セキュリティ上の脅威が増幅しているという現実ものしかかっています。つまり、IT 専門家やセキュリティ専門家は今も組織にとっての英雄なのです。そこで、Azure および Microsoft 365 におけるこの分野でのアップデートを発表します。その内容としては、Microsoft Defender の変更や、包括的な拡張検知と対応サービス、コンテナや IoT に対する保護機能の強化、増加する規制への対応を支援する Compliance Manager、新たな分散型アイデンティティのパイロット版、マイクロソフト内外のクラウド環境における ID やアプリ、サービスを保護する新コネクタおよび API などです。

業界向け発表

  • 最後に、現在の加速的な変革を体験している業界のひとつがヘルスケア業界であることは間違いありません。バーチャル医師の診察を受けた人は、その変革を直接体験したことになります。本日マイクロソフトは、初の業界特化型クラウドとなる Microsoft Cloud for Healthcare を 10 月末に一般提供することを発表します。この包括的なクラウドにより、ヘルスケア業界のお客様やパートナーが世界中の人々により良い体験や知見、そして看護ケアを提供できるようになります。同ソリューションでは、遠隔医療のワークフローをサポートし、管理の複雑さを軽減する取り組みも行っています。新たな Microsoft Teams EHR コネクタが、このほどプライベートプレビューとして公開され Epic App Orchard から入手できるようになったことで、臨床医は電子カルテ (EHR : Electronic Health Record) から直接 Teams にてバーチャル患者訪問をしたり診察したりできるようになります。これにより、ユーザー体験やカルテ作成、IT 管理が効率化できます。今回はまず Epic への対応に注力しましたが、他の EHR システムにも近日中に対応する予定です。

Microsoft Ignite のサイト (英語: 日本語版を準備中) では、マイクロソフトの経営陣による基調講演やさまざまなコンテンツをバーチャルで提供しています。ぜひイベントの見どころをご確認ください。

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